当然と言えば当然、ある意味予想通りであったが、ブルーディスティニー2号機が連邦軍によって回収されるという事に、アルフは強い不満を示した。
とはいえ、アルフの階級が大尉でEXAMシステムの専門家であっても、連邦軍の上層部……大将や元帥といった、文字通り天の上の階級と呼ぶべき相手からの命令であると言われれば、それを拒否出来る筈もない。
そんな訳で、アルフは自分の中にある苛立ちを紛らわす為にも、現在は率先してMSの補給や整備、修理といった事をしていた。
「さて、それで……ニュータイプとしては、次にどんな戦いがあると思う?」
「止めて下さいよ、その言い方」
俺の言葉に、アムロは少しだけ不機嫌そうな様子を見せる。
アムロがニュータイプなのは間違いないのだが、本人はそれを快く思ってはいないのだろう。
とはいえ、セイラやクスコの件を思えば……そしてEXAMシステムを搭載した機体がアムロに襲い掛かったのを思えば、それでアムロをニュータイプだと思うなという方が無理だった。
「そうか? 自分の力をしっかりと認めれば、その能力は伸びるぞ」
俺の個人的な考えではあるが、シャアが地球に小惑星落としをやるかもしれないというのを考えると、それに対抗する人物だろうアムロにはしっかりと成長して欲しいという思いがあった。
原作のアムロよりも強くなっているのか、弱くなっているのか。
一応俺が模擬戦の相手をしているので、原作よりも強敵との戦いは豊富だと思うんだが……いや、シャアとの戦いを俺がやっていたりするので、プラスマイナスゼロか?
もしくは、実戦という極限状態で出番を奪っている以上、総合的に見てマイナスの可能性もある。
イフリート改との戦いでは、残念ながら俺が倒してしまったし。
それとも、本来ならユウが倒すはずだったのか?
この辺、EXAMシステムの性質を考えると、ユウとアムロのどっちが原作で戦ったのかは分からない。
「能力って……別に、僕はこの能力を自分で欲しかった訳じゃないですよ」
「そう言っても、既にある以上はどうしようもないと思うが?」
「それは……」
俺の言葉に、アムロは黙り込む。
実際、アムロの持つニュータイプ能力はアムロから消す事は出来ない。
そういう意味では、アムロはニュータイプ能力とずっと付き合っていく必要があった。
とはいえ、こういう能力というのは時間が経てば……成長すれば、自然と消えるという可能性も十分にある。
そういう意味では、消えるということに期待してもおかしくはないか。
「どうせあるのなら、その能力をもっと有効利用したらどうだ?」
「それは、この戦争が終わった後でも、連邦軍に残れと?」
アムロのこの言葉を聞く限りでは、現在のアムロは恐らくこの戦争が終わったら連邦軍を抜けるつもりなのだろう。
だが、アムロの能力を知っている連邦軍としては、そう簡単に手放すつもりはないと思う。
それこそ、下手に手放して連邦軍と敵対する勢力に所属されると困るだろうし。
その辺の事情を考えると、広告塔として使うか……もしくは、飼い殺しか。
あるいはそれ以外の待遇もあるかもしれないが、期待するのは難しいと思う。
「そこまでは言わない。ただ、アムロはかなりの活躍をした。それこそ、連邦軍の重要軍事機密のガンダムを操縦したりな。そうなると、連邦軍としてもアムロをそう簡単に手放すといった事は出来ない筈だ。……まぁ、アムロが月に来るなら、守ってやれるけどな」
「月に……?」
「そうだ。ルナ・ジオンを率いているセイラ……いや、アルテイシアといった方が正しいか。サイド7でお前の家に初めて行った時に俺と一緒にいた女だ。そのアルテイシアは、非常に強力なニュータイプ能力を持っている。それこそ、アムロよりも数段上のな」
実際にセイラのステータスを確認する事は出来ないが、もし確認出来ていれば、ニュータイプレベルが7とか8とか、そのくらいになっていてもおかしくはない。
場合によっては9という可能性もある。
その上、ニュータイプ能力によって相手が隠し事をしているとか、後ろめたい事を考えているとか、そんな感じで相手の考えを読んだりといった真似も出来て、ルナ・ジオンの運営にその能力はかなり役立っていた。
セイラがニュータイプだというのはそれなりに知られているので、後ろめたい何かがある奴は、セイラの前に出るといった事が出来なくなる。
