転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2451話

 俺がミケーレの相手をしている間にも戦いは続き、やがてジオン軍はこの地を放棄する事を決定して撤退した。

 そんなジオン軍を見てミケーレは追撃するようにと命令をしたが、結局それが実行に移される事はなかった。

 当然だろう。

 ジオン軍が身も蓋もなく全力で撤退をしているのならともかく、今回は違う。

 まだ戦力を残している状態で、整然と撤退しているのだ。

 そのような状況で追撃をした場合、反撃を食らうのは間違いない。

 それもただの反撃ではなく、致命的なまでの一撃だ。

 俺がダブデのブリッジを破壊した後で、何故ジオン軍がすぐに撤退しなかったのかと若干疑問だった。

 主砲が使えなくてもダブデは健在だったことから、ダブデが攻撃されたと気が付かなかった者もいるだろう。

 だが、それが全てとは思えない。

 そう思っていたのだが……ダブデがジオン軍と共に撤退を始めたのを見て、その理由に納得した。

 つまり、ジオン軍はダブデを修理していたのだろう。

 とは言っても、最低限移動可能にする程度の修理だが。

 ブリッジが破壊された状況で、一体どうやってダブデを動かしているのかというのは、俺にも分からない。

 分からないが、それでもああして移動しているのを見れば、どうにか修理は完了したのだろう。

 もっとも、ダブデのブリッジを破壊したとはいえ、それは文字通りの意味で消滅させたという訳ではない。

 90mmサブマシンガンをブリッジに撃ち込んだだけだ。

 場合によっては、ブリッジの機能が死んでいない場所があってもおかしくはなかった。

 ともあれ、ダブデを含めてジオン軍が撤退し……現在は連邦軍も次々とこちらに向かって戻って来ていた。

 当然のように戻った部隊の中にはアリーヌ率いる陸戦強襲型ガンタンクの姿もあり、俺はそちらに向かう。

 アリーヌ達は現在もまだ囚人という扱いなのか、それとも釈放されてはいるが念の為なのかは分からないが、陸戦強襲型ガンタンクの整備や修理を行っている場所にはMPの姿もあった。

 アリーヌ達がこれからどうなるのかは分からない。分からないが、それでも俺としては現在アリーヌに用があるのは事実だ。

 そんな訳で、俺は真っ直ぐに陸戦強襲型ガンタンクの方に向かう。

 すると、当然のようにMP達は俺の姿に気が付く。

 

「アクセル代表!? どうしたんですか?」

「ちょっとアリーヌに用件があってな。借りるぞ」

「え? いや、しかし……」

 

 普通なら、MPもこんな風に戸惑った様子を見せたりはしない。

 だが、今回はMPの対応する相手が俺だという事が、この態度に繋がっていた。

 

「上の方と話はついてる筈だが?」

「それは……はい」

 

 俺の言葉にMPは渋々と頷き、ちょうどそのタイミングでアリーヌが陸戦強襲型ガンタンクから降りてくる。

 

「ボス?」

「だから、ボスじゃないって」

 

 俺の顔を見た瞬間にそう言ってくるアリーヌに言葉を返す。

 ボス呼ばわりは相変わらず変わらないな。

 まぁ、その辺はおいおい慣れていけばいいだろう。

 

「これからちょっといいか?」

「え? けど……」

 

 俺の言葉に、アリーヌはMPに視線を向ける。

 ここで自分がいなくなるような事をMPは許可しないと、そう思っているのだろう。

 まぁ、それは間違ってはいない。

 あくまでも普通の状況でなら、の話だが。

 

「安心しろ。この連中とは話がついてる。……だよな?」

「ええ、まぁ。……はい」

 

 視線を向けると、渋々ではあるがMPはそう答えてくる。

 MPとしては、やはり出来ればアリーヌを連れていくのは止めて欲しいと思ってるのだろう。

 だがそれでも、俺の言葉を断る事は出来ないと。

 

「……まぁ、ボスがそう言うのならいいけど。それで、どこに行くのかは分からないけど、こいつらも一緒でいいかい?」

 

 そう言い、アリーヌは部下2人に視線を向ける。

 この2人は、俺がアリーヌに取引を持ち掛けた時もいたか。

 けど……さて、どうしたものだろうな。

 今回の一件は、あくまでもアリーヌの個人的な問題についての話だ。

 それを考えれば、アリーヌと一緒にクライドのいる場所に連れて行ってもいいのかは、微妙なところだ。

 

「そうだな。……ちょっといいか?」

 

