転生とらぶる   作:青竹(移住)

2563 / 4303
2472話

 オデッサの戦場を、モーリンから送られてきた座標に向かって進む。

 今のオデッサでは連邦軍とジオン軍が戦い続けている。

 そんな状況であっても……いや、だからこそと言うべきか、目標地点に移動しつつも何機かの敵は襲い掛かってくる。

 これが昨日や一昨日のようにオデッサ全体での戦いであれば、ここまで敵に襲われるような事はなかっただろう。

 だが、生憎と今の状況ではそんなことを考えていられるような余裕はない。

 

「しつこい!」

 

 こちらに向かってヒートホークを振り下ろしてきたザクの一撃を回避し、すり抜け様にビームダガーの一撃を放つ。

 コクピットを真横に切断されたザクは、そのままま地面に倒れ込んだ。

 だが、敵の攻撃はこれで終わりではない。

 まだ2機のザクがおり、それぞれがこちらに向けてザクマシンガンを撃ってきていた。

 その一撃を回避しながら、残り2機のうちの1機に近づき、ビームダガーを振るう。

 こっちが近づいた事でザクマシンガンによる対処は難しいと思ったのか、ヒートホークに持ち替えてはいたが……それでも、ザクとピクシーでは運動性が違った。

 敵の攻撃を回避しながら、最初の1機と同じようにコックピットをビームダガーで一閃する。

 これで2機。

 残りもう1機はと視線を向けると、その1機は勝ち目がないと判断したのか、仲間を見捨ててその場から逃げ出した。

 追って撃破してもいいんだが、今はモーリンの指示した座標に向かう方が先だろう。

 それにああやって逃げた以上、この戦いでもう俺の前に現れる事はないと思うし。

 連邦軍にしてみれば、それこそ倒せる時に倒しておけといった思いではあるのだろうが……幸いな事に、俺は連邦軍に雇われていても所属している訳じゃない。

 ましてや、今の状況を考えると、逃げた敵を追うよりも目的の場所に向かう方が優先だろう。

 地面に倒れているザクを一瞥し、その場から移動しようとしたところで咄嗟にピクシーのスラスターを使ってその場から移動する。

 次の瞬間、ピクシーのいた場所に次々と起こる爆発。

 どこからの砲撃だ? と思って周囲の様子を確認すると……ピクシーのレーダーが数台の戦車を捉える。捉えるのだが……あれ、何だ?

 ジオン軍の兵器は大体理解しているつもりだったが、あの戦車は初めて見る。

 ジオン軍の戦車として有名なのは、砲台が分離するマゼラアタックだろう。

 一度分離すれば戦闘中は再度合体出来なかったり、高い位置に砲塔があるので被弾面積が大きかったり、分離した後はマゼラベースの方が機銃くらいしか武器がなくなって極端に攻撃力が落ちたり……といった感じで、微妙な戦車と呼ぶのが相応しい。

 だが、俺に攻撃をしてきたその戦車は、外見からして明らかにマゼラアタックとは違う。

 その外見は、本当に普通の戦車らしい戦車だ。

 このUC世界における戦車として最も有名なのは、連邦軍の61式戦車だろう。

 だがその61式戦車も砲身が2つあり、とても普通の戦車とは思えない外見をしている。

 それに比べると、こっちに攻撃してきている戦車は本当に戦車らしい戦車だった。

 

「っと、驚いている暇はないな」

 

 その戦車から撃たれる砲弾を回避しつつ、どうするべきか考える。

 こちらに攻撃してくる以上、当然のように反撃をする必要があるのだが……まぁ、あの戦車は別にMSって訳じゃないし、特に鹵獲する必要はないか。

 もしどうしても必要なら、それこそ独立戦争が終わった後でジオン軍から接収してもいいし、ジオニック社のような兵器メーカーが開発した戦車なら、そちらから流して貰ってもいい。

 そんな訳で、ドムとかのMSと違って鹵獲するのではなく、大人しく撃破する。

 ピクシーのスラスターを全開にして、相手との距離を詰める。

 向こうにしてみれば、当然のようにこちらと距離を取ろうとするが……残念ながら、キャタピラで移動しても、スラスターを全開にしたピクシーから逃げる事は出来ない。

 見る間に間合いが詰まっていく戦車。

 5台の戦車は、必死になってピクシーを近づけないようにと射撃を行ってはいるが……高速で動くピクシーに命中どころか、かするような事すら出来ない。

 とはいえ、一方的に撃たれ続けるのも何なので、間合いを詰めながら90mmサブマシンガンを連射する。

 一撃で戦車を撃破するような真似は出来ないが、それでも相手に対する牽制にはなるだろうと、そう判断して。

 そうして間合いを詰め……あ、1台撃破した。

 予想外な事に、90mmサブマシンガンで撃破してしまったらしい。

 マゼラアタックと同じくらいの硬さか?

