ワルシャワというのは、ポーランドの首都として非常に有名な場所だ。
このUC世界においては、連邦制となってしまった為に既に国としてのポーランドは存在していないが、それでもポーランドの元首都だけに非常に大きな都市なのは間違いない。
だからこそオデッサ作戦に参加する連邦軍の拠点として使われているのだろうし。
地球に住んでいた人口の大半が宇宙に上がった今でも、ワルシャワにはかなりの人口が残っている。
そんな場所にオデッサ作戦に参加する連邦軍が集まってきているという事は……
「おらぁっ! このワルシャワは、俺達連邦軍の軍人がジオン軍から守ってやってるんだぞ! だってのに、俺達から金を取るってのか!?」
いかにも不良軍人といった様子の強面の男が、屋台でシャシュウィック……牛肉と野菜の串焼き――以前四葉から聞いたので偶然名前を知っていた――を売っていた店主にいちゃもんを付けていた。
「ちょっと、アクセル。放っておいていいの?」
俺の右腕を抱いているミナトがそう言ってくる。
ワルシャワに到着した翌日、今は特にやるべき事がないので、俺は右腕を抱いているミナトと左腕を組んでいる綾子の3人でワルシャワの街並みを楽しみながらデートをしていたのだが……そのデートの最中に、この騒動に出くわしてしまったのだ。
大量の連邦軍がオデッサ作戦の為に集まってきている以上、その中には当然のように柄の悪い奴も含まれている。
そういう一部の連中が騒動を引き起こす事で、連邦軍全体の評判が悪くなるのだ。
ぶっちゃければ、俺、ミナト、綾子の3人の所属は、連邦軍でも、ルナ・ジオン軍でもなく、シャドウミラーだ。
こうした行為で連邦軍の評判が悪くなったところで、あまり意味はない。
それどころか、ジオンの独立戦争が終われば連邦はルナ・ジオンにとっては別の国という扱いになり、仮想敵という扱いになる可能性が高かった。
とはいえ、この状況を放っておけば、それこそ今日のデートを楽しめない。
それはちょっと嫌なので……と思っていたら、周囲の人混みを掻き分けるようにしてMPが登場する。
MPというのはミリタリーポリスの略で、言ってみれば軍における警察のような存在だ。
普通の警察ではなくMPが出て来るというのは、若干疑問ではあるが……この場合、それが正しかったのは間違いない。
瞬く間に屋台の店主に絡んでいた軍人が取り押さえられ、連行されていく。
それどころか、軍人に絡まれていた屋台の店主に慰謝料として幾らか支払ってさえいた。
この辺りの手抜かりのなさは……ゴップの指示か?
補給を任されているゴップにしてみれば、オデッサ作戦において連邦軍の後方拠点となるワルシャワで連邦軍の評判が落ちるような真似は見逃す訳にもいかない。
だからこそ、MPを動員して問題を起こした軍人は素早く取り締まるようにしたという可能性は十分にあった。
「俺達が出る必要はなかったみたいだな。……もっとも、今いる奴以外にも面倒な相手はいるだろうけど」
柄の悪い軍人は、MPに連れて行かれた1人だけではない。
他にも大勢そのような相手がいる以上、MPは毎日が忙しい日々になるだろう。
「ふーん。まぁ、私達も気をつけた方がいいでしょうね」
ミナトの言葉に綾子が同意するように頷く。
実際、その言葉は決して間違っている訳ではなく、周囲にいる多くの軍人達から視線を向けられている。
軍人には女もいるが、どうしても男が多くなる。
そうである以上、俺が2人の……それも美女としか呼べないような相手と一緒にいるのは、当然のように目立つ。
それでもMPが軍人を連れて行ったのを見れば、迂闊に俺に絡んでくるような事はないだろうが。
「取りあえず、街中を見て回るか。何か美味い料理とかあれば、食べたいんだけどな」
「こんな美人2人がいるのに、心配するのは食べ物なの? ねぇ、綾子」
ミナトの言葉に、綾子は何と言えばいいか困ったような様子を見せる。
それでも俺と腕を組んだままなのは、言葉よりも態度で示しているといった事か。
ともあれ、このままここにいても悪い意味で目立つだけだと判断し、俺達はその場から離れるのだった。
「あー……まぁ、こうなることは予想してたんだけどな」
