こちらに向かって飛んでくる弾丸を回避しながら、スラスターを使いつつ前進する。
この前進しながら回避するというのは、何気に難易度の高い操作だったりする。
とはいえ、それはあくまでも今のUC世界のパイロットであればの話で、恐らく……本当に恐らくだが、将来的にMSの操縦がもっと一般的になれば、このくらいの事を出来る奴は幾らでも現れるだろうが。
向こうはまさかマシンガンを回避しつつ間合いを詰めてくるとは思わなかったのか、一瞬呆然とし……それが、今回は致命傷となる。
我に返ってビームサーベルを構えようとしたジムだったが、次の瞬間にはピクシーの突き出したビームダガーによってコックピットが貫かれた。
……と判定されて、模擬戦は終了する。
『模擬戦終了です。勝者はホワイトベース隊』
審判役をしていた士官がそう宣言し、向こうの小隊の面々もそれぞれ起き上がって開始した位置に戻り、軽く一礼する。
MSに一礼させるってのも、正直どうかと思わないでもないんだけどな。
まぁ、生身での模擬戦をやった後で一礼するのと同じようなものなんだろう。
『くそう、今回は勝てると思ったんだけどな』
映像モニタに表示されたのは、ベイト。
そう、今回の模擬戦の相手はバニング達の小隊だった。
難易度的には……どうなんだろうな。
普通ならこっちも3機1小隊で相手をするのだが、今回は特別ルールという事で、俺1人……つまり、以前俺が模擬戦をした時と同じだ。
とはいえ、あの模擬戦の後で既に何度か行われている模擬戦なのだが。
今回一番最後まで残ったのが、バニングの小隊の中でもベイトだった。
何気に、ベイトって操縦のセンスがあるんだよな。
いやまぁ、技量優先で集められた連邦軍のパイロット候補生にいたんだから、技量があるのは当然なのだが。
「腕は悪くなかった。ただし、咄嗟の時の判断力に問題有りだな。その辺は長く訓練をして、少しでも身体に馴染ませる必要がある」
この辺は、普通に身体を動かすのとあまり変わらない。
才能の有無で多少変わったりはするが、それでも結局のところ純粋に訓練を重ねるという事くらいしか出来ないのだから。
そういう意味では、ベイト……だけではなく、他の連中も訓練を重ねて戦いを潜り抜ければ、かなりいい線に行くのは間違いない。
『アクセルに言われてもな。ようやく追いついたかと思えば、しれっとその先に行ってるし』
はぁ、と。
無念そうに告げるベイトだったが、実際MS……いや、人型機動兵器に乗ってきた時間を考えれば、その辺はしょうがない。
「取りあえず今日は裸踊りは勘弁してやるから、ありがたく思え」
『今回は元々そういう約束はなかっただろうが。ったく、あれから結構大変だったんだぜ? モンシアのいる小隊って事で裏では裸踊り小隊とか言われて、隊長はピリピリしてるし』
だろうな。
これが、ジオン軍が攻めてこないような僻地にあるような基地でなら、そこまで話が広がるような事はなかっただろう。
だが、ここはワルシャワ。
連邦軍が行う一大反攻作戦における集合地点たる場所で、当然のように多くの者達が現在はここに集まってきている。
そんな場所で……例え模擬戦をやる為に郊外だったとはいえ、裸踊りをした上に、その映像が流出するなんて事になってしまったのだから、悪い意味で有名になるなという方が無理だった。
結果として、裸踊りのモンシアがいるという事で、ベイト達の小隊も裸踊り小隊といったように認識されてしまう。
その小隊を率いているバニングにしてみれば、とてもではないが許容出来る事ではないだろう。
……モンシアが色々と酷い事になってそうだが、その辺はモンシアをきちんと教育出来なかったバニングにも責任はあるという事で、我慢して貰うしかない。
「勝算が出来たら、また挑んでこい。そうすれば、また引き受けてやる。……もっとも、そう簡単に俺に勝てるとは思わないで貰いたいがな」
そう言い、模擬戦を終えて俺達はワルシャワ基地に戻るのだった。
「おう、アクセル。どうだった? まぁ、聞くまでもないと思うけどな」
模擬戦で使ったピクシーをホワイトベースの格納庫に戻し、報告書をブライトに出してから適当に歩いていると、そんな声を掛けられる。
声を掛けてきた相手が誰なのかは、それこそ考えるまでもなく明らかだ。
