転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2543話

 何だかんだと時間は経過して、現在俺はハワイから打ち上げられるHLVに乗り込んでいた。

 HLVというのは、基本的に物資を地球に降下させたり、もしくは打ち上げたりといったような事をするので、人が乗る場所というのはそう多くはない。

 だが、それはあくまでも普通のHLVならではの話だ。

 ハワイから打ち上げられているHLVは、基本的に人が乗って移動出来るように改造されている。

 まぁ、改造といってもそこまで難しい改造って訳じゃなくて、人間が座れるように座席を設置した程度の簡単な改造なのだが。

 現在、俺も綾子もミナトも、そのHLVの座席に乗っていた。

 ……ただ、飛行機や船と違ってファーストクラスとかそういうのはないんだよな。

 とにかく、出来るだけ多くの者を宇宙に上げるのが必須事項となっていた時に改修されたHLVだからだ。

 将来的には、もっときちんとした……それこそHLVではなくしっかりとしたシャトルとか、そういうのを用意した方がいいかも。

 ナデシコ世界においては、その手の耐Gに対する問題が解消されたシャトルとかがあるらしいから、それを輸入……うーん、どうだろうな。

 もし本当に輸入をしたりしたら、この世界の技術にかなり干渉してしまうような気がする。

 そうなると、やっぱり輸入しない方がいいのか?

 

「ねぇ、アクセル。アイナが保護した奇跡の子供達って、このHLVに乗ってるの?」

 

 派手な外見に見合わず、子供好きなミナトがそう尋ねてくる。

 今日はHLVに乗る……正確にはハワイから出立するという事で、昨夜はいつものように愛し合う事はなく、普通に寝た。

 そのおかげで、ミナトも綾子も元気一杯だった。

 

「いや、まだ戻ってきてないな。オーストラリアからハワイまでは船で移動すれば結構な距離があるし、荒野の迅雷を含めても何か色々と後始末があるとか何とか言ってたから」

 

 何でも以前ちょっと聞いたアスタロスがどうとか言ってたな。

 まぁ、その辺についてはもう終わった事だったらしいので、詳しくは聞かなかったが。

 ともあれ、その辺の動きもあってまだオーストラリアを出発してはいない。

 

「ハワイに到着してからも、月に来ないでハワイに残りたいって奴もいるだろうし、何だかんだと時間が掛かって……最終的に月に来るのは、少し時間が掛かると思う」

「そうなんだ、ちょっと残念」

 

 そう言えるミナトは、この世界の人間にしてみれば何気に結構凄い事なのだろう。

 ミナトは子供は子供といった認識だし、ルリやラピスの件もあるし、自分も魔法とかを使えるので色々と割り切ってはいるが、この世界の人間にとってニュータイプというのは、希望であると同時にマイノリティだけに迫害の対象にもなりえる。

 何しろ、相手の心を読めたりその人間の本質を感じたりといった真似が出来るのだ。

 ……正確には色々と違うらしいが、俺から見た場合はそういう風に見えるのは間違いない。

 そうである以上、後ろ暗いところのある奴にしてみれば厄介極まりない。

 そのような者達にしてみれば、人の革新だろうが何だろうが、とにかくニュータイプという存在は排斥したいと思ってもおかしくはなかった。

 だが、ミナトはそんな相手であっても、子供だからということで受け入れる。

 奇跡の子供達はアイナにも懐いているらしいが、ミナトも多分上手くやれるだろう。

 

「待っていれば、そのうち月に来るんだ。それから会いに行ってもいいだろ。フラナガン機関から保護した子供達と一緒に暮らす事になるんだろうし」

「あの子達ね……」

 

 俺の言葉に、ミナトの表情が少しだけ沈む。

 子供好きのミナトは、当然のようにフラナガン機関から保護した子供達にも会いに行った事がある。

 その際、その子供達が施設でどんな扱いを受けていたのか。

 それを知っているからこその、沈んだ表情だろう。

 

「そんなに沈んだ顔をするなよ。以前はともかく、今は結構……いや、かなり元気なんだし」

 

 何しろ、将来的にはルナ・ジオン軍に入ると断言しているような奴もいる。

 それ以外の面々も、まだ子供だというのに既に自分のやるべき事を見つけている者も多く、自らの望む将来に向かって突き進んでいる者も多い。

 そういう意味では、以前はともかく現在は決して不幸ではないという事なのだ。

 実際に俺も何度か子供達の様子を見に行ったが、真剣に勉強していたり、友達と楽しく笑っていたりといったように幸福な毎日を送っているのだから。

 

