「北米の攻略作戦?」
「ああ。現在苦戦しているようでな。7号機のビームライフルの改修が完了したようだし、その性能を自分の目で見たいのではないか?」
「見たい。それは間違いないが、だからといって、ただ働きをするつもりはないぞ」
アムロとエイガーが模擬戦を行った日から数日。
俺はレビルに呼ばれて、ジャブローにある連邦軍基地の一室に来ていた。
もっとも、作戦室のような場所ではなく、レビルが書類の整理を行うような執務室だが。
そこで提案されたのが、北米の攻略作戦の手伝い。
レビルから北米攻略作戦について、詳しい説明を受ける。
ガルマがいなくなった北米は、オデッサを連邦軍に攻略され、ジャブローの攻略も失敗した。
ジャブローの攻略においては、当然のように北米が一番大きな戦力を出した筈だ。
つまり、現在の北米は戦力がかなり少ない筈であり、攻略するには最適な状況なのは間違いない。
そういう目的で北米攻略作戦が始まったのだが……予想以上に北米のジオン軍は粘っているらしい。
それは分かるし、丁度昨日ジャブロー襲撃時に破壊された7号機のビームライフルの故障の原因が判明してその修理が完了したという話は聞いていた。
だからこそ、その性能を発揮するのに戦場はいい場所なのだが、だからといってただ働きをするつもりはない。
今の俺は、あくまでも傭兵なのだから。
ガンダム7号機を含めた最新鋭MSの数々も報酬として貰ったように。
「勿論、報酬は用意してある」
レビルは俺の言葉に対し、数秒の沈黙の後、そう言ってきた。
俺が報酬を要求するのは、レビルにとっても予想出来ていたのだろう。
だが……その言葉に疑問があるのも、間違いなかった。
「報酬? 今の連邦軍に、俺に出せる報酬があるのか?」
そう、それが最大の問題となる。
連邦軍が開発した最新鋭のMSは、既にこれまでの報酬として多くを貰っていた。
それこそ、ガンダムのセカンドロットの最新鋭機たる7号機まで貰っているのだ。
その辺の事情を考えれば、今の連邦軍が俺に出せる報酬はそう思いつかない。
資金や資源を報酬にされたところで、それは月の方で十分に用意出来る。
……それどころか、現在連邦軍は月から資源を買っている状況なのだ。
であれば、俺に資源を報酬として支払うというのは有り得ないだろう。
他に考えられるとすれば、ホワイトベース級……ペガサス級だったか? 取りあえず分かりやすいようにホワイトベース級という事にしておくが、その2番艦なり3番艦なりなら欲しいが、ホワイトベース級は連邦軍にとっても非常に重要なので、幾ら何でも北米奪還作戦にちょっと協力したくらいの報酬としては考えにくい。
だとすれば、一体どんな報酬を用意したというのか。
話の先を促すと、レビルはその髭で表情を隠したまま口を開く。
「北米には、ジオン軍が使っているMSの製造ラインがある。連邦軍としてもその製造ラインや様々なMSのデータは欲しいが、もし協力してくれるのなら、その製造ラインを渡そう。我々にとってはジオン軍のMSについて詳しく知るという意味を持つが、ルナ・ジオンにとっては、実際に使うという意味で欲しいのではないか?」
「……なるほど」
レビルのその提案は、決して俺にとって……そして月にとっても、悪い訳ではなかった。
ザクはともかく、空を飛べるグフ・フライトタイプはハワイでなら有用に使えるだろう。
ジオニック社からその辺のデータは既に譲渡されているし、生産ラインの方もある程度譲渡されている。
だが、生産ラインは多ければ多い程にいい。
ハワイで使い切れない場合は、最悪キブツに放り込んでもいいし。
とはいえ、ザクは性能的に結構厳しかったりするし、ヅダ開発チームの面々のようにザクに対して強い対抗心や嫌悪感を抱いている者もいる。
まぁ、それでも俺の方から言えば問題はない……と、そう思いたいし、今となってはザクは性能の問題で敢えて量産する必要はないしな。
あ、でも……連邦軍の力を必要以上に強めない為に、ジオン軍の残存部隊やゲリラに対してザクを提供するという方法はありか?
