「これは……ライノサラスの方はともかくとして、アッザムの方は弱体化してませんか?」
MIP社出身の技術者の1人が、目の前に存在するアッザムオルガの姿を見て呟く。
他の者達も、言葉には出さないがその意見に賛成しているのは明らかだった。
その気持ちは俺も分かる。
何しろ、これを持ってきた俺がその意見に賛成しているのだから。
アッザム最大の武器であったメガ粒子砲が姿を消し、対地機銃に換装されていた。
メガ粒子砲から対地機銃って、武器の威力のグレードダウンがしすぎじゃないか?
ただ、それで低くなった火力を補う為だろう。ミサイルが追加されていた。
とはいえ、基本的に現在のUC世界における戦いはミノフスキー粒子散布下で行われる。
そうなると、ミサイルの追尾性能も……全く効果がなくなる訳ではないが、それでも効果的とは言えない。
また、ミサイルは当然のように弾速という意味ではかなり遅く、頭部バルカンやマシンガンのような武器があれば、迎撃は可能だ。
アッザムオルガのデータを思い出し、通常のアッザムよりも勝っているところを探し……
「取りあえず、機動力は通常のアッザムよりも上だぞ」
アッザムオルガは着陸脚にスラスターが装備されており、機動力という点では間違いなく上回っている。……それが具体的にどのくらいなのか、正確なところは分からないが。
まぁ、その辺は半ば無理矢理利点を上げたただけだが。
「そう、ですね。……ですが、機動力という点ではアプサラスの方が高いのでは?」
「……そうだな」
アプサラスはⅡもⅢも、高い機動力を持つ。
戦闘機の類に比べれば機動力は低いかもしれないが、それでもアッザムと比べれば圧倒的に上だ。
アッザムが多少なりとも機動性を上げたとはいえ、アプサラスには及ばないのだから。
「ルナ・ジオンで新しいMAを開発する時に、何らかの助けにはなるかもしれない。……ともあれ、次だ」
「……次ですね」
アッザムオルガの次に視線を向けたのは、ライノサラス。
こっちもこっちで、MIP社の面々は微妙な表情を浮かべている。
まぁ、色々と突っ込む場所があるのは間違いない。
その気持ちも分からないではないんだが、それでもやっぱり入手した以上は何らかの形で月の利益となるようにするべきだろう。
もっとも、このライノサラスをどうやって月の利益にするかというのは……それこそ、技術者の面々に頼むしかないが。
「どうだ?」
「そうですね。このままでは難しいですが、ホバー移動する遠距離支援用MSと考えれば……確か、ジオン軍で同じようなMSの開発計画があった筈です」
「そうなのか?」
てっきり、ライノサラスも使い道がないという評価になるのかと思っていたが、MIP社の技術者の口から出たのは俺よりも予想外の内容だった。
「はい。もっともしっかりとその辺りを知ってる訳じゃなくて、あくまでもそういう噂を聞いただけですが」
「……なるほど」
その言葉は、俺にとってもかなり興味深い内容なのは間違いない。
開発中のそのMSを何とか入手出来ないかと、そう考える。
ジオン軍にも、まだ月の手の者が残っている筈だ。
であれば、何とかその辺りの設計図とか入手出来る……かもしれない。
「何とか実物……は無理かもしれないけど、開発データを入手出来ないか?」
「どうでしょうね。その辺りはこちらから何かするよりも、アクセル代表の方から話を通して貰えれば、どうにかなるかもしれませんけど」
俺が月の上層部と繋がりが深いのは間違いない。
だが、繋がりが深いからといって、こちらの要望を全て聞くのかと言われれば、それはまた難しい。
……それが月の利益となるのであれば、また話は別だが。
ただ、ライノサラスを見ても分かる通り、技術者から聞いたMSは地上用のMSだ。
基本的な領土が月である以上、地上用のMSの開発はそこまで積極的ではない。
ハワイがある以上、全く開発しないという訳にもいかないのだろうが。
いや、ハワイだけしか地球上の領土がない以上、寧ろ高性能のMSを開発する必要があるのか?
