ガイアと焼き肉屋で色々と情報交換――こっちが一方的に聞くだけではなく、地球についての情報も教えた――を終えると、やるべき事はなくなった。
いや、正確にはまだ幾つもやるべき事、やりたい事、やらなければならない事といったようなのがそれぞれあるのだが、それをどれから片付けるべきかを考える必要があった。
取りあえず、ホワイトスターにでも戻るか?
そんな風に考えていたところ、ふと気になる光景を目にする。
あれは……マリューか?
何でまたここにいるんだ?
そんな疑問を抱きつつ、俺はそちらに近付いていく。
「マリュー」
「あら、アクセル。戻ってきてたのね」
笑みを浮かべながらそう言ってくるマリューだったが、出来ればもう少し嬉しそうにして欲しい……いやまぁ、UC世界どころか、俺がゲートを使って未知の世界に行った時はいつ戻ってくるか分からないんだから、それを考えればそこまでおかしな話じゃないか。
「ああ、ついさっきな。それでマリューは何をしにUC世界に?」
買い物をするのであれば、それこそホワイトスターで幾らでも購入は可能だ。
また、ホワイトスターに売ってないような何かを買うにしても、別にUC世界に来なくても他の世界で十分に買える。
……まぁ、別にこのUC世界で買い物をしてもいいけど、品揃えという点ではどうしてもまだ建国したばかりの国という事で、他の世界に1歩劣る。
これが地球なら……いや、戦争中だし、それも無理か。
ジャブロー辺りなら別かもしれないが、まさか買い物の為にジャブローに行く訳にもいかないし。
まぁ、俺の場合はジャブローに行こうと思えば行けるけど。
「少し用事があったのよ」
その用事が何か気になったのだが、マリューの様子を見る限りではその用事とやらは言いそうにない。
何気に、こういうところは結構頑固だったりするしな。
「そうか。俺はホワイトスターに戻るけど、マリューはどうする?」
「こっちでの用事も終わったし、アクセルがいいのなら一緒に帰りたいわね。いい?」
「俺はそれで構わない」
「そう」
笑みを浮かべると、マリューは腕を組んでくる。
俺の恋人達は全員が平均以上に大きな胸を持っているが、マリューはその中でもトップクラスの大きさと柔らかさ、張りを持っている。
夜に皆で楽しむ時は、それこそマリューの魔乳と呼ばれる事も珍しくはないくらいだ。
結果として、魔乳は色々と開発される事になったのだが……
「こら、アクセル。一体何を考えてるのかしら?」
俺の様子から、何を考えているのかを悟ったマリューは、少し照れた様子で頬を赤くしながらも、俺を咎めるようにそう言ってくる。
もっとも、そうしながらも腕を抱いたままなのだから、言葉程には怒っていないのだろう。
「じゃあ、ホワイトスターに行くか。……ここにいると、色々と不味そうだし」
マリュー程の美人が俺のような10代半ばの子供と腕を組んでいるのだ。
それを思えば、嫉妬するなという方が無理だろう。
……とはいえ、月には何気に女は結構多いのだが。
これは単純に戦火を避けて月に避難してきた者は女が多かったというのが理由だったりする。
これは単純に、男よりも女の方が戦争を嫌っていたというのも影響してるのだろう。
勿論、男でも戦争が嫌いな者もいるし、女でも戦争を好むような奴はいる。
ともあれ、女の数が少なくて恋人を作れない……といったような事にはならない。
ならないのだが、だからといって俺とマリューがイチャついている光景に納得出来るかと言われれば、その答えは否なのだろう。
クレイドルは月の首都だけに、治安を守っている量産型Wやコバッタの数も多い。
それこそ、何らかの問題になったりといったようなことにはならないのだろうが、それでも今の状況を思えば、不測の事態が発生しかねなかった。
「あら、そう? ……ふふっ、じゃあ戻りましょうか。レモン達もアクセルの帰りを首を長くして待ってるわよ? それにルリやラピスもね」
「あの2人は……うん、悪かったとは思ってるよ、単身赴任をしているサラリーマンとかって、俺みたいな気持ちになってるのかもしれないな」
そんな会話をしながら、俺とマリューはゲートのある方に向かうのだった。
「うーん……ここに来ると、戻ってきたって感じがするな」
ホワイトスターにある生活区画を歩きながら、そう呟く。
