ピクシーの映像モニタには、現在連邦軍とジオン軍が戦っている光景が映し出されている。
俺はそれを、現在ホワイトベースの格納庫の中で眺めていた。
連邦軍からは、ジムや61式戦車、セイバーフィッシュを始めとした航空部隊。
それらが、次々とジオン軍に襲い掛かっている。
ジオン軍も、本来なら連邦軍にここまで一方的にやられるといった事はなかったのだろうが、やはり先制攻撃として放たれた、アプサラスⅢのメガ粒子砲の被害が大きかったのだろう。
……まぁ、開幕ぶっぱを行われれば……それも不意打ちで行われるとなれば、それに対処するのは難しいのは当然だ。
来ると分かっていれば、ある程度対処も出来たのだろうが。
いや、一応アプサラスⅡの一件から対処はしたのだが、向こうにとって誤算だったのは、アプサラスⅢが拡散メガ粒子砲を放てた事だろう。
エルラン辺りから情報を得てもおかしくはなかったと思うのだが、動きが急だった為に、対処が追いつかなかったのか?
ともあれ、本来なら質で連邦軍に勝っているジオン軍であったが、それも兵士達が混乱している状況では意味がない。
幾ら本来なら精鋭であろうとも、混乱している状況では戦力として決して精鋭としての働きは出来ないのだ。
『なぁ、シロー。俺達はまだ出撃しなくてもいいのか?』
フィリップが若干の不満を滲ませ、シローに尋ねている声が聞こえてくる。
フィリップにしてみれば、いつまでもこのままホワイトベースに乗っているというのは、面白くないのだろう。
『ああ。まだ出撃命令は下っていない。……俺達のやるべき事は、危険になった場所の火消しに向かう事だ。そういう意味では、戦場は小さくなってもやるべき事は変わらないな。だが……俺達の出番は必ず来る。ジオン軍が、この程度で終わる筈は絶対にない』
何かを確信しているかのような、シローの声。
マ・クベを始めとして、知将や謀将といった者達が揃っている以上、例えアプサラスⅢの攻撃で主導権を連邦軍に渡しても、それを奪い返しに来るだろう。
……まさか、ジオン軍にもアプサラスⅢのような遠距離から一気に大量に相手を撃破出来るようなMSとかMAはないよな?
そう思った瞬間、まるでそれがフラグだったかのようにモーリンの通信が入ってきた。
『ジオン軍後方の上空から、MA……アッザムが出現! メガ粒子砲によって、連邦軍の被害多数!』
驚愕と悲鳴が混ざったかのような、そんな声。
だが、それも分からないではない。
昨日の戦闘で、アッザムがその見掛けとは裏腹に非常に厄介な相手であるのは明らかだったからだ。
何より、上空からメガ粒子砲を撃てるというのは、ある意味でアプサラスと似ている。
そして同時に、これも昨日見たアッザムリーダー。
基本的な威力そのものはそこまで強い訳ではないが、それでもMSの動きを止めるくらいの威力はある。
その攻撃は、平原であるここ……一大決戦場となっているここでは、敵対する側としては最悪に近い兵器と言ってもいい。
とはいえ、連邦軍にもアッザムの情報は渡してあるので、アッザムが姿を現したのを見るや否や地上で進軍をしていた連邦軍の戦力はお互いに距離を取る。
それは、アプサラスⅢが出て来た時にジオン軍が取ったのと同じような動き。
そんな動きを見せた連邦軍だったが、当然守り一辺倒という訳ではなく、セイバーフィッシュを始めとした戦闘機も出撃する。
当然のように、ジオン軍もそれを迎撃する為にドップやガウを出撃させてきた。
アプサラスⅢの攻撃でジオン軍の航空部隊も大きな被害を受けたのだが、それでもまだ迎撃に出せるだけの戦力は残っていたのだろう。
また……当然のようにアッザムもセイバーフィッシュに向けて反撃する。
アッザムの下の部分についているメガ粒子砲は、地面にいる連邦軍のMSや61式戦車の部隊を。
そして上部のメガ粒子砲は、セイバーフィッシュに向けて撃たれた。
また、アッザムの着陸脚に掴まっているザクも、ザクマシンガンを使って次々にセイバーフィッシュを撃破していく。
『アクセル』
綾子からの声が聞こえてきたのは、アッザムが出てから数分が経過してからだ。
ただし、その数分で連邦軍がはかなりの被害を受けていたが。
そして……連邦軍の後方から、再び姿を現すアプサラスⅢ。
「連邦軍も、これ以上の被害は許容出来ないと判断した訳か。……それなりに早い判断だったな」
