ブルーディスティニーの後継機を搭載したミデアを守る戦いは、終盤に近くなっていた。
ホワイトベース側から出ているMSの数は、それなりに多い。
だが、ニムバス達ジオン軍が用意した戦力もまた多い。
現在はそんな中で墜落した1隻のミデアを守る為に戦力がそちらに裂かれており、更に俺達の戦力は少なくなっていた。
……不幸中の幸いなのは、EXAMシステム搭載機のイフリート改が同様にEXAMシステム搭載機のブルーディスティニーによって動きを封じられている事か。
EXAMシステム搭載機がその能力を最大限に発揮した場合、それに対抗出来るのは俺、綾子、アムロ、ユウの4人だけだ。
逆に言えば、こちら側にはイフリート改を使ったニムバスと同等以上の戦力の持ち主がユウ以外に3人いるという事でもある。
ジオン軍にしてみれば、最悪の結果に近いだろう。
だが……それでも、ジオン軍の士気は落ちない。
数も次第に減ってきているというのに、未だに抵抗を続けていた。
実際にイフリート改の性能を知っているだけに、ジオン軍にしてみればEXAMシステム搭載機の最新鋭機をこのままホワイトベース隊に運ばれるのは、絶対に許容出来なかったのだろう。
その気持ちは分かる。分かるが……
「だからって、こっちもそっちの好き勝手にさせる訳にはいかないんだよ!」
ザクバズーカの砲弾を回避しながら、スラスターを全開にして一気にザクとの間合いの内側に入ると、ビームダガーの切っ先でコックピットを貫く。
ザクもそれを操るパイロットが乗っているコックピットを破壊されれば、それこそどうしようもなくなる。
俺がビームダガーを引き抜いた衝撃により、地面に倒れ込むザク。
出来ればそろそろ撤退してくれると、こっちとしても助かるんだが。
そう思って戦場に視線を向けるが、そこではアムロのビームライフルによってドムが撃破され、綾子の陸戦型ジムが振るうビームサーベルによってザクの上半身が地面に落ちている光景だった。
『全機、警戒して下さい。敵増援です!』
と、モーリンからの通信が入る。
だが、その言葉を聞いた一瞬、俺はそれを信じられなかった。
ブルーディスティニーの後継機を運んでいるミデアを襲撃するだけでも、20機というのは少し多すぎる戦力だ。
それこそ、連邦軍のオデッサ作戦に対しての備えに多少なりとも影響が出てもおかしくはないと思える程に。
だというのに更に援軍の追加だと?
明らかにおかしく、強烈な違和感がある。
だが、そう思った瞬間……連邦軍の上層部に裏切り者がいるという事を思い出し、何となくこの状況の意味を理解する。
つまり、ジオン軍と繋がっている者にしてみれば、ホワイトベース隊のような極めて強力な戦力は邪魔だ。
ジオン軍と繋がっている者が、具体的にどこまで本気なのか……それこそ将来的には連邦軍を裏切ってジオン軍につくのか、それとも単純にジオン軍に恩を売るだけだと思っているのか。
その辺りは分からなかったが、ともあれホワイトベース隊が邪魔になり、ブルーディスティニーの後継機という餌を用意した。
勿論、実際には俺達が自分からブルーディスティニーの後継機を受け取りに行くなり、護衛に行くなりといった事を主張しなかった場合は、何らかの別の手を使って俺達をこの場に誘き寄せるか、もしくは素直にブルーディスティニーの後継機をジオン軍に渡していたのか。
ともあれ、今回の一件を企んだ者がいたとすれば、それはどちらでも構わなかった訳だ。
そしてこの一件を知らされたジオン軍にしても、俺達が出て来ればオデッサ作戦で大きな活躍をする……つまり、ジオン軍に大きなダメージを与える存在を前もって排除出来るし、出てこなければEXAMシステムを搭載した連邦軍の最新鋭機を入手出来るという、こちらもどちらに変わってもおかしくはなかった、と。
「ブライト、どうするつもりだ? 俺としては、このまま戦闘を続けてもいいが?」
『……すまん、もう少し頼む』
数秒の沈黙の後に出て来た、ブライトの言葉。
ブライトにしても、まさか今この状況で敵の援軍が来るとは思っていなかったのだろう。
ここでの戦闘は、予想外にあっさりと勝負がつくと。そう思っていた可能性も高い。
だからこそ、一瞬どうすればいいのか迷った……といったところか。
「分かった。ただし、ピクシーは長時間の戦闘に向いてはいない。このまま戦闘が長引くようなら、一旦ホワイトベースに戻る事になるぞ」
ピクシーは連邦軍のMSの中でも随一の……それこそ、アムロの乗っているガンダムよりも高い機動力と運動性を持つ。
