転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2489話

 ゴッグのデータが入力されたシミュレータは、その日のうちにホワイトベース隊のMSパイロットには知らされ、多くの者が挑戦したのだが……

 

「嘘だろ、何だよこれ! 何でガンキャノンの装甲があっさりと斬り裂かれるんだよ!」

 

 シミュレータから出て来たカイの悲鳴が、周囲に響き渡る。

 まぁ、その気持ちも分からないではない。

 現在ホワイトベース隊では唯一のガンキャノンのパイロットであるカイだったが、そのカイの操るガンキャノンがゴッグの爪……アイアンネイルによって、あっさりと斬り裂かれたのだ。

 それこそ、まるで爪がビームサーベルか何かのように。

 現在ホワイトベースにあるMSの中で、ガンキャノンは一番防御力の高いMSだ。

 ルナ・チタニウム製の装甲という意味では他のガンダム系MSとそう大差はないのだが、ガンキャノンの場合は運動性を犠牲にしてでも装甲を厚くして防御力を高めている。

 ……それでいながら、ザクと互角に戦えるだけの運動性は維持している辺り、コスト度外視にした連邦軍の底力を見たといった感じだが。

 そんなMSの中でも最高峰の防御力を持つガンキャノンの装甲ですら、ゴッグの爪はあっさりと斬り裂いたのだ。

 この辺、やはりメカニックの方で予想してデータを入れた悪影響だろうな。

 とはいえ、実際にアムロの乗るガンダムの頭部をあっさりと指先で貫通するだけの実力を持っていたのは間違いなく、そう考えれば多少極端であっても、そこまで気にする必要はない……と、そう思う。

 勿論、指先でちょっと触っただけで撃破扱いになるとか、そこまで極端な感じだと許容出来ないだろうが。

 

「はっはっは。なら、俺に任せな。モルモット隊の意地を見せてやる!」

 

 降りてきたカイに代わって、フィリップがシミュレータの中に入る。

 シミュレータは別に1機だけという訳ではないのだから、それこそ多くの者が同時に別々のゴッグと戦ったり、もしくはゴッグ1機対複数のMS……といった事も出来ない訳ではない。

 ないのだが、現在のところは流れというか、成り行きというか、そんな感じで1人ずつがゴッグと戦い、それを映像モニタで皆が見ているといった感じになっている。

 

「フィリップの奴、陸戦型ガンダムの機動性を活かして、ゴッグを近づけさせないで攻撃する気だな」

 

 シローの言葉通り、映像モニタでは陸戦型ガンタムがゴッグと距離を取りながらビームライフルを使って攻撃していたが……

 

「あ」

 

 その短い言葉を口にしたのは、一体誰だったのか。

 それは俺にも分からなかったが、ともあれその理由ははっきりしている。

 ゴッグの腹部からメガ粒子砲が発射されたのだ。

 いや、それだけであれば、そこまで驚くようなことはなかっただろう。

 だが、ゴッグのメガ粒子砲はガンダムと戦ったのを俺も見たが、その威力と映像モニタで現在表示されているものでは、大きく違う。……というか、違いすぎる。

 何故なら、フィリップが戦っているゴッグの腹部から発射されたのは……ぶっちゃけ、アプサラスⅢの拡散メガ粒子砲だった為だ。

 言ってみれば、細長いビームサーベルを複数振り回していると表現してもいいような、そんな攻撃。

 そのようなメガ粒子砲が発射され、フィリップ操る陸戦型ガンダムはあっさりと動力炉を破壊され、爆散して撃破される。

 

「って、なんじゃこりゃあああああああっ!」

 

 シミュレータに乗っているフィリップの口から、そんな叫びが出る。

 いやまぁ、正直なところそんなフィリップの気持ちは理解出来る。

 さっきのガンキャノンの装甲を斬り裂いたアイアンネイルの一撃もかなり凶悪だったのは間違いないが、今のメガ粒子砲はそれを上回る。

 それこそ、一体何それ? と言いたくなるくらいの、凶悪なメガ粒子砲だったのだから。

 少なくても、俺が知っているゴッグはあんな攻撃はしない。

 

「あれは……ちょっとやりすぎじゃないか?」

 

 ゴッグのデータを入力したメカニックに、そう尋ねる。

 あくまでも予想としてのデータだというのは、前もって聞いていた。聞いていたが……今のメガ粒子砲を見る限り、とてもではないがゴッグのメガ粒子砲とは違う。

 アプサラスⅢ+ゴッグ的な……

 

