「は? えっと……いやまぁ、俺はそれで構わないんだけど、それを本気で言ってるのか?」
7号機の俺に合わせた設定が終わってから数日。
その数日、俺は7号機の操縦に慣れる為に実際に機体を動かしたり、フォルドやルース、エイガーといった面子に遭遇してはシミュレータで模擬戦を挑まれたりといった事をしていたのだが、そうした日々の中で俺がブライトに要望……というか提案されたのは、実機を使った模擬戦だった。
それも俺の7号機だけではなく、ホワイトベース隊のMS部隊やジャブローで訓練をしているMSパイロット達も多く参加する、かなり大規模な模擬戦。
ジャブローの上は密林で、完全に連邦軍の勢力範囲内であるというのは知っている。
それでも今の状況でそこまでの模擬戦をやるというのは、色々と疑問があった。
「勿論本気だ。この模擬戦そのものは、前から決まっていた。今回アクセルをこれに参加させるのは、どこかからねじ込まれた感じだな。だから、もしアクセルが参加したくないのなら参加しなくてもいい。……どうする?」
なるほど。別に俺が参加してもしなくても、模擬戦は行われる訳か。
問題なのは、誰が俺をその模擬戦にねじ込んだのかという事だが……考えられる可能性は幾つかある。
例えば、レビルやゴップの派閥と敵対している派閥の者が、嫌がらせでそうさせたというもの。
もしくは、純粋に7号機がどれだけの性能を持っているのか見たいと思っている者。
……何しろ、連邦軍の将校であれば、ホワイトベース隊がどれだけ活躍しているのかというのは知っている。
そんな中で、俺と綾子は傭兵だからということで抜きにするとしても、素人のアムロが乗っているガンダムがもの凄い活躍をしたのは間違いない。
アムロにパイロットとしての才能……それに何より、ニュータイプとしての才能があったのは間違いないが、その辺の事情を抜きにしても、ガンダムというのはもの凄い性能を発揮しているのだ。
その辺の事情を考えれば、俺の7号機はセカンドロットの中でもガンダムの総合性能向上機……簡単に言えば純粋な上位互換機だ。
そんな機体があると知れば、7号機の実力を知りたいと思う者が多くても、何も不思議ではない。
さて、どうするか。
そう考えたのは一瞬。
どうせ、俺はもう少しでホワイトベースからいなくなる以上、最後の仕上げとして模擬戦の相手をするくらいはいいだろう。
ましてや、7号機は俺の物になったとはいえ、開発したのはあくまでも連邦軍だ。
そうである以上、連邦軍には7号機のデータは当然のように残っているし、最悪の場合7号機をもう1機製造する事は不可能でもない。
その辺の事情を考えれば、ここで俺が7号機の性能を隠しても、特に意味はない。
「分かった。それで、模擬戦はいつやるんだ?」
「明日だ」
随分と急だなと思わないでもなかったが、ブライトが言ったように前々からこの模擬戦が行われると決まっていたのなら、それは別に急でも何でもないだろう。
それこそ、以前から模擬戦の準備が進んでいたのは間違いない。
数機のMSで行われる模擬戦なら、それこそ今日やろうと判断して、これからすぐにやろうと思っても特に問題はない。
だが、ブライトの話を聞く限りでは、かなり大規模な模擬戦であり、そうなると連邦軍の方でも色々と準備やそれに伴う手続きがあってもおかしくはない。
「明日だな。それで俺のMSはどうするんだ? 俺が自分で格納庫まで7号機を取りに行けばいいのか?」
7号機を操縦したりする以上、俺が格納庫まで行く許可証はまだ有効だ。
……まぁ、いざとなったら幾ら警備が厳しくても、影のゲートを使って忍び込む事は可能なんだが。
それはともかくとして。
俺が模擬戦に参加する以上、7号機をどうするのかというのは大きな問題だった。
「参加するのなら、機体の方は連邦軍の方で準備してくれるらしい。……ホワイトベースに積んでもいいんだぞ?」
ブライトの言葉に、それもいいかもと思ってしまう。
ただし、現在7号機が置かれている格納庫にいるメカニック達は、7号機……だけではなく、ガンダムのセカンドロットの機体の開発に携わってきた面々だ。
だからこそ、的確に整備とかが可能となる。
もし俺がこのジャブローでホワイトベースから降りないのであれば、7号機をホワイトベースの格納庫に持ってきて、ホワイトベースのメカニック達に7号機の整備の勉強をして貰うという選択をしただろう。
