転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2409話

 カタパルトデッキで真っ直ぐ射出されたピクシーは、そのままスラスターを全開にしてガウの方に向かう。

 ガウも最初はホワイトベースの存在には気が付いていなかったのだろうが、カタパルトデッキから射出して、ガウに届くまでに地上に落下しないようにという事で、ホワイトベースが近づいてきた事に気が付いたのだろう。

 ピクシーとガウの距離が近づいてくると、メガ粒子砲で応戦してくる。

 幸いなのは、ガウからはまだドップやMSが出撃していない事か。

 ピクシーが近づくのに気が付いても、MSやドップに乗り込むにはどうしても時間が掛かる。

 ガウの中身は俺が貰える事になっている以上、出来ればMSやドップを出撃させないうちに落としてしまいたい。

 

「っと!」

 

 こちらに向かって放たれたメガ粒子砲を、スラスターを使って回避する。

 主砲のメガ粒子砲以外にも、ガウは副砲としてのビーム砲……言ってみれば、小型のメガ粒子砲も装備している。

 幸いなのは、ガウにはミサイルの類がない事か。

 機銃や地上を爆撃する為の砲弾はあるが、ミサイルの類は存在しない。

 ……もしあっても、実弾なら頭部バルカンで迎撃するだけだが。

 あ、でももしガウがミサイルを装備しているとなると、それはかなり巨大なミサイルになる可能性が高く、それを頭部バルカンで迎撃するような真似をすればこっちもガウに近づいている分、ピクシーが爆発に巻き込まれる可能性があるか。

 ルナ・チタニウム製の装甲であっても、いらないダメージを受ける必要はない。

 メガ粒子砲とビーム砲を回避しながら近くにいるガウに近づいていくと、今度は機銃を撃ってきた。

 こちらもピクシーの装甲には効果はないのだが、それでも意図して汚したいとは思わないので、回避していく。

 ピクシーはその高い機動力と引き換えに燃費という点ではかなり悪く、使い手を選ぶ機体と言ってもいい。

 だが、今回に限っては推進剤をすぐ補給出来る位置にホワイトベースがいるので、気にする必要はなかった。

 思う存分に機体を動かし、機銃を回避しながらガウに近づいていく。

 そうしてガウのコックピットのすぐ前に到着すると、そのままビームスプレーガンの銃口を向け、手でガウの装甲に触れながら接触回線で通信を送る。

 

「降伏しろ。でなければ撃ち落とす。繰り返す。降伏しろ。でなければ撃ち落とす」

『降伏だと……?』

 

 ゼロ距離まで接近されたことで、ガウは攻撃手段を失った。

 もう1隻のガウならこちらを攻撃可能だろうが、その場合は俺が攻撃を回避すれば、その攻撃はこのガウに命中する事になるので、攻撃出来ない。

 心配なのは、搭載されているMSやドップが出しゃばってこないかという事だが……どうだろうな。

 出て来た場合は厄介な事になりそうだし、念の為に忠告しておくか。

 

「忠告しておくが、ガウからドップやMSが出撃してきたらすぐに攻撃する。くれぐれも賢明な判断を望む」

 

 さて、どう出るだろうな。

 ガウに乗ってる奴が、ザビ家の信者だったりすれば、降伏するような真似はしないだろう。

 ギレンが言う、サイド3の住人こそが選ばれた人類であるというのを、本気で真に受けているかもしれないし。

 

『ふざけるな! ガルマ様を殺した木馬などに、誰が降伏などするものか! MS隊、発進しろ! ドップ隊もだ!』

 

 俺の言葉に、通信をしていた相手がそう叫ぶ。

 あー……うん。そうだな。俺にとってはガルマはまだ生きてるから、そこまで気にしてはいなかったんだが、ジオン軍にしてみれば、ホワイトベースはガルマを殺した憎むべき相手なのか。

 ……その割には、東南アジア戦線ではそこまでジオン軍に狙われたりもしなかったが。

 あ、でもホワイトベースが前線に出て戦うという事そのものが、そこまで多くなかったか。

 ともあれ、この様子ではガウが降伏する様子は全くないと思ってもいい。

 そうなると、まずはガウを撃破するしかないか。

 

「そうか」

 

