転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2424話

 ビームライフルを手にした、装甲を蒼のパーソナルカラーで塗られた、陸戦型ガンダム。

 それが何なのかというのは、それこそ考えるまでもなく明らかだ。

 蒼、陸戦型ガンダム。

 この2つの共通点から考えれば……つまり、あのMSこそがブルーディスティニーの後継機なのだろうと。

 正直なところ、後継機と言うからにはもっと見て分かるような違いのある機体だと思っていた。

 だが、こうして見る限りだと、あの機体は普通の陸戦型ガンダムとそう大差あるようには見えない。

 いや、勿論ブルーディスティニーの後継機という事は、間違いなくEXAMシステムを搭載しているのだろうが……ぶっちゃけた話、変わっているのはその程度でしかない。

 今までの俺の経験から考えると、こういう時の後継機ってのは全く違う形をした機体が多い。

 ともあれ……問題なのは、あのブルーディスティニーの後継機に乗っているのは誰なのかという事だ。

 普通に考えれば、ユウだろう。

 だが……だとすれば、何故コンテナを破壊した?

 コンテナを破壊するような真似をしなくても、特に問題はない筈だ。

 にも関わらず、内部からビームライフルでコンテナを破壊するような真似をしたとなると、ジオン軍の者という可能性も否定は出来ない。

 まぁ、ミデアが墜落した衝撃によってコンテナが開かず、ユウが不承不承……といった可能性もまた、否定は出来ないのだが。

 どっちだ?

 そう思いながら、通信を繋げる。

 幸いにもブルーディスティニーは連邦軍の機体である以上、通信の周波数ははっきりとしているので、通信を繋げる事そのものは難しい話ではない。

 

「ブルーディスティニー、聞こえているか? ユウ?」

『貴様は……アクセル・アルマー!』

 

 映像モニタに映し出された人物は、俺も初めて見る顔だった。

 だが、その声で誰なのかというのは理解出来る。

 

「ニムバス、か。……まだ生きていたとはな。それも血だらけで」

『ふはははは! これは、EXAMの意志! EXAMを汚した者の贖罪の血!』

 

 ……贖罪の血?

 EXAMシステムのせいか、それともまた別の理由でかは分からないが、ニムバスはかなりテンションが高くなっていた。

 いわゆる、躁状態って奴だろう。

 

「まさか、ユウじゃなくてお前が乗ってるとは思わなかったな。……それで、お前は一体その状況からどうするつもりなんだ? 既にジオン軍のMSはかなり減ってる。そんな中を逃げられると思ってるのか?」

『ふはははは! この蒼き機体に不可能はない! 感じる、感じるぞEXAMの力を! EXAMよ、もっとだ、もっと見せろ!』

 

 俺の話を聞いているようで、聞いていないな。

 EXAMシステムに酔っているのか?

 とはいえ、ブルーディスティニーの後継機にニムバスを乗せておくというのは、色々と不味い。

 出来るだけ早いうちに、取り押さえた方が……

 

「ちっ!」

 

 周辺で戦っていたMSの中でも、2機のドムがこちらに向かってジャイアントバズを撃ってくる。

 砲弾そのものは回避するのは難しくない。

 だが、それでも今の状況を考えるとドムの相手に時間を掛けたくはなかった。

 とはいえ、ジャイアントバズは命中すればルナ・チタニウム製の装甲であっても破壊出来るだけの威力を持つ。

 90mmサブマシンガンで迎撃するか、もしくは回避するか。

 迷ったのは一瞬だったが、その一瞬に更に事態は悪化する。

 少し離れた場所でカイ達と戦っていたザクが、状況の変化を見てこっちにクラッカーを投擲してきたのだ。

 このクラッカーという武器の厄介なところは、その効果範囲だろう。

 周辺一帯に破片を巻き散らかすその攻撃方法は、それこそ現状ではこれ程に厄介な攻撃も少ない。

 それも、投擲してきたのが1発なら、頭部バルカン辺りを使って迎撃するような真似も出来たのだが、クラッカーが2発、3発、4発と続けて投擲されるような真似をすれば、ジャイアントバズの砲弾を回避しながら、クラッカー全てを撃破するという真似は無理だ。

 

「ちっ、誰でもいい! ミデアの周辺にいるMS、ブルーディスティニーの後継機がジオン軍に奪われたぞ! あれに乗ってるのは敵だ!」

 