だが、そうでない以上、ここでホワイトベースに持ってくれば、多少なりともメカニック達に余計な仕事をさせることになり、その上で7号機が万全の状態になるとは限らない。
その辺の事情を考えれば、やはり7号機はセカンドロット用の格納庫に置いておいた方がいいだろう。
7号機のビームライフルとかも新型で、アムロの使っているガンダムとかとは違うらしいし。……ビームサーベルなら、共用出来るのかもしれないが。
「いや、今は向こうの格納庫に置いておくよ。ホワイトベースのメカニック達の仕事を増やすのもどうかと思うし」
ホワイトベースに搭載されているMSの数に比べて、メカニックの数はそこまで多くはない。
一応マチルダがメカニックを運んで来たりもしたのだが、それでも人数は決して多くはなかった。
そんな人数でここまでホワイトベース隊のMSを整備していたのだから、今この状態で仕事を増やしたくはない。
……もっとも、ホワイトベースのメカニック達は、今それどころじゃないというのも間違いないが。
連邦軍の中でも激戦を潜り抜けてきたホワイトベース隊のメカニック達だ。
整備をする上で、色々な裏技の類を編み出したりもしてるだろうし、それをジャブローにいる連邦軍のメカニック達に広げたり、激戦の中でどのように整備をし、補給をするのかといった行為のコツを教えたりしている筈だ。
それこそ、下手をすればMSのパイロット達よりも忙しいのではないかと思える程に。
MS隊のパイロット達も、現在は模擬戦とかをやっていたりする。
ジャブローにいるメカニック達を引き連れ、模擬戦が終わった後でMSの整備をする時に、教えながら整備をしているのを見た事もある。
「そうか? なら、そうさせて貰う。新型が来たら来たで、また色々と急がしい事になるだろうし」
新型か。
補充人員とか、一体どんな奴が来るんだろうな。
MSが主力となるのは、既に決まっている。
そうであれば、連邦軍としてもホワイトベースの補充人員の乗る戦力として用意するのは、やはりMSとなるだろう。
そもそもの話、俺を含めてMSパイロットが一気に少なくなるのだから、その補充戦力として求められるのは当然のようにMSだ。
そうでなければ、ホワイトベースが今までのような戦力を発揮するのはまず無理だろう。
……もっとも、ジオン軍が目的としているように、MSだけで何でもかんでもやろうとするのは、少なくても今のUC世界の技術では無理だ。
もしそれをやるとすれば、それこそもっとMS関係の技術が成熟する必要がある。
実際にMSを中心としたジオン軍ではあるが、戦闘機や戦車、それ以外にも様々な通常兵器を開発してるし。
とはいえ、運動性はともかくとして機動力という点では戦闘機はMSを上回る。
特に地上での戦いとなると、グフ・フライトタイプのような少数の例外を除けば、どうしてもMSよりも空を飛ぶ戦闘機の方が機動力は上だ。
そういう意味では、コアファイター以外の戦闘機を何機かホワイトベースが持っていても悪くないとは思う。
コアファイターはMSのコックピットとしても使えるから、置き場所で困るといったことはあまりないけど……どうしてもコストがな。
普通の戦闘機とは比べものにならないくらい高コストらしいし。
その後、ブライトとの話を終えた俺は、格納庫に向かっていたのだが……
「げ」
通路を歩いていた俺を見て、カイが嫌そうな声を上げる。
その気持ちも分からないではない。
何しろ、カイの手は隣にいるミハルの腰に回されていたのだから。
それを見れば、一体何をしていたのか……もしくは、何をしようとしていたのかというのは、理解出来る。
「あ、あはははは」
腰に手を回されているミハルも、俺の顔を見て照れ笑いを浮かべる。
それでも嫌そうな表情を浮かべていない辺り、ミハルとしても満更ではないのだろう。
この2人の仲の進行も、少し驚きだよな。
「ブライトに見つからないようにな」
それだけを言い、カイとミハルから離れる。
2人がほっとした雰囲気を出したのは、俺からでも分かった。
……いっそ、ブライトにこの件を教えてやろうか。風紀を乱す行為云々とか。
いや、でもそれを言えば、俺と綾子とミナトが最初に問題になってしまうか。
俺の部屋はアムロの部屋の隣だし、もしかしたらアムロ辺りは俺達が夜にどのような行為をしているのかというのを知っていてもおかしくはない。
まさか、ニュータイプ能力でその辺を理解しているとか、そんな風にはならないよな?
