『おおおおおお』
飛んできたアプサラスⅢを見た連邦軍の上層部の者達――レビル含む――が、揃って大きな声を上げる。
実際、ミノフスキークラフトで空を飛んでいるアプサラスⅢの姿は、偉容に満ちていた。
空を飛ぶMAという意味では、MIP社がアッザムとかいうのを開発したらしいが、それよりも明らかに上の迫力を持っていると言ってもいい。
……相変わらずザク頭なのは、若干思うところがない訳でもないが。
当然ながら飛んできたのはアプサラスⅢだけではなく、ノリスやガトーを始めとした腕利きのパイロット達が、グフ・フライトタイプに乗って空を飛んでいる。
基本的にグフ・フライトタイプのパイロットというのは、腕利きが多い。
別にこれは、ギニアスが妹を心配して腕利きのパイロットを集めた……という訳ではなく、純粋にグフ・フライトタイプを使いこなすには相応の技量が必要だという事だ。
ただ操縦するだけなら、ある程度どうとでも出来るのだが、操縦するのではなく乗りこなすとなると相応の技量が必要となる。
MSは元々宇宙で使うことを前提にして開発された兵器であって、ジオン軍も宇宙でMSを使っていたのだから、グフ・フライトタイプのように空を飛んでもある程度何とかなるのではないか? と思わないでもなかったが、宇宙と空中では色々と勝手が違うらしい。
宇宙では上下とかの感覚はあってないようなものだし、飛んでいても重力に引かれるといった事はない。
それに比べると、空を飛ぶとなると重力が関係してくるし、それ以外にも地球特有の様々な現象が影響を及ぼす。
それらを理解した上でMSを操縦する必要があるのだから、相応の技術が必要とされるのは当然だった。
……これが、シャドウミラーのMSとなると、テスラ・ドライブ搭載が標準で、最初からそのようなPTに乗っている事もあり、その辺は慣れでどうにかしてしまうのだが。
この辺は、テスラ・ドライブの有無が関係してくる形だな。
「グフ、か。……アクセル代表、ルナ・ジオンではジオン軍のMSを輸入しているのですか?」
レビルのすぐ側にいた、強面の髭を生やした男……ティアンムだったか。そのティアンムが、若干の不満を込めてこちらに尋ねてくる。
連邦軍の軍人としては、やはりルナ・ジオン軍がジオン軍のMSを使っているというのは、あまり面白くはないのだろう。
その気持ちは分かる。分かるが……現状ではそれは仕方のない事であるのも、また事実だった。
「見ての通り、アプサラスⅢはミノフスキークラフトで空を飛ぶMAだ。そのMAの護衛を務めるとなると、空を飛ぶ必要がある。連邦軍のMSに空を飛べる機体はないだろう?」
「それは……ですが、空を飛ぶだけなら別にMSでなくても、戦闘機の類でもいいのでは?」
「MSと戦闘機、どちらの方が性能が高いかは、考えるまでもないと思うが? それに、戦闘機では低速での移動も限られているし」
アプサラスⅢはミノフスキークラフトで空を飛んでいる為に、空中で停止する……停止し続けるといった真似も容易に出来る。
セイバーフィッシュのような戦闘機には、そのような真似が出来ない。
なら戦闘ヘリか? というと、アプサラスⅢの飛行速度を考えるとそれもまた難しい。
結果として、やはりグフ・フライトタイプが護衛のMSとして最適だという事になる。
そもそもの話、グフ・フライトタイプが必要なのは接近してきた敵に対処する為だ。
戦闘機や戦闘ヘリにそのような真似が出来るかと言われれば……出来ない事はないだろうが、向いていないのは間違いない。
もっとも、機体の大部分がルナ・チタニウム製の装甲である以上、生半可な攻撃でダメージを与える事は出来ないのだが。
「ふむ、なるほど」
俺の説明に納得した様子を見せるティアンム。
とはいえ、心の底から本当に納得したのかどうかというのは、また別の話だが。
ただ、表情に不満を出すような真似はしていない。
……俺とティアンムの会話を聞いていた上層部の何人かは、不満そうな表情を隠しきれずにいる者もいるが。
連邦軍でもジオン軍でもない第三勢力の存在が気にくわないのだろう。
連邦軍にとって、大きな収入源であった月を俺達に奪われたのが気にくわないと思っている者も多い。
また、異世界からやって来たという存在の俺達を不気味に思っている者もいる。
