転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2449話

 ピクシーでの出撃準備はすぐに終わる。

 実際に消耗しているのは推進剤くらいだったので、その推進剤を補給すればそれで終わりなのだ。

 ……この補給をするのがホワイトベースであれば、結構な長距離を移動したという事で機体のチェックも必要だっただろう。

 だが、ミケーレの手の中とも言えるこの場所で機体のチェックをしようとは、到底思えなかった。

 それこそミケーレが何らかの手柄を求めてピクシーに細工をしたり、もしくはとち狂ってピクシーを奪ったりしようと考えないとも限らない。

 ミケーレとは先程会ったばかりだったが、自分の手柄の為なら何をしてもいいという、そんな考えを持っているように思えた。

 ……その辺を詳しく考えれば、それこそ推進剤の補給も止めた方がいいのかもしれないが、そこまでは贅沢を言えない。

 それにミケーレも、ホワイトベース隊がレビルの直轄だと知っている以上は迂闊な真似は出来ない……と、そう思いたいところだ。

 

『推進剤の補給、終わりました!』

 

 そんな通信の声が聞こえてくる。

 さて、ピクシーの補給も完了した事だし、ダブデを撃破しに向かうとするか。

 この戦場にはアリーヌがいる。

 この世界の原作において、この戦いがどのような流れだったのかは分からないが、パターンで考えれば、この戦場にはアリーヌを裏切った恋人がいてもおかしくはない。

 それも、恐らくは……ダブデに。

 勿論、それはあくまでも可能性というか、そんな感じの事ではあるし、実際にそうなのかどうかは分からない。

 それでも、恐らくはそうだろうという予想がある。

 それともう1つ気になる事は、刈り取る者だろう。

 この戦場に向かう途中……そしてこの戦場にやって来てから、刈り取る者が妙に反応しているのだ。

 何故このMSのある世界で、ファンタジーの住人である刈り取る者が? と、そう思わないでもない。

 だが、実際に刈り取る者が反応しているのも、間違いのない事実。

 この世界にも、全くその手の……いわゆるファンタジー系の存在がない訳ではない。

 ニュータイプ能力なんて、典型的な例だろう。

 だが、それでも今まで刈り取る者がセイラやアムロ、それ以外のニュータイプに反応するような事がなかったのを考えると、その辺には若干疑問を感じないではなかったが。

 

「分かった。ピクシー、出撃する」

 

 そう告げ、カタパルトデッキに……と思わないでもなかったが、ここにはそのような物は存在しない。

 大人しく、走って戦場に向かう。

 うん、やっぱりダラニが欲しいな。

 ダラニではなくても、ジオン軍からドダイを奪って使うといった事はしてもいいと思う。

 空を飛べるというのは、それだけ大きな意味を持つ。

 あるいは、いっそホバー移動出来るMS輸送機とか。

 そんな事を考えながら進んでいる間に、戦場に突入する。

 とはいえ、戦場に突入はしたが、ここはまだ連邦軍の本陣からそう離れていない。

 当然のように、そのような場所で戦闘が起こるといった事は心配しなくてもよかった。

 ……勿論、それはあくまでも今の状況であればの話だ。

 もし連邦軍が敵に向かって押されるような事にでもなったりすれば、この辺りでも戦闘になったりするだろうが。

 ピクシーが進む途中には、いつ敵が攻めて来てもいいように、塹壕の中に61式戦車が半ば埋まっているような状況にもなっていた。

 そんな61式戦車は、後方から近づいてくるMSがいる事に気が付きはしていたのだろうが、過剰に反応するような事はなかった。

 連邦軍系のMSとジオン軍系のMSは、結構特徴が違うからな。

 初めて見るMSであっても、ピクシーはガンダム系のMSだというのは、分かるのだろう。

 陸戦型ガンダムとか、何気にそれなりに有名みたいだし。

 ともあれ、ジオン軍のMSはザク、グフ、ドム、イフリートもそうだが、基本的に機体の外見が曲線的な形が多用されている。

 それに比べると、連邦軍のMSはガンダム、ジム、ガンキャノン等々、直線的な外見の特徴を持ったMSが多かった。……ガンタンクとかは微妙に曲線っぽい感じがしないでもないけど、ガンタンクは色々と例外だろう。

 キャタピラとかあるし。

 ……あ、でも陸戦強襲型ガンタンクが活躍しているだろうこの戦場の事を考えると、もしかしたらここにはピクシーじゃなくてガンタンクを持ってきた方が、連邦軍としても受け入れやすかったのかもしれないな。

