転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2405話

 マチルダ率いるミデア隊がやって来たのは、ヤザンとの模擬戦から数日後。

 数日後と言われれば、ぶっちゃけ時間が掛かりすぎじゃないか? と思わないでもないが、現在の連邦軍は防御から攻勢に移りつつある為に、非常に忙しい。

 念願の量産型MSたるジムは、幾らあっても足りないといった様子ですらあった。

 それを考えれば、数日でジムの代替機を用意してこうして東南アジア戦線まで運んできたというのは、マチルダの有能さの現れだろう。

 そう言うと、マチルダは嬉しそうな笑みを浮かべる。

 

「アクセル代表にそう言って貰えるのは、嬉しいですね。ただ、ホワイトベース隊はレビル将軍の直轄部隊ですから、MSの予備はある程度用意しているんですよ」

「そうなのか? 補充部品の類はなるべく多く置いていってくれると助かるんだけどな。特に陸戦型ジムの」

 

 陸戦型ジムは、現在のホワイトベース隊でもモルモット隊と綾子が使っているMSだ。

 ユウの機体はブルーディスティニーだから、陸戦型ジムと一緒にする訳にもいかないんだろうが……ともあれ、3機存在している。

 そして陸戦型ジムは作られた数がかなり少ないという事もあり、部品の調達にも苦労する。

 であれば、可能な限り予備部品を入手しておきたいと考えるのは当然だろう。

 ジムなら正式な量産機なので、各種パーツが入手出来ないという事もないのだが。

 

「それは……少し難しいですね。寧ろ、この基地には陸戦型ジムや陸戦型ガンダムが大量にあるのですから、そこから部品を譲渡して貰っては?」

「難しいと思う。ラサ基地を攻略したおかげで、東南アジア戦線からジオン軍を追い出す事には成功した。だが、追い出されたジオン軍がいつまでもここを放っておくとは思えないし、まだジオン軍の部隊が隠れ潜んでいる可能性は十分にある。それを考えると、イーサンとしてもMSをなるべく確保しておきたいだろうし。……ジムをこっちに回す事が出来れば、話は別だろうけど?」

「無理ですね」

 

 俺の言葉に、マチルダはあっさりと断言する。

 そんなマチルダの様子に、黙って話を聞いていたブライトが口を挟む。

 

「何故です?」

「現在、地球上で戦っている連邦軍は、MSを所持していないところが殆どよ。そうである以上、互換性が少ないとはいえ、陸戦型ジムや陸戦型ガンダムが大量に配備されているこの基地に……しかも、先程アクセル代表も言ったけど、この東南アジア戦線におけるジオン軍の本拠地たるラサ基地を攻略した今、ここにジムを配備するよりも前に配備する必要がある場所は、他に幾らでもあるのよ」

 

 マチルダの説明に、ブライトはなるほどと納得の表情を浮かべる。

 ブライトも何だかんだと士官学校に通っており、士官候補生という身分だった以上、マチルダの説明には十分納得出来るものがあったのだろう。

 

「そうなると、やはりジャブローの方で陸戦型ジムの各種パーツを用意して貰う必要が出て来る訳ですね」

「そうよ。……ただ、ジムの製造が本格化した今、もうジャブローで陸戦型ジムや陸戦型ガンダムの製造は行ってないの。現状あるだけで精一杯といったところかしら」

 

 マチルダの説明には、納得出来るものがある。

 そもそもの話、通常のジムの量産が開始された今、幾ら普通のジムより性能が高くても、パーツの共有も難しい陸戦型ジムをわざわざ製造する必要はないのだから。

 現在ある陸戦型ジムや陸戦型ガンダムは、部品が足りなくなったら共食い整備の類をする必要があるのだろう。

 実際には、そこまで行けば普通のジムが配備される事になるだろうけど。

 

「ともあれ、だ。ダンケルとラムサスのジムが補充された以上、いつまでもこの基地にいる訳にもいかないだろ? オデッサの攻略もそう遠くないんだろうし」

 

 俺がレビルやゴップに雇われているのは、オデッサ攻略の為だ。……最初はオデッサとは分からなかったが。

 ともあれ、そんな訳でいつまでもここにいられる訳でもない。

 イーサンが何か妙なことを企まないとも限らない。

 実際にラサ基地攻略の時は、アプサラスⅡの秘密を奪おうとしていたように思えた。

 最終的には特に何もしなかったが、それはあくまでも俺がいたからこそだろう。

 もしあそこに特殊部隊の3人を残していれば、下手をすると流れ弾で破壊されたといった風にされて、ギニアス達は死んだか、場合によっては連れ去られていた可能性すらある。

 そうなれば、下手をしたら連邦軍、ジオン軍、ルナ・ジオン軍の三つ巴になっていた可能性もあるのだが。

 普通ならそんな馬鹿な事をするとは思えないが、手柄に目が眩んだ者というのは、何をするのか分からない。

 それを考えると、やはりなるべく早くこの基地から出発した方がいいだろう。

 

