転生とらぶる   作:青竹(移住)

2494 / 4305
2403話

「アクセル代表、これは一体……?」

 

 ピクシーから降りた俺に、ギニアスが近づいてきて尋ねる。

 ピクシーの後ろに陸戦型ジムが3機いるのだから、その辺りを疑問に思うのは当然だろう。

 

「護衛のMSの追加らしい」

「護衛のMS……ですか?」

 

 意味ありげに俺に視線を向けてくるギニアスに、小さく頷く。

 ギニアスにしてみれば、新たに来た3人はあからさまに怪しかったのだろう。

 ……この3人の前に来たダイルは、相応に怪しいところはあったが結果的には何か後ろ暗い事をするでもなく、それどころか襲ってきたジオン軍のMSを撃退した。

 それに比べると、この3機のMSとそのパイロットは怪しいと言いたくなる。

 

「その、護衛してくれるのは嬉しいのですが、ラサ基地攻略の方に戦力を回さなくても構わないのですか?」

 

 心配そうに言ってくるギニアスだが、その言葉の裏にあるのはこのままここにいるのは邪魔だからどこかに行って欲しいと、そういう思いだろう。

 実際、防衛という意味ではグフカスタムやグフ・フライトタイプが存在するので、戦力的には十分なのは間違いない。

 だからこそ、今の連邦軍の状況……少しでも多くのMSをラサ基地に注ぎ込みたいというのを考えると、こうして戦力を回してくるのは怪しかった。

 

「そうらしい。どうやらイーサンはここがジオン軍によって集中攻撃でもされるかもしれないと、そう思っているらしいな」

「それは、実際にはそこまで間違ってはいないかもしれませんけどね」

 

 笑みを浮かべて告げるギニアスの言葉に頷き、口を開く。

 

「ここを襲ってくる奴がいる可能性も高いし、俺のピクシーもここで護衛をした方がいいかもな」

『ちょっと待って貰いたい』

 

 陸戦型ジムの1機の外部スピーカーがそう言い、コックピットが開く。

 乗降ワイヤーを使い、パイロットが降りてきた。

 先程まで俺と通信で会話をしていた人物だ。

 年齢としては、30代くらいか?

 特殊部隊らしい、厳つい顔をしている。

 ……ただ、MSのコックピットってのはサイズが決まっているから、極端に大柄な身体をしていると乗れないんだよな。

 聞いた話では、ドズル・ザビが乗るMSのコックピットはドズルにとって小さいらしく、特注の大きなコックピットに変えてるとか。

 この辺はMSを開発していく上で解決すべき問題の1つかもしれない。

 とはいえ、ほんの少数の為にコックピットに掛けるコストを高くするというのは、若干割に合わないような気もするが。

 1機や2機ならともかく、製造する全てのMSにとなると、コスト的に相当な問題となるだろうし。

 

「アクセル代表は、遊撃隊としての役割を期待されてると聞く。だとすれば、ここで護衛をする必要はないと思うが」

「そうだな。俺も少し前まではそう思っていたよ」

 

 暗に、お前達が信用出来ないからこうして護衛をするのだと、そう告げる。

 軍人の男は、それを聞いて不満そうな表情を露わにした。

 それは自分が疑われているのを知っており、それを不満に思っているのか。

 それとも、俺がいるとアプサラスⅡについての情報を収集出来ず、イーサンの命令を実行出来ないから不満なのか。

 どちらの意味で不満なのかは、俺にも分からない。

 分からないが……それでも、向こうにしてみれば俺という存在は邪魔なのだろう。

 何とか理由をつけてここからどこかに行かせようと、しつこく言ってくる。

 とはいえ、ぶっちゃけた話、MSが3機いてもグフの数が多いし腕利きも多い以上、この連中に何か出来るとは限らないんだよな。

 ただ、陸戦型ジムはビームライフルを持っており、それが心配だ。

 ピクシーが持っているビームスプレーガンではなく、アムロのガンダムとかが使っている、普通の――という表現が正しいのかどうかは分からないが――ビームライフル。

 その威力は強力で、数発命中すればムサイ級でも楽に撃破出来るだけの威力を持つ。

 それどころか、戦艦のマゼラン級ですら撃破出来るだろう。

 強力な威力のビームライフルを持っている以上、敵対しかねない陸戦型ジムをここに置いていくのは危険だ。

 アプサラスⅡはメガ粒子砲で非常に高い攻撃力を持っているものの、その威力の高さ故に、こういう場合は向いていない。

 その上、アプサラスはバリアの類も存在しない以上、ビームライフルを使われればあっさりと撃破されてしまうのも事実だ。

 