はぁ、と。視線の先にある光景に息を吐く。
ミナトや綾子が買い物をした店の店員から美味いアイスを売ってる店があると聞いてやって来たのだが、美味い店だけに当然のようにかなり行列が出来ていた。
外国人でも大人しく行列に並んでいるのはちょっと驚いたが、恐らくこれも騒動を起こせばMPがやって来るからだろうと判断し、ミナトと綾子は別の場所で待ってて貰って、俺が並んでアイスを買ったのだ。
それは良かったのだが、アイスを買ってミナト達のいる場所まで戻ってみると、そこでは連邦軍の軍人にナンパされているミナトと綾子の姿があった。
男の方は3人組。
1人は髭を生やしていて、軽そうな様子を見せる男。
1人は顔立ちは整っている男。
最後の1人は浅黒い肌をしており、残りの2人より若干年下に見える。
ただ、最後の1人はミナト達を口説くのではなく、他の2人をしょうがないといった様子で見ているだけだが。
幸いだったのは、ナンパをしてはいるが、力でどうこうしようとはしていないところか。
……この場合の幸いというのは、当然のようにミナト達ではなく、3人組の軍人達の方だ。
外見からは全く理解出来ないだろうが、綾子は半サーヴァントとしてUC世界の人間ではどうしようもないくらいの実力を持っているし、ミナトも綾子程の実力はなくても、エヴァに鍛えられてこの世界の人間程度ならあっさりとどうにかするだけの実力を持つ。
2人の外見……特に派手目な美貌のおかげで遊んでいる女だと判断し、ミナトに強引に言い寄ろうとした場合、その男は酷い目に遭うだろう。
美しい薔薇には棘があるというのはよく聞く話だが、この2人はまさにそれなのだ。
ともあれ、このままだといつまでも大変そうだし……何よりもアイスが溶けそうだし、声を掛けるとするか。
「ミナト、綾子、待たせたか?」
「あ、ちょっと、遅いじゃないアクセル」
そう言い、ミナトは話していた相手を無視して俺の方にやってくる。
男達に見せつけるつもりか、アイスを受け取ると俺の方に差し出してきた。
「はい」
「……あーん」
逆らっても無駄だろうと思い、俺はアイスを口に運ぶ。
さすが美味いと有名な店だけあって、その辺のスーパーやコンビニで買うようなアイスとは違い、濃厚なチョコの味が口一杯に広がる。
ただし、その濃厚なチョコは決して甘すぎるということはない。
それでいて酸味のある果実も入っているらしく、濃厚なチョコの味をさっぱりとさせてくれる。
うん、美味い。
「おいおいおいおい、ちょっと待った。もしかして美人の姉ちゃん2人が待っていたのが、こんなガキなのかよ!?」
髭を生やした軽そうな男が、信じられないといった様子で俺に視線を向けてくる。
まぁ、今の俺は10代半ばの姿だけに、そんな風に思われてもおかしくはない。
「おい、モンシア。お前こんなガキに負けたらしいぞ」
「うっせぇ! ……おい、ガキ。お前とこの姉ちゃん達は釣り合わないと思わねえか?」
「そうか? 釣り合わないってんなら、それこそお前達こそミナトや綾子に釣り合わないと思うけどな」
ヒクリ、と。
俺の言葉を聞いたモンシアと呼ばれた男が頬をヒクつかせる。
「何ぃ!?」
「おい、モンシア、落ち着け。ここで騒動を起こせば、隊長に何を言われるか分かったもんじゃねえ。俺はもう、この前みたいに延々と腕立てをやるのは嫌だぜ?」
「黙ってろ、ベイト! こいつは俺に舐めた口を利いたんだぞ!」
頭に血が上りやすいモンシアを、ベイトと呼ばれた金髪の男が落ち着かせようとするものの、それを振り払って俺を睨み付けてくる。
「ちっ、しょうがねえな。アデル! お前もモンシアを止めるのを手伝え!」
「はいはい。モンシア少尉、その辺にしておかないとベイト少尉が言うように面倒な事になりますよ」
ベイトの言葉に、アデルと呼ばれた男もモンシアを落ち着かせようとするが、モンシアの方はそんな2人とは関係なく俺を睨み付けてくる。
うーん、こうしてみるとモンシアってのはこのまま放っておくと、後々までこっちに絡んできそうだな。
それこそ、俺に嫌がらせをする為なら、大抵の事は許容しそうにも思える。
いっそ、ここで潰すか?