「そうですね、こちらとしてもそうして貰えると助かります。ミデアで輸送するにしても、どうせなら他のミデアと一緒に行動をした方が安全ですし」

 

 どうやらマチルダも、俺と同じことを考えていたらしい。

 ……その基地のトップを信用出来ないような場所にいたいとは、普通は思わないから当然だが。

 

「ブライトはどう思う?」

「そうだな、基本的にはアクセルの意見に賛成だが……」

「だが?」

「いや、イーサン大佐をこのまま放っておいていいのか?」

 

 少し悩ましげに告げてくるブライトだったが、だからといって俺達の判断だけでイーサンをどうにかする訳にいかないのも事実だ。

 

「どうにかしたいのは事実だが、何だかんだとイーサンにはこの東南アジア戦線からジオン軍を追い出したという実績がある。また、陸戦型ジムや陸戦型ガンダムを配備して、MSの有用性を証明してみせた功績があるのも事実だ」

 

 本人としては、もっと大きな手柄を挙げてジャブローに戻りたかったのだろうが……手柄を挙げたのは事実だが、マイナス点も多く、結果としてイーサンが望むようにジャブローに戻るといったことは出来なかった。

 この辺の認識が、人によってそれぞれなんだろう。

 

「そう、か」

 

 不承不承といった様子で納得するブライト。

 ブライトにとっては、イーサンも特に何かこれといった事をしてる訳ではないので、特に気にする必要もないとは思うんだが……

 これは、ブライトの生真面目さ故か?

 それとも、イーサンの迂闊な行動によって連邦軍全体に被害が及ばないようにという考えからか。

 ともあれ、ブライトの希望するように事態を進めるのは難しいだろう。

 

「イーサンの件は、レビルとゴップに伝えておいて貰えるか? ……とはいえ、今の状況でイーサンを処分出来るような証拠は何もないから、それとなく注意するような真似しか出来ないだろうが」

 

 実際には効果はないものの、イーサンにしてみれば自分がライバル視しているレビルに注意されるというのは、屈辱だろう。

 もしくは、レビルもその辺を理解した上で別の人物に注意させるのかもしれないが。

 そんな感じで暫く打ち合わせをした後で、俺1人が艦長室から出る。

 マチルダとブライトには、俺に聞かせられない打ち合わせがあるらしい。

 ……別にそれは色っぽい話という訳ではなく、正式な連邦軍の軍人ではなく、結局のところただの傭兵でしかない俺に聞かせられない打ち合わせがあるだけだ。

 オデッサの攻略に関係する何かなのか、それともそれ以外の何かなのか。

 意外と、俺に渡す報酬のMSについてという可能性もあるのか。

 ゴップがオデッサ攻略作戦に俺が参加する条件として提示してきた、MS。

 具体的にどのようなMSなのかは、俺にもまだ分からない。

 だが、そのMSを開発する上で技術的な難易度が高かったという話を聞いている以上、恐らくそのMSは高性能なMSで……現在俺が使っているピクシーよりは上であって欲しい。

