転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2534話

「これがセカンドアーマーだ。……遅れて悪かったな」

 

 俺に向かって親っさんがそう頭を下げてくる。

 まぁ、何だかんだとジムスナイパーⅡとかのMSを受け取ってから数日が経ち、それでようやくガンダム7号機のセカンドアーマーの準備が整ったのだから、親っさんが申し訳なく思うのは当然だろう。

 俺がジャブローを出発するまで、後2日。

 そういう意味では、本当にギリギリのギリギリでようやくセカンドアーマーの調整が完成したと言ってもいい。

 俺は頭を下げてくる親っさんに、気にするなと首を横に振る。

 

「メカニックとしての仕事は、セカンドアーマーの件以外にも色々とあるんだ。それを考えれば、緊急じゃないこっちは少しくらい後回しになっても構わないだろ。それに……本気で調整をしてたというのは、誰が見ても明らかだったしな」

 

 その言葉は嘘ではない。

 ここでは本当の意味で宇宙用のセカンドアーマーの本格的な調整というのは、出来ない。

 それでも、親っさん達は自分達が出来る最大限の調整を行ってくれたのだ。

 月に戻ればディアナの技術者達がきちんと調整をすると分かっていても、それでも自分の仕事だからと職人魂を発揮してセカンドアーマーの調整をしてくれたのだから、それに文句を言うつもりは一切なかった。

 

「そうか」

 

 俺の言葉に、一言だけそう告げる親っさん。

 そうして俺は親っさんの見てる前でセカンドアーマーを空間倉庫に収納する。

 触れればそれだけで収納出来る以上、セカンドアーマーを収納するのにそう時間は掛からない。

 

「お前のそれ、羨ましいな」

 

 しみじみといった様子で親っさんが呟き、周囲で様子を見ていた他のメカニック達もそれに同意するように頷く。

 まぁ、空間倉庫の性能を知れば、それこそ誰でもそう思うだろう。

 特にこの世界においては、MSやMSの部品とかを運ぶのにも色々と手間が掛かる。

 その辺の事情を考えれば、機械とかを全く必要としない俺の空間倉庫を羨ましく思ってもおかしくはない。

 

「今のところ、俺以外に使える奴はいないけどな。それにしても、あんた達には色々と世話になった」

「はっ、馬鹿を言うなよ。ガンダム7号機のビームライフルを暴発させるなんて真似をしちまったんだぞ?」

 

 そう告げる親っさん。

 あの一件には、結構な不満を持っているらしい。

 俺としては、すぐに故障の原因を見つけて改修してくれたのだから、それに対して文句は何もないんだが。

 

「それでもだよ。……ともあれ、ジャブローにいる間は世話になった」

「……また気が向いたら来い。もっとも、ここはジャブローの中でもかなり機密度の高い場所だから、アクセルがそう簡単に入ってくる事は出来ないだろうがな」

「あー……まぁ、そうかも」

 

 実際には影のゲートを使えばあっさりと来れるんだが、取りあえずその辺は言わないようにしておくとしよう。

 ともあれ、恐らくこれが最後になるだろうという事で、俺は親っさんを始めとして他のメカニック達とも会話を交わす。

 ここでメカニックをしてるという事は、間違いなく連邦軍でも腕利きのメカニックなんだろうし、出来れば月に引き抜きたいという思いもあったのだが……以前親っさんを引き抜こうとして考えたように、色々と面倒な事になるのは確実なんだよな。

 なので、取りあえず適当に月に遊びに来るようにと匂わせるくらいにしておく。

 そうして暫く話をした後で、ホワイトベースに戻る。

 

「あら、アクセル。もう格納庫の方はいいの?」

 

 ホワイトベースの通路を歩いていると、前から歩いて来たミナトにそんな風に声を掛けられた。

 

「ああ。セカンドアーマーの受け渡しも終わったよ。それより、ミナトこそ引き継ぎはもういいのか? 結構忙しそうにしてただろ?」

 

 これまで、ホワイトベースが戦闘中の時の操舵は、ミナトがやってきた。

 だが、そのミナトが俺と共にホワイトベースから降りる以上、当然操舵は別の人物が行われなければならない。

 その件は前々から分かっていたので、ミナトも副操舵士としてミライに色々と引き継ぎや操縦のコツを教えていた。

 ……正直な話、ジャブローでミナトが降りるのだから、別にミライじゃなくても操舵について専門の訓練を受けた本職の軍人を派遣して貰えばいいのでは? という思いもあったのだが……その辺はサラミスやマゼランの類とホワイトベースでは色々と艦の癖が違うらしい。