「あ、あははは。少しやりすぎました? ただ、ゴッグのメガ粒子砲はMSに内蔵されているメガ粒子砲で、そもそも連邦軍のMSが使うメガ粒子砲とは違うんですよね。その為、どうしてもその辺は色々と想像する必要がある訳で……」

「その結果があれか? いやまぁ、その言い分も分からないではないが」

 

 アプサラスⅢのメガ粒子砲も、ゴッグのメガ粒子砲も、言ってみれば基本的な理論は一緒だ。

 勿論規模だったり、そこに使われている技術だったりで大きく違うのは間違いないが。

 だからこそ、アプサラスⅢがオデッサで使ったメガ粒子砲を見て推測したデータを入力したのだろうが……その結果が、これなのだ。

 フィリップにしてみれば、全く浮かばれない。

 当然のようにそんなゴッグ……いや、スーパーゴッグとでも呼ぶべき相手に初見で勝てる筈もなく、フィリップの陸戦型ガンダムはあっさりと敗北する。

 そうしてシミュレータから出て来たフィリップだったが、誰もそんなフィリップをからかうような真似はしない。

 当然だろう。もし自分なら、ゴッグから放たれたアプサラスⅢ並の拡散ビームを回避出来たのかと聞かれて、それに頷く者はそう多くはないのだから。

 もし回避出来るとすれば……俺、綾子、アムロ、ユウの4人くらいか?

 

「おい、これは幾ら何でもあんまりだろ!?」

 

 そして案の定、シミュレータから出て来たフィリップはメカニックに不満を口にする。

 その気持ちも分かるが、他の者達はそんなフィリップを落ち着かせていた。

 

「ほら、落ち着けって。頼んだ俺が言うのも何だけど、そもそも今回の一件はメカニックの方で得られたデータからこういう事をやってたんだから、今回みたいになってもおかしくはないだろ」

 

 ヤザンが何とか落ち着かせるという、珍しい光景がそこには広がっていた。

 実際にヤザンが口にしているように、今回の一件はヤザンがゴッグと戦ってみたいと思って始まったことだ。

 その辺の事情を考えると、やはりヤザンにしてもメカニックを責めさせるといった真似は避けたかったのだろう。

 とはいえ……それでも若干やりすぎなところがあるのは、間違いないが。

 

「よし、ここはやっぱりアクセルに戦って貰おう」

「は? 俺か?」

 

 不意にそんな事を口にしたのは、カイ。

 自分がさっき負けたというのもあるのだろうが。それで俺に戦わせようと思ったのか。

 ともあれ、こちらとしてはあの理不尽なゴッグと戦ってみたい気はしないでもない。

 

「分かった。なら、俺がやろう」

「え? マジ?」

 

 何故か俺がやると言うと、カイが驚きを露わにする

 いや、お前が元々やれって言ったんだろうに。

 もしかして、俺が断ると思ってたのか?

 ……まぁ、あのゴッグを見れば普通はそう考えるか。

 アイアンネイルはルナ・チタニウム製の装甲をあっさりと斬り裂くだけの鋭さを持ち、腹部からアプサラスⅢ並の拡散メガ粒子砲を撃てる。

 もし本当にそんなMSがいたら、現時点では最強と言っても間違いではないだろう。

 重装甲の為に、運動性や機動性はそこまで高くないみたいだったが。

 

「ああ。あの性能を見てみたら、ちょっと戦ってみたくなった。……まぁ、お遊びに近いけどな」

 

 実際、あのような性能のMSがいるとは思えない。

 いや、将来的には出て来るかもしれないが、今の時点では無理だろう。

 だが……だからこそ、ちょっと戦ってみたくなったのだ。

 

「アクセルで勝てないのなら、それこそ誰も勝てないだろ?」

「いや、アクセルならいいところまでいけるんじゃないか?」

 

 何人かがそんなやり取りをしている声が聞こえてくる。

 そんな声を聞きながら、俺はシミュレータに入って準備を整える。

 当然ながら、俺が使うMSは愛機のピクシー。

 ……ニーズヘッグなら、あの魔改造ゴッグと戦っても楽に勝てるだろう。

 だが、当然このシミュレータにニーズヘッグのデータは入っていない。

 だからこその、ピクシーだ。

 まぁ、あのゴッグの設定をしたメカニックなら、ある意味で驚きのニーズヘッグのデータを作ってくれるかもしれないが。

 そんな風に思いながら、模擬戦を開始する。

 ちなみに、当然の話ではあるが模擬戦の舞台はここベルファストだ。

 ゴッグが戦う以上、海は必須なのだから当然だろう。

 

「うおっ、いきなりか!」

 

