転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2530話

 苦戦していた場所にいたジオン軍の防衛線は、最終的に突破することが出来た。

 個人的には、ジオン軍の中でも精鋭だったウルフ・ガー隊を初日に撃破出来た事が大きいと思う。

 2日目のダブデを撃破されたというのも大きかっただろうが。

 北米にいるジオン軍にしても、ダブデという存在はかなり頼りになる存在だったのは間違いない。

 そんなダブデが、出撃してからすぐに撃破されたとなれば……それは士気も落ちるだろう。

 北米がダブデを有しているのは驚いたが、そのダブデを大量に持っている訳でもない。

 元々建造コストの高い兵器である以上、当然のようにその数は限られている。

 俺が撃破した1隻だけという事はないだろうが、それでも10隻、20隻といったような事はない……と、そう思いたい。

 ただ、北米にあるジオン軍の基地、キャリフォルニアベースと言われてる場所はジオン軍の一大生産拠点である以上、もしかしたら他にもこっちが思いも寄らない戦力が残っている可能性は否定出来ない。

 とはいえ、マッドアングラーの生産設備を譲渡されるという約束をしている以上、こちらとしてもキャリフォルニアベースの生産設備は可能な限りそのままにしたまま、北米を奪還して欲しいと思うが。

 

「アクセル、この2日は世話になった。もしアクセルがいなければ、恐らくこちらの被害はもっと多くなっていただろう」

 

 ユーグはそう言いながら、俺に頭を下げてくる。

 現在俺がいるのは、連邦軍の前線基地にある食堂。

 とはいえ、あくまでも前線基地である以上、簡易的な場所なのだが。

 それでも戦争に駆り出されている者達にしてみれば、ここで食事をするというのは数少ない楽しみだ。

 ……まぁ、ホワイトベースでもあるまいし、出される食事はそこまで豪華なものではないが。

 それでもジャブローから近いおかげか、レーションよりは幾らかマシな食事が用意されている。

 現在俺はエイガーとユーグの2人と食事中だった。

 明日には俺はジャブローに戻る事になっているので、言ってみれば送別会といったところか。

 ただし、俺やエイガーと一緒に来たメカニックの姿はない。

 今頃はフルアーマーガンダム7号機を調べているところだろう。

 ビームライフルが暴発した影響からか、フルアーマーガンダム7号機の調整とかにもかなり力を入れてる。

 メカニックとしてのプライドが影響してるのだろう。

 本来なら、ガンダム7号機はこの戦争における技術の発展がなければ……いや、あっても完了するのは難しい筈だった。

 それがルナ・ジオンやシャドウミラーの影響で技術が予想以上に発展し、更にはその状況でかなりの無理をして……それによって、ようやく完成した機体だ。

 聞いた話では、本来ならエイガーが使っている6号機も当初の技術では完全には完成出来なかったらしい。

 だが、ガンダム7号機の開発を完了したように連邦軍の技術力が上がり、結果として6号機は特に不具合なく完成した。

 しかし7号機の方は当初の予定よりも技術力が上がっても、完全という訳にはいかなかった。

 

「北米にいるジオン軍が強かったのは間違いないな。……資源がある限り、キャリフォルニアベースでMSを含めた兵器を製造することが出来るというのが大きいな」

「ああ、それが最大の問題なのは間違いない。だが、それ以外にも他の基地からジオン軍の残党が集まってきているらしい」

「それは……可能性としては十分にあるか」

 

 オーストラリアの中でも荒野の迅雷のように現在のジオン公国に見切りをつけた奴はルナ・ジオンに亡命してくるが、未だにジオン公国に対して強い忠誠心を抱いている者というのも当然のようにいるだろう。

 ルナ・ジオンに亡命したくても、接触出来ないという者もいるだろう。

 荒野の迅雷がこちらに接触出来たのは、オーストラリアにそれなりの規模の基地が存在していたからだ。

 オデッサから逃げ出した者達、もしくはオデッサではなくてもここ一連の動きで連邦軍によって攻略された基地から逃げ出した者達。

 そのような者達の中でルナ・ジオンに接触出来る者というのは、当然のように少ない。

 だからこそ、そのような者達は地球におけるジオン軍の基地の中でも最大規模で、これまでジオン軍の兵器を生産し続けた兵器の生産ラインを持っている北米を目指す。

 それ以外にも、北米はジオン公国の中で一種のカリスマ的な人気のあったガルマが治めていた場所にして、戦死した場所というのも関係しているのかもしれないが。

 ともあれ、様々な手段で北米のジオン軍に行く当てのないジオン軍兵士が合流したとしても、それはおかしな話ではない。

 