ともあれ、MSの生産ラインは多ければ多いのに越した事はない。
特にドムはホバー移動なのでハワイとかでも普通に使えるだろうし。
「分かった。なら、その作戦引き受ける。ただ、その作戦にはそこまで時間は掛けられないぞ? 俺の方も結構やる事があるし」
何だかんだと、俺がホワイトベースに乗ってから結構経つ。
一度ホワイトスターに行って、書類の整理をする必要がある。
基本的にシャドウミラーの書類は政治班の面々が処理してくれるが、俺が処理をしなければならない書類というのは、どうしても出て来る。
結構な時間、こうして俺はホワイトスターから離れているので、その手の書類も溜まっている筈だった。
「うむ。それはこちらでも理解している。なので、2日。あくまでもMSで戦って2日間というところでどうだろう?」
2日か。
MSで戦ってとなると、MSで戦わない日があればそれは2日のうちに入らないという事になる。
「一応確認しておくが、俺を拘束しておきたいからといって、無理矢理に俺に待機させて戦闘をさせない……なんて事はないよな?」
「そのようなつもりはないし、そのように感じたらこちらに連絡をして欲しい。そうなれば、すぐに対応しよう」
……へぇ。
レビルがそう言うという事は、もしかして北米攻略作戦を行っている者はそこまで信用出来ないのか?
今の状況でそのような者だとすれば……
「強硬派の生き残りか?」
「表向きには違う」
表向きに違うって、それは実際には正解だと言ってるのと同じじゃないか?
ともあれ……なるほど。
表向きは違っても、実際には強硬派か。
それを表に出さないだけなのか、それとも単純に強硬派にも誘われなかったのか。
その辺の理由は俺にも分からないが、ともあれレビルにとっても決して信頼出来る相手ではないという事は理解した。
2日の戦闘でMSの生産ラインを譲るというのは、実際の仕事に対して報酬が大きすぎるように思っていたのだが、どうやらその辺が関係しているのだろう。
多分、今回の一件で北米攻略作戦をやろうとしている者に対して、レビルとしては強硬派ということで処理してしまいたいのだろう。
「まぁ、事情は分かった。ただ、それだとちょっと報酬が少ない気がするな」
「……他にどのような報酬が欲しい?」
「ジオン軍の潜水艦にマッドアングラーがあったな」
その言葉だけで、当然のようにレビルは俺が欲している物を理解し……渋々といった様子で頷く。
「分かった。用意しよう」
「そうか。ちなみにホワイトベース級でもよかったんだが?」
「いや、マッドアングラーを用意する」
「なら、北米にある生産ラインの方もよろしく頼む」
「その提案に乗らせて貰おうか」
マッドアングラーは、潜水艦。正確には潜水母艦で水中用MSとかを搭載する事が可能な軍艦だ。
地球ではハワイを拠点としているルナ・ジオンにしてみれば、潜水母艦……巨大潜水母艦という表現が正しいのか? ともあれ、かなり使い勝手のいい軍艦だろう。
ただ、このマッドアングラー。かなり複雑な経緯があったりする。
元々は、連邦軍の次世代潜水母艦だったのだが、それをジオン軍に接収され、色々と改修されて出来上がったのが、マッドアングラーとなる。
戦闘機や戦車の類は殆ど机上の空論で開発したジオン軍だったが、マッドアングラーは十分に一級品の兵器として完成した。
これは、多分ムサイ級のような軍艦のノウハウは豊富にあったから、それを流用出来た……のか?