 呟き、ビームスプレーガンのトリガーを引く。

 近距離……本当の意味でゼロ距離と呼ぶべき場所で発射されたビームスプレーガンは、拡散しながらガウを貫いていく。

 それを眺めつつ、俺はガウの機体を蹴ってその反動で跳ぶ。

 スラスターでバランスを取りつつ、視線をガウに向けると……墜落しつつあるにも関わらず、ドップやザクが格納庫から出撃している光景が見えた。

 先程のガルマの名前が効いたのか。厄介だな。

 この状況で、実はガルマが生きていると言っても、恐らく……いや、ほぼ確実に信じては貰えない。

 それどころか、自分達を騙そうとしているのかと、余計に怒らせるだけになってしまうだろう。

 そうである以上、こちらとして攻撃をしてくる相手は倒すしかない。

 にしても……ザクか。

 それも通常のザクではなく、旧ザク、いわゆるザクⅠだ。

 歴史的な価値という点では大きくても、戦力としてはすでに期待出来ない、2線級のMS。

 MSを調べるという意味で、シャドウミラーの技術班なら多少は喜ぶかもしれないが、別にこれが初めての旧ザクって訳じゃないしな。

 ともあれ、入手出来れば何らかの使い用はある筈だ。

 最悪、MSとかの人型機動兵器が存在していない世界に輸出……は、条約があるから無理か。

 核融合炉をと思わないでもなかったが、そうなるとミノフスキー粒子とかが下手に広まってしまいそうなので、それもちょっと不味い。

 装甲とかを特殊な合金として研究用に売るくらいか?

 もしくは、ホワイトスターで人型機動兵器に慣れる為に……いや、それならシャドウミラーの機体を使えばいいだけであって、わざわざUC世界のMSを使う必要はないか。

 やっぱりキブツか。

 そんな風に思っている間にも、墜落途中のガウの格納庫から飛び出した旧ザク2機と……お? うわ、ラッキー。ドムが1機いる。

 旧ザクとドムってどういう組み合わせなのかは分からないが、恐らくは援軍に出せるMSで邪魔な旧ザクと、オデッサのような広い場所では使いやすいドムを1機を小隊として派遣したのだろう。

 そのドムを見た瞬間、俺のやる気は一気に上がった。

 まず、こうなったら旧ザクはいらない。

 スラスターを使って旧ザクとの間合いを詰めつつ、ザクマシンガンを回避しながら、ビームスプレーガンを撃つ。

 至近距離からビームを食らっては、旧ザク程度ではどうしようもない。

 いや、ビームなんだからドムであってもどうしようもないのだが。

 ともあれ、2機の旧ザクを撃破し、そのままドムに向かおうしたところで……不意に、多数の弾丸が横から飛んでくる。

 スラスターを噴射させ、咄嗟に回避する。

 そんなピクシーの動きは、ドムにとって絶好の好機だったのだろう。

 ジャンアントバズの砲口をこちらに向けていた。

 咄嗟にそちらに頭部バルカンを撃ち……次の瞬間、ジャイアントバズの中に入った弾丸によって、砲身が爆発し、それによってドムも吹っ飛ぶ。

 だが、ドムはホバー移動出来るだけに、普通のMSと違ってこの高度から地上に落下しても、その衝撃はあまりない。……ガウの高度が既にかなり低くなっているというのもあるし。

 ドップは4機ずつ2小隊……いや、違うな。片方は3機しかいない。

 恐らくガウから脱出することが出来なかったのだろう。

 それは、俺にとっては幸運だった。

 ともあれ、先程こちらに機銃を撃ってきたドップに頭部バルカンを向け、トリガーを引く。

 同時に、残りのもう1小隊のドップにはビームスプレーガンの銃口を向け、トリガーを引く。

 ……ほぼ全てのドップを撃破したが、頭部バルカンの方は1機、ビームスプレーガンの方は2機生き延びたか。

 とはいえ、2機の方は撃墜こそされていないが機体から黒煙が上がっており、戦力として心配する必要はないらしい。

 離れていくドップは、取りあえず放っておき、頭部バルカンの方で生き残った1機のドップに向かい、再度頭部バルカンを発射する。

 無傷だった1機が対空ミサイルを撃ってきたが、そのミサイルも頭部バルカンによって迎撃され、そのままドップは撃破された。

 そうしてドップを撃破した後で、地上に落下していったドムの方を確認すると……残念な事に、既に地上に到着しており、態勢を立て直している。

 ジャイアントバズを爆破したので、若干の被害はあるが……と思っていると、やがてドムは逃げ出す。

 最大の武器たるジャイアントバズを破壊されたのだから、そうなる気持ちは分からないでもない。分からないでもないのだが……それでも、こちらとしては逃がす訳に行かないのは、間違いのない事実だった。