だが、その代償としてかなり燃費が悪い機体となっていた。
武器として使っているビームスプレーガンも、動力炉からエネルギーをビームに変換して発射……なんて真似は出来ず、武器に直接エネルギーを充電するといった形だ。
そしてビームスプレーガンをそれなりに使っている以上、エネルギー残量的にも、若干心許なくなっていた。
90mmサブマシンガンの方は、まだそれなりに弾丸が残っているのが救いか。
全体的に見ると、ピクシーの継戦能力はまだそれなりにあるが、それでも延々とジオン軍の援軍がやってくるとなると、危険な面もある。
……ああ、オデッサ作戦前に突出した戦力の俺達を倒すだけではなく、ガルマの仇という事になっている俺達を倒したいというのもあるのか。
ガルマの高い人気を考えれば、理由としてはそちらの方が大きな可能性がある。
ともあれ、そんな訳でこのまま延々と戦い続けるといった真似は出来ない。
物量で戦うというのは、本来なら連邦軍の戦い方であって、ジオン軍の戦い方ではない筈なんだが……そこまでして、ホワイトベース隊を潰したいといったところか。
『分かっている。敵の援軍も無尽蔵ではない。推進剤や弾薬が心許なくなってきたら、すぐにホワイトベースに帰還してくれ。すぐにでも補給出来るように準備をしておく』
ブライトの言葉に分かったと返事をしながら、スラスターを使ってザクマシンガンの一撃を回避しながら間合いを詰め、ビームダガーで突き刺す。
本来なら相手を捕虜とした方が連邦軍としては助かるのだろうが、今の状況でそのような真似をするのは、自殺行為に等しい。
そうである以上、コックピットを潰すのが最善の選択なのは間違いなかった。
戦いながらユウの方を見てみると、そこでは俺にとっても予想外の光景が広がっていた。
それこそ、映像モニタに表示された光景に驚いて一瞬攻撃のタイミングを逃して、次のザクへの攻撃でコックピットの横をビームダガーで貫いてしまったくらいには。
慌ててもう片方の手で持っていたビームダガーでコックピットを貫いてザクを倒したが。
それくらい、映像モニタに映し出された光景は予想外だったのだ。
そこに映し出されていたのは、ブルーディスティニーとイフリート改という2機のMS。
双方共にEXAMシステムによって機体を限界まで使った為か、機体の各所から黒い煙が出ていたり、紫電や火花が走ったりといった感じになっている。
また、それだけではない。
ブルーディスティニーのビームサーベルがイフリート改の胴体を貫き、イフリート改のヒートソードはブルーディスティニーの機体を袈裟懸けに斬り裂いていた。
幸いにも、ヒートソードはコックピットまで届いてはいないようだったが、それでももうブルーディスティニーは使い物にならないくらいのダメージを受けているのは確実だ。
勿論イフリート改の方も胴体を貫かれて動きを止められており、これ以上の行動はまず不可能だろう。
つまり、相打ち。
それでいながら、双方共にパイロットに被害が出ていないようなのは、運か実力か。
ともあれ、ブルーディスティニーが大破に近い被害を受けたのは明らかだ。
「って、邪魔だ!」
ザクが次々と撃破されていくのを止めようとしたのか、ドップがこちらに向けてミサイルを撃ってくる。
その一撃を回避しながら、頭部バルカンを撃つ。
基本的に威力は高くない頭部バルカンだったが、それでもドップ程度であれば撃破するに十分な威力を持っていた。
爆散するドップを横目に、少し離れた位置からこちらを狙っているドムに目を付ける。
ホバー移動しながらのその行動は、こちらが近づいた瞬間には後ろへと下がっていった。
接近すれば間違いなく殺されると、そう理解しての行動だろう。
正しい。
その行動は正しいが……今の俺の状況から見れば、厄介以外のなにものでもない。
左手のビームダガーを90mmサブマシンガンに換え、ドムに狙いを付けてトリガーを引く。
次々に発射される弾丸は、残念ながらドムに命中してもその厚い装甲を貫く事は出来ない。
……とはいえ、それでもこちらの攻撃が向こうに届くというのは、ドムにとっても驚いたのだろう。
慌ててこちらから更に距離を取る。
そんなドムとの間合いを詰めながら90mmサブマシンガンで牽制しつつ、再びホワイトベースに通信を入れる。
「ブライト、ユウがやられた! 機体は大破状態だが、コックピットに被害はないらしい。救出出来る余裕があるのなら、救出を!」
『分かっている! だが、余裕がない! ガウまでやって来た!』
はぁっ!?
