パーティが終わると、瞬く間にその日……俺達がホワイトベースを降りる日がやってくる。
レビルやゴップとは既に挨拶も終わらせてあるので、特に見送りに来たりといったことはない。
……というか、ぶっちゃけた話、ブライト達と比べるとゴップやレビルの方がこれから俺が話す機会は絶対に多いんだよな。
連邦軍の上層部で、俺とも直接の繋がりのあるゴップやレビルがいる場合、連邦軍がこっちと繋ぎを取りたい場合は当然その2人を使ってくる筈なのだから。
それに比べると、ブライト達は結局のところ一介の軍人でしかない。
ゴップやレビル達とブライト達のどっちと会う機会が多いのかは、それこそ考えるまでもないだろう。
ちなみに、レビルやゴップからは輸送機でハワイまで送るかといったような事を言われたが、それは断った。
影のゲートを使えば、それこそ一瞬でハワイまで移動出来るのに、何故わざわざジオン軍に撃墜されかねない輸送機で運ばれなければならないのか。
「じゃあ、またな。この戦争が終わったら月に遊びに来い。そうすれば、ここでは見られないような光景を色々と見る事が出来るかもしれないし、強さを求める者ならその強さを得られるかもしれないからな」
ホワイトベースの外まで、俺を見送りに来てくれた面々にそう告げる。
ちなみに、同じセカンドロットのパイロットという共通点がある為か、もしくはシャアから助けられた恩義がある為か、あるいは北米で戦場を共にした為か……
色々と理由はあるのだろうが、見送りに来た者の中にはエイガーの姿もあった。
シャアに負けて以来、強さを求めるようになったエイガーにしてみれば、月に来る可能性は高い。
とはいえ……ガンキャノンの開発に関わっていた、つまりV作戦という連邦軍の中でも最重要機密に関わっていて、セカンドロットで開発されたマドロックのパイロットでもあると考えれば、メカニックの親っさん同様に大人しく連邦軍を辞められるかと言われれば、正直微妙なところだが。
「総員、ここまで共に戦ってきたアクセル達に向かって……敬礼!」
その言葉に、皆が敬礼をする。
……それこそ、キキやミハルといった者達までもが敬礼をしていた。
ミハルはともかく、キキもシロー達と一緒にホワイトベースを降りる筈だから、それを考えれば今頃は色々と忙しいんだろうが。
ともあれ、俺と綾子、ミナトの3人はそんな敬礼に見送られながら、影のゲートに身体を沈めていき、次の瞬間にはジャブローからハワイに姿を現しているのだった。
「うーん、何だか微妙な感じね」
政庁の近くにある光景を見ながら、ミナトが呟く。
まぁ、その気持ちは分かる。
ついさっきまでは、ジャブローで改修中のホワイトベースのすぐ側にいたのに、今はハワイにいるのだから。
「まぁ、アクセルと付き合ってるのなら、その辺には慣れないと」
綾子がこうしてあっさりと現在の状況を受け入れられるのは、出身のFate世界において魔法や魔術が存在していたからだろう。
また、綾子本人も今では人間ではなく半サーヴァントといった存在になっている。
それに比べると、ミナトはホワイトスターに来てからは魔法とかを頻繁に見るようになったが、出身世界のナデシコ世界は魔法の類は存在しない。
……ボソンジャンプとか、色々と超常染みた代物はあったが。
「さて、それじゃあこれから……どうする? 月に戻るにしても……」
「アクセル、デートの件は忘れてないわよね?」
俺の言葉を遮るようにミナトが呟き、綾子もそれに同意するように頷く。
そんな2人を前に、俺が出来るのは頷く事だけだった。
「勿論、忘れてない。でも、デートをするにしても今日これからって訳にはいかないだろ? そうなると、どこか泊まる場所を用意する必要があるだろうから、ちょっとゲラートに会いに行ってくる。その間、2人は適当な店でゆっくりしててくれ」