そう思って振り返ると……
「これは、また……」
かなり予想外の光景を目にして、そんな風に呟く。
実際、目の前の光景はそれだけ大きな印象を与えるのには十分だった。
何しろ、ヤザンがカツを肩車しているのだ。
ダンケルとラムサスも、それぞれレツとキッカを肩車しており、ホワイトベース隊の中でも好戦的というか、訓練に熱心なヤザンの小隊が見せる光景としては、明らかに予想外の光景。
こうして見た感じでは、とてもではないが似合わない光景と言える。
特にヤザンとカツは、相性的に決してよくないと思うし。
基本的に内向的なカツと、積極的なヤザン。
この2人なのだから……うん。まぁ、上手くいくとは思えない。
思えないのだが、こうして見た感じでは2人の相性はそう悪くないようだった。
もしかして、原作でもこの2人は仲良くなっていたのかもしれないな。
カツがヤザンに懐くといった感じで。
「どうした? 勝ったんだろ?」
「ああ、勝った。ただ、お前達の光景がちょっと予想外すぎてな」
「そうか? まぁ、こいつらは何を思ってか、こんな子供なのにホワイトベースに乗るなんて選択をしたんだ。見所はあるからな」
見所? うーん、こういう子供に見所って……いやまぁ、それも理解出来ない訳ではないが。
「そっちはモンシアとの再戦をまたやるんだろ?」
俺がバニング達の小隊と模擬戦を行っているように、ヤザンとモンシアも最初の模擬戦から何度か繰り返している。
だが、今のところは相変わらずヤザンの全勝となっていた。
なっていたのだが……モンシアも問題児仲間のヤザンに負けたままだというのは面白くないらしく、模擬戦が行われる度にヤザンに食らいつけるようになっていた。
この辺は、俺と模擬戦をやっているってのも関係してるんだろけど。
これは、ヤザンがまだ追いつかれていないのを褒めるべきか、模擬戦をやる度にその差を縮めていくモンシアを褒めるべきか。
正直なところ、微妙な感じがしないでもない。
ともあれ、モンシアも決して能力が低い訳ではない。
寧ろ、あそこまで問題児であるにも関わらずMSパイロットとして採用されたという事は、それだけ技量があるからこそだろう。
「ああ。けどモンシアの奴、模擬戦をやる度に強くなってきやがる。厄介な奴なのは間違いないな」
しみじみと呟くその姿は、カツを肩車していなければ、ある程度格好が付いたのかもしれないが。
「頑張れよ」
そう言い、俺はその場を立ち去ろうとしたのだが……
「って、ちょっと待て。俺がアクセルを呼んだのは、別に用事があったからだよ」
「……別の用事?」
「ああ。何日か前に、アクセルが陸戦型ガンダムを手配したとか何とか言ってただろ? それが今日これから届くんだってよ」
「随分と早いな。レビルにしてみれば、オデッサ作戦が始まるよりも前にこっちに機体を配備する必要があったということか」
これは、以前俺がレビルに頼んだ件だ。
これにより、綾子、フィリップ、サマナの機体は陸戦型ジムから陸戦型ガンダムに機種交換される事になる。
基本的に陸戦型ガンダムは、陸戦型ジムの上位互換と言ってもいい。
センサーの範囲だけでは負けているが、それ以外の能力では全て勝っている。
「そうなると、これでホワイトベース隊の陸戦型の機体はガンダムに統一された訳だ。ブルーディスティニーも外見は陸戦型ガンダムと変わらないしな」
実際には細かい場所とかはそれなりに違っているのだろうが、少し見た程度では、相当MSに詳しい者でなければ判別する事は出来ないだろう。
「陸戦型の機体って事なら、アクセルのピクシーもそうじゃないか?」
「……そう言われればそうか」
俺の乗っているピクシーも、分類上は陸戦型の機体なのは間違いない。
とはいえ、今回の一件はあくまでも性能の低い陸戦型ジムを陸戦型ガンダムに揃えるという意味である以上、俺のピクシーはその例に当て嵌まらないだろう。
純粋な性能として、ピクシーは陸戦型ガンダムの上位互換だし。
寧ろ今回の一件においては、陸戦型ガンダムではなくピクシーに統一した方が……という思いがない訳でもなかったが、ピクシーは非常に高価な機体である以上、そこまで無理は出来ない。
また、陸戦型ガンダムや陸戦型ジムと比べると、操縦性はかなりピーキーだというのもあり、もし大量に配備されても乗りこなすのに時間が掛かるだろう。