 いやまぁ、マゼラアタックとは違って、砲塔部分が脆弱になっているようには思えない。

 だとすると、防御力という点ではマゼラアタックよりも上かもしれないが……てっきり、マゼラアタックの後継機かと思ったのだが、違うのか?

 もっとも、ジオン軍は基本的にMSを中心とした戦力となっている。

 そう考えれば、MSの開発で精一杯の今、わざわざマゼラアタックの後継機を開発するか? という疑問があった。

 ……だとすれば、マゼラアタックの後継機ではなく、マゼラアタックよりも前に運用されていた戦車とかか?

 ともあれ、こちらに向かって攻撃してくる以上、敵でしかない。

 間合いを詰めたところで、ピクシーは跳躍。

 1台の戦車の上に着地する。

 ジオン軍のザクがひたすら61式戦車を相手に無双していたのを考えれば分かる通り、戦車というのは上の部分の装甲は薄い。

 それが理由で61式戦車がやられていたのを、ジオン軍のこの戦車も自分の身で味わう事になった訳だ。

 そうして2台目の戦車を破壊すると、すぐ近くにいた別の戦車に向かい、上部から90mmサブマシンガンとビームスプレーガンを撃つ。

 これで3台、4台。

 残り1台になったところで、その戦車は逃げ切るのは不可能と判断したのだろう。

 こちらに向けて主砲を撃ちながら真っ直ぐ突っ込んでくる。

 その一撃を回避しながら、跳躍。

 最後の1台の上に着地し、5台目の戦車の撃破を終える。

 取りあえず、これで戦車の撃破は完了したが……本当に、この戦車は何だったんだ?

 マゼラアタックとは違う機種。

 ジオン軍の性格を思えば、こういう一般的な戦車を開発するというのは、少し……いや、かなり予想外だった。

 何しろジオン軍の通常兵器と言えば、ドップやマゼラアタック。それに俺は直接見た事はないが、キュイとかいう妙な兵器もあると聞く。

 そんな独特な兵器の多いジオン軍にしてみれば、この戦車はいたって普通の……それこそ、連邦軍に通じる兵器だったのは間違いない。

 もっとも、連邦軍の戦車も砲門が2門ある61式戦車なので、一般的に思い描くような戦車とは違う形なのだが。

 ともあれ、俺の邪魔をする相手の撃破は成功した以上、ここにいる必要はない。

 モーリンから指示された座標に向かうべきだろう。

 ……とはいえ、問題なのは指定された座標にいる味方が、まだ生き残っているかどうかだろう。

 何だかんだと、俺がホワイトベースから出撃してそれなりに時間が経っているのは間違いないのだから。

 連邦軍側がピンチだからこそ、ホワイトベースに救援の要請が来た訳で……そうなると、これだけ時間が経った後では、既に全滅しているという可能性は十分にある。

 とはいえ、こちらの今の状況を考えれば、その報告を無視する訳にもいかないだろう。

 であれば、やはり今回の一件はしっかりとやる必要があった。

 今回の戦闘は短時間で終わったので、ピクシーの消耗も気にする程ではないし。

 そんな訳で、俺は指定された座標に向かい……

 

「うわぁ、厄介な」

 

 遠くからでも見えてきたその存在に、何故ここにいた部隊が救援を要請したのかを理解する。

 遠くからでも分かるその陸戦艇は、ギャロップ。

 ジオン軍の陸戦艇と言えば、真っ先に思いつくのはダブデだ。

 かなり巨大で、それだけ迫力や強い印象があるからだろう。

 だが……あのギャロップというのは、ジオン軍の陸戦艇として見た場合、ダブデよりも厄介な場所が1つだけある。

 それは機動力。

 ダブデがキャタピラで移動するのに対し、ギャロップはホバー移動するのだ。

 その結果、非常に高い移動力を手に入れた。

 また、武器としては基本的に実弾がメインだが、中にはメガ粒子砲も持っており、その高い攻撃力と機動力で敵対する方としては面倒この上ない機体だった。

 ジオン軍の中でも指揮所として使われる事も多い陸戦艇のダブデには実弾しかないのに、何故ギャロップの方にメガ粒子砲があるのかは、微妙に疑問だが。

 それ以外だと、ギャロップが運搬しているカーゴ。

 あれは基本的にミデアのコンテナのような形で、そこにMSを乗せて運搬も出来る。

 戦う方としては、MSと戦うよりも厄介であり……だからこそ、あのギャロップと遭遇した相手は、ホワイトベースに援軍を要請したのだろう。

 ともあれ、戦闘光が見えないところから考えて、既に戦闘は終わったと判断してもいい。

 連邦軍の部隊は、撤退したか、それとも撃破されてしまったか。

 その辺の理由は俺にも分からなかったが、それでも戦闘が終わっている以上、どうしたものやら。

 

