ブルーディスティニー3号機……面倒だから、ブルーディスティニーでいいか。
そのブルーディスティニーは、映像モニタの中で素早く動いては、次々にジムにビームライフルを命中させていく。
勿論これが模擬戦である以上、放たれるビームは出力が最低限にまで下げられており、命中しても損傷はない。
ただし、模擬戦のシステムはそれをしっかりと撃墜扱いと判断し、連邦軍のMS部隊からはまた1機撃破扱いとなる。
「凄いな、外見だけだと陸戦型ガンダムと変わらないが、動きは全然違う」
俺の隣で模擬戦を見ていたブライトが、しみじみといった様子で呟く。
実際にその言葉は間違っていない。
外見だけなら、サンダースが乗っている陸戦型ガンダムとほぼ変わらないのだが、その性能は段違いと言ってもいい。
この辺り、戦っている方にしてみれば外見では全く見分けが付かないので厄介だ。
そう考えれば……
「いっそ、サンダースをモルモット隊に入れた方がいいんじゃないか?」
「それは……だが、サンダースが納得しないだろう?」
ブライトの言葉には、俺も納得せざるを得ない。
実際にサンダースは連邦軍というよりも、シロー個人に深い忠誠心を持っているように思う。
それこそ、連邦軍とシローのどちらを選ぶのかと言われれば、殆ど躊躇しないでシローを選んでもおかしくはないくらいに。
そこまで深い忠誠心を持っているサンダースを、シローの部下から引き抜くのは難しい。
ブライトが命令だと言えば、一応受け入れるかもしれないが……不承不承といった状況でモルモット隊に所属しても、とてもではないが本来の能力を発揮出来るとは思えない。
そうなると、ここでサンダースを無理に移動させるというのは悪手でしかない。
「だろうな。そうなるとユウをシローの部下に配属するというのもあるが、それはそれで勿体ないんだよな」
ブルーディスティニーと陸戦型ガンダムを見分けられないのはそれでいいとしても、ブルーディスティニーを積極的に攻撃に使えないというのは、ホワイトベース隊にとって大きなマイナスだ。
基本的にシローは俺やアムロ、綾子、ユウのように最前線で戦うのではなく、最前線から少し下がった位置で援護射撃をしながらMS部隊の指揮を執るというのが期待されている役目だ。
最前線で暴れてこそ大きな意味を持つユウのブルーディスティニーが消えてしまうのは、ホワイトベース隊にとって大きな損失と言っていい。
そうなると、やはりここでユウをシローの部下という位置に配属するのは、これもまた悪手でしかない。
「難しいところだな。こちらを立てればあちらは立たずって奴か」
「そうだな」
俺の言葉に、ブライトが悩ましい様子でそう告げる。
いっそ、フィリップの乗っている陸戦型ジムとサンダースの乗っている陸戦型ガンダムを交換するってのも、ありなのかもしれない。
結局のところ、ユウという戦力を今まで以上に有効に使うのに必要なのは、あくまでもブルーディスティニーと同じ外見をしている陸戦型ガンダムであって、サンダースではないのだから。
「サンダースとフィリップの機体を交換するか、もしくはワルシャワ基地で保有しているかもしれない陸戦型ガンダムを1機、出来ればサマナの分も合わせて2機入手できないか? あ、いや。綾子の分も合わせれば3機か」
陸戦型ジムと陸戦型ガンダムでは、やはり性能が違う。
シロー達から聞いたり、アルフやメカニック達から仕入れた情報によると、双方共にルナ・チタニウム製の装甲で高い防御力を誇っているのは同じでも、出力と推力ではやはり陸戦型ガンダムの方が勝っている。
ただし、これはちょっと……いや、本当にかなり意外だったのだが、センサーの有効半径という点では、実は陸戦型ガンダムよりも陸戦型ジムの方が少しだけ上らしい。
てっきり性能という点では全て陸戦型ガンダムの方が上だと思っていたのだが。
センサーの有効範囲というのは、MS戦では大きな意味を持つ。
何しろ、センサーの有効範囲が敵よりも広ければ、相手よりも先に自分が敵を見つける事が出来るのだから。
そして相手が気が付くよりも前に発見出来れば、当然のように先制攻撃が出来る。
その上で、陸戦型ジムはビームライフルのような一撃必殺の攻撃力を持つ武器があり、それを命中させれば相手を撃破出来るのだ。
