ブライトからの許可を貰うと、俺とマットの小隊はそのまま移動し、やがて合流する事に成功する。
ただ、俺は映像モニタに映し出されたホワイトベースの姿に驚く。
何故なら、ホワイトベースの装甲には何ヶ所も銃撃を受けたと思しき痕跡があった為だ。
ホワイトベースも戦場に出ている以上、そこで狙われるのは当然だろう。
それでもホワイトベースが被害を受けたというのは、結構な驚きだった。
……あ、でも考えてみればホワイトベースも何気に今まで結構被害を受けていたか?
そう思い直し、ピクシーを進める。
そんなピクシーの後ろをマットの小隊がついてきているのだが、ホワイトベースのメカニック達は特に驚いた様子を見せない。
まぁ、ホワイトベースでは陸戦型ガンダムも陸戦型ジムも珍しい機体じゃないしな。
連邦軍全体で見れば、かなり珍しい機体の筈なんだが。
あ、でもマットの小隊でノエルが使っているホバートラックは、ホワイトベースとして見れば珍しいのか。
今まではホワイトベースになかった機体だし。
そんな風に思いつつ、格納庫に入っていく。
格納庫の中では、ブライトから聞いた通りにヤザンとシローの小隊の機体はない。
なので、ひとまずマット達の機体はそっちに移動して貰う。
「アクセル、あの機体は?」
ピクシーから降りた俺に、近くにいたフィリップがそう尋ねてくる。
「ん? ブライトから話は聞かされていないのか?」
「何がだ?」
「ちょっ、何で知らないんですか!?」
俺とフィリップの近くを通り掛かったサマナが、慌てたように言う。
その様子から考えると、恐らく……いや、確実にフィリップはただブライトの話を聞いていなかったという事なのだろう。
フィリップの性格を考えれば、そんな事になってもおかしくはない。
もしくは、ただ単純に疲れて休んでいただけだったのか。
その辺の理由はあまり分からないが、ともあれサマナはフィリップに事情を説明している。
フィリップはそんなサマナの話を聞いていたが、ホバートラックからノエルが姿を現すと、そっちに目が固定される。
「うひょおっ、かなりの美人じゃないか。ちょっくら失礼して……」
そう言い、ノエルの方に向かうフィリップ。
サマナはそんなフィリップを追い掛けていく。
うん、まぁ、その気持ちは分からないではない。
ノエルの顔立ちは整っており、美人と呼ぶに相応しい。
年齢としては10代後半くらいか。
将来的には、かなりの美人になるのは間違いないだろうくらいに顔立ちは整っている。
それこそフィリップが口説きに行ってもおかしくはないくらいに。
とはいえ、フィリップは女のメカニックを口説こうとしているとか、口説いたとか、そんな風に聞いた事があったが……そっちはいいのか?
まぁ、恋人が10人以上いる俺が言うべきことじゃないと思うが。
そんな風に思いながら見ていると、ノエルと少し話していたフィリップがすぐに戻ってくる。
あっさりと退いたのは、少し驚きだ。
もっとも、相手が嫌がってるのに無理に言い寄るなんて真似をした場合、ホワイトベースでは致命傷になるんだろうけど。
「なぁ?」
「何を言いたいのか分かるけど、それでもやっぱりしっかりと言葉にしないと、正確には分からないわよ」
俺の側までやって来た綾子が、若干呆れたように言う。
そう言いながらも、綾子の事だから俺が何を考えているのかといった事は、多分分かってるんだろうけど。
もしフィリップが嫌がっているノエルに強引に言い寄ろうとした場合、間違いなく綾子がそれを止める事になるだろう。
……それもあまり穏やかではない手段で。
そんな風に思いながら、俺は綾子に話し掛ける。
「それで、そっちはどうだった?」
「忙しかった」
返事はその一言だったが、それだけで十分に理解出来たのも、間違いない。
こっちで忙しかったのも事実なのだから、それも当然だろう。
……とはいえ、それだけでどうこうと言ったりは出来ないが。
「そうか。こっちも忙しかった。……アリーヌをゲット出来たのは幸運だったな」
「アリーヌ? それって、前に聞いた陸戦強襲型ガンタンクの?」
アリーヌについての話は、当然のように綾子やミナトにも話している。
