転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2486話

 ベルファスト基地で急ぎの仕事を終え、ブライトとの話し合いも終えた俺は、早速約束通りにミナトと綾子の2人と一緒にベルファストでデートを……と、そう思っていたのだが……

 

「まぁ、しょうがないわよ。綾子はMSパイロットとして女の人達を率いていたんだもの」

 

 少しだけ残念そうにしている俺に、ミナトがそう声を掛けてくる。

 そう、本来ならここには綾子も一緒にいる筈だったのだが、ガンタンク隊のうちの1機に乗っている女達に頼まれて、今日はそっちに行くことになった。

 その気持ちも分からないではない。

 俺、ミナト、綾子の三人はジャブローに行けばホワイトベース隊からいなくなるのだが、ガンタンク隊……いや、MS隊に所属している面々は、当然のように俺達とは違ってジャブローに行ってもそのままホワイトベース隊として行動する事になる。

 だからこそ、今まで世話になった綾子と小さいながらもお別れ会をしたいと言われれば、綾子もそれを断る事が出来なかったのだろう。

 俺としても、まさかその状況でこれから綾子は俺とデートだからそっちには行けないなんて事は言えず、結果として俺とミナトだけでデートとなったのだ。

 ……まぁ、それも悪いとは思わないんだけどな。

 

「取りあえず綾子への埋め合わせはまた今度考えるという事にして、今は俺達のデートを楽しむとするか。……とはいえ、この様子だとな」

 

 ジオンとの戦争の影響によるものなのだろうが、街中の賑やかさはあまりない。

 ヨーロッパも結構な激戦区らしいから、ある意味でそれは当然なのかもしれないが。

 

「うーん、そうね。こうなると、色々と楽しみにしていた目的も果たせないでしょうね。キキもシローと一緒にデートに出掛けるのを楽しみにしてたんだけど」

「キキが? ……あー、なるほど」

 

 その言葉で、何となくこの前シローがベルファストに寄る一件について詳しかった事を思い出す。

 なるほど。前々からキキと一緒にベルファストでデートをする予定だったからか。

 一時期はキキと肉体関係を持ってしまった事に罪悪感を抱いていたシローだったが、どうやらもうその辺は完全に吹っ切ったらしい。

 それがいい事なのかどうかは、俺にも分からないが。

 ともあれ、シローとキキが上手くいってるのなら、それは悪くない。

 この先にどうなるのかは、俺も分からないが。

 

「うーん、あのお店をちょっと見ていかない?」

 

 ベルファストの街中を歩いていると、不意にミナトがそう言ってくる。

 あの店? と視線を向けると、そこには化粧品店があった。

 ああいう店に女と一緒に行くと、間違いなく時間が掛かる。

 それでも折角のデートなんだしと、そう思って頷こうとした時……ふと、ある光景が目に入ってきた。

 

「おい、あれ」

「え? ……あら」

 

 化粧品店に行く気満々だったミナトだったが、俺の示した方を見ると驚きの声を出す。

 当然だろう。俺とミナトが見ている場所には、かなり予想外の光景が広がっていたのだから。

 視線の先にいるのは、カイ。

 それは別におかしくはない。

 今日やるべき仕事はもう終わっているので、現在は自由時間となっているのだから。

 俺とミナトが驚いたのは、カイが見覚えのない女と一緒にいたからだ。

 髪を後ろで二つに結んでいる髪型をした女と、楽しそうに話しているカイ。

 あの様子から、恐らく女の方はベルファスト基地の人間……いや、軍人っぽくないので、民間人か?

 そうなると、カイがあの女をナンパしたといったところか。

 強引に女を連れ回しているのなら、それを止める必要がある。

 だが、こうして見た感じでは女の方も笑みを浮かべ、嬉しそうにカイの相手をしていた。

 だとすれば、普通に考えてカイが女をナンパして、それが成功したといったところか。

 まぁ、カイも顔立ちそのものは整ってる方だし、ホワイトベース隊の中でも上位に位置する操縦技能の持ち主だったりする。……アムロやユウのような超一流の連中には敵わないが。

 そんな訳で、カイは客観的に見た場合はかなり優良物件だったりするのだから、ナンパが成功しても特におかしくはない。

 ……ただ、ホワイトベース隊のMSパイロットだという事を前提にして考えれば、ハニートラップという可能性も考えないといけない訳だが。

 