 ピクシーの機動性を最大限に活かしながらその場を離脱しつつ、通信で叫ぶ。

 とはいえ、ジオン軍の援軍が到着し、その上でガウがホワイトベースと対峙しており、それ以外の上空はドップによって支配されている。

 MS15機を搭載出来るホワイトベースだけに大抵の相手には対処可能な戦力を持っているが、向こうがこちらが対応出来る以上の数を用意してくれば、それに対処するのは難しい。

 

「邪魔だ!」

 

 敵の攻撃を回避しながら、一気に前に出る。

 ヒートサーベルを手にこちらを待ち受けるドムは、ピクシーに向かってその切っ先を突き出す。

 そう、まさに突き。

 その一撃を回避しながらこちらもビームダガーを突き出し、ドムのコックピットを貫く。

 そのまま右側にあるスラスターを全開にして強引に機体を旋回させつつ、90mmサブマシンガンを手放しながら、ビームスプレーガンを握り、トリガーを引く。

 収束モードで放たれたビームは、こちらもまたあっさりとドムのコックピットを貫いた。

 ザクは遠いので取りあえず置いておき、ミデアに視線を向けると……既に、ブルーディスティニーの後継機の姿はどこにもない。

 周囲を見回すと、何機もの敵に守られるようにしてこの場から撤退していくのが見える。

 

「ブライト、敵は撤退を始めた。追うか? それとも、このまま見逃すか?」

『待て、敵は追う必要はない。更に大部隊が援軍としてこちらに向かっているのを捉えた。このままでは、消耗戦でこちらが先に音を上げる事になる!』

 

 切羽詰まった様子のブライトの言葉に、俺は半ば呆れる。

 ジオン軍は、この作戦に一体どれだけの戦力を出しているのか、と。

 最初ですらMS20機以上と、普通に考えれば大戦力と言ってもいい。

 その上で援軍を寄越し、更には追加の援軍としてガウがやって来て、最後には再びMSの援軍?

 戦力の逐次投入という悪手でしかないが、それでも今の俺達にとって厄介なのは間違いなかった。

 いや、この追加の援軍は俺達の追撃を諦めさせる為のもので、実際にはそこまで考えていない、とかか?

 ともあれ、これ以上の追撃はホワイトベース隊だけでは無理なのは間違いなく、ブライトの言葉に納得する。

 

「分かった。追撃はしない。……こっちの被害は?」

『すいません、ブライト艦長は忙しいので、私が変わります。こちらの被害は、何機かのMSが小破くらいです。ただ……ユウ少尉のMSは……』

「あー……まぁ、だろうな。言いたい事は分かる」

 

 ユウの乗っていたブルーディスティニーは、まさに大破と呼ぶに相応しい状況になっており、それがモーリンの口籠もった理由だろう。

 疑問なのは、ユウがどうしたかといったところか。

 コックピットが無事である以上、ニムバスに殺されるといった事はないはずだが、それでもユウが現在どこにいるのか分からない。

 実はまだ、ブルーディスティニーのコックピットにいるとか?

 その可能性も、ないとは言えない。

 だが、普通に考えれば多分違う。

 コックピットを脱出して……待て。ニムバスの身体の血は何だ?

 贖罪が云々とか言ってたが、もしかしてユウの血だったりしたのか?

 結構な量の血がニムバスに付いていたのを思えば、致命傷となっていてもおかしくはない。

 

「ユウを至急見つけてくれ。ブルーディスティニーの後継機を奪っていったニムバスと通信したが、その身体には大量の血が付いていた。あの血がユウのものであるとすれば、可能な限り早く治療する必要がある」

『何? ……分かった。だが、ジオン軍がまだ完全に退いた訳ではない以上、そこまで余裕がある者は少ない。……アクセル、頼めるか?』

 

 ブライトの言葉に少し考える。

 ピクシーは結構消耗してるので、そういう意味では俺に任せるのもおかしくはない。

 何よりも大きいのは、やはり俺が魔法を使えるという事だろう。

 ジオン軍は撤退したが、それでももしかしたらまだ残っている奴がいるかもしれないし、もしくは何らかの罠を仕掛けていった可能性もある。

 あるいは、ユウを助け出すのに俺の力が必要という可能性もある事を考えると、やはりここは俺が出た方がいいのは間違いない、か。

 

「分かった。取りあえずブルーディスティニーの方に行ってみる。多分もういないだろうけど……」

『頼む』

 