 そんな風に思いつつ戦場を進むと、やがて映像モニタに戦っている相手が見えてくる。

 陸戦強襲型ガンタンクが戦場を縦横無尽に走り回りながら、敵に向かって次々と攻撃を命中させている。

 低反動キャノンやミサイル、地雷の類をその場で落として敵にぶつけて命中させるといった攻撃をしたり、ジオン軍の歩兵に対して火炎放射器を使ったりといった真似もしていた。

 当然のようにジオン軍も一方的にやられ続けている訳ではない。

 ザクやグフがそれぞれに攻撃を行ってはいるのだが、陸戦強襲型ガンタンクの性能か、それともアリーヌ達の技量が高いのか、それらの攻撃はほぼ全てが回避されていた。

 ドムでもいれば、まだ機動力で相手になったかもしれない。

 だが、ドムの姿はこの戦場にはない。

 今まで俺達がドムを優先して倒していた為に、ジオン軍にドムの余裕はそこまでない……というのもあるのだろう。

 勿論、俺達が倒しただけでドムの全てを撃破したとは思えない。

 ジオン軍にしても、別にここだけが戦場という訳ではないのだ。

 オデッサを包囲するような感じで、幾つもの戦場が存在していた。

 そのように存在している戦場においては、この戦場よりも重要度が高い場所……連邦軍に奪われるのは絶対に避けたい場所というのもある筈だ。

 そう考えれば、ジオン軍がそのような戦場により精鋭を送ってもおかしくはない。

 そういう意味では、アリーヌ達は運がよかったのだろう。

 

「アリーヌ、聞こえるか?」

『これは……ボスかい?』

「いや、だからその呼び方は止めろ。公の場ではない限り、アクセルで構わない」

『そうは言ってもね。……なら、取りあえずそう呼ばせて貰うよ。それで、アクセルは何をしにここに?』

「ダブデで手こずってるんだろ? それに業を煮やしたミケーレが、連邦軍に援軍を派遣するように頼んだんだよ。それで、俺が来た訳だ」

『ふん、なるほどね』

 

 こうして俺と会話をしながらでも、アリーヌは陸戦強襲型ガンタンクを自由自在に操縦してジオン軍に大きな被害を与えていた。

 個としての能力も高いが、部下の男2人との連携も上手い。

 囚人部隊という事は、あの2人も当然のように囚人なんだろうが……囚人の中にも、高い能力を持った奴がいるという事か。

 もっとも、本人がそれを嬉しがるかどうかというのは、また別の話だろうが。

 

「そんな訳で、俺はダブデを攻撃する。お前達はその調子でジオン軍の注意を引き付けてくれ。ダブデに近づく事が出来れば、こちらとしては敵に大きなダメージを与えられる」

 

 そう言いはしたものの、実はダブデに近づくのはそこまで難しい話ではない。

 ダブデの武器は主砲の砲門が2つに、近接戦闘用だったり、対空砲火だったりする機関砲が複数。

 ミケーレを含めてこの戦場の連邦軍を苦戦させていた最大の理由は、その主砲の大型砲門が2つだ。

 遠距離からの攻撃、それもビームではないが高い威力を持つ実弾兵器。

 それが、次々に降り注ぐ事によって、連邦軍は思うように戦場で動けなかった訳だ。

 

『気をつけるんだよ。今は1隻だけど、少し前は2隻いたんだ。何らかの理由で前線からは下がったけど、ジオン軍が不利になればまた出て来るかもしれない』

「2隻目のダブデか。その辺の情報は貰ってなかったな」

 

 ミケーレが意図的に情報を渡さなかったのか、それとも普通に忘れてただけなのか。

 ともあれ、この件は後でブライトを経由してレビルに知らせておこう。

 ……連邦軍の全員が善良な性格をしているとは思わないが、それでも今回の一件は正直微妙だと言ってもいい。

 もしここに来たのがヤザン達の小隊であれば、ダブデ2隻を相手にするのは難しかった筈だ。

 というか、ぶっちゃけピクシーであってもダブデを撃墜するのは難しい。

 俺の操縦技術云々という理由ではなく、純粋にピクシーの火力不足で。

 ビームスプレーガンはあるが、収束モードで撃ってもMSのような大きさであればまだしも、ダブデをどうにか出来るかと言われれば、それもまた難しい。

 それ以外の武器は、そもそも論外だ。

 そうなると、一番確実なのはダブデのブリッジをビームスプレーガンで破壊していくという感じだろうが……それはそれで難しいんだよな。

 ブリッジは1つだけではないし、それ以外にも予備のブリッジがあってもおかしくはない。

 また、ブリッジを撃破しても個々に砲台にいたりする可能性も考えられる以上、簡単にどうこうはできなかった。

 