そう考えれば、センサーの有効範囲が広いというのがどれだけ大きいのかが分かるだろう。
勿論、これはあくまでも理論上の話であって、実際にはそこに様々な条件が関わってくる。
例えば、林や森、山といった場所があれば、センサーの有効範囲が広くても、相手を見つけるのは難しいだろう。
また、このUC世界特有のミノフスキー粒子が散布されているかどうか、散布されている場合はその濃度はどうかといった事も関係してくる。
だからこそ、実際の戦闘ではスペック以外にも重要になってくるのだ。
「陸戦型ガンダムか。……ホワイトベース隊がレビル将軍に期待されていると考えれば、もしかしたらどうにかしてくれるかもしれないな」
「いや、この場合はレビルじゃなくてゴップじゃないか?」
レビルはあくまでも前線で戦うタイプであって、補給の類はゴップが担当している。
勿論普通なら大将という階級にあるゴップに対して、こっちの要望を直接伝える事は出来ない。
だが、ホワイトベースはレビル直轄でもあるし、俺の場合はゴップと直接取引をしている。
そうなればゴップにこっちの要望を送るのは不可能ではない。
「ともあれ、俺の名前を使ってもいいからゴップに要望をしてみてくれ。ホワイトベースの艦長をしているブライトからの要望なら、ゴップも無下には出来ないだろうし」
「俺がか!?」
驚きの表情を浮かべるブライトだったが、実際にこういう場合は連邦軍に所属している訳ではない俺ではなく、連邦軍に所属しているブライトから要望した方がいいのも事実だ。
それが原因でブライトが特別な目で見られる事になるかもしれないが、士官候補生から一足跳びに中尉になって、連邦軍の最新鋭艦ホワイトベースの艦長となり、ジオン軍を代表するエースパイロットの赤い彗星と戦い続けてきた……となれば、その時点で特別な目で見られてもおかしくはない。
それでも、今はジオン軍との戦争で忙しい以上、ブライトに妙なちょっかいを出すような奴はいないと思う。
もしそのような真似をすれば、ジオン軍に負けるという可能性もあるのだから。
……連邦軍の中には、そんな状況であっても味方の足を引っ張るような奴もいそうだが。
特に大きいのは、この場合はやはりジオン軍に通じている裏切り者だろう。
この裏切り者の場合は、それこそ意図的にこっちの邪魔をしてくる可能性が高い。
「裏切り者の件は、まだ進捗がないのか?」
「は? 何だいきなり? アクセルが言いたい事は分かるが、こういうのはすぐに分かるものじゃないぞ」
「それは分かってるが、オデッサ作戦が近づいている以上、今は少し乱暴であってもスパイを割り出した方がいいと思うんだが」
そう言うが、俺の主観を抜きにして純粋にルナ・ジオンの後ろ盾としてのシャドウミラー代表の立場として考えた場合、実はスパイはまだ見つからない方がいいというのも事実なのだ。
連邦軍でもMSを量産し、ホワイトベース隊のような精鋭もいる。
そしてホワイトベース隊と模擬戦を行う事により、間違いなく連邦軍のMSパイロットの実力は上がっている。
そのような状況で、早期のうちにスパイを排除してしまった場合、連邦軍が圧倒的に有利になってしまうのは間違いない。
何より、オデッサ作戦においてはアプサラスⅢも投入予定なのだ。
月の立場としては、ジオン軍が負けるのもそうだが、連邦軍に余力がありすぎるのも問題だった。
迂闊に連邦軍が1人勝ちした場合、月にいらないちょっかいを出さないとも限らないのだから。
月もそのような真似をされれば、相応の対処をする必要はある。
そうならない為にも、連邦軍には適度に弱って欲しいというのが正直なところだ。
……それを直接口に出したりといった真似はしないが。
「それは分かってる。だが、今の連邦軍はオデッサ作戦の準備で忙しい。未だに、ワルシャワ基地に向かってくるこちらの増援を狙ったジオン軍の攻撃はたまにあるしな」
俺達が一度対処したが、それはあくまでも対症療法でしかない。
どうやら未だにワルシャワ基地までやって来る戦力の各個撃破は続いているのだろう。
「護衛をしっかりと出した方がいいと思うんだがな。ジオン軍も、こっちが護衛をしっかりとしていれば、迂闊に手を出すような真似は出来ないだろ? 以前はMSとかが技量不足で無理だったが、今は模擬戦のおかげか技量が上がって、ある程度ではあってもジオン軍とやり合える奴が増えてきたし。……多分」
