転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2468話

 オデッサ作戦三日目。

 その日は、最初静けさから始まった。

 昨夜のうちに、このオデッサにいる中で合流出来る戦力のほぼ全てを一ヶ所に集結させ、合流出来なかった戦力は、無理をしない範囲内で陽動をする……らしい。

 この辺は、昨夜ハワイからオデッサに戻ってきてからブライトに聞いた話だ。

 そのブライトは、コーウェンから新たな作戦を聞いたらしい。

 連邦軍の上層部が立てた作戦は、基本的には俺が提案したもの。

 それをベースに、参謀達が色々と付け加えた形になっているとか何とか。

 もっと時間があれば、俺が提案したよりも有効な作戦を立てる事も出来たのだろう。

 だが、やはり問題なのは補給物資についてだ。

 とはいえ、補給物資の枯渇というのもそうだが、同時に補給物資に掛かる費用的な問題もあるとか何とか。

 考えてみれば、これだけ大量の戦力がオデッサには揃っている。

 そこで毎日のように消耗される補給物資は、一体どのくらいの値段になるのか。

 それこそ、考えるのが恐ろしくなってもおかしくはない。

 

「アクセル代表、今日はアプサラスⅢの実戦です。楽しみにしていて下さい」

 

 朝早くからここにやってきて、各種準備を整えたアプサラスⅢの開発者の1人が、俺にそう言って自信に満ちた笑みを浮かべて声を掛けてくる。

 そうした笑みを浮かべているのは、一人や二人ではない。

 今の状況を喜んでいるのは、アプサラス計画に参加した全員なのだから。

 

「ああ、頼む。ラサ基地での戦いでもアプサラスの名前は広がったが、今回のオデッサ作戦では敵味方共に集まった部隊の数が違う。ここでその力を見せつければ、それは月にとって大きな利益になるのは間違いないしな」

「ええ、そうですね。頑張ります」

 

 そう言ってる技術者だったが、実際には力を見せすぎれば危険視される可能性もある。

 その辺について、理解しているのかどうか。

 そんな風に考えつつ、アプサラスⅢの準備をしている面々を眺める。

 現在俺達が……そしてギニアスを含めたアプサラス計画の面々がいるのは、連邦軍が集まっている陣地よりもかなり後方に位置する場所だった。

 連邦軍の近くにいれば、ジオン軍に見つかる可能性も高い。

 ……それ以外にも、連邦軍の方で妙な真似をする奴がいないとも限らなかった。

 だからこそ、俺達は現在連邦軍からも距離を取っていた。

 その上、アプサラス計画の面々を護衛する為に、ゲラートから闇夜のフェンリル隊も借りてきている。

 とはいえ、闇夜のフェンリル隊が乗っているMSはジオン軍時代に使っていたものの色を塗り替えて使っているので、連邦軍にとっては微妙な感じがするのかもしれないが。

 

「ギニアス、俺はそろそろホワイトベースの方に戻るけど、連邦軍との連絡はしっかりと頼むぞ!」

 

 少し離れた場所でアイナやガトー、ノリス、それ以外にグフ・フライトタイプに乗るパイロット達と打ち合わせをしていたギニアスに、そう声を掛ける。

 その声が聞こえたギニアスは……そして他の面々も、俺に向かって軽く頭を下げてくる。

 そんなギニアス達に手を振り、俺は影のゲートに身体を沈めていくのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル、戻ってきたのか。……アプサラスはどうだった?」

 

 格納庫に姿を現した俺に、リュウがそう声を掛けてくる。

 

「そこまで問題はないな。それより……こっちは大丈夫なのか? ガンタンクは甲板の上で待機だろ?」

「あー……まぁ、今回要求されてるのは、あくまでもホワイトベースの砲台としての役割だからな。それを考えれば、ホワイトベースに乗って移動している分だけ安心だろ」

 

 そう言いながらも、リュウは微妙そうな表情を浮かべていた。

 当然だろう。

 現在ガンタンクは、3機全てがホワイトベースの甲板に置かれているのだから。

 本来ならガンタンクも格納庫に置かれている筈だった。

 それが、何故甲板にいるのかと言えば……

 

「今日だけであっても、マット達がホワイトベース隊として活動してくれるのは嬉しい。そういう意味では、俺は文句ないな。……もっとも、そこまで割り切れていないのもいるのは間違いないが」

 

