アリーヌ達とHLV打ち上げ場で別れた後、当然のように俺はオデッサに戻ってきた。
ミケーレに一応話をしておく必要もある為だ。
……とはいえ、今回の一件は間違いなくミケーレが騒ぐというのを考えると、面倒だという思いがない訳でもなかったが。
それでも事情を話さなければならない。
そんな訳でやって来たのだが……
「ん? ああ、戻ってきたのか」
予想外。
あまりに予想外の言葉が、俺に掛けられる。
てっきりアリーヌ達を勝手に連れていき、それでいながら戻って来たのは俺が1人という事で、不満を爆発させるものだとばかり思っていた。
だというのに、ミケーレは俺に興味がない……いや、上機嫌でそこまで気にした様子もないのか? そんな感じで、俺を一瞥すると満足そうに部下と話す。
「ジオン軍が撤退して、ここを無事に占拠出来たのが手柄として上に認められて、満足してるんですよ」
ミケーレの部下の1人が、俺を見てこっそりとそう告げてくる。
なるほど。
手柄として認められたというのは、ミケーレにとってそれ程に嬉しかったのだろう。
それは別にどうでもいいのだが、そのおかげでアリーヌの事を気にした様子がなかったのは、俺にとっても幸運だった。
「そうか。じゃあ、俺はホワイトベースに戻るけど、構わないな?」
「ああ、好きにしろ」
返ってきたのは、その言葉だけ。
やっぱり運がよかったな。
ともあれ、これ以上ここに残って、ミケーレに絡まれるのはごめんだ。
そんな訳で、俺は再びピクシーを空間倉庫から取り出して、乗り込む。
移動するなら影のゲートで移動すればいいのでは? と思いもするが、ジオン軍の兵士がいるのなら、出来るだけここで潰しておきたい。
オデッサ作戦では連邦軍とジオン軍の双方に一定の消耗をしてもらうのが、月としては最善の結果だ。
それは分かっているが、連邦軍が制圧した部分に侵入している者が行うとすれば、それは当然のように破壊工作や奇襲、暗殺……といった、その手の攻撃だろう。
だとすれば、そんな状況でどのような相手を狙うのか。
普通に考えれば、連邦軍で獅子奮迅の活躍をして、ジオン軍の有利な場所に現れてはそれをひっくり返していくホワイトベース隊だろう。
間違いなく、現在の連邦軍においては最強の戦力である以上、それを潰すといった事をジオン軍が躊躇う筈がない。
ましてや、俺達ホワイトベース隊はジオン公国の中でも高い人気を持っていたガルマを殺した相手とされている。
実はハワイでイセリナと同棲し、半ば新婚生活と言ってもいいような日々を送っているというのを知っているのは、俺を含めて少数だ。
その辺の事情を考えれば、やはり連邦軍の勢力圏内にいるジオン軍は倒した方がいい。
何より厄介なのは、ホワイトベースからの移動中に遭遇した者達だろう。
連邦軍の裏切り者なのか、それともジオン軍の兵士が連邦軍に化けていたのか。
その辺りの事情は俺にも分からなかったが、問題なのはリジーナを持っていた事だ。
歩兵でMSを倒すことが出来る武器。
勿論、相応に……いや、必要以上に危険な事になるのは間違いないが、それでも高い攻撃力を持っているのは間違いない。
そんな武器がホワイトベースに使われたりしたら、それこそ洒落にならない。
そうならない為には、やはりこうして移動中に敵を見つけて排除する必要があった。
とはいえ、ピクシーが移動出来る範囲というのは限られている以上、1機で行動しているMS……それもジムとは明らかに違うエース機に対して、向こうが攻撃してくれるのを待つしかないのだが。
ともあれ、ピクシーで移動しながらホワイトベースに通信を送る。
「ホワイトベース、聞こえているか? こちらアクセルだ。こっちの一件は片付いたから、現在ホワイトベースに向かっている」
そう通信を送るものの、残念ながらミノフスキー粒子の影響か返事はない。
俺が出撃した場所にホワイトベースがいるのなら、そろそろ通信が届いても構わない筈なのだが。
それが届かないということは、恐らく……いや、ほぼ間違いなく、ホワイトベースは場所を移動したのだろう。
とはいえ、それはあまり驚くべき事ではない。
そもそも話、俺だけがアリーヌ達が戦っていた戦場に援軍に向かったのは、同時に危なくなっている戦場が幾つもあった為だ。
それで手が回らないからこそ、一番機動力のあるピクシーが地上を走って移動するという事になった訳だし。
とはいえ、この状況でホワイトベースの位置が分からないというのは痛いな。
どうしたものか。
いや、本部の方に連絡を取れば分かるのか。
そんな風に思いながら進んでいると、少し離れた場所で何かの爆発が起きたのをピクシーのセンサーがキャッチする。
敵か?