 そう言い、アリーヌを呼ぶ。

 俺の方に疑問の視線を向けながらも、アリーヌは俺に近づいてきた。

 そんなアリーヌの耳元で、周囲にいる他の者達には聞こえないよう、小さな声で口を開く。

 

「お前の元恋人、クライドがこの戦場にいたから捕らえてある」

「っ!?」

 

 俺の口から出た言葉は完全に予想外だったのだろう。アリーヌの視線が疑問の色から、一瞬にして鋭くなる。

 

「それは本当かい?」

「ああ。だから、こうしてお前を呼んだんだ。……で、どうする? お前の部下2人を連れていくかどうか。お前がそれで問題ないのなら、連れていってもいいけど」

「……構わないよ」

 

 少し考えたアリーヌだったが、やがてそう答えるのだった。

 

 

 

 

 

「……どこにいるんだい?」

 

 ミケーレの相手をしていた場所から、少し離れた林の中。

 そこでアリーヌは俺にそう尋ねる。

 その気持ちは分からないでもない。

 何しろ、クライドを見つけたといって連れ出したのに、ここには誰もいないのだから。

 騙したのか? と鋭い視線を向けてくるアリーヌ。

 自分を裏切った恋人に対する復讐心から、本来なら技術士官だったアリーヌは戦場に出て来て、あれだけの活躍をするまでになったのだ。

 実際、陸戦強襲型ガンタンクがこの戦場でした活躍はかなりのものだった。

 それこそ、ジムもそれなりに配備されていたのだが、そのジムよりも圧倒的に勝っていたのだ。

 場合によっては、連邦軍で陸戦強襲型ガンタンクの量産が検討されてもおかしくはないくらいには。

 とはいえ……実際に量産されるかどうかとなると、少し難しいだろうな。

 連邦軍としては、可能な限りジムでMSを統一したい筈だし。

 また、陸戦強襲型ガンタンクのデータがジオン軍に渡っているというのも問題だろう。

 

「落ち着け。これからすぐに連れていく。ただし、驚くなよ」

 

 そう言い、影のゲートを展開する。

 

「きゃっ!」

「うおっ!」

「なぁっ!?」

 

 影に沈む感触に、アリーヌには似合わないような可愛らしい悲鳴が上がる。

 それと同時に、他の2人からも驚きの声が上がり……俺を含めて4人が、そのまま影に沈んでいく。

 そして影に沈んだかと思えば、次の瞬間には俺達の姿は目的の場所……クライドが縛られている場所にあった。

 

「ほら、到着だ」

「え? ……ボス、今のは一体……クライド!?」

 

 影のゲートについて俺に聞こうとしたアリーヌだったが、少し離れた場所にいたクライドの姿に気が付き、その名前を呼ぶ。

 今まで気絶したままだったクライドだったが、そんなアリーヌの声で我に返ったのだろう。

 身動きをしようとして、自分が木に縛り付けられて、ろくに身動き出来ない事にようやく気が付く。

 同時に、アリーヌの姿にも気が付き、何かを言おうとするも猿轡のせいで言葉を口には出来ない。

 

「んんんんんんんんんっ!」

 

 アリーヌに何かを言おうとしている様子のクライドだったが、それが言葉になるような事はない。

 そして、アリーヌの部下2人は、アリーヌの言葉で木に縛られているのがクライドだと知り、睨み付ける。

 それでも直接手を出すような真似をしないのは、クライドを相手にするのは自分達ではなくアリーヌだと理解しているからだろう。

 そんなクライドに向け、アリーヌが歩みを進めて行く。

 クライドの前に立つと、何を言うでもなくじっとクライドを見つめる。

 ……いや、何を言うでもなくではなく、何かを言おうとしても言葉にならないという表現の方が正しいか。

 

「クライド……何か言おうと思ってたんだけどね。ただ、あたしを裏切った事だけは許せない。……許せないんだよ!」

 

 そう言い、拳を振り上げるアリーヌ。

 本来なら拳銃とかを武器にしてもおかしくはないのだが、アリーヌの立場を考えれば、拳銃の類を持たせる事は出来ないのだろう。

 だからこそ、その握り締めた拳をクライドに叩きつけようとして……不意に、俺の影の中にいた刈り取る者が姿を現す。

 

「おい?」

 

 クライドを殴ろうとしていたアリーヌも、そして殴られようとしていたクライドも、アリーヌの部下2人も、俺の方を……正確には俺の隣にいる、いきなり姿を現した刈り取る者に視線を向けていた。

 だが、突然俺の影から姿を現した刈り取る者は、不意にその手に持っていた拳銃……銃身が非常に長い拳銃の銃口をあらぬ方に向け、トリガーを引く。

 1発、2発、3発、4発。

 そんな風に空中を撃つ刈り取る者だったが……

 

『きゃああああああああああああ』

 

 不意に、どこからともなく、そんな女の悲鳴が聞こえてくる。

 一体何だ? と周囲の様子を確認すると、一瞬……本当に一瞬だけだったが、空中に女の姿が浮かんだかと思うと、苦悶の表情を浮かべたままで姿を消す。

 今のは一体……何だ?

