転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2411話

 刈り取る者の存在は、どうやら俺が予想していた以上に衝撃的だったらしい。

 そんな中でも喜んでいた数少ない人物が、ヤザンだ。

 元々魔法について見せるのは、ヤザンが要望した事だと考えれば、そこまで不思議ではないのか?

 元々MSパイロットの間でも野獣のようなと表現されることが多いヤザンだけに、刈り取る者を見ても恐れは抱きつつ、同時に負けてたまるかと負けん気の強さを発揮した結果だろう。

 ……そのヤザンの部下のダンケルとラムサスの2人は、刈り取る者を見て心をへし折られたようだったが。

 それ以外の面々にも、多かれ少なかれ刈り取る者が与えた影響は大きい。

 少しだけ意外だったのは、アムロが二度目であっても全く混乱していなかった事だ。

 てっきりニュータイプ能力で刈り取る者の本質を理解して、パニックになるかと思ったのだが。

 それこそ、俺が初めてアムロに会いに行った時のように。

 ……待て。もしかして、アムロが刈り取る者を見てもそこまで衝撃を受けたように見えなかったのは、実は以前見たからという事はないよな?

 二度目だったし、何よりも俺という存在をニュータイプ能力で知ったからこそ、刈り取る者はそこまで危険な存在とは思えなかったと。

 自分で考えておいてなんだが、微妙にありそうな感じがしてしまう。

 ともあれ、ヤザンに対しては成功だったが、多くの者にとっては刈り取る者を見せたのは失敗だったと言ってもいい。

 中には、俺を見た瞬間に身体を強張らせるような奴まで出て来たのだ。

 そんな訳で、ワルシャワに到着するまでの間、俺は微妙に居心地の悪い思いを抱くのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル、捕虜をワルシャワの基地に連行して欲しいという要望が来たのだが、構わないか?」

 

 ワルシャワに到着し、指定された場所にホワイトベースが移動し、問題がないかどうかをチェックしている中で早速連邦軍の司令部から連絡が来たらしい。

 ブライトの問いに、俺は頷きを返す。

 

「構わない。あの捕虜は俺がどうこう利用しようとしても出来ない……事もないだろうけど、難しいだろうしな。それなら、連邦軍の方で情報を搾り取ってくれ」

 

 そうやって許可を出す。

 連邦軍にしてみれば、ジオン軍の捕虜というのは幾らでも欲しいのだろう。

 例え目新しい情報がなくても、既に知っている情報の裏付けを取るといった事が出来るのは大きい。

 俺があの捕虜の所有権を主張しても、それこそ月に連れていってクレイドルで農作業をさせるくらいしか思いつかない。

 あ、でもドムのパイロットだったし、ドムについての情報を色々と聞くというのはありか?

 もっとも、それならドムのパイロットを引き込むなり、ツィマッド社からドムの開発者達を引き抜くなど、手段は幾らでも存在するが。

 

「助かる」

 

 ほっとした様子を見せるブライト。

 これから、基地の上層部に会いに行くらしいから、その辺でも色々とあるのだろう。

 ブライトにしてみれば、ここが正念場といったところか。

 ラサ基地攻略作戦も相応に大規模な作戦だったが、このオデッサ攻略作戦――正式にはオデッサ作戦となったらしい――はラサ基地攻略作戦とは比べものにならないくらい、大規模な作戦だ。

 それこそ、この戦いで勝った方がこれ以後の地球……いわゆる、重力戦線の主導権を握れるといったような。

 ジオン軍にしても連邦軍にしても、絶対に負けられない戦い。

 だからこそ、ラサ基地から脱出した戦力や、ホワイトベースで移動中に遭遇したガウのように、オデッサに集まって来ている戦力は多いし、連邦軍としても可能な限りの戦力を集めているのだろう。