「ここにいる連中はルナ・ジオンとしても非常に重要な奴だけに、可能な限り安全は確保したいのも事実だ」

 

 それは間違いなく俺の本心で、出来ればとっととハワイまで送り届けたいくらいだ。

 アプサラスⅡの役目は、あくまでも最初に放たれたメガ粒子砲での一撃。

 それによって山肌を貫通し、ラサ基地に繋がる直通の通路が出来た。

 ……メガ粒子砲の熱で、そう簡単にラサ基地に向かう事は出来なかったが。

 ともあれ、そのメガ粒子砲によって十分役目は果たしたのだから、正直な話、もうアプサラスⅡはここにいなくても構わないのだ。

 それでもギニアス達がここにいるのは、データの類を取りたいという思いからだろう。

 アプサラスⅡは今回の一件を見れば分かる通り、もう既に完成した機体だと言ってもいい。

 だが、その後継機……完全体とでも言うべき、アプサラスⅢを作るのには、色々なデータが必要となる。

 技術者として頑固なギニアスだから、ここでハワイに帰るようにと言っても、聞かないだろう。

 あるいは、俺がもっと強く言えばもしかしたら聞くかもしれないが……出来ればそのような事はしたくない。

 

「だからこそ、安全を確保する為に、俺達が派遣されたのだ」

 

 憮然とした様子で告げてくる相手だったが、イーサン直属の特殊部隊という時点で、信用する事は出来ないんだが。

 向こうにしたところで、俺がそう言いたいと思ってるのは分かってるだろうに。

 

「そうかもしれないな。けど、念の為というのがあるだろ? それとも……俺がここにいると、何か不都合な事でもあるのか?」

「……俺達には不都合はないが、アクセル代表という優秀なパイロットがいなくなると、今回の作戦に参加してラサ基地を攻めている者達にしてみれば、不都合があるのでは?」

「俺以外にも、ホワイトベースには腕利きのパイロットが多い。それこそ、ジオン軍のMS数機を相手にしても、十分に勝てるだけの実力を持っている奴がな。それを思えば、俺が1人いないくらいでは、特に問題ない筈だ」

 

 その言葉に男は何か言い返そうとするが、俺が何を言っても退かないと判断したのか、渋々と納得した様子を見せる。

 

「分かった。こちらからはこれ以上は何も言わない」

「そうして貰えると、助かるよ」

 

 完全に納得した様子は見せていないままで、MSに戻っていく男。

 

「今更ですが、本当に構わないんですか?」

「ああ。ここまでしつこく念を押されれば、向こうだって無茶な真似はまず出来ないだろ。……それでも妙な真似をしたら、それこそこっちの思い通りだし。ただ、万が一の事を考えて、いつでも撤退出来るようにデータ収集以外にどうにか出来る事は終わらせておいてくれ」

 

 その指示に頷き、ギニアスは部下達に向かって次々と指示を出していく。

 ギニアスにしてみれば、今回の一件は重要ではあるが、後がないといったような致命的な状況ではない。

 そうである以上、自分達の身の安全こそが最優先だと理解しているのだろう。

 何しろ、ギニアス達が死ぬなり、場合によって連れ去られるといった真似をした場合、アプサラスⅢの開発は出来なくなってしまうのだから。

 そうならない為には、やはり何かあった時にはすぐに退避出来るようにと準備を進めておく必要があった。

 ……問題なのは、現状でイーサンの部下の特殊部隊3人が何か妙な真似をしないかといったところだ。

 一応俺という抑止力がいる以上、迂闊な真似は出来ないとは思うが。

 実際に陸戦型ジムは動き回っているギニアス達の様子を窺ってはいる。

 それでも実際に何らかの行動に出たりしないのは、俺がいるからだろう。

 万が一……億が一にも、実はイーサンの命令によってアプサラスⅡのデータを盗むとかではなく、本当に護衛だけをしているという可能性もない訳ではないが……イーサンという人物を知っている身としては、やはりその可能性は低い。

 ラサ基地の方は、一体どうなってるんだろうな。

 地上にいる現状では、ラサ基地を巡る戦いがどうなっているのかは、俺にも分からない。

 だが、本来なら盾になる筈の山肌を貫通してしまったのを考えると、ジオン軍がここから逆転するのは難しいと思う。

 後方を遮断しようとしたり、メガ粒子砲を撃ったアプサラスをどうにかしようとしてやって来たMS部隊も排除されている。

 今のラサ基地に出来る事は、それこそ全滅するまで戦うか、イーサンに降伏するか……もしくは……

 轟っ!