そんな風に考えると、やはりピクシーを陸戦型ジムや陸戦型ガンダムを使っている全員に配備するというのは無理がある。
連邦軍の国力を考えれば、無理をすれば出来ない事もないだろうが。
費用対効果的な意味で考えると、ちょっとな。
量産効果とかで安くなるにしても、ホワイトベース隊に配備するだけでは難しいだろうし。
「ヤザンも陸戦型ガンダムには興味あるのか?」
「あるのかないのかって聞かれれば、あるんだけどな。ただ、俺が知ってる限りだと陸戦型ガンダムはもう製造が中止されていて、この先は予備部品とかに困るようになるって話を聞く」
「あー、それはな。東南アジア戦線でも結構頻繁に聞いた、シローの乗っていた陸戦型ガンダムが代替機が来ないでEz8に改修されたのは、その辺が理由だしな。もっともEz8になったおかげで、性能が上がったんだが」
不幸中の幸いと言うべきか、メカニック達の頑張りが功を奏したといった感じか。
その辺は俺にもよく分からなかったが、ともあれ性能が上がったのは悪い事じゃない。
「ああ、その件もあったな。ともあれ、補充部品とかの入手が難しいというのは、ちょっとな」
ヤザンの説明には、十分に納得出来るものがあった。
ヤザンの場合が獣のようなという言葉が相応しい戦い方をするので、結果として機体の損傷とかも増える。
そのような戦い方をするから操縦が下手なのかと言われれば、その答えもまた否だ。
ヤザンの操縦技術は、それなりに高い。
この辺りは純粋に戦闘の仕方が関係してくるんだよな。
ともあれ、そういうラフと言ってもいい戦闘方法をするヤザンにしてみれば、補充部品に限りがある陸戦型ガンダムや陸戦型ジムというのは、今のジムよりも性能が高くても、出来れば遠慮したいところだろう。
「分かった。ホワイトベース隊の戦力が増えるのなら、俺としては文句はない。幸い、陸戦型ジムと陸戦型ガンダムは同一ラインで製造出来る機体という事もあって、操縦とかも殆ど差はないらしいしな」
「らしいな。……ああ、それで思い出した。陸戦型ガンダムの話じゃないが、連邦軍でジムキャノンってMSが開発されたらしい」
「……ジムキャノン? 名前からして、ガンキャノンと関係ありそうだが」
「正解だ。何でも、このホワイトベース隊でガンキャノンがかなり活躍したから、それを受けてジムにガンキャノンの要素を付け加えたらしい。かなりの数が製造されているらしい」
「……おい」
それってもしかして、俺の影響だったりしないよな?
俺が最初ホワイトベースに乗った時、ガンキャノンを操縦した。
それから大気圏に突入するまでの間に、ガンキャノンで相応の活躍をした。……してしまった。
連邦軍としては、ホワイトベースから戦闘データやそれに関する映像の類を回収していっている以上、当然のように俺がガンキャノンで活躍したデータも得た事になる。
それを見て、ガンダムの量産型であるジムにガンキャノンの要素を付け加えようと考えても、それは不思議な事ではない。
また、ガンキャノンに乗って活躍した……しているのは、カイも同様だ。
いや、戦闘経験の豊富な俺が活躍したのではなく、少し前までは素人だったカイがここまで活躍しているというのも、連邦軍がジムキャノンを量産しようとした理由なのか?
俺の件じゃなく、カイの件でなら俺としても反対はしない。
それは、あくまでもこのUC世界内の出来事で決定された事なのだから。
俺と接してカイの能力が増したという可能性は十分に考えられるので、必ずしもUC世界内の出来事とだけは言い切れないかもしれないが……その辺は、気にしすぎとなってしまうだろう。
「どうした? 俺が知ってる限りだと、ジムキャノンは結構高性能のMSらしいぜ。それ以外にも、ジムが色々と改修された機体ってのは開発されているらしい。……俺の機体も、出来ればそういう高性能機になって欲しいんだけどな」
カツを肩車したまま、ヤザンはそう言って獰猛な笑みを浮かべるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:690
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1522