転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2477話

 地上に起きた5つの爆発。

 その爆発は、ジオン軍に対して大きな混乱と動揺をもたらした。

 ……というか、上空から見ている限りではジオン軍だけではなく連邦軍の方も何が起きたのか理解出来ていない様子で、動きを止めている部隊が多い。

 さて、一体どうしたものか。

 取りあえず我に返らせるために、ヒュドラに内蔵されているビーム砲を、連邦軍もジオン軍もいない場所に撃ち込む。

 その一撃で最初に我に返ったのは、やはりと言うべきか連邦軍。

 何だかんだと、爆発したのがダブデで連邦軍には被害がなかったというのが大きいのだろう。

 早速進軍を再開する連邦軍を眺めながら、俺は5隻のダブデの中でも一際大きな爆発をしたダブデがいた場所の映像を、コックピットに表示する。

 あのダブデに水爆を搭載したミサイルが配備されていたのは、間違いないだろう。

 不幸中の幸いと言うべきか、水爆を積んでいたダブデがいたのは戦場からかなり離れた場所だ。

 ……いや、これは不幸中の幸いとは言わないのか?

 考えてみれば、水爆を搭載したミサイルを撃った後は、当然のようにダブデはオデッサから退避する予定だった筈。

 だとすれば、出来るだけ素早くここから離れる為に戦場から遠い場所で待機していたというのは、決しておかしな話ではない。

 にしても、放射能とかそういうのはどうするんだろうな。

 その辺は連邦軍の方でどうにかするだろうから、俺がそこまで気にする必要もないのだろうが。

 俺がダブデを破壊するまでジオン軍は結構な勢いで連邦軍と戦っており、戦況は互角に近かったのだが、ダブデが撃破……それも5隻同時に撃破された事によってジオン軍は混乱し、士気も上空から見て分かる程に低くなっている。

 MS隊の動きやマゼラアタック隊の動きが、見るからに鈍いのだ。

 あ、ギャロップも何隻かいるな。

 出来ればあのギャロップも欲しいところだが……そんな風に思いながら地上に降りている最中、不意にこちらに向かって飛んでくるミサイルをT-LINKシステムが知らせる。

 頭部ビームバルカンを使ってそのミサイルを迎撃すると、そのミサイルの爆発を突き破るようにして、ドップが突っ込んできた。

 ……ドップでこのニーズヘッグに挑むとは、正気か?

 そう思わないでもなかったが、ドップにしてみれば先程の攻撃をしたのがニーズヘッグだと気が付いていない可能性もある。

 だからこそ、未知のMSと判断して攻撃してきたのだろう。

 いやまぁ、その気持ちも分からないではないが……エナジーウィングやバリオン創出ヘイロウ、尻尾……これらを装備しているニーズヘッグを、MSと勘違いするか?

 というか、ジオン軍ならグラナダでの戦闘は知っていても……いや、だからか?

 グラナダの仇、と。

 あの戦闘で死んだ奴はいなかった筈だが。

 そうなると、突撃機動軍に恥を掻かせたから、とかか?