色々な世界からやって来た者達が商売をしており、かなりの賑わいを見せている。
それぞれの世界からホワイトスターにやって来る事が出来る人数というのは、限られている。
もしその世界からやって来た誰かが問題を起こした場合、その責任はその世界全体に及ぶ事になるのだ。
そうである以上、ホワイトスターと繋がっている世界であっても、そう簡単にホワイトスターに人をやる事は出来ない。
しっかりと向こうの世界でその人物が問題を起こさないような性格をしているかどうかというのを調べ、その上で許可を出す必要があるのだ。
……にも関わらず、現在のホワイトスターの生活区画には大勢集まっている。
貿易協定に問題のない限りの品物を売り買いしている姿は、まさに活気があるという表現が相応しい。
「そうね。もうここが私やアクセルにとっては帰るべき場所だもの。それに……ほら、彼女もアクセルを待ってたみたいよ?」
どこか悪戯っぽい様子でそう告げてくるマリューの視線を追うと、そこには明日菜の姿があった。
どこか唖然とした様子で俺の方を見ている。
「明日菜か、久しぶりだな」
「久しぶりだなじゃないでしょ。全く、気が付けばいつの間にかいなくなってるんだもの、ようやく帰ってきたのね」
「あー、悪いな。UC世界の方でちょっと単身赴任をしてたんだ」
「単身赴任って……あのね、傭兵でしょ? ルリちゃんとラピスちゃん、寂しがっていたわよ?」
明日菜にもそれを言われてしまう。
うーん……お土産か何かを買ってくるべきだったか?
とはいえ、UC世界でのお土産と言われても……ザクとか?
あ、でもルリやラピスは何気に喜んでくれそうな気がしないでもない。
ただ、それを明日菜に言っても、間違いなく怒られそうな気がする。
「取りあえず、明日からは暫くホワイトスターにいるつもりだから、ルリとラピスとはゆっくり話をするよ」
「そう。……その、ルリちゃん達と話した後で、超包子にも顔を出しなさい」
「超包子に? まぁ、そうだな。久しぶりに四葉の料理も食べたいし……何だよ?」
何故か俺の言葉を聞いたマリューが呆れの視線を向けてくる。
「何でもないわよ。……この場合、アクセルだけが悪い訳じゃないしね」
「は? 俺が悪い? 何がだ?」
「これは私が言っても意味がないわ。……って、早いわね」
マリューの言葉に、何が? とその視線を追うと、つい数秒前まではそこにいた明日菜の姿は完全に消えていた。
どうやら、俺がマリューと話している間に消えたらしい。
俺に気が付かれずにこの場から走り去るとは……何だかんだと、明日菜もシャドウミラーの一員だけのことはあるな。
「ほら、そろそろ行くわよ。今日はアクセルやミナト、綾子が帰ってきたんだから、少し豪華な料理になるわ。そうなると、当然準備にも時間が掛かるんだから」
そう言い。マリューは俺を引っ張って移動する。
そんなに急ぐのなら、それこそ影のゲートを使って移動してもいい。
だが、久しぶりに帰ってきたという事もあり、今はホワイトスターの様子をしっかりと眺めながら移動したかった。
「はいはい。分かったって。それで料理の材料は?」
「今頃、千鶴が買ってるわよ」
千鶴が? と一瞬疑問に思うが、考えてみれば俺と一緒にミナトと綾子が帰ってきたんだから、俺がセイラに会ったり、ディアナの研究所にMSを置いたり、ガイアから相談を受けつつ焼き肉を食べたりしている間に、ミナトと綾子が先にホワイトスターに戻ってもおかしくはない。
そうなると、もしかしてマリューがUC世界にいたのは、実は俺を探す為だったり……いや、それだと俺と会った時の態度がおかしいか。
あの時の様子から考えると、間違いなく何らかの用事があったのは明らかだった。
「そうか。ご馳走は楽しみだな」
「UC世界でも美味しい料理は食べられたんじゃないの?」
「それは否定しない」
実際、ベルファストのレストランとかで食べた料理は美味かったのだから。
だが、基本的にはホワイトベースの食堂で料理を食べる事が多かった。
そしてホワイトベースの食堂で出る料理は、不味いって程ではないにしろ、美味い訳でもない。
それでもホワイトベースに対する補給という事で、食料が足りなくなるという事はなかったのは、他の部隊に比べれば幸運だったのだろう。