「そうね。分かってるんだけど。……フラナガン博士、見つけたら……」

 

 ぞわり、と。

 そんな殺意……いや、怒気がミナトから吹き上がる。

 幸いにして、殺気を感じるような能力を持った者は俺と綾子くらいだったが、それでも周囲にいる他の客達は何か違和感があったらしく、周囲を見回している者がいた。

 

「ミナト、殺気殺気」

 

 綾子のその言葉に、ミナトは殺気を抑える。

 うーん……子供好きという意味では千鶴も似たような者だが……千鶴とミナトをUC世界で自由にさせたら、フラナガンが死体になって見つかってもおかしくはないような気が。

 

「あら、ごめんなさい」

 

 そうミナトは謝り、殺気を消す。

 うーん……ぶっちゃけた話、ミナトって生身での実力という意味では実働班には決して及ばないんだけどな。

 これがネギま世界出身のあやか達であれば、元々生身での戦いに長けているのだが。

 ミナトはナデシコ世界出身で、ネギま世界だったりペルソナ世界だったり、門世界だったりの出身ではないし、生身での戦闘力も……このUC世界の人間としては破格だが、実働班の面々に勝てる程ではない。

 

『皆様、お待たせしました。時間になりましたので、HLVは発射します。大気圏を離脱した後は、月から派遣された船に乗り換えになりますので、ご了承下さい。では、短い間ですがよろしくお願いします』

 

 客席に、HLVのパイロット……いや、この場合は船長と言った方がいいのか? ともあれ、そんな声が響く。

 その声が終わると、話を聞いていた者の多くが期待と不安が入り交じったような表情を浮かべてこちらに視線を向けてくる。

 仕事で地球に来ていて月に戻る者もいるのだろうが、やはり多いのは月に移住を希望する者達だろう。

 そのような者達にしてみれば、やはり月という場所がどのような場所なのか……それを気にしているといったところか。

 月にも幾つも都市はあるので、そのどこに住むかで満足度は変わってくる。

 だが、月の首都たるクレイドルなら、それこそ治安もいいし、食料や水も豊富、税金も安く、都市の広さも北海道と同程度とかなり広さを持つ。

 そういう意味では、クレイドルに住むのなら満足度は高いと思う。

 ただ、コバッタや量産型Wがハワイよりも多いので、後ろ暗いところがある者には暮らしにくいだろう。

 そんな風に考えている間に、やがてHLVが発射する。

 このHLVは人が乗る事を前提にしているので、このUC世界で出来る限りの耐G対策はしてある。

 だが、それでもやはり普通の人間にはそれなりに厳しい。

 慣れない者にとっては特にだ。

 それでもGを感じている時間は、そんなに長くはなく……やがて大気圏を突破して、地球の重力から離脱する事に成功する。

 基本的に地球の上空は今のところ半ばジオン軍の勢力下にある。

 そしてジオン軍と月は現在表向きは戦争中という扱いになっているのだが、ジオン軍もハワイから打ち上げられたHLVや、それを迎えに来た月の軍艦を攻撃すればどうなるのかは分かっているので、基本的に攻撃をしてくるような事はない。

 ……以前、何度かザビ家のシンパが暴走して攻撃をしたとか何とか聞いた事はあったが、バッタやメギロートによってあっさりと撃退したとか何とか。

 ともあれ、いつまでもHLVに乗ってる訳にもいかず、月から来た軍艦……カトンボに乗り換える。

 今まで地球にいた者達が大半である以上、当然のように無重力に慣れていない者も多い。

 中には以前宇宙で暮らしていたという者もいるが、このHLVに乗っている者の中では本当に少数だ。

 基本的に地球に住んでいるのはエリートという認識なのだから、それも当然だろう。

 ただし、現在はそんなエリートであろうとも地球にいればジオン軍と連邦軍の戦いに巻き込まれるので、こうして月に避難してきた者も多いのだが。

 エリートであるという自己満足よりも、やはり自分の命の方が大事なのだろう。

 にしても……地球に残ってるのがエリートだとすれば、キキとかもエリートになるのか?

