転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2467話

「ほう、それはそれは……いよいよ我が子アプサラスの出番ですか」

 

 俺の話を聞いたギニアスは、嬉しそうに……それはもう嬉しそうに、笑みを浮かべた。

 それも当然だろう。

 オデッサ作戦においてアプサラスⅢの出番があると、そう言っていたにも関わらず、何だかんだと2日目が終わるまで出番がなかったのだから。

 ギニアスにしてみれば、アプサラスⅢのデビュー戦を楽しみにしていたのに、ひたすら待たされてきたようなものだ。

 そんなアプサラスⅢの出番がようやく明確になったのだから、これだけ嬉しくなるのは当然だった。

 

「そうだ。ただし、ジオン軍にはエルランという元中将が亡命している。当然ながら、このエルランは以前ワルシャワ基地でアプサラスⅢのお披露目をした時にもいた人物だ。それだけに、ジオン軍もアプサラスⅢについて警戒している可能性は高い」

「そうなるでしょうね。ラサ基地での戦いについても知っているジオン軍にしてみれば、その二の舞はごめんでしょうし」

 

 俺の言葉に、しみじみと納得の表情を浮かべるギニアス。

 ラサ基地でのアプサラスⅡの活躍を理解しているが故に、それについては異論がないのだろう。

 ……とはいえ、アプサラスに対処出来る方法をすぐに用意出来るかと言えば、それもまた難しいのだが。

 

「敵にビーム兵器がないのは助かるな」

「そうですね。ただの実弾兵器なら、ルナ・チタニウム製の装甲を持つアプサラスには効果がないですし、ザクバズーカやジャイアントバズの類は護衛のMSが防ぐ筈です。それを思えば、恐らくそこまで心配はいらないかと。……とはいえ、いずれビーム兵器の対策をどうにかする必要は出て来るでしょうが」

「そうしてくれ。その辺の技術開発は、ギニアスも得意だろうし、ディアナと共同開発してもいいだろうしな」

 

 UC世界以外の技術では、ビームを防ぐ技術というのはそれなりに知られている。

 シャドウミラーの機体に標準装備されているテスラ・ドライブによるEフィールドや、グラビコン・システムを使ったグラビティ・テリトリーといったバリアの類は、ビーム兵器どころか実弾兵器の類も防いだりする。

 SEED世界でもラミネート装甲とかがあるし。

 それ以外にも色々とあるが……UC世界の場合は、どうしてもビーム兵器が出来てから時間が経っていないので、技術的な問題が多い。

 勿論、ガンダムのようにMSが手持ちの武器でビームライフルとするのではなく、サラミスやマゼラン、ムサイ、その他諸々の軍艦でもメガ粒子砲を使っているので、以前からその辺の対策は練っていたのだろうが……それがまだ結実していない、と。

 

「そうですね。ディアナには多くの技術者が揃ってますし、それを考えれば……」

 

 ギニアスも俺の言葉には賛成し、興味深そうに頷く。

 ギニアスはMIP社に協力して貰ってはいたが、基本的にはほぼ1人でアプサラス計画を立ち上げ、開発した。

 いや、勿論サハリン家に従う家の技術者も協力していたのを思えば、ギニアス個人ではなくサハリン家単独でという表現の方が相応しいのかもしれないが。

 ディアナとの間に何の繋がりもなかった訳ではない。

 同じ技術者という事で、ディアナと連絡を取り合ったりといった事はしていたらしい。

 それでも、やはり軽く情報交換をしたりするのと、本格的に一緒に何かを協力して開発するのとでは話が違う。

 とはいえ、今の状況を思えばそれはそんなに悪い選択肢ではない。

 ディアナの技術者と何度も会話をした事により、お互いに相手がどのような人物なのかとか、性格は知っている。

 それを考えれば、何も知らない状況から関係を築くよりは大分マシだろう。

 

「そうしてくれ。ともあれ、明日にはアプサラスⅢが出撃してオデッサでのお披露目となる。この研究所でも色々と準備は必要だろうから、それは今夜のうちにしっかりとしておいてくれ」

「分かりました。では、早速準備を開始したいと思います。……普通なら、ここからヨーロッパまで移動するというか、アプサラスⅢを運ぶ時点で数週間……場合によっては1ヶ月くらい準備に追われても仕方がないんですけどね」

「だろうな」

 