 サラミスやマゼランを操縦した事がある者よりも、何も知らないミライの方が、ホワイトベースには向いてるらしい。

 この先、ホワイトベース級が増えれば、そちらに慣れた操舵士とかも出て来るかもしれないが。

 ともあれ、そんな訳でミナトはミライに対してホワイトベースの操縦のコツとか、艦の癖とか、そういうのを教えているのだ。

 その辺は前々からやっていたのだが、もう2日後には俺達がホワイトベースからいなくなるという事で、最近はかなり忙しくしていたらしいのだが……

 

「ええ。もうミライは技術という点では十分合格よ。後は、それこそ実際に戦場での操舵とかで慣れていくしかないでしょうね」

「まぁ、その辺はホワイトベースのブリッジクルーとしてここまで来たんだから、大丈夫じゃないか?」

 

 実際、ホワイトベースはシャアに狙われるといったことを繰り返し、それ以外にもとてもではないが普通なら体験しないような……もしくは軍人でも1度か2度経験すれば十分だといったような戦いを、かなりの回数繰り広げてきた。

 その際、ミライは操舵士としてホワイトベースの舵を握っていなかったとはいえ、ブリッジにいたのは間違いのない事実なのだ。

 そうである以上、その辺の新米軍人よりもよっぽど修羅場を潜ってきているのは間違いない。

 

「そうね。ミライなら大丈夫だと思うわよ。……あ、そうそう。今夜私達とのお別れパーティをしてくれるそうよ。新しく来た人の歓迎会も兼ねてるらしいけど」

「そうなのか?」

「ええ。私達がホワイトベースに乗ってから、色々とあったでしょ? それを考えると、やっぱりきちんとした場は必要なのよ」

 

 しみじみと告げるミナト。

 ミナトも、何だかんだとホワイトベースにいる者達とは親しくなった。

 だからこそ、今回のお別れパーティというのは嬉しいのだろう。

 

「綾子には?」

「さっき会ったから伝えたわよ」

「そうか。綾子もやっぱり名残惜しそうにしてたか?」

「やっぱり少しはね。とはいえ、ホワイトスターに戻れるのを楽しみにはしてたけど。……ただ、アクセルと一緒にいられる時間が少なくなるのは、ちょっと残念ね」

「それに関しては、俺からはノーコメントで」

「……体力的な問題を考えると、援軍が多いのは助かるんだけど。アクセルもたまには精一杯発散したいでしょ?」

「それについても、取りあえずノーコメントで」

 

 狭いベッドの上で、3人。

 色々と狭かったし、場合によってはベッドではなく床に空間倉庫から取り出したシーツを敷いて色々と楽しんだのも事実だが、いつもは10人以上の恋人達と夜を楽しんでいるのを思えば、かなりセーブしないといけないのも間違いなかった。

 何しろ、ホワイトベースは激戦を潜り抜けてきたのだ。

 そんな中で、魔法球もないのに限界まで責めるようなことをしてしまえば、ホワイトベースの操舵も俺に次ぐエースパイロットも戦闘に参加出来ないなんて事になりかねない。

 

「ノーコメントばかりね。……まぁ、それはいいけど。とにかく、今日の午後6時から食堂でパーティだから、忘れないようにね」

「ああ。パーティの料理には期待してるよ」

 

 これはお世辞でも何でもない。

 ホワイトベースの食堂で出される料理は美味いし、そこで働いているコック達の料理の腕もいい。

 また、ここがジャブローという連邦軍の本部だけあって、食材の類もかなり豊富だ。

 勿論戦争中である以上、希少な食材……それこそ政治家達が好んで食べるような料理に使われる食材とかは入手出来ない可能性もあるが、ホワイトベースでやるパーティでそんな食材が使われるといったことは基本的にない。

 結果として、パーティで出される料理には十分期待出来るのは間違いなかった。

 

「そうね。美味しい料理が出るのは間違いないでしょうね」

 

 ミナトも料理が美味いというのは俺と同じ予想なのか、納得したように頷く。

 そうして俺は暫くの間ミナトと話すのだった。

 

 

 

 

 

「では、ホワイトベースを降りるアクセル、綾子、ミナトの3人と、これからホワイトベースで共に戦う事になったスレッガー中尉を歓迎する意味も込めて……乾杯!」

『乾杯!』

 