 海から飛び出てきたゴッグが、その爪を……ガンキャノンの装甲ですらあっさりと斬り裂くだけの威力を持った爪を振るってくる。

 ベルファストでの戦いではあっても、開始した場所が港の先端、海のすぐ側というのもあって、こちらにとってはかなり不利な状況だった。

 ともあれ、そんな一撃を回避しつつ頭部バルカンで反撃するが……ゴッグの厚い装甲によってその攻撃はあっさりと防がれる。

 それどころか、頭部バルカンの弾丸が命中しても全く気にした様子もなく爪を振るってくる。

 その一撃を回避しながら、この動きがシミュレータだよなと納得した。

 実際には効果がなくても、その衝撃はパイロットに伝わる筈なのだ。

 そして衝撃が伝われば、若干であっても何らかの動きを見せてもおかしくはない。

 だが、相手はAIだ。

 そんな衝撃なんて関係ないと言わんばかりの行動は、こちらから見ても非常に厄介な代物なのは間違いない。

 とはいえ、同じ攻撃でも何度も食らえば当然のように反応しやすく……アイアンネイルの一撃を回避しつつ、ビームダガーを振るう。

 

「何?」

 

 ビームダガーの一撃が、何故かアイアンネイルで防がれた。

 これがヒートホークならぬヒートネイルとかだったら、そんな真似をしても理解は出来る。

 だが、ルナ・チタニウム製の装甲を斬り裂くとはいえ、ただの爪でビームダガーを受け止めるというのは意外……というか、ぶっちゃけどう考えても設定ミスでしかないだろう。

 いやまぁ、ガンキャノンの装甲をあっさりと斬り裂いたり、アプサラスⅢの拡散メガ粒子砲のような攻撃をしてくる時点で、設定ミスなのは明らかなのだが。

 そういうのを全て承知の上で、こうして模擬戦を挑んでいるのだから、それに文句を言うつもりはない。

 

「っと!」

 

 こっちが動きを止めたからだろう。

 ゴッグの腹部からメガ粒子砲が放たれる。

 アプサラスⅢ並のビームだったが、一瞬早くピクシーのスラスターを使ってその場から回避させる事に成功し……だが、メガ粒子砲の出力は俺が思っていた以上に高かったのか、ピクシーの装甲にダメージを受ける。

 それでも正面からメガ粒子砲が命中する事は防いだので、そのままスラスターを全開にしてゴッグとの間合いを詰め、メガ粒子砲を撃った状態の隙を突き、一気にビームダガーを突き刺そうとした瞬間、シミュレータの画面が消える。

 

「何だ?」

 

 少し戸惑ったが、そのまま少し待っても特に何かが起きる様子はない。

 そうである以上、いつまでもシミュレータに入っていても意味はないと判断して、シミュレータから出る。

 するとそこでは、他の面々も戸惑った様子を見せていた。

 

「なぁ、結局何があったんだ?」

 

 メカニックにそう尋ねると、メカニックは少し困った様子で口を開く。

 

「多分、その……いわゆる処理速度が追いつかなくてフリーズしたという状況だと思う」

「は? でも、今までそんな事はなかっただろ?」

 

 ホワイトベースのシミュレータは、それこそ今まで数え切れないくらいに利用してきた。

 だが、今までフリーズ……処理落ちしたような事はない。

 考えられるとすれば……

 

「ゴッグか」

「う」

 

 図星だったのか、メカニックが呻き声を上げる。

 そんなメカニックの様子を見て、何となく理由は分かった。

 つまり、ゴッグのデータに色々と無理があったのだろう。

 何しろ、シミュレータで戦ったゴッグの能力はもの凄かった。

 それこそ、あんなゴッグが量産されていれば、連邦軍は今頃負けていただろうと、そう思えるだけの能力を持っていた。

 それだけの能力をゴッグに持たせてシミュレータで再現したのだから、シミュレータにかなり無理をさせていたと考えてもおかしくはない。

 

「言っておくけど、他のパイロットなら処理落ちはしなかったんだからな」

 

 メカニックの悔しげな言葉。

 実際にカイやフィリップがシミュレータでゴッグと戦った時は処理落ちしなかったのは間違いない。

 

「アクセルの操縦技術と反応速度が、今回の一件の原因だったんだと思う。……正直なところ、普通なら考えられないんだけど……」

「アクセルを普通だと思う方が、無理があるってことだろうな」

 

 フィリップの若干のからかい混じりの言葉。

 ……もしかして、自分が倒せなかったゴッグと俺が結構いい勝負をしたから、からかってるんじゃないよな?

 そんな風に思いながら、俺は騒いでいる面々を眺めるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:905
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1561

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