転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2544話

 月には無事に到着した。

 俺が乗っている事もあって、あるいはジオン軍か連邦軍、もしくは海賊の類に襲われるかもしれないという考えはあったのだが、幸いにも特に何者かに襲われるような事もなく、無事月に到着したのだ。

 ……まぁ、ぶっちゃけた話、本来ならそれが普通なんだけどな。

 それこそ、何者かに襲われるといったような事は普通ない。

 それが起きるあたり、トラブルの女神に愛される俺らしいのだが、今回はそのトラブルの女神も俺にちょっかいを出すような真似は出来なかったらしい。

 

「さて、じゃあ俺はちょっとセイラに会いに行ってくるけど、お前達はどうする?」

 

 カトンボから降りて入国手続きを終えると、ここまで俺と一緒に行動してきた綾子とミナトの2人に尋ねる。

 尋ねつつも、多分俺と一緒にセイラに会いに行くと言うだろうと思っていたのだが……

 

「セイラの所には1人で行ってきてくれる? 私と綾子は女同士の付き合いで色々とやる事があるのよ。それに……セイラも、その方が嬉しい筈でしょうし」

 

 あっさりとミナトにそう断られる。

 綾子の方もそんなミナトの言葉に異論はないのか、すぐに頷いた。

 これは……いやまぁ、女同士の付き合いと言われれば、そういうものなのか? と思わないでもなかったが。

 この様子を見る限りでは、俺が何を言っても話を聞く様子はない。

 それに、別に無理に今日セイラのいる場所に連れていかなくても、それこそ明日からはホワイトスターで暮らす事になるんだからここで特に無理をする必要はないだろうと判断し、それ以上は何も言わない。

 セイラもまた、俺のいない場所で女同士ゆっくりと話をしたかったりするだろうし。

 

「分かった。なら、セイラには俺が会いに行ってくるから、そっちはそっちでやってくれ」

 

 そう告げ、俺はセイラのいる政庁に向かう。

 ハワイの時のように影のゲートを使って転移してもよかったのだが、一応ここは首都だから止めておいた方がいいだろう。

 もっとも、月の後ろ盾がシャドウミラーで、俺がそのシャドウミラーの代表である以上、本来ならそこまで気にする必要もない。

 実際、セイラ本人もその辺を気にしたりはしない。

 だが、それはあくまでもセイラだけであって……それ以外の面々にとっては、そうでもない。

 特にアンリにしてみれば、セイラは自分が心酔していた……いや、今でも心酔しているジオン・ズム・ダイクンの愛娘だ。

 そこに俺のような恋人が10人以上もいるような女好きが近付くのは、面白くないのだろう。

 また、アンリ程ではないにしろ、ジオン公国から引っ張ってきた政治家達の中には俺がセイラと近い間柄なのを面白くないと思っている者もいる。

 それはダイクン派だからというのもあるが、その多くは自分の利益の為にというのが大きい。

 自分の息子や親戚とセイラをくっつければ……とか、そんな風に思ってる連中。

 もっとも、当然のようにニュータイプのセイラにはその辺を知られているのだが。

 ともあれ、そんな訳で現在は影のゲートを使わない。

 いや、歩いて移動するとなると結構な時間が掛かるので、政庁のすぐ側までは影のゲートを使って移動したのだが。

 そうして政庁の中に入ると、俺は上層に通じているエレベータの方に向かったのだが……

 

「ちょっと待て。お前、どこに行くつもりだ? そっちには上層部に直通のエレベータしかないぞ」

 

 そう言い、止められる。

 見たところ、政庁の警備員といったところか。

 年齢は20代後半で、筋骨隆々という言葉が相応しいような、そんな体格をしている男だ。

 ……なるほど。

 そんな相手が何故俺に向かってそんな声を掛けてきたのかというのは、考えるまでもなく明らかだ。

 それこそ不審人物が上層部に通じているエレベータに向かって近付いていったからだろう。

 この警備兵は、俺がいない間に雇われた新米といったところか。

 まぁ、何だかんだとここ数ヶ月は月にいない時間も多かったんだし、その間に警備員として雇われた人員なら俺を知らなくてもおかしくはない。

 さて、何と言って納得させるか。

 今の俺の外見から考えれば、とてもではないが重要人物だとは思えない。

 それは分かっているのだが、かといって色々と説明するのも面倒臭い。

 

「馬鹿野郎っ!」

 

