シャアとの戦いには勝ったが、逃げられてしまったのは痛い。
出来れば、ここで確保しておきたかったというのが正直なところなんだが。
とはいえ、シャアのズゴックを戦闘不能にしたのは大きいと思う。
……パイロットの方が無事なら、MSを乗り換えてまた出撃してくるという可能性も微妙にあったりするのだが。
ともあれ、シャアを追い払ったというのは連邦軍としても大きな意味を持つのは間違いなかった。
「おーい、誰か生きてる奴はいるか? いるなら何か合図をしてくれ」
ジムやアッガイといった連邦軍、ジオン軍問わずMSに向かってそう声を掛けるが、残念ながらそれに答える声はない。
既に全員が死んでいるのか、それとも生きてるパイロットは既に脱出してこの場から立ち去ったのか。
その辺りの理由は不明だが、取りあえず生きてる者がいないというのは間違いなかった。
「取りあえず、いないならいいか」
一瞬、MSの残骸を空間倉庫に収納しようかとも思ったが、今はそんな事をしていられる余裕がない。
また、ジムは既に今まで集めたのが空間倉庫に入っているし、アッガイの類も後でジオニック社から回して貰えばいい。
確かアッガイはザクの部品をかなり流用しているって話だったので、ジオニック社ならアッガイをある程度用意出来る筈だ。
あ、でも実際にアッガイを開発したのはジオニック社じゃなくて別の会社だって話を聞いた事もあったような……まぁ、その辺はジオン公国最大の兵器メーカーのジオニック社なら何とかなるだろ。
そんな訳で、残骸となったMSはその場に残してホワイトベースに向かう。
……そう言えば、マドロックを操縦しているエイガーは無事に撤退出来たよな?
今回の一件では、何だかんだと結構大きなダメージを受けた筈だった。
それを思えば、もしかして面倒な事になってるのではないか? と思わないでもなかったが、その辺に関してはエイガーや連邦軍の方で何とかしてくれるだろう。
少なくても、俺はエイガーを助けたのだから、今回の一件で不満をぶつけられるという事はない……と思いたい。
そんな風に考えながら、ジャブローの中を移動してホワイトベースに戻る。
「ホワイトベース、聞こえるか? こちらアクセル。……ホワイトベース?」
『はい、聞こえています。それでどうでしたか? 見る限り、無事なようですけど』
全天周囲モニタの一部に表示されたモーリンが、俺の姿を見て安心したように言う。
そんなモーリンに頷き、事情を説明する。
「取りあえず侵入していたのはシャアだった」
『なっ!?』
モーリンが言葉に詰まる。
赤い彗星の名前は、当然のように広く知られている。
戦争開始当初、ジオン軍が大々的にプロパガンダでその名前を広めていたのだから、当然だろう。
……何より、1週間戦争やルウム戦役でシャアから受けたダメージが非常に大きかったというのが、この場合は関係していた。
色々な意味で連邦軍にとってシャアというのはトラウマ級の相手なのだろう。
『シャアだと? それは本当か?』
驚きで動きが止まったモーリンに代わって、ブライトが映像モニタに映し出されてそう聞いてくる。
地球に来てからホワイトベースと合流したモーリンと違って、ブライトはサイド7にいる時から、ホワイトベースでシャアとやり合ってきた。
そう考えれば、シャアが出て来たと聞いて驚きはするが、それでもモーリンのように言葉を失うとまではならないのだろう。
「ああ。赤いズゴックに乗っていたよ。……多分、ジャブローに来る途中で遭遇した水中用のMAも、シャアの機体だったという可能性は否定出来なくなったな」
前にそんな風に言っていた時は、冗談半分でもあった。
だが、実際にズゴックと遭遇したことを考えれば、あの冗談も冗談ではなくなる。