どうしてもルナ・ジオンにこれ以上の借りを作りたくない連邦軍としては、本来なら再度アプサラスⅢの出撃を頼むのは絶対に避けたい筈だった。
そうでなければ、このオデッサ作戦の締めくくりとも呼ぶべき作戦において、連邦軍はいいところをかなりこちらに奪われた……といった形になるのだから。
それが嫌である以上、本来ならアプサラスⅢを出したくはない。
それでも、このままでは連邦軍にとって危険だと判断し、こうしてアプサラスⅢを出してきたのだろうが……
「不味いな」
『え? 何が?』
思わずといった風に口に出した呟きに、綾子が疑問の声を発してくる。
いや、綾子だけではない。この通信を聞いている他の者も、俺の声に耳を傾けているのが容易に想像出来た。
とはいえ、これは別に隠す必要がある訳ではない……というか、現在のこの世界においてはとてもではないが不思議でも何でもない出来事である以上、隠す必要はない。
「アッザムの武器は、メガ粒子砲だ。実弾なら、アプサラスⅢはルナ・チタニウム製の装甲なので、ある程度の防御力を持つが……そこから先は言わなくても分かるな?」
ザクバズーカやジャイアントバズの類なら、ルナ・チタニウム製の装甲であっても破壊する事は可能だが、それを防ぐ為にグフ・フライトタイプが護衛としてついている。
なので、基本的には実弾に対しては心配しなくてもいいが……それがメガ粒子砲となれば、話は変わってくる。
ルナ・チタニウム製の装甲で、メガ粒子砲は防げないのだ。
一応アッザムについてはギニアスに知らせてあるが、メガ粒子砲の対処はこの世界では動き回って回避するという対処法しかなく……MAは機動性はともかく、運動性は決して高くはない。
そんな俺の考えを示すように、アッザムは出て来たアプサラスⅢに向けて、メガ粒子砲を連射する。
……それでいながら、地上に向いているメガ粒子砲は連邦軍の部隊を攻撃したままだというのは、さすがと言うべきか、呆れると言うべきか。
とはいえ、今の状況を思えばアッザムとしても地上への攻撃を止める訳にはいかない。
もしここで地上への攻撃を止めれば、それこそ折角動揺して攻撃が鈍った連邦軍が行動を立て直す。
ジオン軍の方でも今は何とかアプサラスⅢの先制攻撃から立ち直ろうとしているのだから、アッザムとしてはその為の時間を稼ぐ必要があるのだ。
この辺、メガ粒子砲の砲門を複数持つアッザムの利点が大きく出ている。
そんな状況の中で、真っ先にメガ粒子砲を撃ったのはアプサラスⅢだった。
砲門を複数持っているアッザムに対し、一門しか砲門を持っていないアプサラスⅢだが、その一門から放たれるメガ粒子砲の威力は強力だ。
つまり、大気圏内でメガ粒子砲を使っても、アッザムのメガ粒子砲に比べると同じ減衰率であっても、元となるメガ粒子砲の威力が大きいので、結果としてより射程は長くなる。
アイナはそれを活かし、アッザムのメガ粒子砲からの攻撃が届かない位置から、先制攻撃をしたのだ。
アッザムもそのくらいの事は分かっていたのか、アプサラスⅢが出て来た時から色々と動き回っていた。
しかし、アッザムとアプサラスⅢでは、同じようにミノフスキークラフトで飛んでいるとはいえ、その機動力は大きな差がある。
……そのような状況で、アプサラスの収束メガ粒子砲がアッザムの着陸脚の一つを破壊するだけで済んだのは、幸運だったのだろう。
だが、着陸脚も含めてアッザムは空中での機体バランスをとっていたのだ。
そんな中で、着陸脚を破壊されて今まで通り飛べる筈もなく……アッザムは空中でバランスを崩す。
しかし、そんな中でもアッザムのパイロットはそのまま墜落したり後退するのではなく、前に出る事を……アプサラスⅢを自分の持つメガ粒子砲の射程内に収める事を選ぶ。
ちっ、このまま上手くいけば遠距離からの攻撃で一方的にアプサラスⅢが勝てるチャンスもあったかもしれないのに。
残念ながら、アッザムはそのまま前に出続ける。
アプサラスⅢの方も、当然のようにそんなアッザムをただ見ている訳ではなく、収束メガ粒子砲を撃ってはいるのだが……残念ながら、アッザムが半ば特攻といった行動に出ているのを見て動揺しているのか、狙いが甘くなった。
アッザムはそれに付け込み、一気に間合いを詰め……機体の上部にあるメガ粒子砲を発射する。
元々アプサラスⅢの方がメガ粒子砲の射程が長いとはいえ、その差は極端なものではない。
