転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2428話

 ワルシャワ基地にホワイトベース隊がやってきてから、それなりに時間が経った。

 当然の話だが、時間が経てばそれだけオデッサ作戦が始まるまでの時間は短くなっていき、連邦軍も今では本格的に色々と準備が始まっている。

 いや、正確にはワルシャワ基地に来てからもずっとオデッサ作戦の準備は行われていたのだが、現在はその準備もラストスパートになっている、という表現の方が正しい。

 結果として、現在のワルシャワ基地では以前までと違ってかなり忙しくなっている訳だ。

 そんな中でも、模擬戦は行われており……

 

「さすが、ホワイトベース隊。その実力は本物だな」

 

 現在行われている模擬戦の映像を見て、俺の隣にいる人物がそう呟く。

 今の声は別に俺に聞かせる為に言った訳ではなく、自然と漏れたものだったのだろう。

 俺の隣にいる人物……レビル本人も自分が言葉を口にしたというのには気が付いていないらしく、こっちに視線を向けてくることはない。

 現在映像モニタに表示されているのは、綾子、アムロ、ユウの3人が行っている模擬戦。

 ホワイトベース隊からは3機なのに対し、連邦軍からは12機。

 実に4倍の戦力がこうして出てきている訳だ。

 ジオン軍対策としては、そこまで間違っている訳じゃないんだけどな。

 基本的には質の高いジオン軍のパイロットに対して、連邦軍は数で勝負するのが前提となっている。

 それを思えば、この選択は決して間違っている訳ではなかった。

 ……それでも、ホワイトベース隊の方から出した戦力がちょっと強すぎると思わないでもないが。

 

「奮戦はしてるようだけど、このままだと連邦軍側が勝つのは難しいな」

「ほう。では、その場合は一体どうすればいいと思うかね?」

 

 俺の声が聞こえたレビルが、視線をこちらに向けて尋ねてくる。

 連邦軍を率いるレビルにしてみれば、その答えは是非聞きたいところだろう。

 もっとも……このような状況において連邦軍側に出来る事は少ないのだが。

 

「敵と同じくらいの実力があるパイロットがいるなら、そいつを前線に出す。だが、それが無理なら……犠牲を覚悟の上で、連邦軍お得意の物量で攻めるしかないな」

 

 際だった質を持つパイロットであっても、この世界のMSであれば絶対に弾切れ、エネルギー切れ、推進剤切れといった事にはなる。

 MSの技術がもっと進化すれば、シャドウミラーのようにパイロットの限界まで戦い続けられるMSも開発出来るかもしれないが……その辺は今はまだ難しいだろう。

 そうである以上、物量で攻めて相手の消耗を待つというのが、面白くはないが確実な戦術なのは間違いない。

 

「ふむ。……ラサ基地ではルナ・ジオンから高威力のメガ粒子砲を持つ兵器を借りたという話を聞いたが?」

 

 耳が早い……訳じゃないか。

 そもそもあの戦いにはホワイトベース隊も参加しており、そしてホワイトベース隊はレビル直轄の部隊だ。

 当然のようにブライトから上層部に報告書の類は出ているだろうし、それ以外にも情報収集はしているだろう。

 アプサラスⅡの一件を理解しているのは、当然か。

 

「そうだな。ラサ基地攻略作戦の時と同じ……いや、その後継機を出す事は可能だ。勿論、レビルが断るのなら参加はさせないが」

 

 これはブラフに近い。

 いや、本来ならレビルが希望しないのなら出撃させなくてもいいのだが、アプサラスⅢを開発したギニアス達にしてみれば、折角開発したのに使い道がないというのは我慢出来ないだろう。

 オデッサ作戦が終われば、地球での天秤は連邦軍に大きく傾く。

 それは事実だが、だからといってすぐにジオン軍がいなくなるって訳でもない。

 当然のようにまだジオン軍のいる場所がある以上、アプサラスⅢの出番はない訳ではないのだ。

 とはいえ、オデッサに戦力が集中している以上、当然のようにそこに集まったジオン軍以上に戦力が集まるという事もないのは事実。

 アプサラス計画を進めてきたギニアスにしてみれば、出来ればアプサラスⅢのお目見えは思い切り派手にやりたいだろう。

 正直なところ、アプサラスⅢが具体的にどのような性能になるのかというのは、俺にも分かってはいない。

 その辺は完全にアプサラス計画を進めているギニアスに任せているし。

 だが、資金や資源はたっぷりと与えている以上、きっとかなりの性能に仕上げてくれる筈だ。

 

「ラサ基地で使われた機体よりも高性能なのだろう? であれば、こちらがそれを拒む理由はない」

 

 予想外にあっさりとそう言ってくるレビル。

 こっちとしては助かるが、本当にいいのか?