それと、水中用MSの方もだな。
……最善の選択なのは、ガンダムのように宇宙と地上両方で使えるMSを開発する事か。
現在の月の主力量産MSたるヅダは、宇宙用で地球上では使えないのが痛い。
「ともあれ、ライノサラスはアッザムオルガよりはまだ利益になるのか」
「そうなりますね。……ただ、ライノサラス単体では使いにくいと思いますが」
「……この大きさだしな」
性能はそこそこ見るようなものがあるのは間違いないが、ぶっちゃけこの巨大さを考えると、ハワイでは使いにくいのは間違いない。
であれば、やっぱりライノサラスを直接使うのではなく、調査対象として考えるべきか。
ディアナでその辺が必要なくなったら、ホワイトスターの魔法球に持っていくか……最悪、キブツに突っ込めばいいだろうし。
「ともあれ、MAについては研究を進めてくれ。月の独自性ってのは、必要だからな」
ジオン軍も連邦軍も、これからはMSが主流となるのは間違いない。
勿論、MSであってもジオン系と連邦系という違いはあるのだが。
そういう意味では、月系はジオンと連邦の技術の融合したMSというの方向性になるだろう。
ともあれ、売りというのはあった方がいい。
MSもそうだが、やっぱりMAだ。
MAというのは、基本的にMSよりも製造コストが高い。
それこそMAは機種によってその形が大きく変わるというのもあり、MAによって製造コストは大きく違う。
アプサラスですら、ⅡとⅢとでは後継機種であるが、大きく違うのだ。
アッザムだったりライノサラスだったりするのを考えれば、余計にそうだろう。
だからこそ、MAをきちんと開発や研究を続けて、MAなら月といったような認識にする必要があった。
将来的に、一体どういうMAが開発されるのかは分からないが、その辺の研究をもっと大々的に進めて欲しい。
「そう、ですね」
俺の言葉に、話していた技術者はしみじみといったように頷く。
やはりMIP社の技術者だけあって、MAについては色々と思うところがあるのだろう。
「じゃあ、取りあえずMAはここに置いておくけど、これは任せてもいいか?」
「はい、任せて下さい」
MIP社の技術者だけあって、使えない……使いにくいMAではあるが、それでも興味深い場所があるのだろう。
ともあれ、これでディアナへの用事は終わったので、会社から外に出る。
後はディアナの技術者がそれぞれMSを解析してくれるだろう。
「そうなると、次はどこに行くべきか。……ホワイトスターに戻った方がいいと思うか?」
「はっ、地球で散々楽しんできたんだから、その辺は俺達と少し話してもいいんじゃねえか?」
俺の言葉にそう返してきたのは、ガイアだ。
珍しく、オルテガとマッシュの2人はいない。
あ、でもオルテガはマリオンと仲がよかったし、それを思えば黒い三連星が一緒にいなくてもおかしくはないのか?
マッシュの方は一緒にいてもおかしくはないと思うんだが。
そんな風に考えながら、ガイアの近くまで移動する。
「それにしても、よく俺が月に帰ってきてるって分かったな。俺が月に戻ってから、まだ数時間くらいだぞ?」
「それくらいの時間があれば、情報が回ってきてもおかしくはないだろ? それより、今は暇なんだろ? ちょっと食っていかねえか?」
「……それは構わないけど、俺は酒は飲めないぞ」
ガイアの行くような店と考えれば、やはり普通に連想させるのは酒のある店だろう。
そして俺が酒を飲むと、色々と不味い事になりかねない。
レモン達に絶対に酒は飲まないようにと止められているのだ。
実際、ナデシコ世界で酒を飲んだ次の日には、ミナトとエリナとの事後だったし。
それこそUC世界で酒を飲んだりしたら、気が付けばベッドにセイラやシーマ、クスコといった面々が裸でいかねないし。
それ以外にも候補は多くいるが……取りあえず、その辺は考えないようにしておこう。
「分かってる。ちょっと離れた場所に少し前に美味い飯を食わせる店が出来たんだ」
「なら、いいか。……奢りか?」
「そうだな。それくらいはいいか」
よし、言質は取った。
政庁の近くだけに、料理店の類は安定した売り上げを出せる。
勿論、店で出す料理が不味かったりすれば、人気が出ないが。
ともあれ、そうしてガイアに案内された店は……予想外な事に、焼き肉屋だった。
……月で焼き肉屋って……コロニーでは、とてもではないが店としては運営出来ないな。