 周囲を見ると、今の悲鳴はアリーヌ達にも聞こえていたらしく、慌てた様子で周囲を見ている。

 一体今の声はどこから聞こえてきたのか。

 それを知りたいと思っての行動だろう。

 だが、俺でも相手を見つける事が出来なかったのだから、その手の能力……いわば、ファンタジー系の能力を持っている訳でもないアリーヌ達に、その辺が分かる訳もない。

 アムロのようにニュータイプ能力を持っているのなら、もしかしたら見つける事がで来たかもしれないが。

 

「ボス、今のは一体?」

「何だろうな。ただまぁ……刈り取る者が反応していたのは、そういう事だった訳か」

 

 今日に限って、刈り取る者が騒いでいた理由は今の声の持ち主だったのだろう。

 声からして、女なのは間違いないだろうが……

 にしても、このUC世界にファンタジー系の存在はニュータイプしかいないと思っていたんだが、それ以外にもいたんだな。

 そんな風に思いながら刈り取る者に視線を向けると、向こうは俺の視線を受け、そのまま再び影に沈んでいく。

 

「一体……」

 

 アリーヌの部下の片方が、とてもではないが自分の見た光景を信じられないといった様子で、視線をこちらに向けてくる。

 だが、俺はその視線をスルーした。

 あの声の主は、アリーヌとクライドの一件に関わっているように思えたが、それはあくまでも恐らくの話だ。

 ここでその一件を口にしても、恐らく……本当に恐らくはの話だが、素直に信じるとは思えない。

 いや、それとも刈り取る者をその目にしたという事は、信じる可能性もあるのか?

 ……とはいえ、面倒な事になるのは分かっている以上、ここで手を出す必要も特にはない。

 

「さて、特に何もなかった訳だが……」

「ちょっと、ボス。それは幾ら何でも無理じゃないかい?」

 

 アリーヌが呆れたように俺にそう言ってくる。

 あまりに常識外の出来事があったからか、クライドに向かって抱いていた怒りもどこかに消えてしまったらしい。

 とはいえ、それも分からないではない。

 いざこれから恨みを晴らそうとしていたところで、いきなりのファンタジー要素だ。

 これで先程までのテンションそのままでいろという方が無理だろう。

 とはいえ、そのテンションが下がってしまっているのは、あくまでも一時的なものだ。

 ここでそれを解放しないと、後で一体どういう事になるのやら。

 

「どうだろうな。お前達が何を見たのかは、俺には分からない。けど、もしかしたら、それが今のお前達の状況に関わっている可能性はあるかもしれないな」

 

 刈り取る者やさっきの声の主について誤魔化すように言ったのだが、もしかしたら……本当にもしかしたら、それは有り得る事じゃないのか?

 具体的に何がどうなってそうなったのかというのは分からないが、可能性としては否定出来ない筈だ。

 

「え?」

 

 アリーヌが、俺の言葉に不思議そうな視線を向けてくる。

 喋る事が出来ないクライドも、何があったのかといったように視線をこちらに向けていた。

 さて、そんな状況の中で一体何があったのかは、本当に気になるところではある。あるのだが……さて、現状を一体どうしたものやら。

 ともあれ、誤魔化すように言ったことが本当かどうか……もしくは、何故クライドがアリーヌを裏切ったのかといった事を、しっかりと話し合って貰えばいい。

 

「取りあえず、お前達はここで話した方がいい。それでアリーヌがどうしても我慢出来なかったら……」

 

 そこで一旦言葉を止めると、空間倉庫の中から拳銃を取り出す。

 この拳銃はどこで手に入れたのか……ジオン軍? もしくは他の世界か?

 ともあれ、空間倉庫の中に入っているという事は、普通に使える拳銃だと考えて間違いない。

 その拳銃をアリーヌに渡す。

 

「それを使えばいい。……どう判断するのかは、お前次第だ」

「……ボス……」

 

 何とも言いがたい表情でこちらを見てくるアリーヌに軽く手を振り、俺はアリーヌの部下の男2人を連れてその場を離れるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:735
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1531

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