「そうなると、これからますます北米の守りは堅くなりそうだな」

「残念ながら、そうなる」

 

 ミートボールを口に運びながら、ユーグが若干憂鬱そうな表情を浮かべる。

 

「今の時点で北米にいるジオン軍に合流出来ていない者達が次々と合流し……結果として、向こうの戦力が厚くなる、と?」

 

 エイガーの言葉にユーグが頷く。

 実際、その判断はそこまで間違ってはいないだろう。

 

「全てのジオン軍の兵士が合流するとも限らないけどな。場合によってはゲリラとして活動したり、運がよければどこかに新たな基地……は無理でも拠点くらいは見つけられるかもしれないし」

 

 ともあれ、北米での戦いがこれからも激しくなっていくのは間違いない。

 その戦闘に関わらない事を喜ぶべきか、それとも残念に思うべきか。

 まぁ、セカンドロットを見れば分かる通り、連邦軍のMS開発技術も上がってきているのは間違いない。

 そうなれば、ジオン軍が幾ら北米で頑張っても、最終的には連邦軍の物量によって質の差を乗り越えられるような事になるという可能性は十分にあった。

 

「死ぬなよ」

 

 そう、ユーグに告げる。

 俺が見た限り、ユーグの特徴は指揮の上手さだ。

 MSの操縦技術も決して悪い訳ではないし、素質もあるとは思う。

 だが、それでもやはり俺の中でユーグのどの部分が特徴的かと言われれば、やはり指揮能力だ。

 そういう意味では、シローと似たタイプだろう。

 もっとも、指揮能力は似たよなものであっても、操縦技術という点ではシローよりも上だと考えると、ある意味ではシローの上位互換と言ってもいいのかもしれないが。

 ともあれ、ユーグは有能な士官であるのは間違いない。

 出来れば月に引き抜きたいと、そう思うくらいには。

 ユーグ本人は、連邦軍……というか、部下に対して愛着があるようなので、今の時点で引き抜こうとしても断られるだけだろうが。

 しかし、戦いが終わった後でなら、もしかしたら引き抜きも可能かもしれない。

 

「当然、そんなつもりはない」

「そうか。なら、この戦争で生き残ったら、月に遊びに来い。そうしたら、色々と面白い物も見せてやれるかもしれないからな。……ちなみに、エイガ-もそのつもりがあるのなら月に来てみたらいいと思うぞ。面白いというか、今よりも強くなるという点では、連邦軍にいるよりも月にいた方が間違いないし」

「……分かった」

 

 俺の言葉に、エイガーは数秒考えた後で頷く。

 最初に会った時は、そこまで強さに固執するようなことはなかったのだが、ジャブローでシャアに負けてからというもの、エイガーは強さを求めるようになった。

 本人はそれを表には出していなかったが、マドロックのパイロットになった事で強い自信のようなものがあったのは間違いないだろう。

 だが、その自信もシャアによって完全に破壊されてしまった。

 それこそ、シャアのズゴックに傷すら付ける事が出来なかったのだ。

 それからエイガーは力を求め始めた。

 ホワイトベースは現在改修中なので、ホワイトベースから少し離れた場所にシミュレータを設置してもらい、アムロやユウと模擬戦を繰り返していた。

 ……もっとも、連戦連敗らしいが。

 エイガーもパイロットとしては決して能力は低くないのだが、やはり比べる相手が悪い。

 現時点ではあるが、このUC世界全体で見てもトップクラスの2人を相手にしているのだから。

 とはいえ、エイガーも高い才能を持っているのは間違いないので、アムロやユウ、それ以外にもホワイトベースのパイロットと模擬戦を行う事で、実力を伸ばしているのは間違いないが。

 

「無理にとは言わない。だが、本当に強くなりたいのなら来た方がいいと思う。とはいえ、連邦軍に所属したままだと無理だから、その場合は連邦軍を辞めてということになると思うけど」

「それは……そうだな、覚えておく」

 

