転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2504話

 翌日、俺は早速ガンダム7号機のある場所に向かっていた。

 俺を案内してくれる連邦軍の兵士は、興味深そうに何度も俺に視線を向けてくる。

 こうして俺を案内しているという事は、当然のようにある程度の事情を……それこそ、俺に報酬としてガンダム7号機が譲渡されるというのを知っているのだろう。

 もしくは、上からその辺の事情を聞かされていたか。

 その辺りは俺にも分からなかったが、ともあれこの兵士が俺に興味津々だったのは間違いない。

 それでも直接尋ねてこないのは、その辺を聞かないようにと前もって上から言われていたからか。

 その事情はともかくとして、現在俺はジャブローの中でもかなり機密度の高い場所……それこそ、その辺の兵士では決して入る事が出来ないような、そんな場所にやって来ていた。

 ……いたのだが……

 

「畜生っ、シミュレータだけじゃ機体の細かい場所までは分からないって言ってるだろ! 実機を動かさせろよ、実機を」

「落ち着け、フォルド。上の命令なんだから、仕方がないだろ」

「ルースは悔しくねえのかよ! 何だって俺達の機体の調整が後回しになるんだよ! こんなことなら、オーガスタ基地で最終調整をやってくればよかったんだ」

 

 格納庫に向かう途中、そんな言い争いが聞こえてくる。

 何だ? と疑問に思って視線を向けると、そこでは2人の連邦軍のパイロットと思しき男達が言い争いをしている。

 ……いや、言い争いというか、片方がもう片方をなだめているといったところか。

 この一画に入ってるということは、まさか許可もなく忍び込んできたとか、そういう訳じゃないと思うが。

 そもそも、忍び込んで来たとかなら、ああやって騒いでたりはしないか。

 

「なぁ、あれが誰か分かるか?」

 

 俺を案内している兵士に尋ね、未だに騒いでいる2人に視線を向ける。

 1人は、いかにも自分の腕に実力がありますといったような自信のある表情をしている男。

 この男が騒いでおり、それを騒いでいる男よりも年上の……それでもまだ若いのに、若干額が広がっている男がなだめているのだ。

 

「ああ、あの2人はガンダム4号機と5号機のパイロットです。元気のいい方がフォルド・ロムフェロー中尉で、それを押さえている方がルース・カッセル中尉ですね」

「へぇ、ガンダム4号機と5号機か。……俺の貰う7号機と同じセカンドロットのガンダムのパイロットだな」

「ええ。ただ、その……フォルド中尉の方は、見ての通り少し機嫌が悪いので……」

 

 話し掛けるのは止めた方がいい。

 そう告げる兵士だったが、先程の会話を思い出せばその言葉は納得出来た。

 つまり、上からの命令で俺に譲渡される7号機の最終調整が、あの2人の4号機、5号機よりも優先されたという事なのだろう。

 ……まぁ、その気持ちは分かる。

 俺への報酬という事で譲渡されるガンダム7号機だが、FSWS構想によって開発された機体であり、外部パーツを装備することで、機体の性能や癖の類が変わってくる。

 少なくても、俺がゴップやレビルから渡された書類にはそんな風に書かれていた。

 FSWS構想に沿った機体が、具体的にどのくらいあるのかは、俺にも分からない。

 だが、コスト的な問題を考えれば、量産するような真似は出来ないだろう。

 ましてや、7号機ファーストアーマーとセカンドアーマーにより2段階の強化が可能となっており、それだけ調整の問題も大きくなる。

 だからこそ、俺に譲渡する前に7号機の調整を最優先で行い、しっかりと問題のない完璧な状態にしておきたいのだろう。

 その結果として、あの2人の機体の最終調整が遅れてしまったのは悪いと思うが……ただ、そうだな。やっぱりここでちょっかいを出さない方がいいのは間違いないか。

 そう判断し、俺はその場から離れようとする。

 ……いや、正確にはしたのだが……

 

「おい、お前達。ここは許可のない奴は立ち入り禁止だぞ!」

 

 フォルドと呼ばれた男が、俺と案内役の兵士を目にして、そう言ってくる。

 その声に恫喝の色があるのは、自分のMSの調整が後回しにされた苛立ちからだろう。

 面倒な奴に見つかってしまったな。

 いや、あの2人が誰だ? とか軍人に聞いていた俺も悪いんだが。

 

「許可は貰ってるぞ」

 

 ポケットから、許可証を出す。

 ゲスト許可証なので、当然のように行ける場所は制限されているが、それでもここにいるのは問題がない。

 

「……すまない」

 

 許可証を見せると黙り込んだフォルドの代わりに、ルースがそう言って謝ってくる。

 もしかして、ルースの額が広くなっているのは、フォルドの世話を焼いてるからとか、そんな理由じゃないよな?