そういう意味で、セイラは月の犯罪抑止の一躍を担っていると言っても、決して間違いではない。
犯罪抑止という一点で考えれば、それが一番相応しいのはやはりコバッタと量産型Wなのだろうが。
現在では月の首都たるクレイドル以外にもフォン・ブラウンを始めとして各種月面都市に存在している。
唯一配備が少ないのは、突撃機動軍が拠点としているグラナダだ。
とはいえ、それでも街中には普通に存在するのだが。
グラナダにある、突撃機動軍の基地の類には派遣していない。
量産型Wやコバッタがルナ・ジオンやシャドウミラーに情報を上げている以上、キシリアとしては入れる訳にはいかないという事だろう。
その辺は、以前ゴップに連邦軍でコバッタの導入について話をした時にも話題になった。
……軍事基地の大事な機密がこちらに筒抜けになるというのは、軍としては致命的なのだろう。
「ニュータイプ……」
「まぁ、この世界特有の特殊な能力というか、ジオン・ズム・ダイクンによれば人類の進化形らしいな」
人類の進化形という意味では、SEED世界のコーディネイターもまた、同様にそんな風に思っている者が多いらしい。
ただし、コーディネイターは子供が非常に出来にくいという難点を抱えているので、そのような状況で人類の進化形と言われてもな。
ニュータイプの方も、まだ本当に今になってアムロやセイラを初めとした者達が出て来たばかりであって、それが本当に将来的に人類の進化した形としてそうなるのかは、分からない。
「ともあれ、だ。もしアムロが本当にニュータイプとかに興味があるのなら、この戦争が終わったら月に来るといい。MSパイロットになるなり、趣味の機械弄りから技術者の道に進むなり、その辺はお前の好きな道を選べるだろうし」
そうアムロに言うのだが、俺としてはアムロにはMSパイロットとしてルナ・ジオン軍に入ってくれるのが一番助かる。
シャアの一件を考えても、アムロの技量を高めておくに越した事はないし。
かといって、アムロに無理強いをして反発されるのもごめんだ。
この辺を上手い具合に誘導するには、やはり直接今のセイラと会った方がいいんだろうな。
とはいえ、それをするにはどうにかしてアムロを月に連れて行く必要がある訳で……
あ、そうだ。
ふと思いついたのは、ムッツリスケベのアムロを月に連れていく方法。
「ちなみに、月には美女、美少女が多くいるぞ? この戦争で活躍したアムロが来るとなれば、そういう女達もアムロに興味を持つだろうな」
「え?」
俺の口から出た言葉が予想外だったのか、アムロの視線が俺に向けられる。
俺が知ってる限りでも、アムロはホワイトベースにいる何人もの女に好意を抱いている。……全員がアムロに異性として興味を持つ事はなかったが。
そんなアムロにとって、美女や美少女が大量にいるという月は魅力的に映るに違いない。
もっとも、その女達がアムロに興味を持つのは、男としてではなく凄腕のパイロットだったり、ニュータイプとしてだったりという可能性も高いのだが。
言わば、一種のハニートラップだな。
ただ、アムロの魅力が高ければ、最初はハニートラップであっても、最終的には本当に結ばれるという可能性も……うん。否定は出来ない。
アムロにそれだけの甲斐性があるかどうかで、またその辺の話も変わってくるのだろうが。
「まぁ、アムロがどうするのか。それを決めるのは、結局誰でもないアムロだ。これ以上は俺からは何も言えないな」
「……分かりました」
不承不承といった感じではあったが、アムロは俺の言葉に納得したように頷く。
さて、この戦争が終わった時、アムロがどんな選択をするのか。
それを楽しみにさせて貰うとしよう。
「じゃあ、俺はそろそろ戻るぞ。いつまでもアムロと話している訳にもいかないしな」
これ以上月に来る事を勧めてもアムロが不審に思うだけだと判断し、引き上げる。
実際にはアムロと話す以外にも色々とやるべき事があった……というのが、この場合は大きいのだが。
何だかんだと、最近は結構ピクシーを酷使してるしな。
そっちの方にも少し目を向けておいた方がいいのは間違いない。
何だか少し不満そうな表情を浮かべているアムロをその場に残して、俺はピクシーの整備を担当しているメカニックに声を掛ける。