若干そんな疑問を抱きつつ、俺は顔を赤くしているミハルと、若干戸惑った様子のカイをその場に残して離れる。
そう言えば明日の模擬戦には当然のようにカイも参加するんだろうけど、そっちの準備はいいのか?
いや、カイのことだから、自分のやるべき事はしっかりと終わせてから、ミハルとイチャついているのだろう。
もしカイが仕事を放り投げてミハルとイチャつこうとしても、それこそミハルに叱られて仕事を優先するだろうし。
そういう意味では、ミハルはしっかり者なんだよな。
兄弟を育ててきただけの事はある。
「食堂にでも行くか」
カイとミハルを見ていたら、何となく何かを食べたくなって食堂に向かう。
ジャブローでは、当然のように食料が豊富にあるので、食堂でも補給の方は心配ない。
……とはいえ、ジャブローは地下空間だけに、食料の生産はどうしても限られる。
他の場所から運び込むという真似も、今のこの状況では少し難しいだろうし。
それでもホワイトベースに食料がふんだんに運び込まれるのは、様々な事情があるのだろう。
ホワイトベースで食事をしている俺に対するご機嫌取りだったり、今まで激戦を潜り抜けてきたホワイトベース隊の面々に対する慰労であったり、連邦軍はまだまだ物資に余裕はあると周囲に見せつける為だったり。
それ以外にも、俺が知らないだけで様々な理由があってもおかしくはない。
とはいえ、その辺は俺にとってはどうでもいいことなのだが。
いや、寧ろ連邦軍の食料が不足すれば、月から食料を買おうとしたりしてもおかしくはない。
とはいえ、月の方でも食料の生産はまだそこまで本格的に進んではいない。
広大な大地を持つクレイドルではあるが、そこで生産されている食料は基本的にクレイドルだったり、そうでなくても他の月面国家で消費されてしまう。
まぁ、ホワイトスターから運び込んでもいいのなら、食料はそれこそ無限に近い程に用意出来るが。
ただ、ジャブローで欲しているのは、保存食……いわゆるカップラーメンだったり、お湯で暖めるレトルトだったり、缶詰や瓶詰めといったものではなく、生の野菜や肉……生鮮商品の類だ。
それを売るのは……まぁ、出来ない訳ではないが、生鮮食品の類ともなれば、どうしても悪くなるのが早い。
俺の空間倉庫を使えばそうでもないんだが、そんな真似が出来る筈もないし。
「まぁ、その辺は連邦軍の上層部だったり、月の上層部だったり、シャドウミラーの上層部だったりが考えるか」
あ、でも一応俺も上層部……どころか、シャドウミラーの代表なんだよな。
とはいえ、シャドウミラーの運営については政治班に丸投げしてるので、ぶっちゃけ俺のやるべき事はそこまで多くはないが。
本当に俺でなくてはどうしようもないような、そんな案件のみが俺まで回ってくる。
とはいえ、そんな案件がそう多くある訳ではないのだろうが。
「お、アクセルか、何でここにいるんだ? ……いや、食堂だし、アクセルがいてもおかしくはないか」
そう言いながら、ヤザンがカツ、レツ、キッカ、ついでにハロを連れて姿を現す。
「そう言うなら、ヤザンの方が色々とおかしいんじゃないか?」
ヤザンが子守をしているという時点で、色々と違和感がある。
とはいえ、ヤザンは何気にカツと仲がよかったりするし、レツやキッカと遊んでいる光景を見た事もある。
そう考えると、子守をしてもおかしくはないのか?
いつも子守をしているキキやミハルはそれぞれ自分の仕事――ミハルの場合はデート――をしてるので、子守をする人物がいなかったのだろう。
だからといって、ヤザンが子守をしているというのは、若干疑問ではあったが。
「そうか? まぁ、今日はもうやる事もないしな。暇潰しだよ、暇潰し」
そう言いながら、俺と一緒に席に座り……軽いおやつの時間となるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:955
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1570