リジーナを持っていた部隊の一件があるから、絶対に敵がいないとは限らない。
あの爆発が、敵か味方か。
その辺は俺にも正確には分からなかったが、それでもこの状況で放っておくという訳にもいかないだろう。
爆発があったのに、意図的に無視したなどという話が広まれば、色々と面倒な事になるだろうし。
それに、もしかしたら……本当にもしかたらだが、ホワイトベース隊のMSが苦戦しているという可能性も否定は出来ないのだ。
とはいえ、ホワイトベース隊のMSパイロット達はその多くが高い技量を持っている。
心配なのは、サマナとシローか。
サマナは本人の素質故か、どうしてもホワイトベース隊の中ではその技量が低い。
最近ではダンケルとラムサスにも抜かれつつあるし。
シローの方は、本人はもう大丈夫だと言ってはいるが、それを完全に信じられるかと言えば、微妙なところだろう。
ただ、これは別にシローがキキを嫌っているという訳では決してない。
善良というか理性的というか、常識的な性格をしているシローなだけに、まだ10代半ばのキキを抱いてしまったという事に、葛藤を感じているのだろう。
軍人の割に、その辺とかは結構生真面目だよな。
軍人というのは……特に前線にいる軍人というのは、死の恐怖と隣り合わせだ。
それだけに、常に強いストレスを感じており、それを発散させる為に異性関係は派手になる事が多い。
まぁ、シローも軍人とはいっても今まで最前線に出ていた訳ではない。
それこそ、俺と出会った東南アジア戦線が本当の意味での最初の最前線だろう。
実際、部下達には甘ちゃんとか、新品少尉さんとか、そんな風に言われていたみたいだし。
だからこそ、キキとの一件を割り切るような事は出来ないのだろう。
割り切って素直にキキとくっつけば、全てが丸く収まると思うんだが。
そんな風に考えながら、爆発音のした方に向かうと……
「陸戦型ガンダム?」
そう、俺が見たのは、連邦軍とジオン軍のMS部隊同士が戦っている光景だった。
ジオン軍はザクが3機にグフが2機。
ジオン軍の小隊編成だともう1機いる筈なのだが、その1機は地面に倒れているザクを見れば明らかだ。
そんなMS5機と戦っているのは、陸戦型ガンダムと陸戦型ジムが2機の合計3機のMS。
そんな状態でも敵を1機倒す事が出来た辺り、連邦軍側のMSパイロットの腕は間違いないのだろう。
とはいえ、陸戦型ガンダムって生産数が少なくて、部品調達にも困り始めているって話じゃなかったのか?
陸戦型ガンダムと陸戦型ジムを使っているという事は、もしかしてこの部隊ってイーサンの部下だったりしないだろうな?