泊まる場所が必要なのは分かっているのか、綾子もミナトも俺の言葉に素直に頷く。
さて、オーストラリアの件についても色々と気になってるし。
特に奇跡の子供達だ。
アイナの性格を考えれば、接触する事さえ出来たら説得するのは難しくないと思う。
とはいえ、もし奇跡の子供達を保護したとしても、セイラを含めてニュータイプと接した時の件を考えると、迂闊に俺が会う訳にはいかないんだよな。
「じゃあ、私達は……そうね、あそこの喫茶店で少しゆっくりしてるわ。綾子もあのお店でいいわよね?」
「構わないよ。居心地は悪くなさそうだし」
ミナトの言葉に、綾子はそう答える。
実際、こうして見た限りではミナトが示した店は落ち着いた雰囲気を持つ喫茶店だ。
ハワイという場所にはあまり似つかわしくないような気もするが、それでもこのような大通りに店を構えている以上、相応に流行ってるのは間違いないのだろうが。
「なら、任せた。ハワイだからそんなに妙な奴はいないと思うけど、気をつけてくれよ」
この場合の気をつけるというのは、絡まれないように気をつけるのではなく、絡まれた時にやりすぎないようにという意味での気をつけるだ。
とはいえ、ハワイにもコバッタや量産型Wが大量にいる。
本当の意味で危険人物と判断されるような者は、すぐに捕まってしまう。
そういう意味では、戦争が起きている地球上のどこよりも治安が保たれている地域であると言ってもいい。
「じゃあ、俺は行ってくる」
そう言い、ミナトと綾子の2人と別れると、俺は再び影のゲートを使って政庁にあるゲラートの執務室に移動する。
「それは……だが、どうしようもないだろう? 飛行可能時間の問題もある。そうである以上……アクセル?」
通信機で誰かと話していたゲラートが、影のゲートを使って突然姿を現した俺を見て驚き……同時に笑みを浮かべる。
「ちょっと待ってくれ」
通信相手にそう言うと、ゲラートの視線が俺に向けられた。
「どうした? 何だか、嫌な予感がするけど」
「いや、そうでもないぞ。アクセルにとっては、寧ろ嬉しい筈だ」
「……嬉しい?」
「ああ。俺が知ってる限り、アクセルはジオン軍や連邦軍の兵器を集めていたよな? 特に、珍しい兵器を」
「そうだな」
それは事実である以上、俺としてもゲラートの言葉を否定するような真似は出来ない。
そしてゲラートがこうして俺に話を振ってきた以上、何をして欲しいのかというのはなんとなく想像出来た。
それでも、一応何が起きたのかというのを確認するべく、口を開く。
「それで? 具体的には何が起きている? オーストラリア関係か?」
「そうだ。荒野の迅雷との接触に成功したし、潜水艦に人員以外にも可能な限りの物資を積み込んだ。ちなみに、アクセルが好みそうな物としては、陸戦型ゲルググという機体がある」
ゲルググ……それは確か、ジオン軍のコンペで量産機として採用された機体だったな。
基本的には普通に地上でも使える機体だった筈だが、敢えて地上用となるとザクのJ型、JC型のようなバリエーション機といったところか。
ゲルググはジオン軍の中でも最新鋭機である以上、入手するのは簡単ではない。
ジオニック社、ツィマッド社、MIP社からなら入手するのは不可能ではないだろうが、かなり労力と金が必要になるだろう。
そういう意味で、ここで地上型という希少な機種を入手出来たのは嬉しい。
「そうか。それはいい報告だな。……で?」
「潜水艦に積み込む事が出来た機体もあれば、積み込めない機体も存在する。それもMAが2つだ」
「それは……また……」
MAというのは、基本的にかなり数が少ない。
そんな数の少ないMAが、何故オーストラリアに2機も?
