ブルーディスティニーの後継機の件に関しては、結局ホワイトベースで護衛をするという事になった。
直接ホワイトベースで後継機を運ぶという件については、残念ながら連邦軍の上層部に却下されてしまったらしい。
ブライトもかなり食い下がったらしいが……それでも駄目だった。
ブライトにしても、今回の一件ではホワイトベースで直接運搬した方が楽だと、そう理解しているのだから当然だろう。
だが、それでも機密を盾に却下されてしまったらしい。
機密……機密、ね。
実際に機密云々というのが正しいのは、間違いないのだろう。
しかし、それ以外にも理由があるのは何となく想像出来る。
EXAMシステムを開発したのは、ほぼ間違いなく……十中八九、フラナガン機関の人間だ。
であれば、サイド6にあったフラナガン機関の研究所を潰した人物として、俺を知っていてもおかしくはない。
あの時は一応ルナ・ジオン軍がメインとして動いていたのだが、俺もイフリートを使って暴れ回ったのは間違いない。……あ、もしかしてジオン軍側のEXAMシステム搭載機としてイフリートが選ばれた理由って、実はあの時の戦いが関係していたりするのか?
もしそうなら、若干微妙な感じがしないでもない。
ともあれ、元フラナガン機関の人間であれば、俺と接触する事は可能な限り避けたいと思うのは当然だろう。
そして連邦軍としても、EXAMシステムという非常に優れた戦闘システムを開発する能力がある研究者……いや、この場合は技術者か? その技術者を確保し、俺に危害を加えられたくないと思うのは当然だ。
だからこそ、ブルーディスティニーの後継機を開発している場所に直接ホワイトベースを向かわせるような真似はさせなかった。
「その気持ちも分からないじゃないけどな」
「ん? 何がだ?」
食堂で紅茶を飲みながら呟く俺の言葉が聞こえたのか、リュウが尋ねてくる。
「ホワイトベースで直接ブルーディスティニーの後継機を運ぶような真似を許可しないという事は、向こうにもかなり後ろ暗いところがあるんだろうと思ってな」
「あー……それについては俺からはノーコメントだ」
リュウとしては俺の言葉に頷く訳にはいかないし、だからといってこうまであからさまな行動をしているのを見れば、否定する訳にもいかないといったところか。
「宮仕えってのも大変だな」
「……そうだな」
苦笑を浮かべつつ、リュウは俺の言葉にそう返すだけだ。
今回の一件では、リュウにとっても色々と思うところがあるのだろう。
「ともあれ、ミデアの襲撃が起きるのはほぼ間違いないから、覚悟はしておいた方がいいだろうな」
「ホワイトベースが護衛にいてもか?」
「それでもだな」
普通なら、リュウの言う通りホワイトベースが護衛にいるようなことがあれば、襲撃は諦める。
特にニムバスの場合は、今までにも何度かホワイトベース隊と戦闘になっている以上、こちらの実力も知っている。
EXAMシステムを搭載したイフリート改をニムバスが使えば、その戦闘力が非常に高くなるのは間違いない。
だが、それはブルーディスティニーに乗るユウも同様なのだ。
リミッターが掛かっている分、本当の意味で本来の性能を発揮は出来ないだろう。
だが、それでも能力的にはほぼ互角に近い。
その上で、ホワイトベース隊には俺を除いても綾子やアムロのようにこの世界でもトップクラスの実力の持ち主はいるし、そこまでいかなくても立派にエース級の活躍が出来るカイやフィリップ……若干落ちるが、ヤザンやサンダースといった者もいる。
それを思えば、例えニムバスが多少数を揃えて襲ってきても、ホワイトベース隊がいるという時点で半ば負けは決まったようなものだ。
にも関わらず、来るのか。
普通なら来ないが、それでも俺は来ると断言出来た。
そう断言出来る理由としては、やはり連邦軍に存在する内通者だろう。
シャドウミラーの代表たる俺がホワイトベース隊に協力をしているというのを、ニムバスは知っていた。
その時点で、連邦軍に内通者がいるというのはほぼ確定だった。
……俺の存在を知っているレベルの内通者ともなれば、ブルーディスティニーについて知っていてもおかしくはない。
そうなると、ブルーディスティニーの後継機についての情報を知っていてもおかしくはなく……それがワルシャワ基地に運び込まれるよりも前に行動するというのは、容易に想像出来た。
「内通者、か」
俺の説明に、リュウは苦々しそうに呟く。
リュウにしてみれば、今回の一件は全く納得出来ないような事ばかりなのだろう。