 そう思って視線を向けるが、レビルは特に何も問題はないといったような視線をこっちに向けてくる。

 

「いいのか?」

「勿論。このオデッサ作戦は、これ以後の地球での戦力バランスに大きく影響してくる。言わば、一大決戦だ」

「ルウム戦役みたいなものだな」

 

 そう告げると、レビルの表情に苦い色が混ざる。

 レビルはルウム戦役において黒い三連星に捕らえられ、捕虜となったのだ。

 それを思えば、そんな様子になるのは当然か。

 

「そうだ。それだけに、このオデッサ作戦を失敗する事は出来ない。使えるのなら、何だって使おうと思うのは当然だろう」

 

 そう断言する様子を見せるレビルは、本気のように思えた。

 それだけオデッサ作戦を重要視しているということだろう。

 もっとも、連邦軍を指揮しているレビルがこうやって最前線まで出て来ているのだから、その本気度合いは並大抵のものではない。

 

「なら……」

 

 レビルの言葉に頷きつつ、周囲を見回して誰もいないのを確認してから口を開く。

 

「スパイの方はどうにかなったのか? 俺達が被害を被ってるんだが」

 

 具体的には、ブルーディスティニーの後継機たる2号機、3号機の件だ。

 もっとも、あの戦いでは俺が撃破したMSを連邦軍が確保しているので、連邦軍としては利益も多い。

 いや、ピクシーが特に被害を受けた訳でもない以上、被害は皆無だと言ってもいい。

 その代わりに、連邦軍が大きな被害を受けているのだが。

 

「いや。だが、現在調査中だ。何としても、オデッサ作戦が始まるまでには調べてみせる」

 

 鋭い視線をこちらに向けてくるレビル。

 レビルにしてみれば、自分の周囲に敵がいるというのは厄介極まりない出来事だろう。

 オデッサ作戦の情報が敵に流れるのは絶対に避けたいだろうし、何より場合によってはそのスパイが暗殺という手段を使ってくる可能性も否定出来ないのだから。

 

「出来るだけ早く見つけてくれると嬉しいな。……何なら、こっちでも手を貸すか?」

「いや」

 

 悩む様子もなく、レビルはそう言って首を横に振る。

 

「何でだ? 今の状況を考えれば、少しでも早くスパイは確保したい筈だろ?」

「それは否定せん。だが、それでも……連邦軍の者ではないアクセルには、色々と見せられないものもある」

 

 俺に見せられないもの、か。

 それが軍事機密の類なのか、もしくは連邦軍としては後ろ暗い事なのか、その辺は分からない。

 だが、レビルにしてみればその言葉通り決して俺に見られたくはない代物があるのだろう。

 

「そこまで言うのなら、俺からは手を出さない。だが……このままレビルが何もしないで、それが理由で結局スパイが見つからない場合、確実に面倒な事になるぞ」

「分かっている。だがそれでも、この件はこちらで片付けさせて貰おう。それで、ラサ基地を攻略した時に使った機体の事だが……」

 

 あからさまに話題を逸らしたな。

 もっとも、その気持ちも分からないではないので、乗ってやる。

 

「アプサラスⅢだな」

「そう、そのアプサラスⅢだ。一体、どのような性能を持っている機体なのか教えられる範囲でいいから、教えて欲しい」

 

 ここで全てを教えろと言うのではなく、あくまでも教えられる範囲と限定するのがレビルが有能な証拠だよな。

 そもそもアプサラス計画はルナ・ジオンではなく、俺が強い興味を持って援助している計画だ。

 当然ながら、その性能に関しては簡単に教えるような事は出来ない。

 ギニアスみたいなのがいるからこそ、ジオンの技術は連邦の10年先といった風に言われていたのかもしれないな。

 だが、ジオン軍は……いや、この場合はザビ家がか? ともあれ、そんなギニアスを切り捨てた。

 当時のジオン軍は俺がグラナダを攻略した影響で大きな被害を受けていた以上、アプサラス計画を実行するだけの資金や資源の余裕がなかったというのが大きいのだが。

 このアプサラス計画、原作だとどういう扱いだったんだろうな。

 幾らアムロの乗るガンダムであっても、アプサラスⅡのメガ粒子砲を食らえば、間違いなく死んでいただろうし。

 アムロの能力を考えれば、そう簡単にアプサラスのメガ粒子砲が命中しなかったという可能性も高いのだが。

 基本的に地上用だと考えると、シャアの後釜的なライバルだったとか?

