転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2539話

 結局奇跡の子供達についての情報は入手する事が出来ないまま、俺はハワイに戻っていた。

 荒野の迅雷にも会う事が出来なかったし、それを考えると主要目標を幾つも逃したという事になる。

 ……荒野の迅雷について話題に出した時、マヤが妙に不機嫌そうだった様子が若干気になるが。

 もしかしたら、荒野の迅雷……ヴィッシュとマヤはそういう関係だったのかもしれないな。

 ともあれ、オーストラリアで俺が出来たのは最低限の事のみだったのは間違いない。

 アッザムオルガとライノサラスというMAを収納したのと、亡命する時に一緒に持ってこられないような兵器の数々を収納し、それ以外にもマヤが用意した各種物資を収納。

 言ってみれば、俺がやったのはそれだけでしかない。

 まぁ、最低限仕事はこなしたのだから、問題はないのだが。

 ともあれ、そうして戻ってきた俺はゲラートに会いに行き……

 

「ありがとうございました!」

 

 格納庫にいた軍人の中でも一番偉い人物が、俺に向かってそう頭を下げてくる。

 他の軍人達も、声には出さないが揃って頭を下げていた。

 無理もない。何しろ、昨日までは特に何かが置かれていた訳でもないこの格納庫の中には、現在大量の兵器が用意されてるのだから。

 MSではなく戦車や航空機の類だったが、それでもあるのとないのとでは大きく違う。

 特にここはハワイである以上、地続きの場所と比べても使い勝手がいいのは間違いない。

 

「気にするな、ゲラートからの要望だしな」

 

 そう言い、格納庫から出る。

 次に向かうのは、また別の格納庫。

 マヤが用意した各種物資の入っているコンテナを渡す場所だ。

 MAの方は月でディアナに分析して貰う事になってるから、その辺はここに置かなくてもいいんだが。

 場所を取るし。

 そう言えば、マヤがアスタロスが何とか言ってたけど、あれは何だったんだろうな。

 すぐに口を噤んだのを思えば、多分あまり聞かない方がいい話なんだろうけど。

 そんな風に思いつつ、別の格納庫に行ってそこにマヤの用意したコンテナを置く。

 

「これは……凄いですね。コンテナの中に適当に詰め込んだのではなく、しっかりと何がどのように入っているのかを分かるように収納されています。これをやった人は、かなりの凄腕ですね」

 

 コンテナの中身を見た軍人が、感心したように呟く。

 俺から見ればきちんと整理されてるなというようにしか思えなかったが、本職の者にしてみればしっかりと違いが分かるくらいに整理されているのだろう。

 この辺も、マヤの有能さを示していた。

 うん、やっぱり異名持ちのパイロットやその仲間達を引き入れたのも大きいけど、今回の一番の収穫はマヤだな。

 勿論、異名持ちのパイロットがいらないって訳じゃない。訳じゃないんだが……ぶっちゃけた話、ルナ・ジオンには異名持ちやそれに匹敵するパイロットが結構な数がいるんだよな。

 だからこそ、異名持ちというだけでそこまで突出して目立つような事はない。

 まぁ、赤い彗星が来たとか、そんな感じならまた話は別だけど。

 シャアの俺への態度を考えると、その可能性は基本的にないだろうが。

 シャアの誤解が何とかなればいいんだけどな。

 そもそもの話、セイラがルナ・ジオンを建国した理由は、俺との接触でこの世界の未来を見たからだ。

 シャアが小惑星を地球に落下させるという、そんな未来を。

 妹として、兄のその行為を止めさせる為に、セイラはアルテイシアとしてルナ・ジオンを建国する道を選んだ。

 本来なら自分が目指していた医者という道を捨ててまで。

 その辺の事情を説明すれば、シャアもある程度納得してくれる……といいなとは思うんだが。

 そんな風に考えつつ、コンテナも全部空間倉庫から出すと格納庫を出る。

 ちなみに当然ながら、さっきの倉庫でもこの倉庫でも、俺が空間倉庫から次々と兵器やコンテナを取り出す光景を見て驚いている者がいたが……ルナ・ジオンの人間としても、俺の能力を見るのが初めての奴ってのはいるので、それはそれで当然だろう。

 

「さて、ともあれ……これでゲラートに頼まれた用事は終わった。後はオーストラリアに残った面々に頼むだけだな」

 

 特に一番期待してるのは、奇跡の子供達だ。

 ニュータイプが最低1人……本当にその名の通り奇跡のような事が起これば、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、3人。