だからこそ、すぐにその名前が出て来たのだろう。
「ああ、そうだ。色々と予想外の事もあったが……それについては、また後でな」
このUC世界にも存在した、妙なファンタジーの存在。
刈り取る者に殺されたとはいえ、この世界にもあのような存在がいるというのは、かなりの驚きだった。
この世界に来てすぐに――数ヶ月経っているが――その事に気がつけたというのは、ある意味で運がよかったと言ってもいいだろう。
……もっとも、数ヶ月も経ってようやく見つけたという事は、このUC世界においてファンタジー要素はそれだけ少ないという事なのだろうが。
「ふーん。……まぁ、いいけど。それで一緒に来た人達が説明のあった?」
あ、やっぱりサマナが言ってた通り、前もってその辺の説明はあったのか。
「ああ。レビルの派閥のコーウェンという准将の部下で、俺達に協力するように言われていたらしい」
「ふーん。……まぁ、陸戦型ガンダムや陸戦型ジムに乗ってるという事は、腕が立つのは間違いないと思ってもいいわね」
これは別に偏見という訳ではない。
実際、本来なら量産される予定だったジムよりも先に配備された陸戦型ガンダムや陸戦型ジムといった機体は、通常のジムよりも性能が高く、何よりもルナ・チタニウム製の装甲を持っている為に高い防御力を持つ。
それらの理由から、前線の兵士としては当然のように陸戦型ガンダムや陸戦型ジムといった機体を欲するのは当然だった。
とはいえ、既にジムが本格的な量産に入っている以上、陸戦型の機体は製造を打ち切られている。
つまり、現在存在する機体が全てとなるのだ。
……シローの機体が、新しい陸戦型ガンダムではなく壊れた場所を改修したEz8という機体になった事からも、その辺の理由は分かりやすいだろう。
コストの問題もあり、現在陸戦型の機体を入手するのは難しい。
ホワイトベース隊では、あっさりと陸戦型ジムが陸戦型ガンダムに代わったが、これはレビル直轄の部隊であるという理由や、シャアの撃退、ガルマの撃破、ラサ基地攻略……といったように、様々な成果を挙げてきたが故の特例という面が強い。
だからこそ、ホワイトベース隊には、あっさりと陸戦型ガンダムが配備されたのだ。
まぁ、陸戦型ジムに乗っていたパイロットの戦闘データとか、パーツの消耗具合とか、そういうのを知りたいという連邦軍の思惑もあったりした可能性は十分にあるが。
ともあれ、そんな訳でマット達が陸戦型のMSを与えられているというのは、腕が立つという証拠でもあった。
「そうだな。ただ……あの部隊はホワイトベースでやっていくのは難しいかもしれないな」
「え? 腕は立つんでしょ?」
「ああ。実際にそれは俺も見た。だが……あの部隊を率いているマットは、性格的に軍人として問題がある。まぁ、似たような奴はホワイトベースにもいるから、絶対に無理って訳じゃないだろうけど」
優しさというのは、人としては勿論重要な要素なのは間違いない。
だが、軍人として……戦争をしている中では、時には邪魔になる事もある。
マットが確実にそうだとは言わないが、撤退するザクを撃破するだけの余裕がありながら見逃したというのは、正直なところどうかと思ってしまう。
その辺を考えると、ホワイトベースで上手くやっていけるかというのは、微妙なところだった。
それこそヤザンとかフィリップ辺りとは問題になったりする可能性はある。
とはいえ、マット達が俺達に協力するのは、あくまでもオデッサ作戦の間だけだ。
そしてオデッサ作戦は、今日で2日目。
今日で終わるとは思えないから、最低でも3日目が必要なのは間違いないだろうが、これは1週間、2週間、1ヶ月……といった感じにまで時間が掛かるとは、到底思えなかった。
だとすれば、もう数日程度であればヤザンも協力するくらいの事は普通に出来ると思う。
最悪、ヤザン達と一緒の戦場にしないという選択肢も存在するし。
ヤザン以外にもフィリップとか、そういうのが許容出来ないという奴もいるのは間違いない。
ともあれ、今日ですらこうして小隊のような感じで結構纏まって行動していたのを思えば、ある程度はどうにかなる……か?