最後にそう付け加えたのは、映像モニタでブルーディスティニーに乗ったユウが連邦軍のMS隊を相手に無双していた為だ。
こうして見る限りでは、とてもではないが連邦軍のMSパイロットの技量が上がっているようには見えない。
とはいえ、それは相手が強すぎるからだけの話であって、普通に考えればジオン軍の一般的なパイロットが相手でもそれなりに戦える……筈。
もしジオン軍の方が強くても、連邦軍の場合は純粋にMSの数を増やしてそれに対処出来るし。
それでも護衛を出さないのは、一体何を考えているのやら。
勿論、連邦軍の勢力圏内でジオン軍が動かないようにと、ある程度の見回りをする必要があるのも事実だ。
だが、それでもミデアを含めてワルシャワ基地にやって来る戦力に護衛をつけないというのは、疑問でしかなかった。
ジオン軍がワルシャワ基地に集まる前に連邦軍の戦力を各個撃破しているのであれば、それは逆に考えればジオン軍が襲ってきた時にそれを撃破すれば、こっちもまた各個撃破するという事になる。
実行するには色々と考える必要があるのは分かるが、物量という意味では連邦軍の方が圧倒的に有利なのだ。
同数のMSがお互いに撃破される事になっても、より被害の割合が大きいのはジオン軍となる。
であれば、連邦軍にとってはその手の作戦をやらない理由がないと思うんだが。
「連邦軍も、一枚岩ではないという事だ」
俺の疑問を口にすると、ブライトがそう言ってくる。
その顔が苦々しげなのは、こういう時に無駄な争いをしているのが馬鹿らしいと思ってるからか。
「現在の連邦軍においては、レビル将軍とゴップ大将のいる派閥が主流なのは間違いない。それは、アクセルも分かってると思う」
「だろうな。レビルにとっては、予想外だったのかもしれないけど」
この戦争の序盤に起きた、ルウム戦役。
その戦いで黒い三連星に捕らえられたレビルだったが、南極条約の時に脱出して、今では有名となったジオンに兵なしの演説をした。
その演説によって、ジオン軍との戦争は続くことになり、その原因――という表現はどうかと思うが――となったレビルの主導で戦争が進む。
連邦軍のMSを開発したV作戦の提唱者だというのもあるだろうが、ともあれそんな流れで現在のレビルは連邦軍の中でも主流派なのは間違いのない事実だ。
だが、主流派であっても、それ以外の勢力がない訳ではない。
それは、EXAMシステムの一件を思えばすぐに理解出来るだろう。
レビルやゴップが知らなかった、EXAMシステムの一件を。
また、それ以外にも別勢力という言い方がこの場合正しいのかどうかは分からないが、イーサンもまたレビルと同じ勢力にいるとは思えない。
……まぁ、イーサンが陸戦型ガンダムや陸戦型ジムを使えたという事は、V作戦のお零れに預かったという事で、実はレビルの勢力にいてもおかしくはないのだが。
陸戦型ジムや陸戦型ガンダムは、V作戦で開発したガンダムのパーツとしては精度が劣っていたのを流用して開発されたMSだ。
そしてV作戦がレビル主導で行われたものである以上、陸戦型ガンダムや陸戦型ジムというのは、レビルと同じ派閥でなければ開発する事は出来なかったんじゃないか?
そうなると、イーサンは派閥のトップにいるレビルに対抗意識を持っていたのか?
可能性としてはあるかもしれないが……正直、微妙なところだな。
「別の派閥か、タカ派の連中は大分始末したと思うんだが?」
少なくても、ルナツーとかにいたタカ派の連中の処分は完了している筈だ。
ジャブローとかにいてもおかしくはないが、それでもルナツーにいたのを処分出来ただけ、タカ派の戦力は減っている筈だった。
「タカ派のように極端ではなくても、それなりの派閥は他にもあるんだ。非常に厄介な事だが」
ブライトのその言葉は、巨大な組織だからこそ抱える連邦軍の問題に納得せざるを得なかった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:690
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1522