 新たなニュータイプを確保出来れば、ルナ・ジオンとしては大きい。

 ジオン軍でもニュータイプの研究は行っているし、例え一度研究所を潰されたとしても、それでニュータイプの研究を止めるとは思えない。

 そしてサイド6の研究所の時のように、非人道的な研究をしているのなら、それだけ研究の発展具合は早い。

 とはいえ、非人道的な研究の場合は研究対象となるニュータイプ……ニュータイプ候補の面々の損耗も激しい。

 この独立戦争の間に急いで成果を出したいのなら、それもいいだろう。

 だが、数年、十数年、数十年先を見ての研究となれば、やはりルナ・ジオンで行われているような、しっかりとニュータイプ候補の者達の負担にならないような研究の方が大きな利益を生むのだ。

 研究をされている方も、ストレスを感じずに伸び伸びとしていられるというのも大きい。

 とはいえ、現在月でニュータイプ研究を任されている研究者は、かなり少ないのだが。

 元々ニュータイプ研究というのが、非常にマイノリティ……少数派なのは間違いない。

 その上で、サイド6で捕らえた研究者達も大半が非人道的な研究を平気でする者だ。

 ほんの少数が、研究所の子供達を思っていた研究者で、現在月のニュータイプ研究所はそのような者達が大半だ。

 後は、聞いた話によると民間から有能な研究者を探しているという話だが……それがいつ実を結ぶのかは、分からない。

 不幸中の幸いとしては、その手の研究者が内心を隠していても、セイラが直接会えばニュータイプ能力でその辺が分かるという事だろう。

 ともあれ、奇跡の子供達もキシリア機関に把握されたり、連邦軍の……特に強硬派とかにその存在を認識されるよりも前に、アイナが確保出来ればいいんだが。

 

「あら、思ったよりも早かったわね」

 

 ゲラートに用意して貰ったホテルの部屋に向かおうとしていると、そんな声を掛けられる。

 声のした方に視線を向ければ、そこには20代から30代程の男達に囲まれているミナトの姿があった。

 

「あ? 何だよ、坊主。このお姉ちゃんの弟か?」

 

 そんな中で、男の1人がアクセルを見てそんな事を言ってくる。

 そして、その様子を見れば、今ここで何か起きているのかは明らかだった。

 

「こういうのって、どこにでも出て来るよな」

 

 はぁ、と溜息を吐く。

 とはいえ、ナンパをしたからといってコバッタや量産型Wがどうにかする訳もない。

 ナンパにかこつけて強引に連れ去るとかをすれば別だが。

 また、このホテルはハワイの中でも相当高級なホテルなのだが、そのロビーでまさかこのような行為をすると思っていなかった者も多いのだろう。

 

「あ? 何だてめえ。お前の姉さんは俺達が使うから、お前は部屋にでも帰ってろ」

 

 男達の中でも強面の男がそう言いながら俺を睨み付けてくるが……

 

「取りあえず、消えろ。そうすれば許してやるよ」

「んだと、こらぁっ!」

 

 俺の言葉が気にくわなかったのか、男は拳を握り締めてこちらに向けて振るってくるが……

 

「ほい」

 

 その拳を受け流し、足を蹴飛ばして転がす。

 それだけで、男は自分の力を利用されて派手に床を転がる。

 

「がっ……」

 

 自分の力によって地面を転がった男の口から出た悲鳴に、周囲で様子を窺っていた者達は関わりたくないと、距離を取る。

 中には物見高い者が見物していたりもするが、それは少数だ。

 ここがハワイの街中なら、もっと物見高い者も多かったのだろう。

 だが、俺がいるのはホテルのロビーだ。

 それもただのホテルではなく、高級ホテルと呼ぶに相応しいような、そんなホテル。

 そのようなホテルの客ともなれば、当然のように相応の家の者も多かった。

 ……中には、ミナトをナンパしようとしていたような連中もいるが。

 

「さて、どうする? このまま大人しく引き下がってくれれば、面倒はなく楽なんだけどな」

 

 そう告げるが、この手の男は面子を潰される事を酷く嫌う。

 ましてや、このような人の多い場所で俺のような外見の奴に一方的にやられたというのを考えれば、とてもではないがそれを許容出来ないだろう。

 案の定……

 

「ふざけるなぁっ!」

 