 そんな音と共に、巨大な爆発が起きる。

 同時に、かなり強い衝撃波がここまで届く。

 ギニアスやその仲間達がそれぞれ悲鳴を上げ……うわ、それでもデータを取る装置の類を死守してるのは凄いな。

 

「ギニアス、無事か!」

「はい、こちらの記録装置は大丈夫です!」

 

 ……いや、俺はギニアスの身体を心配したんだけどな。

 ともあれ、こうして無事に叫んでいるという事は、身体的な怪我に関しては心配しなくてもいいのだろう。

 他の面々はと見回すが、そちらでも大勢が多少の怪我をしている者はいるものの、それ以上の怪我をした者の姿はない。

 ここが爆発のあった場所からかなりの距離だったからこそ、この程度の被害で済んだのだろう。

 

「……アイナから連絡が入りました。どうやら、爆発があったのはラサ基地の方向ですね」

 

 ギニアスがこちらに近寄って来ると、そう告げる。

 アプサラスⅡとグフ・フライトタイプは現在も空中に浮かんでいる。

 だからこそ、爆発のあった方向がどこなのかをきちんと理解出来たのだろう。

 とはいえ……ラサ基地、か。

 イーサンを含めた面々が、少しでも早くラサ基地を攻略したいと考えて、無謀な攻撃でもしたのか?

 それとも……一番可能性が高いとして考えられるのは、ラサ基地の失陥がどうしようもなくなり、自爆したといったところか。

 ラサ基地は、この東南アジア戦線の中では最大の基地だ。

 当然のように、そこに集まっている情報には貴重なものが多い。

 ジオン軍にとっては最高機密に近い情報もあるだろうし、それを連邦軍に渡すのは決して許容出来ないだろう。

 だからこそ、連邦軍が基地を占拠するのであれば、と。自爆を企んでもおかしくはなかった。

 ……シロー達は無事だといいんだが。

 シロ-の08MS小隊は当然ながら、他のMS小隊ともシミュレータを使った模擬戦ではそれなりに戦っている以上、それなりに友好的な関係を築いている者も多い。

 そういう意味では、少し心配に思ってしまうのは当然だろう。

 

「ラサ基地の方か。何かあったらすぐにお前達をハワイまで戻すから、そのつもりで撤収準備を始めてくれ。俺の方にも何か命令が来たら、すぐにそれに対応する必要があるし」

「分かりました。……これ以上はここにいても、アプサラスⅡのデータを取る事は出来そうにないですしね。このような密林でのデータ収集は、滅多に出来る機会ではないのですが」

 

 残念そうな様子のギニアスだったが、出来れば今は命の心配を最優先にして欲しいところだ。

 

「急げよ」

 

 そう言うと、俺は陸戦型ジムの方に向かう。

 イーサン直属の特殊部隊である以上、こうして大きなトラブルがあったのなら、動く必要があるのではないかと思った為だ。

 とはいえ、その動く方向がこの混乱に紛れてギニアス達からデータを奪おうとしている……なんて事になったら、最悪に近いのだが。

 

「おい、爆発があったが、お前達はまだここにいてもいいのか? イーサンの部下なら、そっちを心配して行った方がいいんじゃないか?」

『現在、どうするべきか指示を待っているところだ。ここの警備は上からの命令である以上、こちらの判断でどうにかする事は出来ない』

 

 こういうのは、臨機応変に動けないというのか、軍人として律儀だというのか。……その判断は少し難しいな。

 とはいえ、イーサンにしてもこんな非常事態と呼ぶべき状況になってしまった以上、アプサラスⅡのデータを奪うといった真似をするよりも、まずはラサ基地の方をどうにかしようとする筈だ。

 イーサンにとって、あくまでも本命はラサ基地の攻略であり、アプサラスⅡのデータは可能なら奪うことが出来ればいいという、一種のおまけに近い存在だった筈なのだから。

 さっきの爆発でラサ基地が壊滅して占拠も何も出来ず、手柄となる物が何もなかった場合は、もしかしたらその代わりにアプサラスⅡのデータを欲しがるという可能性は十分にあるが。

 ただ、そうなった場合は既にギニアス達はハワイに戻っているだろうが。

 ギニアス達の様子を眺めていると、やがて陸戦型ジムからラサ基地に向かうと、そう告げられるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:590
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1502

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。