「ホワイトベース、こちらアクセル。聞こえるか? ホワイトベース、こちらアクセル」

『こちらホワイトベース。どうしましたか?』

 

 ホワイトベースから結構な距離を離れたので、ミノフスキー粒子の影響で通信が届くかどうかは分からなかったが……幸いな事に、一定の濃度にはなっていても、そこまで濃い訳ではないらしい。

 聞こえてきたモーリンの声に安堵する。

 エルランが俺達を騙し討ちにした時は、戦闘濃度といったようなものではなく、考えるのが嫌になるくらい、強力なミノフスキー粒子の濃度だったからな。

 

「指定された座標に向かっている途中で、再度ジオン軍と遭遇。それを倒した後で移動したのだが、指定された座標ではもう戦闘は終わっている。どうやら向こうは、ギャロップを出してきたらしい」

『ギャロップですか。……厄介ですね』

 

 ユウ達の部隊のオペレータをやっていただけあって、モーリンも相応にジオン軍に対しての知識はあったのだろう。憂鬱そうな様子で、俺に言葉を返してくる。

 

「ああ。それで、どうすればいい? このまま一時的に撤退するのか、それともギャロップを倒すのか」

『え? 倒せるんですか? ……アクセルさんですもんね』

 

 一瞬驚きの表情を浮かべたモーリンだったが、数秒後にはすぐに納得した様子を見せる。

 いや、それはどうなんだ? と思わないでもなかったが、モーリンがホワイトベースに乗ってから経験してきたことを思えば、そんな風に納得してもおかしくはないのかと、思い直す。

 

「まぁ、そんな感じだ。それでどうする? 倒した方がいいのなら倒すけど」

『少し待って下さい。……ブライト艦長に代わります』

 

 その言葉と共に、ピクシーの映像モニタにはブライトの顔が映し出される。

 ミノフスキー粒子の影響なのだろうが、モニタには時折ノイズが入るが……それでも、通信が不可能という程ではない。

 

『アクセル、本当にギャロップを倒せるのか?』

 

 顔を出すや否や、そう尋ねるブライト。

 ブライトにしてみれば、本当にギャロップを倒せるのかどうか、それを知りたいのだろう。

 

「問題ない。ただし、ギャロップがいるということは当然のようにカーゴの中にはMSがいると考えた方がいい。そうなると、ホワイトベースから出撃しての連戦だけに、この戦闘が終わったら補給の為に戻る必要がある」

『それで構わん。今の状況を思えば、ギャロップのような強力な陸戦艇は出来るだけ早く破壊しておきたい』

 

 ブライトの言葉に少し考え、頷く。

 ホバー移動出来るという事は、ギャロップは水上も移動出来る。

 ハワイという周囲を海に囲まれた場所を領土としているルナ・ジオンとしては、ホバー移動が可能なギャロップというのは是が非でも欲しいだろう。

 ビッグトレーの方でもいいかもしれないが、ビッグトレーよりも小型のギャロップは、小回りが利く。

 だからこそ、ハワイではかなり便利に使えそうなのは間違いなかった。

 ……ホワイトベースのような、ミノフスキークラフト搭載型の軍艦を量産すれば、ホバー移動の陸戦艇がなくてもいいのかもしれないが。

 あ、でもハワイにはギニアスが……ミノフスキークラフトの扱いに関しては、非常に優れた能力を持つギニアスがいる。

 それを思えば、ミノフスキークラフトを搭載した軍艦くらい、開発しようと思えば出来るのか?

 オデッサ作戦が終わった後で、ギニアスに聞いてみるか。

 ただ、アプサラスⅢがアッザムの攻撃によって大きな被害を受けた事を思えば、そちらの改良に集中する為に、軍艦の開発に協力するかどうかというのは、難しいところだろう。

 

「分かった。なら、ギャロップを破壊する」

 

 ブライトにそう返信するとブライトは頷き、頼むぞと告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:835
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1549

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。