ともあれ、ベースとなる潜水艦を開発したのが連邦軍だったからというのもあるのかもしれないが、マッドアングラーは間違いなく高性能な潜水母艦だ。
「分かった。ならそれで頼む。それで、俺はいつ出発すればいい?」
「その辺はそちらに合わせることが可能だが、可能な限り早く頼む」
「となると……今から2時間後とかでも大丈夫か?」
「……は? あ、い、いや、それは構わないが……出来るのか?」
俺の言葉を信じられないといった様子のレビル。
その気持ちも分からないではない。
レビルにしてみれば、普通なら軍が出撃するとなれば、数日は掛かるという認識なのだろう。
だが、それはあくまでも軍が出撃する場合での話だ。
今回出撃するのは、あくまでも俺と7号機だけだ。
後は……7号機のメカニック達か。
ビームライフルの暴発に関しては、改修が完了している。
だが、一度暴発があっただけに、まだ操縦していない今の状況で完全に信じろという方が無理だった。
メカニック達にしても、7号機がどうやって操縦されるのか、そして俺の操縦で問題がないのかをしっかりと確認したいと思うのは当然だろう。
あるいは、次に開発するMSのデータ取りという意味もあるのかもしれないが。
「出来る。ただ、こっちもこっちで色々とやるべき事があるからな。その辺を終わらせるのに、多分2時間くらい掛かると思う」
「……分かった。では余裕を見て3時間後ということで、ミデアを用意させておく」
レビルの言葉に頷く。
本気ですぐに行くつもりなら、それこそ7号機を空間倉庫に収納して、影のゲートを使えすぐにでも北米に向かう事が出来る。
ただ、北米攻略作戦において、どこで指揮を執ってるのかといったことが分からないし、その辺を考えるとやっぱりミデアに乗って7号機ごと運んで貰うのがいいだろう。
そうして簡単な打ち合わせを終えると、俺は部屋から出てホワイトベースのブリッジに向かう。
「そんな訳で、俺はこれから北米攻略作戦に協力することになった」
「それは……また……」
突然の事に驚きの表情を浮かべるブライトだったが、それでも軍人らしくすぐに頷く。
「分かった。気をつけてくれ。聞いた話によると、北米での戦いはかなり厳しいらしい。それに、ホワイトベース隊にいた者となれば……」
「分かってるよ」
北米でジオン軍の指揮を執っていたガルマを殺した……と、そう思われているのが俺達だ。
当然ながら、その辺の事情に詳しい者がいれば、親の敵といった感じで攻撃をしてくるだろう。
とはいえ、ピクシーに乗っていた以前とは違って、現在俺が乗ってるのは7号機だ。
同じガンダム系ではあるが、それでジオン軍が7号機に乗ってるのが俺だと気が付くのは難しいだろう。
あ、でも連邦軍の中にまだ裏切り者がいれば、そちらから情報が流れる可能性は否定出来ないか?
ともあれ、ブライトと話を終えると……次に俺が向かったのは、ハワイ。
そう、ハワイだ。
影のゲートを使っているからこそ出来る荒技と言ってもいい。
「アクセル? 一体どうした?」
ハワイの政庁にある執務室で、書類を処理していたゲラートが俺の姿を見てそう声を掛けてくる。
とはいえ、そこまで驚いている様子が見えないのは、以前から何度かハワイにやって来ていたからだろう。
「ちょっと今の状況を説明しにな」
そう言い、現在のジャブローでの状況を説明する。
そんな中でゲラートが驚き、喜んだのは、やはりマッドアングラーについてだった。
水中用MSが大量に配備されているハワイを治めている者として、潜水母艦のマッドアングラーは非常にありがたいのだろう。
出来れば、あのMAも欲しいんだけどな。……その辺は活躍次第か?
「それはありがたい。……とはいえ、本当に入手出来るかどうかは、アクセルの活躍次第な訳か。まぁ、アクセルが参加する時点で活躍するのは心配してないが」
ゲラートの言葉に、頷きを返す。
実際にこのUC世界において、幾多の戦いを繰り広げてきた俺よりも高い操縦技術を持つ者はいないだろうという思いはある。
ましてや、俺が乗るのは連邦軍の中でも最高の性能を持つガンダムの最新鋭機だ。
……唯一の不安としては、ジャブローでの戦いの時のようにビームライフルが破壊されたりしないかということだが、その辺は連邦軍の開発陣を信じるしかない。
「期待しててくれ。それで、ハワイの方では何かあったか?」
そう聞いた瞬間、ゲラートの表情が真剣な色を帯びる。
何かあったのは間違いないらしい。
だが、それをすぐに俺に言わなかったのは、あまり聞かせたくなかったのか、それとも自分だけで何とかしようとしていたのか。
何とか沈黙を保とうとするゲラートだったが、俺がじっと視線を向けると渋々と口を開く。
「その、だな。ハワイの方では特に何も問題はない。いや、細かい問題はあるが、それは今までにも起きた事だから問題はない。ただ……少し厄介な相手から接触があってな」
「厄介な相手?」
「ああ。オーストラリアにいるジオン軍から、ルナ・ジオンに亡命をしたいという申し出があった」
「オーストラリアか……」
それで、ゲラートが言いにくそうにしていた理由が分かった。
オーストラリアは、ジオン軍がコロニー落としをした場所であり、当然のようにジオン軍は現地の者達から恨まれている。
だが同時に、ジオン軍が物資を提供しているからこそ、現地の者達が生きていられるのも事実なのだ。
憎悪と感謝。
現地の者達は、ジオン軍に対してそんな矛盾した感情を抱いているという話を聞いた事がある。
「荒野の迅雷ヴィッシュ・ドナヒュー。それが俺達に接触してきた相手の名前だ」
まさかの異名持ちの登場に、俺は驚きの声を上げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:980
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1575