 技術的な問題で解決出来なかったMSを開発出来たとはいえ、それが高性能だとは限らないのだが。

 そのようなMSは、実戦では使い物にならなくても、資料的な意味では非常に大きい。

 どんなMSが来るのかは、取りあえず楽しみにしておくとしよう。

 そんな風に考えながら通路を歩いていると、視線の先にフラウとアムロの2人を見つける。

 いつもならフラウと一緒にいるカツ、レツ、キッカの3人の姿はなく、ハロの姿もない。

 ハロか。

 現在ホワイトベースにいるハロは、元々のハロの玩具にアムロが色々と改良を加えたものなんだよな。

 ハロ、という……ペットロボ? は、まだ売ってるのかどうかは、分からないが。

 今度機会があったら、ちょっと調べてみるのも面白いかもしれないな。

 そう思いつつ、取りあえずフラウが頑張ってアムロを引っ張り出したのだろうデートを邪魔しないように、その場から立ち去る。

 フラウがアムロをどう思っているのかははっきりとしているが、アムロの方は微妙なんだよな。

 綾子とかマチルダとかの、年上を気にしているのは事実なんだが。

 かといって、別にフラウを嫌っている訳でもないし、相応に仲良くしているのを見る事もある。

 男女間の好意を持っているのか、それとも友情なのか。

 こうして見ている限りだと……俺にはちょっと判断出来ない。

 フラウの方は明確にアムロを男として接してるんだから、頑張って欲しいところではある。

 デートの邪魔をしないようにその場から離れ、俺が向かったのは食堂。

 いやまぁ、ホワイトベースにはナデシコとかと違ってゆっくり出来るような場所がある訳でもないので、そういう意味では今の状況で行くような場所がないんだよな。

 これがナデシコなら、VRルームとか、そういう場所もあるんだが。

 今のホワイトベースでは、そういう場所がない。

 結果として、残っているのは食堂のような場所だけとなる。

 そんな感じで食堂に向かうと、やはり俺と同じように行く場所がなかったのか、それなりの人数が軽い食事をしたり、お茶を飲んだりといった事をしている。

 うん、やっぱり、こういう時は暇なんだよな。

 ラサ基地攻略を終わって、今は特に急いでやるべき事もないし。

 だからこそ、暇を潰す場所というのは大事だ。

 ……いっそ、ホワイトベースにそういう部屋でも作って貰うか?

 何だかんだと、ホワイトベースは人員的にそこまで多くはない。

 つまり、部屋とかはそれなりに余っている場所もあるのだ。

 であれば、その空いてる部屋を有効活用……いや、難しいか。

 確かに空いてる部屋はそれなりにあるのだが、それはあくまでも個室だ。

 ホワイトベースの個室は基本的に1人、もしくは何人かが共同で使うような広さしかない。

 俺が思っているような遊戯室の類を作るのは……それこそ、幾つかの部屋の壁をぶち抜いて広い部屋にでもしなければ無理だろうけど、ブライトがそれを許可する筈がない。

 一応ある程度広い部屋とかもあるけど、そういう場所は使い道が決まってるしな。

 

「アクセル」

 

 食堂で紅茶とクッキーのセットを受け取り、どこに座るかと悩んでいる俺に声を掛けてきたのは、綾子とミナト、ミライの3人。

 どうやら女3人で優雅にお茶会を楽しんでいたらしい。

 それとも、いわゆる女子会って奴か? いや、俺を呼んだんだから、女子会の類ではないだろう。

 ともあれ、そんな風に声を掛けられた以上、こちらとしてもそちらに行かないという選択肢は存在しない。

 

「どうしたんだ? 珍しい組み合わせだけど」

 

 これが綾子とミナト、ミナトとミライという組み合わせなら、そこまで珍しい組み合わせではなかっただろう。

 だが、綾子とミライというのは、組み合わせとして非常に珍しい。

 とはいえ、別に話が合わないという訳でもないんだろうが……単純に、仕事やプライベートで縁がないといった感じだ。

 仕事では、ミナトとミライはブリッジで綾子はパイロット。

 プライベートでは、ミナトと綾子は俺の恋人だが、ミライは知人か友人といった程度でしかない。

 ホワイトベースに乗っている数少ない女同士ということで、気が合ったというのはあるかもしれないが。

 ちなみに、ミナトと綾子は俺の恋人という事で、口説く奴もいない……訳ではないが、かなり少ないのに対して、ミライはフリーなせいもあってか、実は狙ってる奴が多かったりする。

 フリーという意味ではフラウもそうなのだが、フラウの場合は年齢的な問題もあって、そこまで人気は高くない。

 中にはそんなフラウでもいいと思ってる奴もいるらしいが。

 

「そうでもないわよ。この3人で話すのはそれなりにあるし」

 

 ミナトの言葉に他の2人が頷くのを聞きながら、俺は椅子に座る。

 その瞬間、食堂にいる何人かの男達から嫉妬の視線を向けられたりもしたが、それはもういつもの事なのでスルーしておく。

 

「そうなのか? 俺の印象で考えると、かなり珍しいんだけど。それで、一体何の話をしてたんだ?」

「ああ、それ。私達、いつまでこの基地にいるのかって話だったんだけど、その辺、詳しく聞いてない?」

「もう少しだな。そう長い間じゃない。俺も詳しくは分からないけど、早ければもう数日ってところだろうから、この基地に何か用事があるのなら早めに終わらせておいた方がいいぞ」

 

 そう言いながら、俺はお茶会を楽しむのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:590
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1502

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