一応シロー達をホワイトベースに乗せて点数稼ぎをしてはいるが、それでもラサ基地攻略戦で得られる筈だった手柄がなくなってしまったイーサンとしては、このオデッサ作戦にも参加して、少しでも多くの手柄を挙げるべく戦力を送ってきたとしても、おかしくはない。
さて、どうするか。
東南アジア戦線のMSパイロットなら、俺にとっても顔見知りではあるから、ここで見捨てるのは気分的によくない。
3対6の状況で既に1機を落としている状況だと考えれば、放っておいてもこの戦いを無事に終える事が出来るような気がしないでもないが。
ともあれ、そんな風に迷っていると不意に通信が入る。
『こちら、地球連邦軍第3独立機械化混成部隊第3小隊、デルタチーム所属のノエル・アンダーソン伍長です。そこのMS、どこの所属ですか?』
その通信を送ってきたのは、少し離れた場所のホバートラック。
迷彩色で周囲に溶け込むようになっているのを考えると、指揮車といったところか。
自分達が戦っている場所に突然現れたピクシーに対し、警戒しているといったところか。
とはいえ、ピクシーは見るからにガンダムの系譜で、連邦軍風のMSだ。
少なくても、ジオン軍のMS様式でない事は、見れば分かるだろう。
……それに、連邦軍の通信回線でこちらと繋がっている事も、俺が連邦軍の所属であるという事を示していた。
ともあれ、通信で聞かれた以上はこちらもしっかりと答える必要がある。
あるんだが……ホワイトベース隊の正式名称って何だったか。
ああ、そうそう。第13独立部隊か。
「こちら、連邦軍第13独立部隊のホワイトベース隊所属のアクセル・アルマーだ。火消しとして他の戦場に派遣されて、それが解決した後でホワイトベースに戻ろうとしたところで戦闘の光を見つけて様子を見に来た」
ホワイトベース隊に協力していても、現在の俺はあくまでも傭兵であって、連邦軍に所属している軍人ではない。
その場合でもホワイトベース隊所属と言ってもいいのかどうか迷ったが、幸いにして向こうはそんな事は気にしなかったらしい。
『ホワイトベース隊ですか!? ホワイトベース隊のパイロットが、何でこんな場所に……』
聞こえてくる、驚愕の声。
一応俺がここにいる理由は言ったと思うんだが、どうやら驚きで聞こえていなかったらしい。
とはいえ、向こうもそんな驚きはすぐに消え、ノエルと名乗った女は勢い込んだように口を開く。
『可能であれば、こちらの援軍をお願いします。敵の数を考えると、現状の戦力では……』
苦しい、と。
それは分かったので、どうするか考え……ここまで来た時点で、見捨てるといった真似は出来ないと判断し、頷く。
「分かった。ただ、こちらも戦闘を終わったばかりで弾薬や推進剤、エネルギーにそこまで余裕がある訳じゃない。過度な期待はしないでくれよ」
一応、そう告げておく。
ミケーレのところで補給してくればよかったのかもしれないが、アリーヌ達の事を考えれば迂闊な真似が出来ないのも事実だ。
そうなると、やはりここは戦力的にあまり期待しないでいてもらうというのが、最善の選択だった。
……とはいえ、ホワイトベース隊の名前を汚すような真似は出来ないが。
ホワイトベース隊にはそれなりに愛着もあるというのも間違いないが、同時にホワイトベース隊が連邦軍では精鋭部隊であるというのも大きい。
ここで下手に弱いところを見せると、ホワイトベース隊そのものが侮られる可能性がある。
そう考えると、ある程度の力は見せる必要があるか。
『了解しました。では、グフの方に攻撃を仕掛けて下さい。マット隊長……私達を率いる小隊長には、こちらから連絡をしておきます』
「頼む。多分そんな事はないと思うが、くれぐれもこっちに誤射だけはしないようにしてくれ」
ピクシーの姿を見てジオン系のMSと判断する者はまずいないだろう。
そもそも、この小隊では陸戦型ガンダムを使っているのだから、ピクシーを見れば味方だと分かる筈だ。
その辺の事情を考えれば、多分大丈夫だとは思うが……1発だけの誤射も、この場合は避けたいというのが正直なところだ。
まぁ、見たところ実弾兵器を使っているらしいから、ビーム兵器のように一発で装甲を貫かれるといった事は心配しなくてもいいのだろうが。
戦場となっている中でも、2機のグフに、向かって進む。
そうしている間に、ノエルから連絡が入ったのだろう。マットだったか? その隊長が乗っていると思われる陸戦型ガンダムの指示によって、ザクの方に攻撃を集中させていく。
当然そうなれば、グフは自由に動けるようになる。
右手に持ったザクマシンガンを陸戦型ガンダムに向け……
「させるかよっ!」
そのトリガーが引かれるよりも前に、俺は一気にグフとの間合いを詰める。
瞬間、グフは反応しそうになったのだが、それよりも前に俺はビームダガーでグフの腕を切断し、もう片方のビームダガーでグフのコックピットを貫く。
残る1機のグフは、こちらの脅威を感じたのか身体を捻りながらヒートサーベルをこちらに叩きつけてくる。
ヒートソードは、当たればルナ・チタニウムの装甲であっても切り裂く事が出来る。
だからこそ俺はその一撃を回避し、スラスターを全開にして間合いを詰め、そのままコックピットをビームダガーで貫くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:745
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1533