 こちらも負けじとスラスターを噴射させ、地上に向かって降下していく。

 そのままでも普通に落ちていくのだが、今は少しでも早くドムに追いつく必要があった。

 半ば上空から叩きつけられるようにして地面に着地したピクシーだったが、その直前にスラスターを全開にして落下速度を軽減し、膝の関節を最大限に使って衝撃を殺す。

 そのまま、休む暇もなく再びスラスターを全開にしてドムを追う。

 ホバー移動をするドムの速度は、現在地上で使われているMSの中でも屈指のものと言ってもいい。

 それこそ、グフ・フライトタイプのような空を飛べるMSなら、ドムに追いつくのも難しい話ではないが……それはあくまでも空を飛んでいる為だ。

 ドムのホバー移動も地上から浮いているという点では、地上を走っているのではなく、空を飛んでいる方に近いような気がしないでもない。

 だが……そんな中で、ピクシーは数少ない例外だ。

 長距離となればドムのホバー移動に追いつく事は出来ないが、短距離であればピクシーならスラスターを全開にして移動すれば、ドムに追いつく事も可能だ。

 とはいえ、この状況ではドムの足を止める必要がある、そうなるとドムの最大の特徴でもあるホバー移動の機構を入手するのは難しいが……幸いにも、ツィマッド社とは良好な関係を築いているし、そちらからドムの完品を入手する事も可能だろう。

 そんな訳で、俺は距離が縮まったドムに向かい、ビームスプレーガンを撃つ。

 ドムが幾ら重装甲で、マシンガンの類であればそこまで損傷がなく防げるとしても、ビームは防げない。

 いや、あるいはスプレーガンの特徴の1つでもある、拡散状のビームであれば、もしかしたらドムもどうにか防げたかもしれないが、今回は拡散ではなく普通のビームガンとして使用したので、収束されたビームがドムの足に命中する。

 

「げ」

 

 思わず、そんな声が出た。

 何故なら、ドムの右足を撃破した瞬間、突然バランスを崩して地面に思い切り転げ回ってしまったからだ。

 ……ホバー移動の機能は足にある以上、その足の片方を破壊されれば、当然のようにバランスを崩すか。

 考えてみれば当然の事だったが、ふとステータスを表示して撃墜数をチェックすると、数字が増えていない。

 撃墜数の数字は基本的に相手を殺して初めて増えるので、その辺りを考えると、あのドムのパイロットはまだ生きてるのだろう。

 安全機能が働いたのか、もしくは単純にホバー機能が死んだのかは分からないが、既に地面を転げ回っていた動きは止まっている。

 ともあれ、2隻いたガウのうち1隻は完全に撃破したが、残りの1隻には逃げられてしまった。

 ホワイトベースが主砲やメガ粒子砲を撃っているが、それに若干被弾しながら、それでもガウは動きを止めるような事はなく、戦場を離れていく。

 ブライト達もホワイトベースを使った戦闘に慣れていないって訳ではない。

 それでも逃げ延びる事が出来たとなると、向こうのガウのパイロットは結構な凄腕だったのだろう。

 しくじったな。どうせ撃沈をするのなら、向こうの方をどうにかしておいた方がよかった。

 ともあれ、片足を失ったドムを入手出来たのは運が良かった。

 月に戻ったらディアナの連中にでも丸投げしておこう。

 どうせなら完品でと、そんな風に言ってくる可能性もあるけど。

 いっそ、オデッサにでも盗みに入るか?

 ああ、それはいい考えかもしれないな。

 ジオン軍にあるMSを減らして、こっちの被害を少なくする事も出来るし、ジオン軍の方でもMSパイロットはMSに乗らないのなら生きていられる可能性が……いや、ないか。

 オデッサという、ジオン軍にとっては非常に重要な場所を攻められるのだから、MSパイロットが自分の乗るMSがない場合、生身での戦いに回される可能性もある。

 もしくは、ドップ辺りのパイロットにされたりもするのか?

 可能性としてはない訳ではないが……これが戦争である以上、ここで手を抜くという選択肢は存在しない。

 そうだな。ワルシャワに到着して一段落したら、その辺りを試してみるか。

 そう判断し、俺はコックピットから降りて片足を失い、動きの止まっているドムに向かって進むのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:640
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1512

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