 いや、でもギニアスは宇宙線の影響で病弱だった。

 ギニアスが現在生きていられるのは、シャドウミラーの……具体的にはレモンという存在がいたからこそだ。

 原作だとレモンは当然のようにいないのだから、それを考えると原作だとギニアスは死んでいたとかか?

 そうなると、アプサラスはギニアスの形見として、ノリスが乗ってアムロに戦いを挑む……いや、アイナか?

 ともあれ、この世界の原作については今ここで考えても意味はないか。

 

「アクセル、どうした?」

「模擬戦がもう少しで終わりそうだと思ってな」

 

 レビルの言葉に、そう誤魔化す。

 とはいえ、俺が言った事は別に嘘という訳ではない。

 映像モニタに映し出されている模擬戦では、既に多くの連邦軍機が撃墜扱いとなっている。

 アムロ、ユウ、綾子の3人は、ジオン軍を入れたこのUC世界全体で見ても強者と呼ぶに相応しい実力を持っている。

 そんな実力者を1人ではなく3人を相手にして戦ったのだから、負けるのは当然だった。

 残っている数機のジムも、何と対抗しようとしているものの、すぐに撃破扱いとなる。

 MSの数が多い事で何とか対処出来ていたのが、その数が減ってしまえば純粋に実力勝負となるのは間違いない。

 

「ふむ、やはりホワイトベース隊は強いな。……そうだ、この前の情報を流してお前達を待ち受けていた一件。あの一件の謝罪の気持ちという訳ではないが、希望していた陸戦型ガンダムを3機、そちらに引き渡す」

「……マジか?」

「マジだ」

 

 俺の言葉にそう返してくるレビルだったが、レビルがマジとか言っても、微妙に似合わないな。

 少しだけそんな風に考えつつ、改めてレビルに尋ねる。

 

「それは本当か?」

「うむ。ただし条件という訳ではないが、現在ホワイトベース隊で使っている陸戦型ジムは、こちらで引き取らせて貰う」

「……なるほど」

 

 何となく、レビルが何を考えているのかは分かった。

 先程言ったように、自分達の失態……スパイからの情報漏れによる待ち伏せがあった事に対する謝罪の気持ちがあるのも事実だろう。

 だがそれだけではなく、レビルとしては3機の陸戦型ジム……フィリップ、サマナ、綾子の操縦データが蓄積されたMSを欲しているという事か。

 この3人がホワイトベース隊に合流してからも、相当の戦闘が起こっている。

 それを思えば、機体に蓄積された操縦データは相当なものになっているだろう。

 特に綾子の場合は、今まで連邦軍が得られなかったデータを得られる機会でもある。

 ……とはいえ、綾子の操縦も俺程ではないが、半サーヴァントとしての能力を活用しての代物だ。

 もし綾子の操縦データを連邦軍のパイロットが使った場合、吐くだけならまだしも、最悪骨折したり、場合によっては死んでしまう可能性すらあった。

 そうなると、綾子の操縦データは使い物にならない。

 あるいは使える場所だけ取り出して……という風に考えるかもしれないが、綾子の身体データをベースにした操縦技術である以上、切り貼りしてもまず使い物にはならない。

 それなら最初からアムロやユウといった面々の操縦データを使った方がいい。

 あ。でもユウの場合はブルーディスティニーありきの操縦になってる以上、普通のジムとかでその動きを参考にするのは難しいか?

 そうなると、一番いいのはやっぱりアムロか。

 ただ、アムロもな。

 基本的にアムロの操縦は本人の潜在能力……特にニュータイプ能力がベースとなっている。

 その操縦データを使おうとしても、ただの劣化版アムロが出来るような気がしないでもない。

 そういう異常な能力やシステムのない、フィリップやサマナといった面々の機体の方が、通常のMSパイロットが使うには便利だろう。

 まぁ、その辺りはわざわざ俺が指摘する必要もない。

 連邦軍の方でも考えてるだろうし。

 ただ、もし何も考えずにアムロの操縦データとかを使おうものなら、一定以下の実力の持ち主には有効だが、逆に一定以上の実力の持ち主にしてみれば雑魚にすぎない。

 言ってみれば、W世界のMDと若干似たような扱いになるだろうな。

 そんな風に思いつつ、俺はレビルとの会話を続けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:690
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1522

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