 そんな台詞と共に、俺に話しかけてきた警備員の頭が殴られる。

 ぐおっ! といった悲鳴を上げる男。

 いきなり何をといったような視線を、自分を殴った相手に向けるが、その相手はそれを気にした様子もなく、俺に頭下げてくる。

 

「申し訳ありません、アクセル代表。この男は少し前に採用されたばかりでして……」

 

 俺に頭を下げているのは30代程か。

 鍛えられた身体付きは、頭を殴られた男と比べると小さい。

 だが、どちらの方が格上なのかというのは、纏っている雰囲気でしっかりと分かる。

 

「気にするな。俺の外見的な問題もあるんだし。それに最近は月にいなかったしな。それにそいつは自分の仕事をしただけなんだから、厳しく叱るなよ」

「ありがとうございます」

「ちょっ、え? 先輩?」

「うるせえ! 取りあえず頭を下げておけ!」

 

 戸惑った様子を見せる男だったが、先輩と呼ばれた男に強引に頭を下げられれば、何も言えなくなる。

 そんな2人に軽く声を掛けると、そのままエレベータに乗り込む。

 エレベータの扉が閉まる瞬間、再び最初に俺に声を掛けてきた方が殴られていたが、取りあえずそれは置いておくとして。

 エレベータが上昇していく独特の感覚を楽しみつつ、やがて目的の場所……セイラの執務室がある場所で止まる。

 そのエレベータから降りると、廊下にいた何人かが俺に驚きの表情を向ける。

 このエレベータを使えるのは、ルナ・ジオンの中でも本当に一部だけだ。

 だからこそ、先程の警備員も最初は俺を止めようとしたのだ。

 そんなエレベータから降りてきたのが俺のような10代半ばの外見をした者であれば、驚くのも当然だろう。

 だが同時に、最上階だけあって廊下にいる者の中には俺が誰かを知っているお偉いさん達もおり、そのお偉いさん達は俺に向かって頭を下げてくる。

 そしてお偉いさんが頭を下げているのを見れば、それ以外の面々も俺に向かって不躾な視線を向けられる筈なく、頭を下げてくる。

 そんな面々の前を通り、俺はセイラの執務室に向かう。

 仮にも――という表現は失礼かもしれないが――国の代表が働いている執務室だけに、当然のようにそこには護衛がいる。

 ……そうなんだよな。普通なら一国の代表ってこういう風に大事にされるものなんだよな。

 こういう光景を見ると、俺が色々と特殊なんだろうというのが理解出来てしまう。

 ともあれ、セイラの護衛をやってるだけあって当然俺のことを知っており、俺を見つけたらすぐに執務室にいるセイラにそれを知らせていた。

 この辺りの気配りはさすがだよな。

 そして俺が扉の前に立つと、何も言わなくても扉を開く。

 部屋の中では、セイラが執務机に置かれていた数枚の書類に目を通しながら、紅茶を飲んでいた。

 書類仕事をしているだけなのに、妙に優雅に感じるのは……やっぱり、血筋のせいなのか。

 普通ならここは育ちの為と言ってもいいのかもしれないが、セイラは小さい頃に地球に逃げ込んでからは、かなり自由に暮らしていたらしいからな。

 血筋はともかく、育ちという点では優雅という言葉には繋がらないと思う。

 

「どうかして?」

 

 ニュータイプ能力で俺の考えでも読んだのか、セイラはそんな風に尋ねてくる。

 

「いや、何でもない。それより、月に戻ったって話をしに来たんだ」

「そうね。……それでどうだったの?」

「色々とあったよ。本当に色々と。……あ、それとジャブローでシャアと会ったぞ」

「兄さんと?」

 

 シャアの名前を出すと、セイラの視線が強くなる。

 自分でも気が付かないうちに、ニュータイプとしてのプレッシャーを発しているのだろう。

 それでもすぐに我に返ってそのプレッシャーを消す辺り、ニュータイプ能力をかなり使いこなしている事の証明だった。

 

「ああ。説得しようとはしたんだが、結局逃げられた」

「そう」

 

 その言葉に微妙な表情を浮かべるセイラ。

 セイラにしてみれば、シャアが……キャスバルが戦闘で死ぬといったことがなかったのは嬉しいのだろうが、逃がしてしまったというのが痛いのだろう。

 その気持ちは分からないでもない。

 だが、元々シャアは赤い彗星の異名を持つ、このUC世界においてもトップラクスの操縦技能の持ち主だ。

 そうである以上、そう簡単に捕らえるような真似は出来ない。

 ……というか、ジャブローで捕らえたりしたら、それこそ色々と危ない事になっていたのは間違いないんだろうが。

 シャアの話は一旦置いておき、俺は地球で経験してきた諸々を説明する。

 とはいえ、当然のようにそれを数分や数十分程度で説明出来る筈もなく、俺とセイラは今まで何度もお茶会を開いた部屋に移動し、そこで紅茶を飲みながら話す。

 