「まぁ、マットの方はそれでいいとして、そっちはどうだったんだ? 何か特別な事とかはあったか?」
「特別って言われても、そこまでは……ああ旧ザクとは戦ったよ」
「それは……特別と言えるのか? いやまぁ、レアものって意味では特別かもしれないけど」
とはいえ、旧ザクも数は少なくなったが、使われていない訳ではない。
中には改造されて土木作業に使われたりとか、そんな風にしているのもあるらしいし、ベテランのパイロットの中には、ザクⅡよりも操縦に慣れているからとか、愛着があるからとか、そういう理由で使ったりとかもしているらしい。
そういう意味では、本当にレアって訳ではないんだろうが。
「そう言われるとは思ってたけどね」
そんな風に綾子と会話をしていたが、やがてメカニックが来て綾子を連れていった。
……多分、陸戦型ガンダムの整備で何らかの相談があったんだろう。
綾子も俺程ではないとはいえ人外の存在なので、当然のようにその身体能力は人間のそれを超えている。
そして綾子がその身体能力を活かした操縦とかをしようものなら、当然のようにその反応速度に機体はついてこられない。
まぁ、W世界ではトールギス以外の普通の量産型MSにも乗っていたし、他にもシャドウミラーの実働班として訓練をしているので、ある程度のストレスは感じているだろうが、それでもこの世界のMSを乗りこなす事は出来る筈だ。
とはいえ、メカニックの方でも少しでも綾子に不満を抱かせないように機体の調整とかはしてるんだろうが。
綾子を連れていったメカニックも、恐らくはそんな用事だった可能性が高い。
そういう意味では、ピクシーはまだ調整されてないんだよな。
この辺は、元々ピクシーが陸戦型ガンダムよりも高性能機として開発されたという影響もあるだろうし、俺がそういう機体の操縦に慣れているというのも大きい。
元々ニーズヘッグのように、俺の身体能力とかを最大限に発揮出来る機体というのは非常に稀だ。
事実、今まで幾つもの人型機動兵器に乗ってきたが、その殆どが能力を最大限に発揮出来なかったのだから。
だからこそ、俺は自分の力をセーブして機体に乗るという……そんな妙な技術を得てしまった。
ホワイトスターに持っていって、技術班辺りに渡せばその辺もある程度は解消されるんだろうが……そこまでやる必要性は感じられない。
そもそも、このUC世界においても1機しかない……いや、他にもあるのかもしれないが、数が少ないのは間違いないピクシーだ。
シャドウミラーの技術で改造するよりは、貴重な標本として残しておく方が役に立つのは間違いないだろう。
実際にジオン軍から俺が奪ったMSとかも、ホワイトスターに持っていったのは大抵がそんな風になっているのだから。
「さて、急に暇になったな。……取りあえずブライトにでも事情を説明しに行くか。向こうでも待ちくたびれているだろうし。……マット!」
MSの整備をメカニック達に任せ、興味深そうに格納庫を見ていたマットが、俺の声に気が付く。
ふと気が付けば、マットの側にはノエルの姿もある。
さっきフィリップに口説かれていたと思ったんだが……そう言えば断って、フィリップがすぐに諦めたんだったか。
ここにモンシアがいれば、また一騒動起こったかもしれないな。……ベイトとかがいてもか?
とはいえ、モンシアは裸踊りの一件で俺に苦手意識を持ってるから、俺の前でそんな事はしないような気もするが。
「どうした?」
俺に近づいてきたマットが、不思議そうに尋ねる。
何故自分が呼ばれたのか、気が付いていないのか、それとも俺の口から言わせたいだけか。
「これからブライト……このホワイトベースの艦長に会いに行くぞ。一応許可が出たとはいえ、お前からも事情を説明しておいた方がいいだろ?」
「なるほど。気を遣って貰ってすまない。こちらもそうしたいと思っていたところだ」
「気にするな。ホワイトベースの戦力が増えるのなら、俺も楽が出来るからな。……戦力が増えれば、だが」
「……」
俺の言葉の裏に隠された意味を理解したのか、それとも単純に今は何も言わない方がいいと判断したのか、マットは黙り込む。
そんなマットを一瞥した後、ここで俺が何を言ってもマットは自分の信念を曲げるような事はないと判断し、マットを伴って格納庫を出てブライトのいるブリッジに向かうのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:745
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1533