 ふと、そんな疑問を抱くも、まさかそれを直接口にする訳にもいかないので、頷く事により返事とする。

 

「気にするな。それより俺はこれから行くところがあるから……」

「ちょっと待て」

 

 これで失礼する。

 そんな俺の言葉を遮るにように、フォルドが言葉を挟んでくる。

 その視線には、俺を怪しむ色がある。

 ……まぁ、連邦軍の中でも相当に機密度の高い場所に、連邦軍の軍服も着ていない、ましてや10代半ばくらいの姿の俺がいるのだから、それを怪しむなという方が無理だろうが。

 

「何だ?」

「お前達が行く先にあるのは、格納庫だけだ」

「……だろうな」

 

 その言葉で、何となくフォルドが言いたい事を理解した。

 今の状況から、フォルドは俺が誰なのかを理解したのだろう。

 

「なら……お前がガンダム7号機のパイロットか?」

「正解だ。とはいえ、最終調整が遅れている件は、俺が言った訳じゃないぞ? 俺に譲渡するまでにそれを終えられなかった連邦軍のメカニックに言ってくれ」

「てめえ……」

 

 何故か俺の言葉を挑発と受け取ったのか、フォルドの俺を見る目は厳しくなる。

 そんな視線を受けながら、ルースに視線を向ける。

 お前の相棒なんだから、お前が何とかしろという意味を込めて。

 その視線を受け取ったルースは、少し困ったように頭を掻きながら、フォルドに声を掛ける。

 

「フォルド、その辺にしておけ」

「けどよ……」

「ここで騒動を起こせば、それこそガンダムから下ろされる事になるかもしれないんだぞ?」

「ぐ……」

 

 フォルドとしても、ルースの言葉通りの結果になるのは嫌なのか、今にも殴り掛かってきそうな雰囲気は消える。

 ……もっとも、視線に込められている力は決して和らいではいなかったが。

 

「それで、その……よければ、自己紹介をして貰えないかな? 俺は……」

「ルースだろ? で、そっちがフォルド。……俺はアクセル。ホワイトベース隊の傭兵としてMSパイロットをやっていて、その報酬としてガンダム7号機を貰う事になっている」

 

 実際には7号機以外にも色々と貰うのだが、それは別にここで言う必要もないだろう。ジムスナイパーⅡとか、ジム系列なのにガンダムより高性能なMSとかも貰うと言ったりすれば、間違いなくフォルドは爆発するだろうし。

 

「ホワイトベース隊……あの?」

 

 ルースはホワイトベース隊という名前を驚きと共に言う。

 いや、ルースだけではない。

 先程までは俺を睨んでいたフォルドまでもが、信じられないといった様子で俺を見ている。

 ……それどころか、俺を案内していた軍人までもが、俺を驚きの視線で見ていた。

 いや、お前も知らなかったのかよ。

 俺を案内するんだから、少しくらい事情を知っていてもいいと思うんだが。

 

「あのってのが俺の知ってるホワイトベース隊のことを言ってるのかは分からないが、ガルマを倒したという意味でのホワイトベース隊なら、間違いない」

 

 サイド7でMS開発をしていたホワイトベース隊と言おうと思ったが、確かサイド7の件は最重要機密とかだった気がするので、取りあえずそれは言わないでおく。

 

「やっぱり。……ジャブローに来てたのか。にしても、傭兵? 傭兵って、MSパイロットだよな? 元ジオン兵か?」

「いや、違う」

 

 フォルドにそう答えるのが、一時的にシーマの海兵隊に所属していたのは事実である以上、元ジオン兵というのは実は合っていたりする。

 もっとも、連邦軍においてジオン軍がどれだけ嫌われているのかというのが分かっている以上、それを口にするつもりはなかったが。

 

「なら、どこでMSの操縦を覚えたんだ?」

「月だな」

「……月、か」

 

 月という言葉に、複雑な表情を浮かべるフォルド。

 月でもMSを開発しているというのは当然知ってるだろうし、ジオン軍や連邦軍とも戦闘経験はある。

 その辺の事を思い出しているのだろう。

 もっとも、月が戦った連邦軍はあくまでも強硬派やタカ派といた連中なので、現在連邦軍で主流となっているレビルやゴップの派閥にしてみれば、よくやってくれたという思いの方が強かったのかもしれないが。