そう叫ぶのを、何とか我慢する。
ガウはジオン軍にとって非常に重要な輸送機……軍艦? 戦闘機? ともあれ、そんな感じだ。
ザクの小隊とドップを同時に輸送出来て、地上に爆撃を行う事も出来るし、メガ粒子砲も持つという、極めて強力な機体だ。
それこそ、ルナ・ジオンやシャドウミラーでも出来れば欲しいと思うくらいには。
そんな訳で、今の状況のジオン軍にとってガウというのは物資輸送の要と言ってもいい。
オデッサ作戦が近づいている現在、出来る限りガウで戦力を集めたいと思うのは間違いなかったのだが……そのガウが、何でまた急に?
いや、今回の一件を企んだ連中にしてみれば、ガウを使ってでもホワイトベース隊を撃破したいと、そう思ってもおかしくはないのか。
ともあれ、ガウが来たとなると援軍は更に増える。
「厄介な!」
『ガウの方はガンタンク隊で応戦するから、アクセルは引き続き敵MSの数を減らしてくれ!』
予想外に予想外の展開が重なり、ブライトにも余裕がないのだろう。
その口から出て来たのは、叫ぶような言葉だった。
もっとも、その判断は妥当だろう。
現状で遠距離攻撃を得意としているのは、やはりガンタンクだ。
その上で俺が戦っている戦場を見れば分かるように、ここでは敵味方入り乱れての混戦となっている。
そうなれば当然のようにガンタンクによる援護射撃も難しい。
ガンタンクの低反動キャノンは、精密射撃が出来るような代物ではない。
敵味方が入り交じっているこの状況でここに攻撃をしたりすれば、味方にも大きい被害が出る可能性はあった。
それを考えると、ガンタンクの出番はそう多くはない。
であれば、こちらに向かってやって来るガウに向けて攻撃するのは遊兵を作らないという意味で最善の選択ですらある。
この辺り、ブライトもホワイトベースの艦長として相応の修羅場を潜ってきたお陰だろう。
……出来れば、未だに上空を飛んでいるドップをどうにかして欲しいという思いもあったが。
ピクシーはともかく、ヤザンとかが乗っている普通のジムは装甲がルナ・チタニウム製ではない以上、ドップのミサイルで被害が出る可能性がある。
まぁ、ワルシャワ基地には大勢の連邦軍が集まっており、その中には連邦軍の最新鋭MSのジムも大量にあるので、MSの補充は東南アジア戦線にいた時よりも楽かもしれないが。
ともあれ、俺としてはブライトの指示に従って敵を倒していく。
こちらに向けてジャイアントバズを撃ってくるドムに対し、90mmサブマシンガンを撃つ。
連続して放たれた弾丸は、ジャイアントバズの砲弾に命中し、周囲に巨大な爆発を生み出し……その爆発と爆煙に紛れて、スラスターを全開にして前に出る。
ジャイアントバズは、直接命中すればルナ・チタニウム製の装甲にもダメージを与えるだけの威力を持つ。
だが、命中する前に迎撃して爆発させてしまえば、その威力も無効化出来た。
そうして爆発と爆煙の中を突っ切り……
「死ね」
その先にはドムがジャイアントバズを構えたままで動きを止めているのを見て右手のビームダガーでドムのコックピットを貫く。
よし、取りあえずこれで完品のドムをゲット。
……もっとも、コックピットが消滅している以上、本当の意味での完品とは言えないが。
ともあれ、ドムを1機撃破したのは間違いなく、次の敵を……そう思った瞬間、ドップの特攻によって撃墜されたミデアのコンテナが爆発する。
何だ? 今の爆発は、外から攻撃されたというよりは、内部から爆発したように思えたが。
周囲の様子を警戒しながら、ミデアを確認していると……やがて、蒼く染められた陸戦型ガンダムが、ミデアのコンテナから姿を現すのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:680
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1520