「どうする? ちょっと声を掛けてみるか?」

「馬鹿ね。少しは気を遣いなさいよ。今は放っておいた方がいいわ」

「……そういうものか?」

 

 取りあえず、ミナトがそう言うのなら今はデートの邪魔をしない方がいいだろう。

 そう判断し、俺とミナトは化粧品店の中に入っていく。

 

「いらっしゃいませ」

 

 ミナトと俺の方を見て、店員がそう丁寧に頭を下げる。

 外から見た時も思ったが、この店はどうやらそこそこ高級な品揃えらしい。

 店員もしっかりとした教育を受けているのが分かる。

 だが……いや、そのような高級店だからこそと言うべきか、店の中に客の姿はない。

 少ないのではなく、俺達以外の客は誰もいないのだ。

 単純に、今この時だけ客がいないのか、それとも最近はこれが日常なのか……多分、後者なんだろうな。

 ジオンの独立戦争が起こっている今、高級な化粧品を買いに来るような者はそう多くはない筈だ。

 ましてや、このベルファストは連邦軍の基地の中でもそこそこ大きな規模を持つ。

 つまり、それだけジオン軍に狙われる可能性があるのだ。

 そんな場所に住もうと思う者は多くはないだろう。

 このような店に買い物に来るのも、連邦軍の関係者……具体的には、連邦軍上層部の妻や娘といったところの筈だ。

 そのような者達も、ジオン軍との戦争が起こっている今は、避難していてもおかしくはないし、例え避難していなくても高級な化粧品を買いに来るような余裕はそうそうない筈だ。

 店内を眺めながらそんな風に考えていると、ミナトは店員と何かを話している。

 色々と専門用語があって俺には詳しく分からないが、ミナトと話している店員が驚き、嬉しそうな様子を見せているのを思えば、ミナトの知識はなかなかのものなのだろう。

 ……まぁ、ミナトの化粧の知識については、このUC世界以外で得られた知識も多いので、その知識がどれくらい通じるのかは分からない。

 だが、ああやって話をしているのを見れば、ある程度その知識も通じているのだろう。

 

「いや、凄いですねお客様のお連れの方」

 

 俺が離れた場所でミナトと店員の様子を見ていると、30代くらいの男が俺に話し掛けてくる。

 ミナトが店員と話している間、連れの俺が暇だと考えたのだろう。

 だからこそ、こうして俺が暇をしないようにと話し掛けてきたのだ。

 一流の店だけあって、その辺の気遣いもさすがだ。

 そして店の中を眺めるだけしかなかった俺は、そんな店員の心遣いに感謝し、会話する。

 

「そうか? まぁ、女ってのは化粧品とかには色々とうるさいものだしな」

「そうですね。私もこのような店で働いている以上、それは承知しています。しかし、お連れの方は……何というか、化粧をしなくても十分にお美しい。この店で働いている身としては悔しいですが」

「あー……まぁ、ミナトの場合はな」

 

 ミナトは元々顔立ちが整っており、美人と呼ぶに何の抵抗もない容姿をしている。

 だが、当然何の努力もしないままに、今のような美貌とプロポーションを保っている訳ではない。

 エヴァとの戦闘訓練のように激しい運動を行い、また魔法球でしっかりと睡眠を取り、ストレスのない生活をしている。

 ……まぁ、このUC世界にやって来てからは、ホワイトベースという軍艦に乗っているので、そういう生活からも遠ざかっているのだが。

 それと、魔力や気を使えるようになったのも、ミナトの健康や美貌に一役買ってるのは間違いない。

 勿論、華が満開に咲いているといってもいい状態で、時の指輪を受け取ったというのも大きいのだろうが。

 

「正直なところ、どうやってあの美貌を維持しているのか、教えて欲しいくらいです。……いえ、そこまではいかなくても、うちの店のモデルとして写真を撮らせて貰えれば……」

 

 何気にこの男も必死だな。

 まぁ、閑古鳥が鳴くという表現がぴったりのこの店の状況を、少しでも変えたいのだろう。

 そういうのを抜きにしても、ミナトの美貌をこの店の化粧品を使ってより華やかにしてみたいという、化粧品店の従業員らしい本能も感じるが。

 

「悪いが写真は遠慮してくれ。こう見えて、俺達も色々とあってな」

 