 マ・クベはキシリアの腹心だった筈だし、そうなるとこのオデッサ基地にいるのも突撃機動軍であるのは間違いないだろうし。

 ともあれ、ドップが攻撃してきているのは間違いない以上、こちらとしてもそのまま攻撃を受けるつもりはない。

 どう迎撃するかと考え、そう言えばこういう小さい敵を相手にした時に尻尾を使うというのはやったことがなかったと思い直す。

 ニーズヘッグの装備の中では最新の武器たる、尻尾。

 嘲笑する虐殺者の異名を持つニーズヘッグだけに、機体に尻尾があるのはそうおかしな話ではない。

 ……もっとも、エナジーウィングがあったり、バリオン創出ヘイロウがある時点で、ドラゴン? という疑問を抱かざるを得ないが。

 寧ろドラゴンというのなら、ファブニールの方がドラゴンを模している。

 ともあれ、俺はニーズヘッグをドップに向かって突っ込ませていく。

 それも、十分に間合いをとってだ。

 何しろ、ニーズヘッグはEフィールドを始めとして多くのバリアの類がある。

 MSならともかく、ドップが空中でそれにぶつかったりしたら、それこそその場で撃墜してしまうだろう。

 その為に注意をしながらドップに向かい、すれ違いざまに尻尾を振るう。

 まず最初に使ったのは、普通に尻尾として……物理的な鞭としての一撃。

 W世界のガンダニュウム合金をベースにして開発された、新型のT-LINKフレーム製の鞭。

 その一撃は、PS装甲の効果もあるだけあって、物理的な攻撃で破壊するのは難しい。

 それだけに、尻尾はあっさりとドップのコックピットを叩き潰した。

 これで1機。

 続いてヒートロッドの効果を発揮した尻尾で、最初に突っ込んできたドップの後ろを飛んでいたドップに攻撃し……その一撃は、胴体をあっさりと切断した。

 うーん、俺が予想していた以上に凶悪な威力だな。

 その2機を倒したところで、他の無事なドップとすれ違う。

 エナジーウィングとヒュドラのテスラ・ドライブを使って、Gを無視した動きで強引にその場で反転する。

 こういう動きが出来るのも、T-LINKフレームを使っているニーズヘッグだからだよな。

 現在の俺の愛機たるピクシーでこんな真似をしようものなら、それこそ次の瞬間には関節が破壊されてもおかしくはない。

 ともあれ、こうしてドップの後ろについたニーズヘッグだったが、当然のように向こうは後ろにニーズヘッグがいるのを理解しており、何とか引き離そうとするが……ドップの速度でニーズヘッグを振り切れる筈もない。

 接近したところで尻尾を伸ばし、ドップに巻き付けて動きを止め……

 

「あ」

 

 思わず漏れた呟きと共に、尻尾に巻き付けられたドップは機体が押し潰され、破壊される。

 ドップはかなり脆い機体だというのは分かっていたのだが、俺が予想していた以上に脆かったらしい。

 結果として、試そうと思っていた輻射波動を試すよりも前にドップを撃破してしまった。

 残り2機のドップは……と周囲を見回すが、その2機のドップは既に勝ち目がないと判断したのか、既に戦闘空域から離脱している。

 この辺の判断は素早いと言うべきか……もしくは、もっと素早く判断すれば仲間が死ぬような事はなかっただろうにと言うべきか。

 ともあれ、逃げていくドップを追おうかと考えもしたのだが、わざわざそんな事をするよりも今は地上に降りてホワイトベースのブライトやティアンム……その上司のレビルに報告をする方が先だろうと判断して地上に降りていく。

 当然のように、ホワイトベースのクルーは先程の攻撃……ダブデ5隻の爆破を誰がやったのかというのは知っており、地上に降りてきたニーズヘッグを見る為に、ホワイトベースの窓には多くの者達が集まっていた。

 

「まぁ、ニーズヘッグを生で見る機会なんて、殆どないんだし。……たまにはいいか」

 

 これでまだオデッサ作戦が続いている……お互いが互角に戦っている状況であれば、叱咤されてもおかしくはない。

 だが、オデッサ作戦そのものは続いていても、既にジオン軍の負けというのはニーズヘッグが出た時点で決まっているし、何よりジオン軍にとっての移動指揮所とも呼ぶべきダブデが全て撃破されてしまった。

 それを見たジオン軍の士気は見て分かる程に落ちているだろうし、混乱してまともに動けない部隊も上空からは多く見えた。

 ……そう考えると、ダブデが撃破された後で真っ先にこっちに向かって来たドップの部隊は、かなり凄かったんだな。

 まぁ、見た感じでは頭に血が上ってその辺を考えられなかった……といったように、見えない事もなかったが。

 ともあれ、現在オデッサにいるジオン軍の多くはまともに戦える状況ではない。

 指揮を執っていたジオン軍の上層部が乗っていたダブデが纏まって撃破されたので、この状況で自分がどう動けばいいのか、というのが分からないというのも大きい。

 だからこそ、連邦軍は大攻勢に出るのにちょうどいい。

 そう言えばダブデは5隻とも破壊したけど、今回の騒動の原因……ダブデに水爆のミサイルを搭載するようにと指示したマ・クベはどうなったんだろうな。

 ダブデに乗っていれば、死んでいてもおかしくはない。

 だが、もしダブデに乗っていなければ、まだ生き残っていてもおかしくはない。

 出来ればここでマ・クベを捕らえて、水爆を使ったという事を証言させたいところだが……難しいだろうな。

 ダブデに乗ってれば既に死んでるだろうし、もしダブデに乗っていない場合は、ダブデが撃破されたことで水爆の件で自分の身が危険だと判断して、撤退している可能性が高い。

 ニーズヘッグから降りると、空間倉庫に収納する。

 その光景に再びホワイトベースの中からこちらの様子を見ていた者達が驚いていたようだが……俺が空間倉庫を持っているのはホワイトベースに乗ってれば知っていてもおかしくはないし、何よりも先程空間倉庫からニーズヘッグが出て来るといった光景を見ている筈だろうに。