「ピクシーの様子は? ニムバスとの戦いでは、結構機体を酷使したから、少し気になるんだが」
「え? ああ、それは問題ないですよ。多少損耗がある程度ですが、致命的なものではありません」
「……多少、か」
「はい。元々ピクシーは高機動型のMSなので、アクセル代表の操縦技術とピタリと合った形かと」
「あー……うん。まぁ、そんな感じだろうな」
実際にはピクシーに負担を感じさせないように、かなり枷を嵌めた状態で操縦していた、というのが事実だ。
だが、今の連邦軍のMS関連の技術を考えれば、それが精一杯なのも間違いのない事実だった。
この先、MSに関係する技術が熟達してくれば、もう少し何とかなるかもしれないが……それでも俺が本気を出すのに十分なMSというのが作られるかどうかと言えば、正直難しいだろう。
少なくても、10年、20年といった程度では無理だと思う。
とはいえ、これはUC世界の技術を馬鹿にしてる訳ではなく、純粋にステータスという能力を持つ俺の実力が圧倒的すぎる、というのが大きい。
実際に今まで全くストレスなく俺の反射神経についてくる事が出来た機体は、T-LINKシステムを使っているニーズヘッグだけだ。
このT-LINKシステム以上の操縦システムが生み出されれば、あるいは……とそう思わないでもないが、ニーズヘッグで使われているT-LINKシステムは、俺の持つレベル11という本来なら有り得ないレベルの念動力を最大限に発揮する為に開発されたシステムだ。
もしこのUC世界で似たようなシステムを作るとなれば、それは恐らくニュータイプに対応した操縦システムになる筈だ。
フラナガン機関辺りが、その辺を開発していても驚きはしない。
そのフラガナン研究所は俺が潰したので、生き残りが今どこかでその辺のシステムを研究している可能性は十分にあるし。
……とはいえ、目立つ場所で研究をしていれば、また俺達が行く以上は今まで以上に極秘裏に研究をしているんだろうが。
「アクセル代表? どうしました?」
「ん? ああ、いや。何でもない。ふと、ピクシーにEXAMシステムを搭載すれば、もの凄い強力なMSになったと思ってな」
メカニックの言葉に誤魔化すように言うが、それは決して出鱈目ではない。
実際に、以前から疑問に思っていた内容であるのは、間違いないのだ。
陸戦型ガンダムにEXAMシステムを搭載しただけであれだけの性能を発揮するのだから、陸戦型ガンダムよりも性能の高いMSに何故EXAMシステムを搭載しなかったのか。
それこそ、俺のピクシーなんかはEXAMシステムを搭載するのに最善だと言ってもいい。
……とはいえ、そうなったらそうなったで、また色々と問題があるのかもしれないが。
このピクシーにしても、ゴップやレビルが俺に仕事を依頼する為の報酬として製造したMSだと言われれば、納得するしかないのだから。
「ああ、そう言われればそうですね。ですが、EXAMシステムはいずれ量産型のMS……それこそ、ジムとかにも搭載する予定だったと考えれば納得出来るのでは?」
「そういうものか? ……まぁ、そういうものか」
EXAMシステムを開発したクルストが何を考えていたのかは分からない。
だが、EXAMシステムを必要とした連邦軍の上層部にしてみれば、メカニックが言う通り、将来的にはEXAMシステムを量産して全てのMSに搭載したいと考えてもおかしくはない。
そうなると、陸戦型ガンダムというのは量産されている機体でありながら、機体性能もかなり高い。
……なるほど。その辺りが理由となって、陸戦型ガンダムにEXAMシステムが搭載される事になったのかもしれないな。
本職だけに、その内容も納得出来るものだった。
もっとも、それが本当なのかと言われれば、そうとは限らない訳だが。
「EXAMシステム……結局全容が判明する前にクルストが死んだのは、残念だったな」
フラナガン機関の残党という事で、正直なところ見つければどんな反応をしたのかは分からない。分からないが……それでも、やはり現在の状況を考えれば、惜しい事をしたと、そう思うのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:705
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1525