それ以外にも様々な理由で俺を嫌っている者が多いのだが……そんな中で、やっぱり一番大きな理由としては、月の一件だろう。
ただでさえ、宣戦布告をしたジオン軍は多くのコロニーを沈めている。
その上で月まで奪われたのだから、連邦軍……いや、連邦政府の税収は確実に下がる。
それ以外にも、月というのは連邦政府の政治家にとってはいい天下り先だったのが、それも丸々消えてしまった形だ。
連邦政府や連邦軍にとって、ルナ・ジオンやその後ろ盾となっているシャドウミラーに友好的な感情を抱けというのが、難しいのは間違いない。
……だからといって、それでこっちが何らかの対応をするつもりはないが。
「知っての通り、ルナ・ジオンはジオン公国にあるジオニック社、ツィマッド社、MIP社から結構な数の技術者を引き抜いている。いや、引き抜いているというよりも、向こうからこっちに接触してきているという表現の方が正しいな。そんな連中は当然のように手土産として色々と持ってくる訳で、アプサラスⅢの護衛をしているグフ・フライトタイプもそういう連中からもたらされた機体だ」
その説明に、ティアンムが微妙な表情を浮かべる。
分からないでもない。
連邦軍では苦労してジオン軍のMSを入手し、それを解析してガンダムを始めとしたMSを開発したというのに、ルナ・ジオン軍では向こう側からMSを持ってやって来るのだから。
「ともあれ、アプサラスⅢはこういう機体だ。メガ粒子砲は……ここで使うと、ジオン軍にその威力を知られてしまう可能性が高いから、止めておいた方がいい。ただ、ラサ基地での戦闘を見て貰えば、大体理解出来ると思う」
「……ふむ。この機体がラサ基地で使われた機体の後継機ということは、能力的にも以前の機体よりも高いと考えても?」
「それは保証する」
スペック上では、間違いなくⅡよりも性能は上だ。
もっとも、スペックは機体の性能を判別する重要な要素ではあるが、それだけで全てを分かった気になるのも、また愚かなのだが。
実際にザクとグフではスペック的にそう変わらないのだが、その性能を使いこなせばかなりの差が出る。
「なるほど、よく分かった。では、このアプサラスⅢという機体はオデッサ作戦に組み込んでもいいのだな?」
「それは構わないが、あくまでも俺達は手伝いだ。使い捨てにしようとしたりした場合、アプサラスⅢの砲口がどこを向くのか……それは、言うまでもないよな?」
「はっはっは。分かっている。そのようなつもりはない」
笑うレビルだったが、その近くにいる者の何人かは、あからさまに強張った表情をしている。
それを見れば、一体何を考えていたのかというのは、考えるまでもなく明らかだっただろう。
レビルを始めとした、オデッサ作戦に参加する連邦軍上層部にアプサラスⅢのお披露目を終えた後、アプサラスⅢはハワイに帰った……のではなく、まだワルシャワ基地にいた。
それも、ホワイトベースのすぐ側に。
何故このような事になってるのかと言えば、ギニアスがホワイトベースの見学を希望したから、というのが大きい。
連邦軍の秘密兵器と言ってもいいホワイトベースを、気楽に見せてもいいのか? という思いもあったのだが、レビルから許可を得たのでその辺は問題なかったりする。
ホワイトベースが連邦軍の機密であるのと同時に、アプサラスⅢもまたルナ・ジオン軍の中では機密である、というのも大きいのだろう。
「ほう、これがホワイトベースの中なのか。アイナ、どう思う?」
ギニアスがホワイトベースを見学しながら、隣を歩くアイナに尋ねる。
本来ならアイナの隣には恋人のガトーがいてもおかしくはないのだが、アプサラスⅢを置いてある場所で護衛もつけないという選択肢がないので、現在ガトーやノリスといった面々はホワイトベースの近くにあるアプサラスⅢの護衛をしている。
ホワイトベース隊の面々ならアプサラスⅢに手を出すような真似もしないだろうが、それ以外……レビル以外の連邦軍上層部ともなれば、何かをしてくる可能性は十分にある。
連邦軍の軍人にしてみれば、アプサラスⅢがどれだけの性能を持つのかというのは、ラサ基地攻略戦で十分に知っている。
それよりも性能が上がっているこのアプサラスⅢであれば、ジャブローの岩盤を貫く事が出来て、それで危険だと判断してもおかしくはない。
