「おや……?」
部屋の中に入ると、そこには先客がいた。
当然のように、この部屋にいるということは、シミュレータを使おうとしていた者の訳で……
恐らくこの先客の男も、ガンダムのパイロットの1人なのだろう。
ルースとフォルドが、それぞれ4号機と5号機。そして俺の機体が7号機となると、3号機、6号機、もしあれば8号機以降の機体のどれかがこのパイロットの操縦する機体となるのだろう。
「あん? お前は……誰だ?」
フォルドが中にいた男を前に、疑問の声を出す。
正式には連邦軍に所属している訳ではない俺はともかくとして、同じ連邦軍の者だろうフォルドが知らないってのは、一体どうなんだ?
「馬鹿、フォルド。使用中のランプが点いてたんだから、人がいるのは当然だろうが!」
ルースがそんな風にフォルドを叱るが、言われた本人は特に気にした様子も見せずにこちらに向かって敬礼してくる。
「ガンダム6号機のパイロット、エイガー少尉であります」
「ああ、邪魔をして悪いな。まさかここを使う奴が俺達以外にもいるとは思ってなくて」
「いえ、お気になさらず。……それよりも、一体何故ここに? それに、そちらは……」
エイガーと名乗った男がこちらに視線を向けて訝しげに尋ねる。
まぁ、俺は連邦軍の軍服とかパイロットスーツとかも着てないしな。
そう考えれば、不思議な事ではない。
にしても、エイガーは6号機のパイロットだったのか。
そうなると、4号機から7号機までのパイロットが全員ここに集まっている事になるのか。
「ホワイトベース隊のアクセルだ。傭兵だから階級はない」
普通の傭兵なら、臨時に階級を与えられる事もあるんだが、幸か不幸か、俺はそういう事にはならなかった。
実際にはそれどころじゃなかったというのが、大きいんだろうけど。
あ、でもアムロとかは一応階級を与えられてたな。
そう考えると、俺に階級がなかったのは純粋に俺がシャドウミラーの代表だからだったりするのか?
「ホワイトベースの……」
エイガーはホワイトベースの事を知っていたのか、俺に興味深げな視線を向けてくる。
だが、それでも疑問の視線を変えないままに口を開く。
「それは分かりましたが、それでも本来はここに来られないのでは?」
「そいつ、ガンダム7号機のパイロットなんだってよ」
ガンダム7号機のパイロットという言葉に、エイガーの視線はまた別の意味を持つ。
多分、6号機の方も最終調整の類は7号機を最優先にする為に後回しにされたんだろうな。
「そうですか。貴方が……」
「ま、そんな訳で、どれだけの腕を持ってるのか、ちょっと見てやろうと思ってな。シミュレータを使わせて貰ってもいいか?」
「ええ、構いませんよ」
「悪いな。……連邦軍のMSの操縦は分かるか?」
フォルドの言葉に、ルースは手で顔を覆い、エイガーは何を言ってるんだ? といった様子を見せる。
少しでも情報に詳しい者であらば、俺がピクシーに乗っているのは分かるだろうし、それも当然だろう。
だが、フォルドはその辺の情報に疎いのか……もしくは、俺がMSの操縦を月で覚えたといったからか、俺がジオン系のMSしか操縦出来ないと思ったらしい。
「ああ、問題ない。言っておくが、俺はホワイトベースでは連邦軍のMSに乗ってたんだ」
「そうなのか? まぁ、いい。ともあれ7号機の特性とか操縦感覚とかも分からなければ、模擬戦も何もないだろ。30分くらい時間をやるから、機体の感覚を覚えろよ。それともう一つハンデだ。俺の機体は本来宇宙用の機体だが、シミュレータなら簡単な調整で地上でも戦える」
そう告げるフォルドの言葉に、少しだけ驚く。
てっきり、すぐにシミュレータで模擬戦をやるというのかと、そう思ったからだ。
それ以外にも、宇宙用の機体を使うというのも若干気にならないではなかったが。
だが、フォルドはその辺はフェアな性格をしているらしい。
その事に好感を覚えながら、俺はシミュレータの中に入る。
幸い、このシミュレータには7号機のデータも入っているのか、普通にデータを呼び出す事が出来た。出来たのだが……モニタは普通だ。
レビルやゴップから見せて貰った資料によると、全天周囲モニタと書かれていたんだが。
あ、でもこれはシミュレータで、他のMSの訓練でも使うと考えれば当然なのか?