「一応聞くけど、それって同じ機種が2機か?」
「いや、違う。ライノサラスとアッザムオルガという2種類だ」
「ライノサラスは分からないけど、アッザムオルガというのは、その名前から考えてアッザムの系列っぽいな」
オデッサ作戦で遭遇したアッザムを思い出しながら、そう告げる。
アッザムはMAの中でも最初期に開発されたMAということで、色々と弱点も多かった。
それでもミノフスキークラフトで空を飛んだり、強力なメガ粒子砲を持っていたり、更には着陸脚の先端にMSを乗せて砲台として利用したりと、かなり有効な戦力だったのは間違いない。
そうなると、ライノサラスとやらの方も気になる。
その2つのMAは、是非ともこっちで確保しておきたかった。
実際にハワイで運用が出来なくても、月に持っていけばディアナが色々と研究して、後々の開発の糧となる可能性も高い。
「それを聞かされれば、こっちとしては放っておく訳にもいかないな。……オーストラリアの件は任せろ。ただ、数日程度だが俺達が使う部屋を用意して欲しい」
「俺達? ああ、そうか。そう言えばもう戻ってくる頃合いだったな」
ゲラートは一瞬俺が何を言ってるのか分からないといった様子を見せていたが、それでもすぐに事情を理解したのか、そう呟く。
「ああ。数日はハワイにいるつもりだから、その間の住居が必要なんだよ」
「分かった、その件は任せろ。代わりにオーストラリアのMAの件は任せていいな?」
「そっちは俺にとっても利益が大きいからな。可能な限りMAは入手しておきたい」
その言葉に頷いたゲラートは、再び通信を開始する。
「MAは確保しておいて欲しい。アクセルがそちらに向かう」
そうして短い会話が終わり……俺は、ふと気になっていた事を尋ねる。
「いっそ、俺が影のゲートで全員を連れてくればいいんじゃないか?」
「いや。それは楽だし確実だが、都合が悪い面もある」
「……そうなのか?」
「ああ。こっちの事情だが、色々とあるんだよ」
ゲラートにそう言われれば、こちらとしても無理は言えない。
本来破棄される筈だったMA2機を入手出来るだけでよしとしておこう。
「そう言えば、奇跡の子供達の件はどうなった?」
俺にとっては、荒野の迅雷と並ぶ程に重要な者達の名前を出したのだが、ゲラートは首を横に振るだけだ。
「まだ接触に成功したという連絡も来ない」
「そうか。……連邦軍に先に手を打たれたって事はないよな?」
「それはないだろう。連邦軍では、ニュータイプの存在を認めていないからな。……とはいえ、セイラ様の件もある。公には認めていなくても、実際には裏で動いてる可能性はある、か」
ゲラートのその言葉に、俺も同意するように頷く。
今までの流れからすると、この世界の原作において連邦軍はニュータイプという存在に対してそこまで信じてはいなかったのだろう。
だが、この世界においてはセイラが……いや、アルテイシアという人物がいる。
高いニュータイプ能力を持ち、それを政治にも使っている存在。
セイラもまた、ニュータイプという存在を隠すのではなく公にしている。
そうである以上、この世界の連邦軍はニュータイプを信じていてもおかしくはないのだ。
「そうなると、ますます急いだ方がいいな。オーストラリアに行ったら、アイナ達と接触した方がいいか?」
「どうだろうな。アクセルとニュータイプの相性は決してよくはないんだろ?」
「それは……まぁ」
俺が触れた場合、そのニュータイプにどんな事態が起こるのかは分からない。
セイラのようにニュータイプ能力が覚醒され、強化されるといった者もいれば、アムロのように根源的な恐怖を抱く者もいる。
仮にもアムロやセイラはそれなりに自我の発達している10代半ばから10代後半であるのに対して、奇跡の子供達はまだ本当に子供と呼ぶべき年齢だ。
それを思えば、俺という存在が接するのは避けた方がいいのは、事実かもしれない。
「だろう? それに、ギニアス達に任せたんだ。そうである以上、アクセルは大人しく結果を待っていた方がいい」
「……分かった」
色々と言いたい事はあるのだが、ゲラートの言葉にも頷くべきところはある。
何しろ、潜在能力的にはともかく、まだニュータイプとしては殆ど覚醒していなかったアムロですら、俺という存在にあそこまで恐慌状態に陥ったのだ。
……ぶっちゃけ、それはアムロがこの世界の主人公だったからそうなったという風に思わないでもなかったが。
実際、セイラとかはアムロみたいに恐慌状態になったりはしなかったんだし。
ともあれ、まだニュータイプとして覚醒していないアムロですら、その有様だった事を考えると、コロニー落としを予言したニュータイプに俺が会ったら、一体どうなるかは分からない。
上手く行けば、セイラやクスコみたいにこっちを怖がるようなことはなくニュータイプとしてのレベルが上がるかもしれない。
だが、下手をすればアムロのように……いや、場合によってはアムロよりも更に俺を怖がる可能性もある。
その辺の事情を考えると、やはりここはアイナに任せた方がいいだろうと、そう考えるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1591