MAがあるのに、ズゴックに乗ってきたのを思えば、シャアはMAよりもMSを好むのかもしれないが。
『あの時のMAか。……今はそれよりも他の事だ。それで、敵の規模は?』
「正確には分からない。ただ、分かっているのは俺が駆けつけた時には友軍……ガンダム6号機のマドロックとシャアが戦っていたところで、それ以外のMSは連邦軍もジオン軍もやられていたってところか」
『6号機……アクセルの機体の1つ前だな』
「そうなる」
ブライトにそう返すが、幾らホワイトベースの艦長だからといって、ガンダム4号機から6号機までについての情報はそこまで持っていないだろう。
俺も特に聞かれなかったし、連邦軍にとっても機密だろうから、その辺は教えなかったし。
それならホワイトベースでさっき整備やら補給やらをして貰った7号機も機密ではないのかとなるんだが、7号機の場合は既に俺が報酬として連邦軍から貰ってるからな。
勿論、連邦軍にとって知られては不味い技術……それこそマグネットコーティングや全天周囲モニタ、FSWS計画といったように様々に機密度の高い情報が入っているのは、間違いないのだが。
「ともあれ、そのマドロックもシャアを相手にしてはかなり厳しかったらしく、ボロボロだったけどな」
マドロック最大の特徴たる両肩の低反動キャノン砲は、双方共に使用不能にされていたし、装甲とかもかなり破壊されていた。
その辺の事情を考えれば、もしあそこで俺が介入していなければ、間違いなくマドロックは撃破されていただろう。
『……そうか』
苦々しい表情を見せるブライト。
さて、これは一体どういった意味で浮かべている表情なんだろうな。
シャアが前線に戻ってきた事か、それとも連邦軍の最新鋭の機体であってもシャアを倒せなかったことか。
その辺りは気になるが、取りあえず今はそれどころではない。
「それで、地上の方はどうなってる?」
『まだ戦闘が続いている。アクセルも出撃出来るのなら、また出撃して欲しいところだが……可能か?』
「ああ、問題ない」
そう答えるも、実際のところ俺がこの戦いでやりたかった事というのはあまり出来ていないというのが正しいんだよな。
7号機が使う為に開発されたビームライフルが破壊されたというのは、正直なところ痛い。
痛すぎるくらいに痛いと言ってもいい。
7号機の慣らしという意味では、今回の戦いはそんなに役に立ってはいないのだから。
とはいえ、シャアのズゴックとの戦いにおいては、それなりに機体を動かす事が出来たので、そんなに悪いという訳でも……ない、のか?
ジャブローに攻めて来ている連中は、何気に新米パイロットも多い。
それは、ペイント弾が命中した程度で動揺して動きを止めているのを見れば明らかだろう。
一定以上の技量の持ち主……それこそベテランと言われる者であれば、もしペイント弾が命中してカメラが一時的に使えなくなったとしても、すぐにサブのカメラに切り替えたり、即座にその場から退避したりといったことをしてもおかしくはない。
勿論、全員がそのような新人ではないのだろうから、精鋭と呼ぶべき存在もきちんといるのだろうが。
そうだな。ここでこうして何をするにしても残念に思って行動に出さない……何て事をしているよりは、少しでもジオン軍と戦った方がいいか。
そう判断し、俺はホワイトベースに向かう速度を少し……心持ちではあるが早くする。
「綾子がどうしてるのか分かるか?」
そんな俺の疑問に答えたのは、ブライトではなくモーリン。
俺との会話で重要な部分は終わったとして、ブライトは自分の仕事に戻ったのだろう。
赤い彗星がジャブローに侵入していたという情報は、少しでも早く報告した方がいいだろうし。
あ、でもエイガー辺りがその辺の情報をもう知らせているか?