確か、マグネットコーティングは他のガンダムでも使われているが、全天周囲モニタはセカンドロットの中でも7号機だけで使われている筈だし。
そう考えれば、特に迷う事はない。
とはいえ、シミュレータに入っている7号機のデータは、あくまでも素の状態の7号機だ。
FSWS計画で運用されている、フルアーマーガンダム7号機と重装フルアーマーガンダムのデータはない。
つまり、フォルドと模擬戦をやる場合は7号機の最大の特徴たるFSWS計画を使わないで戦う必要がある訳だ。
とはいえ、ガンダム7号機はセカンドロットの中でも最新型の機体だ。
……もしかしたら、8号機とかもあるかもしれないが。
ともあれ、7号機は素の状態でもビームライフル、ビームサーベル、頭部バルカン、シールド、ハイパーバズーカ、グレネードランチャーといった武器が使えるので、普通に戦闘をする分には全く問題はない。
それどころか、7号機のビームライフルは専用に開発されており、威力や射程距離、連射速度といったものが他のセカンドロットのガンダムよりも上らしい。
取りあえず機体の調子を見るには十分だろう。
そう判断し、シミュレータを起動させる。
最初に、機体が一体どのように動くのかということを確認していく。
マグネットコーティングのおかげなのか、機体の反応はピクシーよりも上だ。
とはいえ、それでもニーズヘッグのように完全に俺の反応速度についてくるようなことは出来ないみたいだったが。
それでもストレスは大分少ないので、俺としては文句はない。
もっとも、実機に乗ればもっとしっかりと機体を確認することが出来るのだろうが。
特に全天周囲モニタは実際に乗ってみないと、その辺もしっかりとは分からないだろう。
そんな風に考えながら、シミュレータで機体を動かしながら、機体の癖とでも呼ぶべきものを覚えていく。
そうして時間が経過し……
『アクセル、そろそろ30分経つが、準備はいいか?』
映像モニタにフォルドの顔が表示され、そう尋ねてくる。
どうやらいつの間にか30分経過していたらしい。
「ああ、問題ない。それで、戦場はどうするんだ?」
『その辺はお前に任せる。宇宙でも地上でも、好きな場所にしていいぞ』
「なるほど」
その言葉に頷き、いっそ海中にしてやろうかとも思ったが少し考えてから森の中にする。
森の中を戦場にする。
多数の木々が生えている場所である以上、そう簡単に敵を見つけたりすることは出来ない。
とはいえ、フォルドが乗っているのが4号機と5号機のどっちかは分からないが、武器は当然のようにビーム兵器の筈だ。
何本も木が生えていても、ビームであれば容易に貫通する可能性が高いのだが。
ともあれ、俺が戦闘場所を選ぶと、やがて模擬戦が開始される。
ちなみに、ガンダム7号機の武器のハイパーバズーカは装備していない。
ビームライフル、ビームサーベル、シールド、頭部バルカン、グレネードランチャーを武器に、森の中を移動する。
特にグレネードランチャーは、左右の両腕の前腕部に装備されているので取り回しもかなり便利だ。……内蔵武器なので、弾数はそこまで多くはないが。
ともあれ、まずは敵の……フォルドの機体を見つけるべきだと、移動していく。
木々が密集して生えている関係もあって、なかなかに敵を見つけにくい。
自分で選んでおいてなんだが、戦闘場所を間違ったか?
そんな風に思った瞬間、少し離れた場所で銃声音が消えてくる。
それも1発や2発ではなく、連続しての銃声音。
頭部バルカンか? とも思ったが、聞こえてくる音は頭部バルカンとは比べものにならないくらいの大きな音だ。
そうなると、当然のように頭部バルカンよりも大きな銃器となり……ジムが使っているマシンガン、ジムマシンガンでも使ってるのか?
けど、以前聞いたジムマシンガンの音と比べても、こちらの方が圧倒的に上だ。
そうなると、一体どんな武器を使っている?