 

「ふーん、月か。……月ね」

 

 フォルドが呟きながら俺の方を見ていたが、不意に何かを思いついたように俺を見ながら指を鳴らす。

 

「よし、なら、ガンダムを操縦する先輩として、俺が少しシミュレータで操縦の仕方を教えてやろう! いいよな?」

 

 有無を言わせずといった様子で言ってくるフォルド。

 けど、ガンダムの先輩という事であれば、それこそ俺は結構な期間ピクシーに乗ってるんだが。

 まぁ、ピクシーはガンダムとして考えても色々と特殊な系列なんだが。

 それに比べると、俺が今度乗ることになる7号機はセカンドロットという形で、正式にガンダムの後継機という扱いになる。

 いや、後継機というのはちょっと違うのか?

 ともあれ、そういう意味ではフォルドの言いたい事も理解出来ない訳ではなかったが……

 どうします? と案内の軍人が俺に視線を向けてくる。

 これでフォルドが明確に喧嘩を売ってきたのなら、軍人も止めたりといった真似はしたのだろう。

 だが、今回は違う。

 あくまでもシミュレータをやらないかと、そう言ってきてるのだ。

 それも、ガンダムのパイロットとして操縦を教えるという意味で。

 勿論、フォルドとしては言葉通りに俺に操縦を教えるというつもりでそんな事を言ってる訳ではなく、俺の腕を知りたいといったところだろう。

 喧嘩を売るといったような真似ではないのは、せめてもの救いか。

 

「そうだな。……連邦軍的には、俺がシミュレータを使うのは問題ないのか?」

 

 一応、といった様子で軍人に尋ねる。

 とはいえ、尋ねておきながらも恐らく大丈夫だろうというのは予想出来ていた。

 俺がガンダム7号機に乗るよりも前に、当然だがシミュレータで訓練くらいはさせるだろうし。

 ゴップやレビルにとっては、ガンダム7号機というのは俺に渡す報酬だろう。

 だが、実際にその7号機を開発した者達にとっては、渡します、はいそうですかという訳にはいかないだろう。

 それこそ、出来れば俺が7号機を託すに足るだけの実力を持ってるかどうかを確認したいと思ってもおかしくはない。

 そういう意味で、シミュレータが用意されていてもおかしくはないのだ。

 そして、俺のそんな予想を裏付けるように、軍人は俺の言葉に頷く。

 

「はい、問題ありません」

「……だ、そうだけど?」

「へっ、面白え。なら、俺とシミュレータで戦え。俺やルースを後回しにしても、機体の最終調整するだけの実力があるかどうか見てやるよ」

 

 予想通り、フォルドは俺に向かってそう言ってくる。

 いやまぁ、それはいいんだけどな。

 ルースの方は、そんなフォルドの様子にあちゃあ、といった様子を見せていたが。

 さて、どうするか。

 少しだけ考えたが、今の状況で引き受けないという選択肢は俺にはないだろう。

 それこそ、俺としてもガンダム4号機と5号機についての情報は知っておきたいのだから、ここでシミュレータを使った模擬戦に参加しないという選択肢は存在しない。

 

「分かった。なら、相手をして貰おうか」

 

 そう告げると、フォルドは少しだけ意外そうな表情でこちらを見てきた。

 フォルドにしてみれば、自分の挑戦を俺が受けるとは思っていなかったのか。

 その辺の理由は俺には分からなかったが、フォルドが驚いたのは間違いない。

 だが、すぐにその表情は獰猛なものに変わる。

 

「へぇ、いいぜ。引き受けてくれるのなら、こちらとしてもありがたい。じゃあ、行くぞ。こっちだ」

 

 そう言い、先に立って歩くフォルド。

 軍人の様子を見ても、フォルドについていくのは問題ないと頷きを返されたので、俺も素直にその後ろについていく。

 ルースも、もうこうなってはしょうがないと判断したのか、大人しく俺達と共に移動する。

 そうして、数分程歩き……やがて1つの部屋に到着する。

 当然のように重要機密のある場所らしく、部屋に入るにもしっかりとカードキーを使って暗唱番号を入力したりといった手間が必要だった。

 それだけ、この部屋の中にあるのは重要な機密だという事だろう。

 もしこのシミュレータをジオン軍が奪う事が出来れば、それこそ中のデータから色々とデータを抜いて、場合によってはそれを新型機に使う事が出来るという可能性も否定は出来ない。

 その辺の事情を思えば、実機の方もそうだが、シミュレータも相応に重要な代物なのだろうと、納得するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:955
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1570

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