とはいえ、今の状況を思えばそんな風に思ってもおかしくはないが。
「連邦軍の上層部も、レビルみたいな奴だけじゃないって事だな」
「寧ろ、レビル将軍のような人は少数派だろ?」
少し離れた場所でシローやサンダースと何か話していたヤザンが、そう声を掛けてくる。
「少数派か。……言われてみれば、そうなんだろうな」
連邦軍は巨大な組織だ。
当然その上層部ともなれば、清廉潔白で務まるものではない。
レビルにしても、実際には多少なりとも後ろ暗いところがあってもおかしくはないと思う。
ゴップに関しては、補給を一任されているのだから、後ろ暗いところはかなり多いだろう。
補給を専門にしているとなると、それを横流ししようとするような者は絶対に出て来る。
そのような者をどう御するか……一番簡単なのは弱みを握って脅すなり、それこそ殺してしまうといった事だが、それが続けば色々と問題が多いのも事実だ。
その為、ゴップとしては多少の飴くらいは渡すといったことをしてもおかしくはない。
で、当然のようにその飴というのは見つかれば犯罪になってもおかしくないようなものな訳で……
それでも他の、明らかに私利私欲で動いているような者よりは大分マシなんだろうが。
とはいえ、現状ではラサ基地の件を見れば分かる通り、連邦軍が戦況を押し返しつつある。
それを考えれば、わざわざこの状況で連邦軍を裏切ってジオン軍につくような奴がいるとは……いや、寧ろ逆か?
連邦軍が有利になってきているからこそ、今ならジオン軍に自分を高く売りつけられると、そう考えた者がいてもおかしくはない。
とはいえ、そこまでの事をするとなると、やはり裏切り者は上の方にいる奴に間違いないだろうが。……イーサンだったりしないよな?
いや、イーサンは所詮大佐でしかない。
一応分類的には上層部と言ってもいいのかもしれないが、それでも本当の意味での上層部の者とは言えないだろう。
そうなると……残念ながら、俺が知っている相手はそう多くはない。
いっそ、ルリやラピスに調べて貰うように頼むか?
ただ、俺がこうして連邦軍に協力しているのはともかく、そこまで深く肩入れするのは色々と不味いという思いがあるのも事実だ。
そもそも、ルナ・ジオンにとって連邦軍というのは、ジオン公国よりはマシだが、それでも出来れば強大な国として存在しているのは面白くない。
可能なら、ジオン公国の独立戦争である程度弱ってくれている方がありがたいというのも、事実なのだ。
それを思えば、やはりこの一件には迂闊に手を出さない方がいいか。
そう、判断した時……不意に、ヴィー、ヴィー、という警報が食堂の中に響く。
何かがあったのは間違いないが、それでも何があったのかと言われれば、すぐに分かる訳でもない。
現状を考えれば、一番怪しいのはやはりブルーディスティニーの後継機を運んでいるミデアが、ホワイトベースと合流するよりも前にジオン軍に……ニムバスに襲われたという事か?
ともあれ、今は非常時である以上、迅速に行動する必要があった。
残っている紅茶を口の中に流し込み、テーブルの上にあったお茶請けのクッキーも続いて口の中に放り込むと、格納庫に向かって走る。
『現在、本艦が合流予定のミデア隊がジオン軍に襲われているという報告と救助要請が来ました。MS隊はすぐにでも出撃出来るようにして下さい。また、銃座を担当する方もすぐに自分の場所に向かって下さい』
通路を走っていると聞こえてくる、モーリンの通信。
これを聞く限りでは、どうやら俺の予想が当たったらしい。
問題なのは、ニムバスが一体どれだけの戦力を揃えてきたのかという事だが……この辺、どうなってるんだろうな。
ともあれ、今の俺達に出来るのはMSで待機するだけだ。
ブルーディスティニーの後継機を開発していた工場……研究所か? ともあれ、それはヨーロッパ、それもワルシャワからそう遠くない場所にあるので、時間が経てば経つ程こっちに有利になる。……ホワイトベース隊の戦力だけでどうにか出来る可能性の方が高いのだが。
ともあれ、そんな訳で現在こちらとしてはホワイトベースがミデア隊が襲われている場所に到着するまで、待機している事しか出来ない。
にしても、ミデア隊か。
隊とつくからには、ミデアは単独ではなく複数いるんだろうが……問題なのは、一体何故そんなにミデアが必要なのかという事だろう。
ミデアの輸送量は相当なものだ。
それを考えれば、MSの1機程度を運ぶのはそう難しい話ではない。
そうなると、MSの他に何を運んでいる?