 エイガーが頷く様子を見ながらも、戦争を終わった後であれば、軍を辞めるのはそれ程難しい話ではないというのが、俺の予想だった。

 今はジオン軍という強力な敵がいる以上、それに対処する為に多くの者が軍人として連邦軍に所属している。

 だが、もしジオン軍の独立戦争が失敗に終わった場合、現状の連邦軍は人が多すぎるのだ。

 それこそ戦後の復興を考えれば、軍人の数はなるべく少なくした方がいい。

 そういう意味でも、戦後に連邦軍を辞めたいという者はすぐに辞める事が出来ると思う。

 若干心配なのは、エイガーがガンキャノンの開発に関わっていたり、マドロックという、ガンダムのセカンドロットのパイロットになったりしている事だが……その辺でもし引っ掛かったら、レビルやゴップに手を回して貰う事にしよう。

 それだけ、エイガーという人材は将来有望なのだ。

 

「まぁ、何にしろ……地上では北米を奪還するのが最優先だろうな。そうすれば、ジオン軍の動きも抑えられるし。その為にも頑張ってくれよ」

 

 マッドアングラーの生産設備の為にもという言葉は、取りあえず誤魔化しておく。

 実際、俺が今回の戦いに参加したというのは、フルアーマーガンダム7号機の性能を確認するという意味もあったが、やはりマッドアングラーの生産設備が欲しいというのが大きい。

 潜水艦として考えれば、現時点においてではあるがUC世界でも屈指の性能を持つマッドアングラーは是非欲しいと言うのが正直なところだ。

 ハワイの防衛だったり、それこそ現在行われているだろうオーストラリアでの一件を考えても、間違いなく有益だ。

 唯一の難点としては、マッドアングラーは巨大すぎて陸に接岸出来ないといった事だろう。

 この辺は、何気に結構大きい。

 専用のドックが必要だったり、補給物資を別の船か何かで運ぶ必要があるのだから。

 その辺の不便を考えても、やはりマッドアングラーの生産設備は確保しておきたい。

 

「分かっている。北米を奪還すれば、ジオン軍の士気も下がる筈だ。それを考えれば、ここで手を抜くような真似は絶対に出来ないし、しない」

 

 ユーグが決意を込めた様子でそう告げる。

 俺には分からなかったが、今回の戦いはユーグにも色々と思うところがあるのだろう。

 その割には、派遣された上層部の質が悪いが。

 いや、あるいは有能な者もいるのかもしれないが……その辺、どうなんだろうな。

 正直なところ、微妙だと思う。

 とはいえ、それはあくまでも俺の認識だ。

 実際にどうなっているのかというのは、それこそ二日しかここで戦っていない俺がどうこう言うべき事ではないだろう。

 

「ともあれ、だ。俺とエイガーは明日にはもう帰るけど、ユーグには頑張って貰う必要がある。……特に上には気をつけろよ。俺のMSを奪おうとした奴みたいに、下らない事を考える奴ってのは、どこにもいる」

 

 これで連邦軍が不利な状況であれば、そのような真似をしなくてもいい。

 だが、現在はオデッサ、ジャブローとジオン軍に勝っているだけに、戦後について考えたり、自分の私腹を肥やそうとしたりといったことを考えている者が出て来てしまう。

 それが顕著に出たのが、俺のMSを奪いに来た奴だ。

 大尉という階級にありながら……いや、大尉という階級だからこそなのか、俺の個人所有のMSを奪おうとしてきた。

 大尉ですらそんな有様だとすれば、より上の階級となるとどうなっているのかは、想像するのも難しくはない。

 レビルやゴップといった面々が、何を考えてそういう連中に北米奪還作戦を任せたのか、知りたくなる。

 あるいは、我欲は強いが能力的には信じられる相手だったりするのか?

 けど、今の戦線の状況を考えると、必ずしもそうとは思えないし。

 うーん、難しいところだ。

 そんな風に考えていたが、ここでの最後の夕食を下らない事で潰したくないと判断し、話題を変える。

 

「そう言えば、ユーグとかエイガーはMSの戦闘はともかく、恋人とかはどうなんだ?」

「は? 何だいきなり」

 

 完全に意表を突かれたといった様子を見せるユーグ。

 前線だからこそ、そういう話は頻繁にしていてもおかしくはないと思うんだが。

 命懸けな戦いをしているだけに、どうしても生存本能とか、子孫を残したいとか、そういう感じで燃え上がり……と、そんな事があってもおかしくはない筈だ。

 そんな会話を楽しみにつつ、俺は北米戦線最後の夕食を楽しむのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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