「なるほど。連邦軍が本気になるとやっぱり怖いわね」

「それは否定しない」

 

 MSを見てから、連邦軍のMSが開発されるまでの時間は驚く程に短い。

 勿論、実際にはジオン軍がMSの存在を公にしてから、連邦軍も何らかの研究をしていた可能性もあるのだろうが。

 

「それで、地球上からジオン軍が追い出されるのも、そう遠い話ではない訳ね?」

「そうなる。ただし、地球に残る……というか、置いていかれてゲリラ活動をするようになるジオン軍の兵士もいるだろうけど」

「……そう」

 

 その言葉を聞き、少しだけ悲しそうな表情を浮かべるセイラ。

 ザビ家に踊らされた結果として、地球上に取り残される事になったジオン軍の兵士達が哀れに思えるのだろう。

 とはいえ、地球にはハワイもあるし、最悪連邦軍に降伏するという手段もある。

 あ、でも今の連邦軍に降伏したりすれば、それこそ拷問とかの心配をする必要があるのか。

 だとすれば、やっぱりハワイだろうな。

 ただし、何かを企んでハワイに来たような奴は、コバッタや量産型Wによってすぐに確保されるのだろうが。

 

「オーストラリアにいた異名持ち……荒野の迅雷がこっちに合流してくれたように、こっちに友好的な相手ならハワイに連絡を取ってどうにか合流をしようとしてもおかしくはないだろ」

「そうなるといいんだけど」

 

 そう呟き、セイラは紅茶を口に運ぶ。

 実際には、ギレンやザビ家のシンパにしてみれば、ルナ・ジオンもまた敵という扱いだ。

 だとすれば、ハワイに合流するよりもジオン公国軍としてのプライドから、ゲリラとして活動する奴も結構多くなりそうだな。

 

「あ、オーストラリアで思い出したんだが、奇跡の子供達って知ってるか?」

「奇跡の子供達?」

 

 どうやら地球では雑誌のネタになっていた件も、月までは届いてなかったのだろう。

 もしくは雑誌そのものはあっても、それをセイラに見せる奴はいなかった。

 あの雑誌はいわゆるゴシップ誌の類だったから、セイラに悪影響がないようにと、目に触れさせないようにした者がいたという可能性も決して否定は出来ない。

 出来ないが……あの手の雑誌の記事が、実は本物で大スクープだったって事はある訳で。

 特に今回の奇跡の子供達に関して言えば、実際にそれは間違っていなかったのだ。

 その辺の事情を考えると、もっとアンテナを広くした方がいいと思わないでもない。

 

「ジオン軍が行ったコロニー落としを予言した子供達だ」

「それは……」

 

 俺の言葉に、セイラは驚きでそれしか言えなくなる。

 セイラも、俺が何を言ってるのかというのを理解したのだろう。

 実際にそんなセイラの気持ちは分かる。

 このUC世界において、新人類とでも呼ぶべきニュータイプ。

 しかし、そのニュータイプの数はまだ少ない。

 将来的にどうなるのかは、俺にも分からない。

 もしかしたら将来的には人類全体がニュータイプとなって、進化を果たすのかもしれない。

 もしくは、SEED世界のコーディネイターと同様に、進化が行き詰まる可能性もある。

 はたまた、そのどちらでもない第3の道を選ぶか。

 どのような事になるのかは、俺も分からない。

 分からないが、それでも今の状況を考えると、ニュータイプの保護は必須だろう。

 

「それで、奇跡の子供達はどうしたの?」

「安心しろ、アイナに任せて確保した。……いや、保護したって表現の方が正しいか。そのうち知り合いと一緒に月に移住してくるって話だから、その時に会えばいい。……俺は会わない方がいいだろうけど」

「そうね。アムロの事を考えると、アクセルはまだ会わない方がいいでしょうね」

 

 セイラも俺の言葉に同意する。

 これで、アムロくらいの年齢なら会ってもいいんだが、小学生くらいの年齢だって話だし。

 その状況で俺と会った場合、下手をしたらトラウマを与えかねない。

 セイラがそう判断するのは理解出来たし、俺もまたその意見には同意だった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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