 そう、本来ならシロー達が合流した時点で、俺達と別れる予定のマット達だったが、コーウェンからの命令によって俺達と一緒に行動する事になったのだ。

 ……シロー達がいないから、MSを何とか格納庫に入れる事が出来ていたのに、そんな中でシロー達が合流した後で、マット達もいるとなると、どうしても格納庫にあるMSを3機、どこかに移動させる必要がある。

 そんな中で移動することになったのが、ガンタンク隊。

 3機だったし、今回の全軍が纏まって移動する時には遠距離からの射撃をという点でホワイトベースの甲板にいても構わないという事から、それは自然の成り行きではあったんだろうが……実際にそのような真似をされれば、邪魔者扱いされるように感じてしまってもおかしくはない。

 そんな訳で、今回の一件に関してガンタンク隊の中には面白くないと思っている者もいた訳だ。

 リュウとジョブは連邦軍の軍人だからか、そこまで気にした様子はない。

 だが、アムロにライバル意識を持っているハヤトや、それ以外に軍人としての訓練を受けている訳ではなく、成り行きでガンタンクのパイロットをやっている面々の中の数人は、ガンタンクが邪魔者扱いされているように感じているらしい。

 

「あれ? ハヤトはフラウが色々と話し掛けてなかったか?」

 

 ハヤトとフラウは、何気にサイド7にいた時からの知り合いだけに、それなりに仲がいい。

 とはいえ、それはあくまでも男女間の友情であって、純粋に異性への好意という意味では、アムロに向かっているらしいが。

 そんな訳で、現在リュウはガンタンク隊の面々を落ち着かせたりしている訳だ。

 リュウが今回の一件を大人しく受け入れたのは、やはりマット達が戦力として有能だからというのがあるのだろう。

 また、ホワイトベース隊が今までのように火消しの部隊として動くのではなく、連邦軍の本体と共に行動するから、というのも大きい筈だ。

 ……それでも、この戦場の中で連邦軍の部隊がピンチになっている場所に俺達が投入されるというのは、変わらないと思うんだが。

 

「ハヤトは何とかなるかもしないが、他の面々はな。……それより、ヤザンとマット達の相性の悪さが問題だ。正直なところ、戦闘中に問題が起きないといいんだが」

「あの2人は、見るからに相性が悪いしな」

 

 とはいえ、マット本人は大人なので、多少ヤザンに絡まれても受け流すだけの余裕がある。……それがヤザンには余計に面白くないのだろうが。

 しかし、マットが受け流しているからといって、マットの部下もそうだとは限らない。

 マットの部下のアニッシュという男の方は、自分達の隊長が絡まれているのを黙ってみてるような性格ではなく、寧ろ喧嘩っ早い方だ。

 それだけに、ヤザン達とも面倒を起こしかねない。

 

「ヤザンとマットの件はともかく、シローはどうだ? 今日がオデッサ作戦の節目だ。いつまでも落ち込んだままってのは、洒落にならないぞ。そろそろ立ち直って貰わないとな」

「ああ、そっちは問題ない」

 

 マットとヤザンの一件と同程度に心配だった事を口にしたのだが、リュウから返ってきたのは予想外の言葉だった。

 

「問題ない?」

「ああ。今朝ちょっと話した感じだと、シローも完全に……かどうかは分からないが、元の調子に戻ったのは多分間違いない」

「それはまた……こっちとしては助かるけど、一体何でまたそんな事に?」

「キキが頑張った、とだけ言っておくよ」

 

 キキが頑張った、ね。

 さて、この場合の頑張ったというのは、一体どういう意味で頑張ったんだろうな。

 言葉で励ましたのか、態度で励ましたのか、それとも……身体で励ましたのか。

 その理由はともあれ、MSの指揮を執る能力という点ではホワイトベース隊の中では優れているシローの調子が戻ったのは、こっちにとってもラッキーだったと言ってもいい。

 

「そうか。その理由は聞かない方がいいんだろうけど、取りあえずこちらとしては運が良かったと、そう思っておいた方がいいか」

「ははは、そうだな。俺もその辺は気になるけど、あまり詳しく突っ込むような真似はしたくないな」

 

 その後、数分程リュウと会話をしていると、通信が入ってブライトからブリッジに来るように言われる。

 一体何の用だ?