 その辺が一体どうなってるのか、少し疑問だ。

 まぁ、ニーズヘッグにはその辺を気にしなくさせるような、そんな迫力があるからと言われれば、俺としても納得するしかないのだが。

 ともあれ、ニーズヘッグを収納してホワイトベースの中に戻ると……俺を見た者達が、ビクリと反応する。

 ニーズヘッグを見た者の対応としては、そこまでおかしくはない。

 あ、何か覚えがあると思ったら、これって刈り取る者を見せた時の反応に近いのか。

 ともあれ、今はこの連中の反応を気にするよりも先に、ブライトに報告する方が先だろうと判断し、先を急ぐ。

 そしてブリッジにやってくると、ブライトが複雑な表情で俺を見る。

 それでも他の面々のように畏怖や恐怖といった表情を表に出していないだけ、こちらとしてはそれなりにやりやすいのだが。

 

「取りあえず、水爆ミサイルを積んでいたのを含めて、ダブデは全部破壊したけど、これで構わないよな?」

「ああ、それは構わない。構わないのだが……正直なところ、これだけの実力差を見せつけられると、どう反応すればいいのか迷うな」

「まぁ、その気持ちは分かる……と、俺が気楽に言う訳にはいかないか」

 

 ブライトにすれば、ニーズヘッグが見せた驚異的な……もしくは凶悪的な性能に、唖然としたのだろう。

 それこそ、自分達が運用してきたMSは何だったのかと、そう言いたくなるような思いすら懐いても、おかしくはない。

 

「この世界でMSは開発されたばかりでしょう? それと比べると、シャドウミラーで使っている人型機動兵器は、この世界よりも経歴が長いのよ。それを思えば、この差は寧ろ当然じゃない?」

 

 舵を握っているミナトが、ブライトを慰めるように言う。

 そんなミナトの言葉に、ブライトは……そしてブリッジにいた他の面々も、少し驚いたような視線を向ける。

 まさか、シャドウミラーに所属しているミナトの口から、そのような言葉が出るとは思ってもいなかったのだろう。

 だが、すぐに何かに気が付いたように、ブライトが口を開く。

 

「もしかして、ミナトも……?」

「ええ。元々私はアクセルと同じ世界の出身ではないわ。アクセルが転移してきた世界に住んでいたの。そこで……まぁ、色々とあってアクセルの側にいる為に、シャドウミラーに所属した訳だけど。その時にアクセルの能力を見た時にね」

 

 色々というところで艶っぽい表情を浮かべ、意味ありげにこちらを見るミナト。

 そんなミナトの様子から、色々と説明された部分が何を意味しているのかを理解し、ブリッジにいる面々……特にブライトは俺に呆れの視線を向けてくる。

 その視線が何を言いたいのかと、そう言ってるのは分かったが、今はそれに何を言い返すでもなく、スルーしておく。

 この世界でも、基本的には一夫多妻制は認められていない。

 勿論、連邦軍や連邦政府の上層部には、妻以外に愛人を持っているという者も相応にいるので、表向きはという事になるが。

 他の面々からの視線をも畏怖とか恐怖とかではなく、今では呆れや好奇心、嫉妬の混ざったものとなっている。

 ……ミナトの美貌を考えれば、嫉妬の視線を向けてくる者が多くても、おかしな話ではないので、その理由は分かるが。

 ともあれ、視線の種類が変わったのは俺にとって悪い事ではない……と、そう思いたい。

 

「ともあれ、これでオデッサ作戦は終結に向かう筈だ。そうなると、問題なのは……マ・クベやエルランのような相手を捕らえられるかどうかだろうな」

 

 水爆を使うように指示をしたと思われるマ・クベと、連邦軍の情報を散々に流して亡命したエルラン。

 特に後者は、最後の最後に自分が逃げる為の攪乱……それと少しでも連邦軍に被害を与えることを考えてだろうが、偽の命令を出してホワイトベース隊を攻撃するような真似すらした。

 その辺の追求をする為にも、エルランには是非ここで捕まって欲しいところだが……さて、その辺は一体どうなるんだろうな。

 

「アクセルの攻撃により、ジオン軍は完全に混乱している。マ・クベやエルランも、捕らえられるのは時間の問題だと思うが……」

「ブライトが言いたい事も分かるが、あの手の連中ってのは逃げ足だけは早いからな。……もっとも、ここで逃げたとすれば、恐らく宇宙の可能性が高い。いずれ、その事を後悔するだろうけどな」

 

 そう言い、俺は笑みを浮かべるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:900
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1560

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