そんな俺の疑問は、少し……いや、かなり離れた場所にある木が次々に破壊されたのを見て、理解した。
破壊された木々の向こう側に、巨大なガトリング砲を持ったガンダムの姿があったのだ。
……もの凄く意外だ。
俺にしてみれば、ガンダムというのはビーム兵器を主力にするのだとばかり思っていた。
だが、フォルドの機体が持っているガトリング砲は、実弾兵器だ。
一瞬ビームガトリング砲か? と思わないでもなかったが、破壊された木の痕跡を見れば、それが実弾兵器によるものだと判断するのは難しくはない。
『見つけたぜ! 俺に見つかりたくなくてこんな場所を選んだんだろうが、ジャイアントガトリング砲を持つ俺にしてみれば、こういう場所でも問題なく戦えるんだよ!』
その通信と共に、ガトリング砲……いや、本人曰くジャイアントガトリング砲の砲口をこちらに向けてくる。……銃口か?
それを見た瞬間、俺は7号機をその場から退避させるが……フォルドもそれを見逃すはずはなく、ジャイアントガトリング砲を横薙ぎにして俺の逃げた方に向かい、連続して弾丸を発射する。
制圧射撃に向いてる武装だが……それは狙って撃つのではなく、あくまでも俺のいる場所は大体この辺だろうと当たりをつけて、そこに撃ち込む感じだ。
そういう意味では、この森という戦場はやはり向こうにとって不利だったのだろう。
近くを通る弾丸を感じつつ、俺は7号機を素早く動かす。
最新鋭のガンダムだけあって、森の中の俊敏な動きもかなり早い。
それこそ、ピクシーと同等……場合によっては、上回っている部分すらあった。
地上戦に特化したピクシーと、宇宙での戦闘も可能な7号機の反応速度や運動性が同じというのは、それだけ7号機が高性能だということを示していた。
ピクシーもガンダムなのは間違いないが、言わば異端の機体だ。
それに比べると、7号機はセカンドロット……ガンダムの正式な系譜の機体と言える。
技術的な問題だったり、投入された資金の額だったりを考えれば、ある意味では当然なのかもしれないが。
そんな風に考えながら、俺は木々の中を縫うように移動していき……
「ここだ!」
フォルドのガンダムが向けている、ジャイアントガトリング砲の後ろに移動すると、そこから一気に飛び出す。
手にしてるのは、ビームサーベル。
専用設計されたビームライフルもあるのだが、ジャイアントガトリング砲という長物を手にしたフォルドのガンダムを相手にした場合は、遠距離戦闘よりは間合いを詰めて攻撃した方が有効だと判断した為だ。
……これが、素体の状態のガンダム7号機ではなく、FSWSによってフルアーマーガンダム7号機となってる状態なら、長距離用のビームキャノンとか装備しているし、重装フルアーマーガンダムになったりしたら、より強力なメガビームキャノンとかあるんだが……ただ、森の中での戦いとなれば、フルアーマーガンダム7号機ならともかく、重装フルアーマーガンダムは宇宙用だから無理か。
そんな事を考えながらも間合いを詰め、ビームサーベルを一閃する。
だが、フォルドもガンダムのパイロットに選ばれるだけあって、背後から近付いてくる俺の存在にはすぐに気が付き、ジャイアントガトリング砲を持ったままでは対処出来ないと判断したのか、それを手放して距離を取ろうとするが……
「甘い」
ビームサーベルを持っていない方の手の前腕部を敵に向け、グレネードランチャーを発射する。
……こうして撃っておいてなんだが、実はこの行為って何気に自殺行為に等しかったりする。
何しろ、グレネードランチャーはかなりの威力を持つ。
それを、自分の進行方向に……それも大して離れていない敵に向けて撃つのだから、それは自分にも被害が出るのは当然だろう。
だが、俺はグレネードランチャーを撃った瞬間にスラスターを使って強引に機体の進行方向を変える。
前方の爆発から少しでも威力を避けようとしての行動。
そうして爆発を目眩ましにして敵の背後に出てビームサーベルを振るう。
フォルドのガンダムは爆発の被害を何とか回避しようとしていた為に、こちらの動きには全く気が付いた様子がない。
その一撃をそれでもレーダーか、もしくはフォルドの勘なのか、ビームサーベルが振るわれる一瞬前には、自分が危険だと判断してその場を退避しようとしたが……俺の操縦する7号機は、地面に足を付き、スラスターを最大にして再度の1歩を踏み出す。
高い運動性や機動性、反応速度を有する7号機だからこそ、可能な行動。
……とはいえ、セカンドロットという事で言えば、フォルドのガンダムも同じなんだが。
ともあれ、そうして一気に間合いを詰め……次の瞬間には、フォルドのガンダムは胴体を7号機のビームサーベルで切断されるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:955
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1570