もっとも、それでもゴップの手腕で補給物資が届かないというところは殆どなかった筈だが。
「でも、やっぱり愛情たっぷりのマリューや千鶴の料理が食べたいと思うのも事実だしな」
「もう、馬鹿」
照れた様子を見せるマリュー。
この様子をもし何も知らない者が見れば、今まで以上に嫉妬の視線を向けられそうな気がする。
とはいえ、俺の恋人達の中で料理が美味い二大巨頭と言えば、やっぱりマリューと千鶴なのだ。
何気にミナトも結構料理が上手かったりするのだが、それでもやはりマリューと千鶴には及ばない。
あ、でもそう言えば円が牛丼を作るのにかなり集中しているとか聞いた事があるな。
以前聞いた時は、まだ自分が満足出来る牛丼ではなかったらしく、食べさせて貰えなかったが。
「ねぇ、その……えっと、そうそう。連邦軍で何か特殊な技術は見つかった?」
マリューがそう言ってきたのは、半ば照れ隠しだったのだろう。
だが、丁度いいのでその話題に乗る事にする。
「ああ、ちょっと予想外だったけど……やっぱり未知の世界との接触は大事だなと教えて貰った気分だよ」
そんな俺の様子に、マリューは女から技術者としての顔になる。
「アクセルがそこまで言う技術が?」
「そうだな。……正直、技術的という点ではそこまで珍しくはないと思うし、今までのホワイトスターでもやれば出来た。けど、コロンブスの卵って奴だな」
実際に全天周囲モニタを見なくても、こういうのがあると聞かされれば、シャドウミラーの技術班なら普通に作ることが出来るだろう。
リニアシートに関しては……どうだろうな。
あった方がいいのは間違いないだろうが、実働班の面々なら魔力や気で身体能力を強化出来るし、Gを蓄積出来るISCもある。
あ、でもリニアシートがあればその辺がもっと有効に使える……のか?
特にGはリニアシートで軽減されれば、ISCに蓄積するGも少なくなる?
それとも、ISCは機体の方に装備されてるので無理?
その辺は、それこそしっかりと対処する必要があるのは間違いない。
技術班に任せた方がいいか。
「どういう技術?」
「簡単に言えば、コックピットの全てを映像モニタにする全天周囲モニタだな。それと、フォンブラウンのアナハイムが発表したリニアシート。どっちも、シャドウミラーの機体にも使えそうなのは間違いない」
「……なるほど」
俺の説明だけで、マリューは大体理解出来たようだった。
全天周囲モニタはともかく、リニアシートは名前しか言ってないんだが、それでも理解出来たのか?
その辺は名前である程度判断出来た可能性は高いが。
「そんな訳で、UC世界に行った甲斐はあった」
ガンダム7号機の件も、何だかんだと結構興味深くはあるが。
ただ、重装フルアーマーガンダムは劣化版ファブニール的な存在だしな。
もっとも、UC世界の技術者が自分達だけでその答えに到達したのは、素直に凄いと思いもしているが。
「そう、ね。……考えてみれば簡単な話だったのに、何で思いつかなかったのかしら。取りあえず、シャドウミラーの実働班の機体には同じようなシステムを搭載してもいいと思うわ」
マリューが少しだけ悔しそうにそう告げる。
技術班のドンとして君臨しているレモンと比べると、どうしても一歩劣ってしまうように見えるマリューだったが、その才能は天才が集まる技術班の中でもトップクラスなのは間違いない。
そもそも、マリューは一定以下の物理攻撃を無効化するPS装甲の開発者だ。
PS装甲がどれだけ有効な代物なのかは、シャドウミラ-で採用されているのを見れば明らかだろう。
……SEED世界においては、PS装甲が発動する度にエネルギーを消費するので、かなり使いにくい装備だったのは間違いない。
だが、シャドウミラーでは永久機関のブラックホールエンジンが主力である以上、エネルギーの心配をしなくてもいい。
それだけ技術者として高い能力を持っている上に、気や魔力の類を習得していない状況で、コーディネイターの軍人を生身で倒すだけの実力を持ち……更には、この美貌と男好きのする身体や優しさを持つ。
まさに、マリューは天から二物も三物も……それ以上を与えられた、それこそ天に愛されているという表現が相応しい女だった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1591