 ホワイトベースの食堂において、ブライトの言葉に合わせて持っていたコップを掲げる。

 ちなみに、さすがにパーティではあってもこの状況で酒を飲むような事は出来ないので、飲み物はお茶だったりジュースだったりする。

 

「おい、ブライト。パーティの名目は歓迎会と送別会だけじゃなくて、ブライトの昇進について入れてもいいんじゃないか?」

 

 ウーロン茶を飲み干したリュウが、そんな風にブライトに声を掛ける。

 そんなリュウの言葉に、食堂に集まっていた面々はブライトに驚きの表情を向けた。

 当然のように、俺もまたブライトに驚きの視線を向けるが、それは同時に納得出来るものがあった。

 何だかんだと、ブライトはここまでホワイトベースを率いてきた。

 それこそ、普通なら死んでもおかしくはないだけの……いや、寧ろ何でその状況で死んでないんだ? と言われてもおかしくはないような、そんな状況で。

 そしてホワイトベースのこれまでの活躍を思えば、ブライトが昇進するのはおかしな話ではない。

 

「へぇ、昇進したのか。大尉……いや、少佐になったとか?」

 

 からかうようにそう言うが、それは決してからかいだけではない。

 実際、連邦軍はこれまでのジオン軍との戦いで多くの軍人が死んでおり、その中には佐官の類も多い。

 上にいた者達の多くが次々と死んでいった以上、減った分を補充するのは当然だった。

 本来なら年功序列なのだろうが……待っていた者達の多くも死んでいるし、今のようにジオン軍との戦争が激しくなっているのを考えれば、当然実力重視ということになる。

 そうなると、やはりブライトというのは十分少佐……場合によっては中佐になっていてもおかしくはないのだが……

 

「よしてくれ。大尉だよ、大尉。……まさかこんなに早く大尉になるとは思ってなかったけど」

 

 しみじみと呟くブライト。

 まぁ、その気持ちは分からないではない。

 ほんの数ヶ月前までは士官学校の生徒だったのだ。

 そんなブライトが、士官学校を卒業もせず成り行きでホワイトベースの艦長を任され、気が付けばいつの間にか大尉なのだから。

 

「その辺は運もあるんだろうが、それでもブライトが優秀だからだろ」

「……それは、アクセルにも随分と助けられたからだけどな。正直、アクセルがいなければ、ジャブローまで無事に到着するのは難しかっただろう」

「そうか? 意外と何とかなると思うけどな」

 

 実際、この世界の原作の流れがどうだったのか、俺にも分からない。

 だが、この世界の主人公がアムロである以上、俺がいなくても恐らくどうにかなったのは間違いない。

 ユウやシロー、ヤザンといった面々もいたし。

 これが、実は戦力がサイド7から乗った連中だけだったら、かなり厳しかったかもしれないが。

 

「いや、無理だった筈だ。そういう意味でも、アクセルには感謝している。……ありがとう」

 

 そう言い、俺に向かって深々と頭を下げるブライト。

 そんなブライトの様子に、周囲にいた者達は驚きの視線を向ける。

 まぁ、ブライトの性格を考えれば、この状況で驚くのは当然か。

 

「そこまで気にするな。今までの一件は、俺にとっても大きな利益になったんだ。ブライトだってガンダム7号機を見ただろう? それ以外にも、多くのMSを含めて報酬を貰っている。あくまでも、俺は傭兵として……ビジネスとして協力したんだ」

「それでも、アクセルさんがいなければ、僕は死んでました」

 

 ブライトに続けて言葉を挟んできたのは、アムロだ。

 いや、アムロだけではない。

 気が付けばスレッガー以外のMSパイロットの全員が俺に視線を向けていた。

 ……一時的に綾子と一緒にガンタンクに乗っていた女は、綾子と話しているようだったが。

 それこそ、あまり俺と関わるような事がなかったダンケルとラムサスの2人や、ガンタンク隊のパイロットの男達までもが、俺に向かって感謝の視線を向けていた。

 

「皆が、アクセルに感謝してるんだ。アクセルの力がなければ、間違いなく宇宙で撃破されていた。そんな皆の気持ちを受け取ってくれ」

 

 ブライトにそう言われれば、俺としてもこれ以上不満を口にする訳にもいかず……結果としてこのパーティは微妙に居心地のいいものになるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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