 そう短く言うと、ブライトからの通信が切れた。

 モーリンが言っていたように、今は色々と忙しいのだろう。

 それを考えると、こっちに指示をしてきたのはユウの存在がそれだけ大事だという事か。

 もっとも、その気持ちは分かる。

 ホワイトベース隊の仲間であるという点も大きいが、それ以外でもユウはホワイトベース隊の中でもトップクラスのパイロットだし、何よりも使用しているMSはブルーディスティニーという、連邦軍の上層部が計画に関わっている機体だ。

 仲間云々というのを抜きにしても、ここは絶対に見逃せないところだろう。

 さて、ともあれブライトに言ったように、まずはブルーディスティニーの様子を見に行ってみるか。

 ピクシーのコックピットから出ると、一応念の為に空間倉庫の中に収納しておく。

 もしここに残しておいて、逃げ遅れたジオン軍の兵士とかに奪われるなんて真似は絶対にごめんだし。

 もしくは、こそ泥とか。

 実際にMS同士が戦ったこのような戦場において、こそ泥……というか、ジャンク屋の類が出て来るのはそう珍しい話ではない。

 MSというのは、この世界において最新鋭機器だ。

 当然そこに使われている部品は非常に高価な物が多い。

 ジャンク屋にしてみれば、これ以上ない程に美味しい獲物だろう。

 ジオン軍のMSの貴重な部品とかは、連邦軍なら間違いなく買い取ってくれるだろうし。

 ……ちなみに、以前シローから聞いた話によると、シローが地球に降りてきてすぐの頃、キキと知り合った当初、ゲリラにMSを奪われそうになったらしい。

 ジャンク屋とかとは若干違うが、ともあれゲリラにとってもMSというのは非常に値打ちのあるお宝だったのは間違いない。

 もっとも、その後はシローがキキを口説くか何かして、無事にMSを奪い返す事が出来たらしいが。

 ともあれ、そんな訳でMSを戦場に放り出しておくというのは悪手でしかない。

 そんな風に思いながらイフリート改のヒートソードによって袈裟懸けに斬り裂かれているブルーディスティニーに近寄る。

 近づいている途中で判明したが、ブルーディスティニーのコックピットは開いていた。

 ユウがそこから逃げ出したという証拠だろう。

 にしてもこれ……黒煙が出ていたり、未だに火花が散っていたりするんだが、大丈夫か?

 

「おーい、ユウ! 隠れてるなら、出て来てくれ!」

 

 一応、本当に一応だが、そんな風に声を掛けてみる。

 ブルーディスティニーから脱出はしたものの、この状況でどこかに迂闊に向かったとは少し考えにくい。

 そうである以上、もしかしたらこの周辺に隠れているという可能性もある。

 そして……

 

「ここだ」

 

 実際、少し離れた場所にあった木の後ろから、パイロットスーツを身に纏ったユウの姿が現れる。

 なるほど。怪我をしなかったというのは、パイロットスーツを着ていたからというのもあるかもしれないな。

 そう思いながら、ユウが怪我をした様子がないのを確認してほっとする。

 ほっとすると同時に、では映像モニタで見たニムバスの血は一体誰のものなのだ? という疑問も抱く。

 贖罪の血と言っていたからには、てっきりユウの血だとばかり思っていたんだが。

 それが違うとなると……

 ともあれ、ユウが無事だったのは喜ぶべきことなので、それ以外は今はいいか。

 そう判断し、ユウに話し掛ける。

 

「一応聞いておくけど、怪我とかはないな?」

「ああ」

 

 ユウが俺の言葉にそう言ってくる。

 実際にパイロットスーツが裂けていたりといった事もないので、怪我の心配はそこまでいらないだろう。

 打撲とか、そういう傷はあるかもしれないが。

 

「そうか、取りあえず無事でよかった。……それで、事情は理解しているか?」

「……ああ」

 

 今度の返事は、若干の沈黙の後でのもの。

 この様子から見ると、ニムバスがブルーディスティニーの後継機を奪っていったのを見ていたのかもしれないな。

 それにしても、つくづく運が悪い。

 2隻あったミデアのうち、1隻がドップによって不時着する事になったのだが、その1隻に、まさかブルーディスティニーの後継機があるとは。

 ユウが今まで乗っていたブルーディスティニーも、すぐには修理が無理だろうし、そうなると綾子が乗っていた陸戦型ジムはユウに戻されて、綾子は……ワルシャワ基地で何とか普通のジムでも入手するしかないのか?

 綾子の能力を考えれば、ガンタンクに乗せるという選択肢は存在しないしな。

 そんな風に思いつつ、俺はブライトにユウを確保したという連絡を取るべく行動するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:690
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1522

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