……いや、実際にはかなりの差があるのだが、最初のお互いの距離を考えれば、アッザムもある程度の距離を移動してアプサラスⅢをメガ粒子砲の射程圏内に捉える事が出来たというのが正しい。
そうして突っ込んでいったアッザムは、収束メガ粒子砲の影響で機体各所から黒煙を上げながらも、その意地を通した。
アッザムから発射されたメガ粒子砲が、アプサラスⅢの右の部分に命中したのだ。
これが、アプサラスⅡのような大福型の形であれば、命中しなかっただろう。
だが、アプサラスⅢになった事により楕円形になってしまい、結果として被弾面積も上がり……それが、不運になった形だ。
その上、アイナにとって不運だったのは、装甲だけではなく、アプサラスⅢにとっての非常に重要な機関のミノフスキークラフトを破壊された事だろう。
……これがアプサラスⅡなら、ミノフスキークラフトを破壊された時点で墜落していてもおかしくはなかったのだが、アプサラスⅢはミノフスキークラフトを2つ使っている。
結果として、アプサラスⅢは傾きながらもまだ何とか空中に浮かぶ事が出来ており……次の瞬間、砲口から収束メガ粒子砲が放たれた。
それは、あるいはアイナの意地だったのかもしれないし、それ以外にもガトーから受けた訓練の成果を発揮したかっただけなのかもしれない。
ともあれ、既にいつ墜落してもおかしくはなかったアッザムは、アプサラスⅢのメガ粒子砲を回避する事が出来ず……空中で激しく爆発を巻き起こす。
『うわぁ……』
そう言ったのは、一体誰だったのかは分からない。
分からないが……そう言いたくなる気持ちは、十分に理解出来てしまった。
このUC世界において、恐らく初となるMA同士の戦い。
その迫力は直接見ている訳ではなく、映像モニタ越しで見ているだけであっても、十分に理解出来たからだ。
……とはいえ、俺の立場としては驚くだけではすまないのも事実だ。
何しろ、アプサラスⅢは小破……いや、中破か? 取りあえず大破でないのは確実だが、そんな感じなのだから。
アプサラスⅢを開発するのに掛かった費用を思えば、アッザムを1機撃墜しただけで中破というのは、コストパフォーマンスの観点で見れば、明らかに失敗だ。
防御力と運動性を上げる為に、装甲を高価なルナ・チタニウム製の物にしたというのに、相手がメガ粒子砲だと意味はない。
このUC世界においては、攻撃力が突出しすぎている、というのが俺の正直な感想だ。
ビームは回避する事しか出来ない以上、この辺の対処はやはり出来るだけ早く必要となるだろう。
その件については、前々から色々と考えてはいたのだが……UC世界での技術の発展を待つべきか、それともやはり他の世界から技術を持ってくるか。
シャドウミラーの国是的には、出来れば前者でどうにかしたいところなんだが。
そんな風に考えている間にも、ミノフスキークラフトを1つ使えなくなったアプサラスⅢは、ゆっくりと地上に降下していく。
墜落ではなく降下というところで、もう片方の、壊れてない方のミノフスキークラフトが、しっかりと働いていることは明らかだった。
「取りあえず、アプサラスⅢはそこまで心配する必要はないか」
呟き、大きく息を吐く。
ギニアスを始めとした面々がいるのを思えば、アプサラスⅢが不時着しても、すぐに修理を開始する筈だ。
上手くいけば……本当に上手くいけばの話だが、この戦闘中に再びアプサラスⅢが戦場に出て来る可能性が十分にある。
もしそうなれば、ジオン軍が受ける衝撃は相当なものだろう。
だからこそ、ギニアス達には頑張って欲しいところだ。
ましてや、ジオン軍側には既にアプサラスⅢに対抗出来るアッザムは存在しない。
……実はアッザムがもう何機かいるとか、そういう事はないよな?
そんな疑問を抱きつつ、俺は映像モニタに視線を向ける。
そこでは、連邦軍とジオン軍が再び正面からぶつかり合っているが……
「ドムが厄介だな」
映像モニタでは、ドムだけで結成されたMS小隊が戦場を縦横無尽にホバー移動で動き回り、ジャイアントバズで連邦軍に次々と大きな被害を与えている光景が映し出されていた。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:750
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1534