そう思ったのだが、それを実行に移す前にアデルの言葉が聞こえてくる。
「ほら、モンシア少尉。ここで問題を起こすと、またMSの模擬戦でバニング中尉にしごかれますよ」
へぇ、こいつら……MSのパイロットなのか。
ああ、いや。でもヤザンのような性格であっても、技量を最優先としてMSパイロットとして採用されているんだ。
だとすれば、この3人が――正確には問題があるのはモンシアだけだが――MSパイロットであっても、おかしくはない。
そしてMSパイロットだとすれば、俺にとってもやりやすいのは間違いなかった。
「お前達はMSパイロットか。なら、ちょうどいい。俺と模擬戦をやってみないか? ああ、勿論ハンデとして、俺は1人でお前達は3人……いや、バニングだったか? 上司が1人いるのなら、それも入れて4人でいい」
それにしても、こいつらのように4人で1小隊なのは珍しいな。
基本的に連邦軍でもジオン軍でも、MSは3機で1小隊というのが一般的だ。
それは、ガンダム、ガンキャノン、ガンタンクというのを見れば明らかだろう。
ジオン軍では、黒い三連星とか。
こいつらは将来的にMSパイロットの運用とかそういうのを調べる為にも4人で1小隊なのかもな。
「はぁ? お前……一体何者だ?」
モンシアを押さえていたベイトが、俺に鋭い視線を向けてくる。
現在の俺の外見は10代半ばなので、そんな俺がMSでの模擬戦を提案すれば訝しく思うのも当然だろう。
「相手に名前を聞く時は……って言いたいところだけど、それはちょっとパターンか」
「はぁ?」
俺の言葉の意味を理解出来なかったベイトが再び疑問の視線を俺に向けてくるが、俺はそれを気にせず、口を開く。
「ホワイトベース隊所属のMSパイロット、アクセルだ」
「……はぁっ!?」
俺の名乗りに、クールそうな様子のベイトの表情が驚きに歪む。
いや、ベイトだけではない。モンシアですら、暴れるのを止めて俺の方を見ている。
モンシアの気持ちも、分からない訳ではない。
連邦軍にとって、ホワイトベース隊というのは数々の激戦を潜り抜けてきた精鋭部隊という印象を持っているのだから。
あのガルマ・ザビを殺す――実際は生きてハワイにいるし、そもそもガルマを殺そうとしたのはシャアだが――という大きな手柄を立てているというのも、この場合は大きいだろう。
そんなホワイトベース隊のMSパイロットが、俺のような子供だとは思いもしなかったといったところか。
とはいえ、ホワイトベースが異常なだけであって、モンシア達の反応はある意味で普通なのだが。
やっぱりこの世界の原作ではアムロが主人公だという流れから、そんな感じになったんだろう。
「で、どうする? ホワイトベース隊のMSパイロットの俺と、模擬戦をやるか? 連邦軍のMSパイロットとなれば、まだ実戦経験も殆どないヒヨコ……いや、まだ卵の殻を割ってる最中のヒヨコだろ?」
ユウ達のように先行してMSパイロットとして戦っていたなら、実戦経験も豊富なのだろうが……こいつらはどうなんだろうな。
ホワイトベース隊は初戦からシャア率いる部隊だった上に、そのシャアに延々と狙われるといった事を繰り返してきた。
その上、地上に降りればジャブローではなくジオン軍の勢力圏内の北米で、休む間もなくガルマ率いる部達に襲われたり、ウルフ・ガー隊に誘き寄せられたりと、連戦に継ぐ連戦だ。
1度の実戦は数日、十数日、数十日の訓練に匹敵すると考えれば、ホワイトベース隊が精鋭にならない訳がない。
逆に言えば、精鋭にならなければ死んでいたという方が正しい。
そんなホワイトベース隊に比べると、モンシア達がまだ未熟だというのは明らかだった。
それこそ、モンシア達と同じように訓練を受けたヤザン達が、シミュレータを使った模擬戦でボコボコにされていたのを見れば明らかだろう。
……あ、そう言えばヤザンって、もしかしてモンシア達と知り合いだったりするのか?
その辺、後で聞いてみても面白いかもな。
「ふざけるなっ! いいぜ、お前との模擬戦は引き受けてやる! その代わり、俺が勝ったらお前はそっちの2人から手を引けよ!」
そう言い、ミナトと綾子に視線を向けるモンシア。
そう言われた2人は、怒る……かとい思いきや、やれるのならどうぞといった挑発的な笑みを浮かべている。
これも俺の実力を信頼しているからこそだろうが、それでも不愉快な思いがない訳ではないというのは、満面の笑みを浮かべている2人を見れば分かる。
そうなると、こっちも2人の気持ちを考え……
「いいだろう。その代わり、俺が勝ったらお前にはその場で裸踊りでもして貰うぞ」
そう告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:640
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1512