この場合、実際にルナ・ジオン軍が連邦軍と敵対しているかどうかというのは関係なく、ただ純粋にジャブローの岩盤を抜ける威力のメガ粒子砲を持つ兵器が存在するという点で、アプサラスⅢを敵視してもおかしくはない。
ましてや、アプサラスⅢがなければオデッサ作戦が成功しないのならともかく、元々アプサラスⅢなしでオデッサ作戦は行われる筈だったと考えれば、アプサラスⅢはなければないで構わないと、そう判断してもおかしくはない。
もっとも、そんな真似をすればジオン公国だけではなくルナ・ジオンまで敵に回す事になる以上、そうそう馬鹿な真似をするとも思えなかったが。
それでも中にはそんな馬鹿な真似をする奴がいたりもするので、ガトー達には念の為アプサラスⅢの護衛をして貰っている。
……ガトー本人も、連邦軍に対して色々と思うところがあるのは、間違いのない事実だし。
ジオン軍時代には、連邦の理不尽にかなり苛立っていたしな。
もし俺と接触するのがもう少し遅かったら、もしかしたらガチガチのギレン信者になっていた可能性も否定は出来ない。
「アクセル?」
と、不意にそんな声が聞こえてくる。
声のした方を見ると、そこには何かの書類を持ったシローとサンダースの姿。
どうやら、ブライトにその書類を提出でもしに行くところだったらしい。
シローは現在MS隊の隊長という役割を負っているのを考えると、その書類もその辺に理由があるものなのだろう。
「ブライトのところに行くのか?」
「え? ああ。ちょっとこの書類……を……」
最後まで言わずに言葉が途切れたのを疑問に思ってシローを見ると、シローはとある一点を見て動きを止めていた。
その視線の先にいるのは……
「あの、どうかしましたか?」
戸惑った様子でシローに声を掛けるアイナ。
アイナにしてみれば、まさかいきなり連邦軍の軍人にじっと見られるとは思いもしなかったのだろう。
その理由は分からないでもない。
ないのだが……シローは一体何でそんな真似をしたんだ?
単純にアイナに目を奪われただけか?
まぁ、アイナは美人という言葉に相応しい容姿をしている。
それでいてアプサラス計画のテストパイロットを自分から引き受けるような、そんな気の強さも持っている。
実際にもしガトーがいなければ、アイナを口説こうとした者は他にも大勢いただろうし。
だが、シローにはキキという恋人……候補がいる。
そんな状況でアイナに目を奪われるというのは、若干疑問だ。
いや、これが普通ならそうでもないんだが、シローの性格を考えると若干疑問だといったところか。
「えっと、いや……その、君は?」
アイナの問いに、シローは若干しどろもどろになりながらも答える。
アイナの着ているのがジオン軍の軍服ではなく、ルナ・ジオン軍の軍服だというのが、この場合は良かったのだろう。
ジオン軍に強い憎悪を抱くシローだけに、もしアイナがジオン軍の軍服を着ていた場合、このように友好的な接触にはならなかっただろう。
まぁ、今のシローの状況を友好的なと表現するのは間違ってるかもしれないが。
それでもここにキキがいなかったのは、シローにとって幸運だったのだろう。
「私ですか? 私はルナ・ジオンのアイナ・サハリンと言います。それで……」
「あ、ああ。その、俺はシロー・アマダ少尉……です」
最後にですとつけた辺り、微妙にアイナに対する言葉遣いをどうすればいいのか、迷っているといったところか。
さて、この2人……一体どうなるんだろうな。
アイナとガトー、シローとキキ。
このままだと、何とも複雑な四角関係になりそうだが。
あ、いや。でもアイナの方は普通にガトーを好きで、シローにはそういう感情を抱いていないのか。
シローの様子を見ると、アイナに一目惚れをしたといった感じだが。
だとすれば、シローの一方的な片思いで、こういうのは四角関係とは呼べない……のか?
そんな風に思いつつ、取りあえずこの場を収める為に俺は声を掛けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:690
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1522