 そんな疑問を抱きつつも、カトンボに乗り移る。

 どうしても無重力で行動出来ない者は、コバッタが手助けをしていた。

 このカトンボも、以前コロニーを回って月への移住者を集めてきた艦で、人間が乗れる場所はしっかりと用意されている。

 ……本来なら重力を発生させる事も出来るのだが、この世界の技術に与える影響を考えてか、無重力状態になっていた。

 とはいえ、クレイドルは普通に重力が存在するのだから、今更かもしれないが。

 あ、でもクレイドルの場合はしっかりと重力関係の装置がある場所はコバッタや量産型W、場合によってはメギロートやイルメヤも守っているのを考えると、十分に安全に配慮している事になるのか。

 それに比べると、カトンボの類はどうしても数が多いだけに重力関係の装置があると知られれば、妙な事を考える奴がいないとも限らない。

 なら、いっそカトンボじゃなくてジオン軍から奪ってきた軍艦を使ってもいいのでは? と思わないでもなかったが、ジオン軍が地球から叩き出されつつあるという地球の状況を考えれば、それは色々と危険だ。

 ジオン軍にしてみれば、自分達と使っている軍艦は同じだがジオン軍ではない存在。

 連邦軍にしてみれば、ジオン軍にしか見えない存在。

 そうである以上、場合によってはどちらとも戦いになる可能性はあるのだ。

 だからこそ、それを避ける為にカトンボを使う事になっていた。

 ジオン軍や連邦軍でも、カトンボを使っていれば、それは月の者だというのは明らかなのだから。

 

『皆さん、問題ありませんか? 問題がある場合は、コバッタに声を掛けて下さい』

 

 カトンボに全員が乗り込み、HLVに入っていた荷物を移し、その上で牽引のワイヤーで結び終わると、全員の移乗が確認した事をカトンボの艦長が通信で尋ねる。

 ちなみに当然の話だが、カトンボというのは無人機で本来なら艦長の類はいらない。

 あるいはいざという時の事を考えても、量産型Wがいれば十分だろう。

 実際、月の周辺をパトロールしているカトンボは、艦長として量産型W、戦力としてバッタとメギロートが搭載されている。

 そんな中、何故このカトンボにきちんとした艦長がいるのか。

 それは、単純にこのカトンボが地球上空と月を行き来する役目を持っているからに他ならない。

 何だかんだと、やっぱり無人よりは有人の方が安心出来るのは、当然だろう。

 

「ようやく月ね」

「月から地球に行って、何だかんだと結構大変だったものね」

 

 綾子の言葉に、ミナトが同意するように言う。

 それを言うのなら、俺はサイド7からホワイトベースに乗ってたんだが。

 とはいえ、何だかんだと俺がサイド7でホワイトベースに乗ってから経った時間は、3ヶ月程度でしかない。

 そう考えれば、そこまで長い時間って訳でもないんだよな。

 それこそ、まるで1年近くホワイトベースに乗っていたようにも感じるが、それだけ充実した……いや、この表現はちょっと違うか。

 密度の高い日々だったという事なのだろう。

 

「そうだな。地球に行ったら行ったで、色々と大変だったし」

 

 実際、行く先々で戦いを繰り返した日々を思えば、かなり大変だったのは間違いない。

 俺達ですら結構疲れたといった印象だったのだから、それ以外の面々……特にホワイトベースにいた、一般人出身の者達にとってはどれだけ疲れたことか。

 一応所々で休みはあったけど、それで本当に大丈夫だったかと言われれば、また微妙な話だ。

 

「MS隊も大変だったと思うけど、ブリッジだって大変だったのよ?」

 

 ミナトのその言葉に、俺はだろうなと納得する。

 そもそも、艦長のブライトにしたところで士官学校卒業前の、まだ学生だったのだ。

 それが成り行きで艦長になってしまい、味方に指示を出してホワイトベースの指揮を執った。

 その指揮は、必ずしも最善のものだった訳ではない時もあった。

 それでも皆を纏め上げ、数々の激戦を潜り抜けたのは間違いない。

 

「この戦争が終わった後で、ブライトを月に引き抜くことが出来ると思うか?」

「無理でしょうね」

 

 俺の言葉に真っ先にそう言ってきたのは、綾子。

 ミナトもそんな綾子の言葉に同意するように頷く。

 

「ブライトは生真面目だから、連邦軍を抜けるといった事はそう簡単にしないと思うわ。……連邦軍の方でも、ブライトの存在はプロパガンダにうってつけでしょう?」

 

 そう綾子に言われれば、俺もそうかと納得するしか出来ず……そしてカトンボは月に向かって出発するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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