 この辺は、科学文明とかそういうのではなく、純粋に魔法技術による恩恵と言ってもいい。

 アプサラスⅢを始めとして、各種検査用の機械だったり、推進剤の類だったり、その他諸々は俺の空間倉庫に収納出来る。

 人の移動に関して言えば、それこそ影のゲートを使えば一瞬で移動が完了する以上、全く困る事はない。

 ……まぁ、影のゲートはともかく、空間倉庫は別に魔法とかそういうのではなく、純粋に俺が生まれ持った技能なのだが。

 ともあれ、早速準備を開始したギニアスを部屋に残し、俺は研究所の中を適当に見て歩く。

 何人かの研究者とすれ違うが、その全員が俺に向かって深々と頭を下げてくるのは……出来れば止めて欲しいというのが、正直なところだ。

 ともあれ、その気持ちも分かる。

 この研究所にいる者の多くは、サハリン家に縁のある者だ。

 ジオン公国では没落したとはいえ、名家であっただけに、そこに従っている者は少なくない。

 そんな者達にとって、ギニアスというのは希望だったのだろう。

 だが、そのギニアスは宇宙線の影響で余命幾ばくもなく……それを助けたのが、俺だった訳だ。

 正確には、治療したのはレモンなのだが。

 ともあれ、そんな訳で俺に深い感謝を抱いている訳だ。

 ……中には、アイナとガトーを引き合わせたという事に感謝をしている者もいるのだが。

 そんな風に考えながら研究所を歩いていると、ソファや自販機が置かれている休憩所が見えてきた。

 それだけであれば、特に気にする必要はなかっただろう。

 自販機に何か珍しい飲み物でもないかと、少し気にするくらいか。

 だが……その休憩所で疲れ切ったアイナがソファに座っているのを見れば、話は変わってくる。

 アイナは何気に人に弱みを見せるという事は少ない。

 そんなアイナがここまで疲れ切った様子を見せているのだから、余程の何かがあったと考えてしまう。

 もしかして、夜のガトーが激しすぎて寝ても体力を回復しないとか? ……まさかな。

 

「アイナ、どうした?」

「……アクセル代表!? いらしてたのですか!?」

 

 疲れ切った様子でソファに座っていたのが嘘のように、アイナは立ち上がり、声を掛けた俺に頭を下げてくる。

 

「ああ、ちょっとギニアスに用があってな。……それより、随分疲れているようだけど、アプサラスⅢの訓練か?」

「はい」

「……けど、操縦感覚そのものは、アプサラスⅡとそう違わないって話を聞いてるぞ?」

 

 勿論、後継機になった事で変わった部分も色々とある。

 装甲がルナ・チタニウムになったとか、ミノフスキークラフトの数が増えたとか。

 それでも、やはり普通に操縦をする上で、困る……それこそ、ザクからドムに乗るのに機種転換訓練をするかのような事は、必要ない筈だった。

 

「ええ。違いません。ですが、私も兄の開発したアプサラスⅢを操縦する以上、技量が未熟なままでは人前に出られません。ラサ基地でも、もう少し上手く操縦出来ていれば……」

 

 ん? ラサ基地での戦いで、アプサラスに何か不味いところがあったか?

 そもそもの話、あの戦いでは山肌をメガ粒子砲で貫通した事によって、十分な成果が出たと思うが。

 もしラサ基地攻略戦でアプサラスⅡが出ていなければ、連邦軍の被害はより大きくなっていたなだろう。

 ……ライヤー辺りは、その辺が理由で俺達に手柄を取られたといったように思っているらしいが。

 

「そこまで気にする必要が何かあったか?」

「はい。メガ粒子砲の精度や、空中での移動方法、ガトーやノリスとの連携の仕方。……それ以外にも色々とあります」

 

 ノリスよりもガトーの名前が前に来ているのは、やはり恋人が優先だという事なのか?

 ともあれ、ラサ基地攻略戦が初陣だった割には、よくあるような人を自分の手で殺してしまったとか、そういうのを出さないだけ相手をする方としては楽だ。

 遠距離からのメガ粒子砲を撃っただけで、相手の攻撃が届く距離で直接戦闘に参加した訳ではない、というのもこの場合は大きいだろう。

 とはいえ、元々が優しい性格のアイナだ。

 当然あの戦いの後は色々と思うところがあってもおかしくはない。

 その辺は、それこそ恋人のガトー辺りが慰めたりしたのだろう。

 

「なるほどな。それで、訓練をしてるのか」

「はい。ただ、まだ体力不足で。……ガトーやノリスにはついていけません」

 