 ミナトがシャドウミラーのメンバーだと知られてしまった場合、この店にも色々と迷惑を掛けるような気がする。

 だからこそ、現在の状況ではミナトの写真を飾るなどといった真似は可能な限りしたくはない。

 もっとも、細かい理由まで全てを教えることは出来ないので、適当に誤魔化す必要があるのだが。

 

「そうですか? ……残念です」

 

 店員は少し……いや、思い切り残念そうにしながらも、やがて俺の言葉に分かりましたと頷く。

 しつこく頼んでこないのは、好印象だな。

 そんな真似をしても、俺はそれを受け入れたりはしないが。

 ミナトの方も、その辺については知っている以上、モデルを引き受けたりはしないだろうが。

 

「悪いな。……俺とミナトは今日ベルファストに到着したんだが、この辺はアイリッシュシチューが美味いって? そのアイリッシュシチューを食べたいんだけど、どこかいい店を教えてくれないか?」

 

 この手の名物料理の類は、自分で美味い店を探すのが楽しいというのは分かっている。

 特に俺の場合は、幾ら食べても即座に魔力に変換されるので、その気になればそれこそ延々と食べ続ける事が出来る。出来るのだが……それはあくまでもある程度の時間があればこその話であって、今日と明日の2日間しかなく、しかも今はミナトとデート中なのだから、そのような真似は出来ない。

 雑誌の類で美味い店を探すというのもいいかもしれないが、雑誌を完全に信じるというのは危ないんだよな。

 結果として、地元の美味い料理を出す店を知りたければ、地元の者に聞くのが一番だ。

 ……とはいえ、それはあくまでも聞いた相手による。

 中にはわざと不味くて高い店を紹介するような奴もいるだろうし、もしくはそこまで美味くなくても、自分の知り合いがやっている店を紹介する奴もいる。

 そういう意味では、この化粧品店の店員は話し相手として俺に付き合ってくれているし、ミナトがこの店で色々と買うのは既に決まっているので、美味い店を聞く相手としては申し分がない。

 

「アイリッシュシチューですか? あの料理は、それこそ家によって味は変わりますしね。一概にどこの店が美味しいというのは……ああ、でも店を出てその通りを真っ直ぐ右に向かった場所にあるダオランテというお店は美味しいですね。少なくても私が食べた限りでは、かなり美味しいと思いました」

 

 ダオランテね。

 一体、何にあやかった名前だ?

 あるいは、店のオーナーの名前とか、そんな感じか?

 そんな風に思っていると、不意に遠くから爆発音が聞こえてきた。

 

「うわぁっ!」

 

 その爆発音に、俺の側にいた店員が驚きの声を上げる。

 爆発音か。……何となくその理由は想像出来るけど、出来ればその想像が間違っていて欲しいな。

 そう思いながら、俺は店員にミナトが買った化粧品の金を多めに渡す。

 

「釣りはいらない」

 

 一度は言ってみたい台詞ではあるが、まさかここでその台詞を言う事になるとは思わなかった。

 そんな風に考えつつ、俺は化粧品の入った紙袋を持ったミナトと店の外に出る。

 先程まで話していた店員が、危ないから店の中に戻るように叫ぶ声が聞こえてくるが、ホワイトベース隊としてはそんな訳にもいかない。

 

「どうやら、ベルファスト基地の方のようね」

 

 俺の隣にいたミナトが、化粧品の入った紙袋を渡しながら呟く。

 その紙袋を空間倉庫の中に収納しつつ、その言葉に頷いた。

 

「そうらしい。だとすれば、ジオン軍の攻撃と見るのが正しいだろうな。……オデッサの生き残りか? それとも、全く別の連中か。その辺はちょっと分からないが、俺達が戻る必要があるのは間違いないな」

「ええ。じゃあ、行きましょう。こういう時に、アクセルと一緒にいると便利よね」

「……否定はしない」

 

 そう言いながら、俺とミナトは近くにある建物の陰に向かう。

 現在の通りには人が大勢いるので、もしそこで影のゲートを使おうものなら、絶対に目立つ。

 そんな訳で、俺とミナトは周囲から見えない場所に移動して影のゲートを使ったのだ。

 ……ぶっちゃけた話、ミナトも瞬動とか虚空瞬動は使えるようになってるんだから、移動するつもりになれば、ホワイトベースに戻るのは難しい話じゃないんだけどな。

 そんな風に考えつつ、影のゲートから出ると……

 

「うわぁ」

 

 まさしく戦場と呼ぶべき光景の港湾施設を眺めながら、思わずそう呟くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:900
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1560

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