 このワルシャワの基地にいるのが全てではなく、現在進行形で多くの戦力が集まってきているかのように。

 とはいえ、それだけの戦力を集めるとなると、今日命令を出して明日すぐにという訳にもいかない。

 実際に戦力が集まってオデッサ作戦が実行されるのは……今が10月の下旬だから、11月の上旬、場合によっては中旬となるだろう。

 ゴップが約束した報酬を受け取る為にも、このオデッサ作戦では相応の活躍をする必要もある。

 もしかしたら、ゴップが報酬として約束してきたMS以外に、ボーナスとして別の報酬も貰えるという可能性はあるし。

 そうなったら、前々から欲しかったビッグトレーを貰うというのも、いいかもしれない。

 ホバー移動で速度も相応に出るし、水上の移動も可能。

 ハワイに置いておく移動拠点としては、かなり有用な代物だろう。

 もしくは、ディアナにホバー移動の陸戦艇の開発を頼むというのも、ありかもしれない。

 確かMIP社がアッザムとかいうMA……と言ってもいいのかどうかは分からないが、ともあれミノフスキークラフトを使った機体を開発していた筈だ。

 更にルナ・ジオン軍には、アプサラス計画でミノフスキークラフトについて、恐らくこのUC世界でもトップクラスに詳しいギニアスもいる。

 それを考えると、陸戦艇の開発は……いや、何かそれだと陸戦艇じゃなくてミノフスキークラフトを使った戦艦とかが作られそうだな。

 それはそれで便利なんだが。

 ともあれ……

 

「じゃあ、俺はこれで。ヤザンから模擬戦の相手を頼まれてるんだよ」

「そうか。頑張ってくれ。……ああ、そうそう。場合によっては連邦軍のMSと実機での模擬戦をすることになるかもしれないが、構わないか?」

「模擬戦? それは別に構わないが、何でまた急に?」

「少しでも多くの戦いを経験させておきたいらしい」

 

 そのブライトの言葉は理解出来るし、納得も出来る。

 だが、俺がわざわざそれに付き合う必要があるのかと言われれば……それもまたない。

 模擬戦の相手がアムロやユウのように腕利きならともかく、ブライトの様子を見る限りでは、その実力は大した事がないように思える。

 勿論、現状でMSのパイロットの任されているくらいだから、相応の技量ではあるんだろうが……

 

「実機での模擬戦をやるなら、別に俺じゃなくてもいいだろ? それこそ、モルモット隊とか……いや、同期のパイロットとって事を考えると、ヤザンとかでもいいんじゃないか?」

 

 同期という表現は、それこそアムロ達だってまだパイロットになってから数ヶ月なんだから、同期と言えば同期と言ってもいい。……MSパイロットになった場所は、大きく違うが。

 ともあれ、今回のオデッサ作戦に参加する連邦軍のMSパイロットと同期という言葉が一番似合うのは、やはりヤザン達だろう。

 シロー達でもいいかもしれないが……ただ、現在はEz8と陸戦型ガンダムの2機しか存在していないんだよな。

 ホワイトベース隊にやってきてからまだそんなに時間も経っていないという事もあり、連携も決して上手くいってる訳じゃないし。

 そういう意味では、やはり今回の一件に関してはヤザン達が相応しい。

 ヤザン達もホワイトベース隊の面々とばかり模擬戦を行っているので、それ以外の者と模擬戦をやってもいい筈だ。

 ぶっちゃけ、本人達に自覚があるのかどうかは分からないが、今のヤザン達は何だかんだと以前と比べるとかなり腕が上がっている。

 ……当然だろう。アムロ、ユウ、綾子、そして俺。

 操縦技術という点では、現時点でこのUC世界においてもトップクラスの面々と何度となく模擬戦を行っているのだ。

 それで強くなっていなければ、それこそ何の為にお前は模擬戦をやっていたのかと、突っ込みたくなる。

 

「ヤザン少尉達? そうだな、聞いてみよう。だが、それはそれとして、やはりアクセルにも模擬戦はやって欲しい。MSを本当に技量のある者が操縦すればどうなるかというのを、他の者にも見せてやりたいんだ」

「煽てても、そう簡単に話には乗らない。……それで、いつやる?」

「おい!」

 

 上手い突っ込みだな。

 まぁ、ブライトの煽てという珍しい光景を見ることが出来たし、ヤザン達のような操縦技術が一級品――性格が問題ありだが――のMSパイロットはともかく、それ以外の普通のMSパイロットがどの程度の技量を持っているのかというのも、知っておきたい。

 連邦軍にしてみれば、多少の実力差云々はともかく、今はとにかく数を揃えたいといった様子でMSパイロットを集めたのだろうから、下の方のパイロットとなればあまり期待は出来ないが。

 

「落ち着け。俺も連邦軍のMSパイロットには若干興味がある。もしやるのなら、模擬戦の相手にはなると伝えておいてくれ。ああ、それとラサ基地を攻略した時と同じくアプサラスを使って遠距離からの援護射撃もやるから、その辺も伝えておいてくれると助かるな」

 