 ついていけないと言うが、そもそもMAのアプサラスⅢとMSのグフ・フライトタイプでは、その運動性は大きく違うと思うんだが。

 あくまでも俺のイメージだが、MAというのは直線距離の機動性に優れ、MSは細かい移動が必要な運動性に優れているという感じだ。

 そんな状況で、アイナのアプサラスⅢがガトーやノリスのグフ・フライトタイプについていくというのは、色々と無理があるのは間違いない。

 そもそも、アイナはMSやMAといった物には殆ど乗ったことがない。

 そんな中でルナ・ジオンの中でもトップエースと呼べるだけの実力を持つガトーやノリスと同じだけの操縦技術を欲しいというのは、無茶でしかない。

 

「それは色んな意味で無茶じゃないか? ガトーやノリスは長年鍛えて、そして実戦を潜り抜けて今のような実力を手に入れたんだ。それを簡単に入手出来たりしたら、それこそガトーやノリスは納得出来ないと思うけど」

「分かっています。ですが、それでも……それでも、やはり実力は高い方がいいと思いませんか?」

「それは否定しないが」

 

 アプサラスⅢは、基本的に敵に接近して戦うといった真似はしない。

 あくまでも、後方からメガ粒子砲を撃つ為の……空飛ぶ砲台とでも呼ぶべき能力を持つMAだ。

 そのようなアプサラスⅢであっても、やはり操縦技術は低いよりも高い方がいいのは間違いのない事実なのだ。

 もっとも、身体を壊すような厳しい訓練をしてまでする必要があるかと言われれば、その答えは否だが。

 そうしてアイナと話していると、スポーツドリンクを手にしたガトーが姿を現す。

 ガトーも俺が来ているというのは予想外だったのか、俺の姿を見つけると慌てたように敬礼しようとし……アイナの為のスポーツドリンクを持っているのに気が付き、慌ててそれを近くのテーブルに置くと、敬礼してくる。

 

「これは、アクセル代表。まさか、研究所に来ているとは思いませんでした」

「ギニアスに用事があってな。それが終わった後で研究所を歩いていたら、こうしてアイナに遭遇した訳だ。……で、現在アイナは訓練をしてるって?」

「はい。アイナたっての希望で」

「それで、効果は?」

「……そうですね。アイナはMSよりもMAに適性があるのは確実かと」

 

 その言葉に、少しだけ驚く。

 ガトーの性格から考えると、素直にアイナを褒めるような真似をするとは思わなかったのだ。

 それこそ、まだまだ技量不足だと、そんな風に言うのかとばかり思っていた。

 普通なら恋人に少し甘くなってもおかしくはない。

 だが、ガトーの場合はその性格から、相手が恋人であっても悪いところはしっかり悪いと、そう口にする。

 その上で……そう、軍人と呼ぶよりは戦士と呼んだ方が相応しいだけに、アイナが相手であっても手加減をするような事はない。

 そんなガトーの口から、アイナを褒める言葉が出たのだから、これで驚くなという方が無理だった。

 

「MAに適性か。……それは、具体的にはどのくらいの才能だと思う? 正直に言ってみてくれ」

「そうですね。あくまでも私の考えですが、かなりの才能かと。……元々MAというのは数が少ないので、それに適性のあるパイロットも多くはありません。というか、その才能が見つけ出されるよりも前にMSパイロットになるのが自然ですから。そういう意味では、MSよりもMAの操縦が得意なアイナは、珍しいかと」

 

 ガトーの言葉に、アイナは照れた様子を見せている。

 恋人からのまさかの賛辞に、どうしたらいいのか分からなくなっているのだろう。

 

「そういうものか。……なら、取りあえず今後MAはアイナに任せた方がよさそうだな。他にも、MAパイロットとしての才能を持っている奴がいるかどうか、調べてみた方がいいか?」

 

 ジオン軍であれば、MAはコスト的な問題で量産するような真似は難しい。

 だが、ルナ・ジオンであればコストの問題はある程度どうにかなる。

 そうなると、自然とMAの量産も可能となり……いずれ、量産型MAとして戦力の一端になったりする可能性はあるのか。

 

「そうですね。それも面白いかもしれません。ですが、その場合は新たなMAが必要になりそうですね」

「その辺はディアナやギニアスに期待といったところか。……ああ、そうそう。明日にはアプサラスⅢでオデッサに出撃して貰うから、そのつもりでな」

『え!?』

 

 不意に出て来た俺の言葉に、アイナとガトーの2人は揃って驚きの声を上げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:750
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1534

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