考えられる可能性としては、予備パーツとかそういうのだろうが……それだって、ミデアのコンテナの大きさを考えれば、MSと一緒に積み込むのは難しい話ではない。
考えられる可能性としては、ブルーディスティニーの後継機とは全く関係のない補給物資とかか? 陸戦型ジムや陸戦型ガンダムの予備パーツは、かなり少なかった筈だし。
そうなると、一体何を運んできたのかが気になるが、その辺りは直接ミデアを守れば、後で分かるだろう。
ミデアが運んでいるのは、ホワイトベースに持ってくる補給物資なのだから。
そんな風に考えている間にも、ホワイトベースはミデアに向かって進み……
『全MSすぐに出撃だ。ミデアは相当の被害を受けている模様。このままでは、2隻ともに沈んでしまう可能性が高い。繰り返す。MS隊は至急出撃せよ』
ブライトの真剣な表情が映像モニタに表示される。
この様子を見る限りでは、相当にミデアは危険なのだろう。
ジオン軍にしてみれば、EXAMシステム搭載機の新型を連邦軍に……それもユウのような腕利きに渡す訳にはいかず、可能な限り自分達で奪いたいと、そう思っても不思議ではない。
……だからといって、それを許容出来るかと言われれば、その答えは否なのだが。
こちらにとっても、それこそブルーディスティニーの後継機は可能な限り欲しいと思うのは当然だった。
「ブライト、この場合は俺のピクシーが一番機動力が高い。俺の機体を最初に出撃させてくれ。構わないか?」
『うむ、それで構わん。敵MSの数は最低でも20機以上との事だ。十分気をつけろ』
「へぇ……また、随分と頑張って集めたな」
勿論、それだけの数を集める事が出来たのは、ここがオデッサからそう離れていない位置にあるというのも影響している。
だが、オデッサにある戦力は、当然のように連邦軍のオデッサ作戦に対抗する為に用意された戦力だ。
だというのに、まさかここまでの戦力を派遣してくるとは……俺にとっても完全に予想外だった。
それだけブルーディスティニーに脅威を覚えているのだろう。
ユウの操縦するブルーディスティニーの能力を思えば、そこまで警戒してもおかしくはないと思うが。
この場合、何よりも厄介なのはやはりEXAMシステムを開発した人物が連邦軍にいるという事か。
ジオン軍ではイフリート改に搭載されているEXAMシステム以上に性能が上のEXAMシステムを作る事は出来ない。
かといって、今のままのEXAMシステムを量産しても、暴走するだけだろう。
連邦軍の方でも、まだEXAMシステムの量産は出来ていないのだから。
フラナガン機関出身のその人物がその気になれば、それこそEXAMシステムを量産する事は可能かもしれない。
だが、システム的に不安定な今の状況を考えると、そうもいかないといったところか。
『そうだ。だからこそ、アクセルに先行してもらい、可能な限り敵の数を減らして欲しい。……それに、アクセルが自分達を攻撃してくるような事になれば、向こうもミデアの攻撃に集中するような事は出来なくなる。……頼んだぞ』
「分かってる。ただし、EXAMシステムを搭載しているブルーディスティニーの後継機を襲うとなると、向こうも当然のようにEXAMシステム搭載機のイフリート改を出してくる可能性がある。そうなると、アムロとユウは少し厄介な事になるかもしれないから、気をつけてくれ」
そうしてブライトと言葉を交わしている間にも、ピクシーはカタパルトの上に移動し……
「アクセル・アルマー、ピクシー、出るぞ!」
その言葉と共に、ピクシーはカタパルトから射出されるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:640
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1512