その辺は俺にも分からなかったが、ともあれ今回の情報についての重要度が高いのは間違いない。
『現在、ジャブローのMS部隊を纏めて戦っています。かなり目立ってますよ』
「あー……まぁ、綾子らしいな」
綾子は何だかんだと姐御肌というか、面倒見がいい。
ジャブローの新人パイロット達が、初めての実戦で実力を発揮出来ず、場合によっては混乱しているのを見捨てる事が出来なかったのだろう。
連邦軍のMSパイロットは戦闘機のパイロットが主に集められているって話だが、戦闘機とMSでは戦闘方法も大きく違う。
実戦においてその辺の感覚によって、混乱したり動揺したりといったような事をした場合、普通なら容易く死ぬ。
だが、そこに綾子がいれば、そのパイロットは死ななくてもすむ。
……勿論、そこに何の問題もない訳ではない。
特に大きいのは、プライドの問題だろう。
ジャブローに集められているのは、戦闘機のパイロットの中でも技量のある者……言ってみれば、エリートだったり精鋭だったりする。
そういう者の場合、女に……それも傭兵に助けられたとなれば、一体どう反応するか。
素直に感謝の気持ちを口にしてくれるだけならいいのだが、それを恥だと思って当たり散らしたりといった事をしないとも限らなかった。
もっとも、綾子の腕を考えれば、癇癪やヒステリーを起こした相手が何か妙な事を考えてもどうにもならないだろうが。
MSでどうにかしようとしても、綾子の操縦技術は非常に高い。
アムロやユウにすら勝つだけの実力があるのだから、MSの操縦を始めたばかりの者達でどうにかなる筈もない。
生身での戦いとなれば、半サーヴァントの綾子だけに、もっと露骨に力の差を思い知る事になるだろう。
「取りあえず綾子の件は分かった。そっちは綾子に任せておけば問題はない筈だ」
そう告げる。
綾子が率いているのなら、取りあえず妙な事にはならない。
そう判断しての行動であり、それは決して間違ってはいない筈だった。
「なら、俺も補給を終わらせたら、また地上に出る。……ただ、シャアは撃退したけど、どこから入ってきたのか分からない以上、またジオン軍が攻めてくる可能性が高い。それに対処する為にも、いつでも動かせる戦力を用意した方がいいと思うけどな」
『現在、ブライト艦長が上と協議中です』
モーリンが小さな声でそう教えてくる。
なるほど。ブライトも何かあった時の為に対処するのは当然か。
連邦軍の上層部には、エイガーからも報告が入っている以上、今回の一件においては戦力を回さないという選択は存在しない筈だった。
ここで地下に戦力を用意しておかなければ、それこそすぐにでもジャブローが……地上ではなく地下の、本当の意味で連邦軍の本部と呼ばれる場所が被害を受ける可能性もある。
ましてや、ジャブローには地上で戦いに巻き込まれるのを嫌って避難してきた連邦政府の政治家達もいる。
そんな政治家達にしてみれば。自分達が被害を受ける可能性は少しでもなくしたいと、そう思うのが当然だろう。
……絶対民主主義と評されることもある連邦軍の状況を考えれば、余計に自分達の身を守る為なら何でもやりそうだし。
「そうか。なら、その辺の交渉はブライトに頑張って貰うのが最善だろうな」
そう言うも、ブライトは結局のところ士官候補生から半ば成り行きで中尉になっただけに、実績はともかく、上とのやり取りは決して得意な訳ではない。
交渉する相手がレビルやゴップの派閥で、ホワイトベースに対して同情的なら、戦力を回してくれるという可能性は十分にある。
だが、連邦軍の全てがレビルやゴップの派閥という訳ではないし、レビルやゴップの派閥であっても好意的に見ていない者もいる。
その辺の事情を考えれば、やはりブライトが対処するのは難しいような気がしないでもない。
とはいえ、気にくわないからといって切り捨てるような真似をした場合、後々それが判明した時に色々と都合が悪いので、明確に冷遇するといった真似はしない可能性が高いが。
『そうですね。ブライト艦長なら大丈夫かと』
不思議な程に、ブライトを信頼しているモーリン。
いや、その気持ちも分からないではない。
自分と大して年齢が変わらないブライトが、サイド7から地球までホワイトベースの指揮をしてきたのだから。
それも、シャアに追われながら。
モーリンにしてみれば、ブライトはもの凄く頼れる人物と、そう思ってしまうのは当然だった。
「そう祈ってるよ」
そう言い、通信を切る。
そうして俺はホワイトベースに向かうのだが、その途中で忙しく動き回っている連邦軍の兵士達を目にする。
車でどこかに向かっていたりするのだが、荷台の兵士達は7号機の姿を驚きと共に見ていた。
やっぱりジムとかと違って、ガンダムともなれば見る機会が少ないのはそうおかしな話ではないのだろう。
多分、今日の戦いを無事に生き残れば、自分はガンダムを見たと自慢話になったりする筈だ。
それに対しては、特に不満はない。
ジオン軍のジャブロー強襲を生き残った兵士達なんだから、酒を飲みながら自慢話をするくらいは、そうおかしな話ではない……と判断し、俺はホワイベースに急ぐのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:965
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1572