 そう言い、軽く手を振ってから艦長室を出る。

 さて、じゃあ模擬戦に行くか。

 そんな風に思いながら通路を歩いていると、向こうから歩いてくる軍人がいた。

 だが、その軍人は俺と視線が合うとそっと視線を逸らし、小さく頭を下げてからそのまま走り去る。

 これは、刈り取る者を召喚した影響の1つだ。

 薄情なと思わないでもないが、この世界の住人にしてみれば刈り取る者というのは恐怖の象徴でしかないのだろう。

 ……いや、正直なところ俺は慣れているから刈り取る者に対してそこまで畏怖や恐怖といったものを感じなかったが、それはあくまでも俺だからだ。

 また、Fate世界で生身の戦いを多く経験してきた綾子だから、というのもこの場合は大きいだろう。

 この辺は、いずれ慣れると思っておくしかないか。

 そう思いつつ、格納庫に向かう。

 ワルシャワ基地に到着したということで、多くの者が忙しそうにしており、途中で何人かともすれ違うが、その殆どは俺を見ると顔を強張らせたり、足早に去っていく。

 ただ、救いなのはその表情に恐怖や畏怖といったのと同様に、罪悪感も浮かんでいる事だろう。

 今までホワイトベースの為に戦った俺に感謝はしつつ、それでもやはり刈り取る者は怖い。

 ましてや、刈り取る者は俺の影の中にいるのだから。

 微妙な気持ちを抱きつつ、俺は格納庫に到着する。

 ホワイトベースのクルーの大半は俺を怖がっているが、格納庫の面々……メカニック達や他のMSパイロットは、付き合いがそれなりにある分、そこまで怖がってはいない。

 いや、怖がってはいるんだが、その度合いが低いと言うべきか。

 だからこそ、俺も他の場所よりは気楽でいられる。

 

「アクセル、俺と模擬戦の約束があったよな?」

 

 格納庫にやって来ると、不意にそんな声を掛けられる。

 聞き覚えのある声に視線を向ければ、そこにあったのは予想通りヤザンの姿。

 

「模擬戦か。今度、ワルシャワ基地にいるMS隊と実機を使った模擬戦をやるらしいぞ」

「何!? それは本当か!?」

 

 そんなヤザンの声に、他のパイロット達やメカニック達も興味深げな視線をこちらに向けてくる。

 ヤザンがここまで大声を出すとは一体? と、そう思ったのだろう。

 ……メカニック達や、パイロットの中でも俺とあまり親しくないガンタンク隊の面々の中には、俺に怖そうな視線を向けている者もいたが。

 この辺は、いずれ慣れるか……そもそも、俺は基本的にオデッサ作戦を終えればゴップから報酬を貰ってホワイトベースから降りる可能性も高いし、そこまで気にする事はない、のか?

 勿論、こういう態度をされて面白いかと言われれば、答えは否だが。

 

「ああ、ブライトから聞いてきたから、間違いない。MSの操縦技術という点では、連邦軍は明らかにジオン軍に劣る。そうである以上、連邦軍の上層部としては少しでもその技量を上げたいんだろ」

 

 実際にはそんな短期間で劇的に操縦技術を上げるというのは……才能のある奴なら不可能ではないかもしれないが、一般的なパイロットだとかなり難しい。

 それでも、やらないよりはやった方がいいといったところか。

 アムロ、ユウ、ヤザン。このUC世界で生まれた者達の中にも、飛び抜けたパイロットの才能を持つ者がいる。……ヤザンは生憎とまだアムロやユウに勝つ事は出来ないが。

 また、この3人に及ばなくても、カイやフィリップといった面々もエースと呼ぶには十分な才能や能力を持つ。

 そういう例を見ると、連邦軍としても可能性には賭けてみたいという思いがあるのだろう。

 現在のMSパイロットは、ヤザンを見れば分かるように性格よりも技量に重点を置かれており、それだけに数回の模擬戦……それもシミュレータではなく、実機を使った模擬戦ともなれば、それで驚異的に技量が上がる者がいてもおかしくはない。

 その辺の事情を考えると、連邦軍の考えも分からないではなかったな。

 だが、当然のように誰もがそこまでの実力を得られる訳でもない以上、一般のMSパイロットにしてみれば地獄の特訓と呼ぶのに相応しい事になるだろうし……なにより、実機を使った模擬戦となると、メカニック達もそのメンテナンスで忙しくなるのは確実だった。

 ヤザンにはその模擬戦で大いに頑張って貰うとしよう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:640
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1512

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