「取りあえず、話は分かった。……そっちも気をつけろよ」

『勿論。あいつを殺すまでは、絶対に死ねない』

 

 アリーヌのその言葉が何を意味しているのかというのは、俺にもすぐに分かった。

 自分を裏切った恋人の一件だろう。

 個人的に、復讐という行為を否定はしない。

 よく綺麗事を口にするような奴がいるが、そういう奴の家族、恋人、友人といった者達全てを殺されたりしたらどうなるか。

 俺の予想では、間違いなく復讐を望むようになる筈だ。

 そんな状況でも復讐を望まず、復讐というのは無意味なので相手を許すという奴がいれば、素直に感心はするが。

 

「そうか。見つけたら連れていくから、この戦場にいるように祈っててくれ」

 

 アリーヌから聞いたり、以前MPから見せて貰った書類によると、元恋人のクライドはMSの操縦技術だったり、歩兵としての訓練を受けている訳ではなく純粋な技術者だ。

 それを思えば、もしクライドがいるとすれば、ダブデの中の可能性が高い。

 ……もっとも、この戦場にいるのなら、の話だが。

 ともあれ、アリーヌとの通信が切れると、俺はダブデを眺める。

 火力不足のピクシーだと、やっぱりブリッジの破壊か?

 そう思いつつ移動していると、やがてジオン軍の方でもピクシーの存在に気が付いたのか、こちらに砲弾が飛んでくる。

 ザクかグフの攻撃か? と一瞬思ったが、映像モニタに映し出されたのはマゼラアタックの集団。

 まぁ、連邦軍が61式戦車を使ってるんだから、ジオン軍がマゼラアタックを使ってもおかしくはないよな。

 マゼラアタックは、アイディアそのものは決して悪くはないんだが、それをやるには技術力が絶対的に足りない。

 またマゼラトップが空中に浮かんでしまえばマゼラベースの方は、持ってる武器が弱すぎて的にしかならない。

 ……マゼラトップは、ザクの武器になったりするだけあって攻撃力が高いんだけどな。

 ルナ・チタニウムの装甲を抜けるかどうかは、微妙なところだが。

 ともあれ、それが分からなくても敵の攻撃を受けるのは色々と面倒なので、敵の砲撃を回避しながら前に出る。

 こちらに向かって次々に発射される砲弾だったが、ピクシーの機動力に追いつける程ではない。

 真っ直ぐにマゼラアタックに向かうが、その速度にマゼラアタックは狙いを定める事が出来ない。

 イフリートやドムといったMSと模擬戦をやっていれば、話は別だったかもしれないが……この辺は、正直なところどうしようもない。

 マゼラアタック隊も、自分達だけではどうやってもピクシーに勝てないと判断したのだろう。

 こちらに向かって攻撃は続けているが、後退しながらの行動となっていた。

 後退しながらでも射撃が出来るというのは、それなりに腕が立つという事だろう。

 実際に敵の攻撃は、こちらが普通に動いていれば命中してもおかしくはないような、そんな攻撃だったのだから。

 

「けど……ピクシーを相手にするには、機体性能が圧倒的に違いすぎたな」

 

 呟き、後退するマゼラアタックに追いつくと、90mmサブマシンガンとビームスプレーガンをそれぞれ持ちながら、トリガーを引く。

 MSを相手にした場合はあまり攻撃力が期待出来ない90mmサブマシンガンだが、マゼラアタックを相手にした場合は十分にその能力を発揮出来る。

 放たれた弾丸と拡散されたビームは、次々にマゼラアタックの装甲を貫いていく。

 特にマゼラトップの部分は、空を飛ぶ必要がある以上、どうしてもその重量は軽くする必要があり、防御力は弱い。

 かといって、こちらの攻撃を回避出来る運動性や機動性もある訳がなく……マゼラアタック隊5台はあっさりとピクシーによって餌食となった。

 さて、これ以上敵に見つかるよりも前に……そう思った瞬間、再び刈り取る者の様子がおかしくなる。

 何だ?

 そう疑問に思ったが、ともあれ今はまずダブデを落とす事を最優先にし……そのまま真っ直ぐ、ダブデに向かって移動するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:730
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1530

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