 そう言い、男の1人が拳を振り上げて俺に向かって殴り掛かってくる。

 だが、特に鍛えてる訳でもなく……精々が喧嘩くらいしか経験のない相手だというのは、身体の動きを見れば明らかだ。

 次々に襲い掛かってくる男達だったが、数秒後には全員が手足を押さえてその場に蹲る。

 

『おおおお』

 

 周囲からは、そんな感心の声と共に拍手が送られた。

 

「骨は折ってないから、暫くは痛いと思うがそれ以外に問題はない筈だ。後は……警察か何かを呼んでくれ」

 

 ホテルの授業員にそう言い、俺はミナトと共に偶然1階にあったエレベータに乗り込む。

 

「で? 何でまたあんな連中と遊んでたんだ? ミナトなら、ああいう連中を倒すのは簡単だろ?」

 

 実働班の面々程ではないにしろ、ミナトもエヴァから戦闘訓練は受けているし、魔法の類も使える。

 このUC世界の人間で、ミナトと生身で戦って勝てる奴が、一体どれくらいいる事か。

 それこそ、ニュータイプ能力とかで攻撃してくる場所が分かっても、身体がそれについていかなければどうしようもないし。

 そんなミナトだけに、あのような男達に絡まれてもどうとでも対処出来た筈だった。

 だというのに、ミナトはそのようなことをしていなかったのだ。

 

「もう少し時間が経っていれば、そうしてもよかったんだけどね」

「……時間?」

 

 ミナトの言葉の意味が分からず、首を傾げる。

 そんな俺の様子を見て、ミナトは事情を説明する。

 

「元々、あの男達に絡まれていたのは、私じゃなくて他の人だったのよ。それも、大人しそうな子が。……そういう風に見えたからこそ、あの男達も狙いをつけたんでしょうけど」

「つまり、ミナトはその大人しそうな相手を庇っていた訳だ」

「そうなるわね。アクセルは気が付かなかったみたいだけど、さっきはまだその子がいたのよ。そんなところで暴れると……ほら、色々と不味いでしょう?」

「そうだな」

 

 それは、否定の出来ない事実でもあった。

 とはいえ、そんな状況の中で暴れてしまった俺が同意するのも妙な話だが。

 

「にしても、やっぱりどこにもああいう連中がいるんだな」

「それはそうよ。私もナデシコ世界では色々と面倒な目に遭ったことがあるもの」

 

 ミナトの場合、素の状況で色っぽく遊んでいるように見えるだけに、ああいう連中を引き寄せてしまう確率が高いのだろう。

 そういう意味では、シャドウミラーに所属して自衛を出来るだけの実力を身につけたのは、ミナトにとっても幸運だったと言っていいだろう。

 

「ミナトはいい女だからな。どうしてもああいう連中が寄ってきてしまうんだろ」

「あら、ありがと。……それで、オーストラリアの件は上手くいったの?」

 

 いい女と評されたのが嬉しかったのか、ミナトは満面の笑みを浮かべて俺にそう聞いてくる。

 俺がオーストラリアまでちょっと行ってくると言った時とは、随分と違うな。

 

「ああ。向こうでの用事は終わらせたから、もう大丈夫だ。……奇跡の子供達と会えなかったのは残念だったけどな」

 

 今のオーストラリアで、3人の子供達を見つけるというのが、かなり無理がある話なのは間違いない。

 それでもアイナであれば、その無理をどうにかするという……そんな不思議な信頼があるのも、間違いのない事実だった。

 

「ともあれ、だ。そっちの件はもうアイナ達に任せた以上、俺からは何も言う事はない。……そもそも、今回の一件はあくまでもルナ・ジオンの問題であって、後ろ盾になってるからといって俺達が口を出していいような問題じゃないし」

 

 そんな俺の言葉に、ミナトは特に異論はないといったように頷く。

 実際、その言葉の中には色々と思うところはあるのだろう。

 だが、そんな状況であっても、きちんと現在の自分達の状況は分かっているのだろう。

 もしくは、セイラなら大丈夫だという信頼があるからか。

 その理由はともあれ、こうして見る限りでは特に不満らしい不満を表すようなこともない。

 

「アクセルがそう言うのなら、大丈夫なんでしょうね。……セイラも、自分の仲間をどうこうしようなんて思わないだろうし、何よりアクセルを怒らせるような真似は絶対にしないでしょうし」

 

 それは、ある意味でセイラを信頼していると言ってもいいのか?

 ……まぁ、ともあれ子供好きのミナトが問題にしていないのだから大丈夫だと、そう思っておこう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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