コロニーの中には空気税というのもある。
当然のように、空気を汚すような事はそう簡単に受け入れられない。
そんな中で焼き肉屋となれば、その空気の汚染は厳しい。
そのような店ではあるが、クレイドルなら普通に運営出来たのだろう。
ガイアの様子を見ると、その焼き肉屋はかなり有名店らしい。
少なくても俺は興味深いと思っている。
「ほら、ここだ」
「……結構いい店だな」
焼き肉屋ではあるが、普通に焼き肉屋と言われて思い浮かべるような店ではない。
お洒落な店で、実際に女の客もよく入っているのが分かる。
ただ、そんな状況を見ると、ガイアが気に入っている店だとはちょっと思えないが。
こういう、いわゆるお洒落な焼き肉屋でガイアが食べている光景がちょっと想像出来ない。
だが、ガイアは戸惑っている俺を気にした様子もなく、店の中に入る。
「ほら、入るぞ」
そうして店の中に入ると、やっぱりそこに広がっているのはお洒落な光景。
客の数は結構多く、流行っている店なのは間違いない。
「いらっしゃい、ガイアさん。おや、今日はいつもの人と一緒じゃないんですね」
「ああ。俺の知り合いだ」
ガイアに声を掛けてきた店員は、どうやら俺の事を知らないらしい。
まぁ、俺が月にいない間に開店した焼き肉屋なんだし、何より今の俺は10代半ばで、とてもではないがシャドウミラーのアクセル・アルマーだとは思えないのだろう。
その店員に案内され、席につく。
この焼き肉屋は畳に座って食べるような席と、椅子やテーブルのある席の2種類がある。
そんな中で案内されたのは、椅子とテーブルの席だった。
まぁ、このUC世界で畳とかに座るような事が出来る者が一体どれくらいいいるのかは、俺にも分からないが。
それでもこうして見る限り、畳の席の方にも結構な数の客がいるのが分かる。
「取りあえず牛タン。特上だ。それを……5人前。それと飲み物は、ウーロン茶でいいか?」
「ああ。それでいい」
「俺もこの後は色々と仕事があるから、ウーロン茶でいい。それと適当につまめるのを頼む」
ガイアに注文されると、店員は一礼して厨房に向かう。
うーん、随分とこの店に慣れてるな。
「お気に入りの店だって言ってたけど、そんなに多くこの店に来てるのか?」
「ああ。2日から3日に1回は来てるな」
「来すぎだろ」
2日から3日に焼き肉屋に来て焼き肉を食べているとなると、栄養バランスとかがもの凄く悪そうだ。
取りあえず食った分以上に訓練をして身体を動かしている為か、太ったりはしていないようだが。
「それだけ、この店の肉が美味いんだよ」
「……どうやって肉を仕入れてるんだ?」
コロニーとかには牧場の類も存在しているが、建国したばかりのクレイドルにはまだない。
いや、牧場を新たに始めた人もいるのかもしれないが、それでもすぐに育てるというのは無理だ。
特に牛肉なんかは育てるのに結構な時間が掛かると聞いた事があるし。
そうなると、考えられるのは肉を輸入したということになるが……
「ホワイトスターか?」
考えられる可能性としては、それが一番高い。
「正解ですよ、お客さん」
俺の言葉に応えたのは、ガイア……ではなく、店員だ。
先程注文を取ったばかりだというのに、随分と早い。
早いが……店員が持っていた皿の中を見て、驚く。
ガイアが頼んだのは、特上の牛タンだ。
一体それがどのような肉なのか楽しみにしていたのだが、かなり分厚い……それこそ、3cm程も厚みがあり、見て分かるくらいに白い脂が入っていて、格子状に切れ目を入れられているその様子は、圧巻だった。
「焼くぞ」
牛タンに驚いている俺をよそに、ガイアは慣れているのだろう。
店員から牛タンを受け取り、冷たいウーロン茶を軽く飲みながら、牛タンを炭火の上に上げていく。
「実はこの肉、ホワイトスターを通して異世界から輸入した肉となります。牛タンの部分でも、タン元……舌の付け根の部分を贅沢に切り分けた部位です」
店員の説明に、俺は網の上で焼けている牛タンを見ながら、その言葉に納得する。
実際、目の前にある牛タンはかなり極上の肉であるというのが、俺にもしっかりと分かったのだ。
店員の言葉を聞きつつ、この牛タンはどこの世界から輸入した肉なのかと、少し興味深く思うのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1591