 いやまぁ、ブライトとしてはここまで大規模な正面からの戦いというのは初めての経験だろうから、色々と不安な事もあるのだろうが。

 

「悪いけど、呼ばれたみたいだから俺はちょっとブリッジに行ってくる。こっちの方は任せた」

「任せたって言われてもな。正直、何をすればいいのか分からないぞ?」

 

 そんな事を言ってるリュウだったが、初期からのホワイトベースのクルーという事で、多くの者に慕われているのは事実だ。

 アムロ達にとっては、兄貴分と呼ぶべき存在なのだろう。

 

「その辺は任せる。適当に何かやっておいてくれ。緊張を解して、実力を存分に発揮出来るようになっていてくれれば、こちらとしては助かるな」

 

 そう告げ、俺は格納庫を出て行くのだった。

 

 

 

 

 

「ブライト、どうしたんだ?」

 

 ブリッジに入ると、艦長席に座っていたブライトに話し掛ける。

 そのブライトは、俺の方を見て少しだけ安堵したような表情で口を開く。

 

「今日の作戦について、アクセルがどう思っているのか……正直なところを聞きたくてな」

「正直なところか。そう言われても、ちょっと困るな。今回の戦いがどうなるのかは、微妙なところだ。……いや、俺達が協力する以上、連邦軍の勝利はもう決まってるけどな」

 

 そう言うと、一瞬だけ虚を突かれた様子を見せるブライト。

 だが、ブライトはすぐに笑みを浮かべて口を開く。

 

「そうか。アクセルがそう言うのなら、多分それは間違いないんだろうな。……実際、今までアクセルが言ってきた事は、大抵その通りになってきているし」

「そうか? ……そう言えばそうか。取りあえず、ブライトの不安は薄れたか?」

 

 結局のところ、ブライトは緊張を解したくて俺を呼んだのだろう。

 普通なら何でそんなふざけた真似をと、そんな風に思ってもおかしくはない。

 だが、今の状況を考えた場合、ブライトの緊張を解すというのは重要なことなのも間違いなかった。

 

「どうだろうな。ただ、気分が楽になったのは間違いない。……それに、エルラン中将がいなくなったおかげで、こちらの行動が向こうに読まれなくなったというのも、この場合は大きいしな」

「それは言えるな」

 

 昨日まで、ジオン軍がひたすらに連邦軍の行動を読んで最善の一手を打ってきたのは、あくまでもエルランという情報源がいたからだ。

 だが、そのエルランも今はもういない。

 そうである以上、ジオン軍はこれから素直に自分の実力で俺達と戦わなければならなくなった訳だ。

 それは、正直なところこちらに有利なのかどうかは、分からない。

 それでも、こちらの手を全て向こうに知られた上で戦うよりは随分とマシだろう。

 

「後の問題は、こっちの参謀が相手の裏をかけるかどうかだな」

 

 連邦軍を裏切ったエルランは、何とも評価に困る人物だ。

 ジオン軍に捕らえられたレビルを助け出すように命じ、その状況を整えた。

 これだけを考えれば、間違いなく有能な人物に入る筈だ。

 だが同時に、普通に考えれば物量で連邦軍が勝つだろうオデッサ作戦において、何故かジオン軍に情報を流し続け、最終的にはそれが発覚しそうになってジオン軍に亡命した。

 これは、どう考えても悪手でしかないように思える。

 この辺りの判断をどうするかで、ジオン軍がどう動くのかというのは変わってくるだろう。

 それ以外にも、ジオン軍には有能な人物がいる。

 オデッサを治めているのは、マ・クベ。

 キシリアにとっても腹心の部下で、知将として……いや、謀将として知られている人物だ。

 他にもジオン軍にいる時に調べた限りだと、地球の文化に強い興味を持っていて壺の収集家としても有名だという話があったが……こっちは事実かどうかは、正直分からない。

 ただ、頭がいい相手なのは間違いなく、そういう意味ではもしエルランが実は無能だったという事になっても、マ・クベがいると厄介な事になるのは間違いなかった。

 

「大丈夫だ。連邦軍の上層部は、有能な人物が揃っている」

 

 俺の言葉に、自分に言い聞かせるように呟くブライトだったが……さて、ぶっちゃけたところ、どうなるんだろうな。

 エルランやマイヤーといった者達の事を考えると、必ずしも有能な人物だけがいるという訳ではないのは間違いない。

 他にも、MSの有用性を理解出来ない……いや、理解しないで大艦巨砲主義に拘るような者もいる。

 その辺を考えると、とてもじゃないが有能な人物ばかりとは言えないと思うんだが……まぁ、ブライトに今そういう事を言っても、無駄に不安にするだけなので、黙っておくのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:750
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1534

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