「さて、これから朝食を作る訳だけど……準備はいいか?」
俺の言葉に、ルリとラピスがそれぞれ頷く。
「大丈夫です。私、少女ですから」
「大丈夫。料理、する」
ルリとラピスは、恐らくマリューや千鶴が用意したのだろうエプロンをつけており、今までもそれなりに料理の手伝いをしていた事を示している。
「でも、何で私達だけで?」
「こら、ラピス。そういう事は聞いてはいけません」
ラピスの言葉に、ルリはその白い頬を薄らと赤くして告げる。
昨夜何があったのか、知っているのだろう。
まぁ、ルリもSEED世界では中学校に通っているのだ。
それを思えば、その辺の知識があってもおかしくはない。
……そう、数ヶ月ぶりに帰ってきたという事もあり、昨夜はもの凄い事になった。
具体的に言えば、俺の相手をした時間で言えば一番長いレモンですらもう休ませてと言う程に。
それこそ朝方まで行為は続き、俺は10人を超える恋人全員を満足させ……同時に限界を迎えさせた。
レモン達は、現在寝室にあるベッドの上で全員がぐっすりと眠っているだろう。
それこそ今の状況では起きてもすぐに仕事に行くのは難しいだろうから、ある程度体力が回復したら魔法球で休む事になる筈だ。
とはいえ、レモン達も数ヶ月ぶりの逢瀬という事で、今日がどうなるのかは分かっていたのだろう。
今日は殆どが休み……もしくは午後からの仕事になっている。
そんな訳でレモン達全員が満足感と疲労感から深い眠りについている訳だが、この家には俺とレモン達以外にもルリとラピスという2人の子供がいる。
当然その子供達の朝の準備はしなければいけない訳で……いつもなら朝食を作っているマリューと千鶴が疲れて眠っている以上、俺がそれを用意する必要があった。
「取りあえず……そこまで豪華な朝食を作る事は出来ないな。目玉焼き、焼き魚は何とかなるとして、味噌汁は……インスタントがなかったか?」
「私が作れますよ」
「……そうなのか」
「少女ですから」
味噌汁を作れるというルリは、自信満々……といった訳ではないが、それでも少し得意げな様子を見せていた。
少女って味噌汁に関係あるのかと思ったが、その辺はルリなりの拘りなのだろう。
以前までと比べると、分かる者にしか分からないが感情表現は結構するようになった。
味噌汁は何かでちょっと作り方を見た事はあったが、実際に作った事はない。
インスタントの類もないとなれば、俺が買いに行くか、四葉辺りに手を貸して貰うかしないといけないと思っていたのだが、ルリに任せられるのなら任せよう。
まぁ、ぶっちゃけ……どうしても食事が作れないとなれば、それこそ昨日のパーティで作った料理の残りとかが結構あるんだけどな。
ただ、疲れているレモン達には俺の手料理で少しゆっくりとさせてやりたいと思ったのも、また事実だ。
「じゃあ、ラピスは何を作る?」
「サラダ」
「分かった。じゃあ、手を切らないように気をつけろよ」
和食なら、サラダじゃなくておひたしなんだろうが、目玉焼きがある時点で和食というよりは、一般的な日本の朝食って感じだしな。
それに、目玉焼きなら俺でも作れるけど、卵焼きとなると……とてもじゃないが、上手く作れる気がしない。
それならいっそ、スクランブルエッグとかなら……まぁ、取りあえず普通に食べられる感じにはなるかも?
ただ、ルリとラピスからの要望で今日の食事は和食……いや、和食風なんだよな。
ちなみに、何故そんな感じの食事になったのかは、ルリとラピスの通っている学校が影響している。
ルリとラピスが通っているのは、SEED世界のオーブにある学校だ。
そしてオーブというのは、先祖が日本人だったり、日本から移住して来る奴が多いらしく、日本風の文化が根本にある。
……もっとも、現在のSEED世界ではオーブが世界の支配者……とまではいかず、主導権を持つリーダー的な存在といった関係や、シャドウミラーとの接触、もしくはシャドウミラーとの取引を希望する者も多く、人口が爆発的に増えてるらしいが。
その辺は、UC世界のハワイや月と似たような感じなんだろうな。
ただ、UC世界の方は現在進行形で戦争を行っていて移住希望者が増えているが、SEED世界の方は戦争が終わってからもう既にそれなりに時間が経つ。
その為、UC世界程に急激な人口の増加は、今はもうないんだろうが。
そんな訳で、オーブは色々な文化圏の人間が集まっている影響から、和風の文化が根底にあっても、それ以外にも様々な文化が入り交じっているらしい。
「魚は……塩鮭か。いかにもだな」
「いかにも?」
洗ったレタスを千切っていたラピスが、そう言って首を傾げてくる。
ラピスにしてみれば、俺が何を言ってるのかは分からなかったのだろう。
「ああ。和風……オーブ風の朝食としては、結構ありふれてるんだよ」
「……なるほど」
本当に納得したのかどうかは、俺にも分からなかった。
ただ、この様子を見る限りでは多分ある程度は理解出来ているのだろう。
そうして料理をしていき……若干苦戦しながらも、朝食だけに30分程度で何とか完成する。
それを食卓に並べ……
『いただきます』
食べる。
「うーん……まぁ、そこそこ……」
目玉焼きに焼き鮭、サラダ、味噌汁という料理だけに、とくに失敗するような事はなかった。
目玉焼きも俺好みの半熟だし、焼き鮭もちょっと焼きすぎたが焦げているという程ではない。
サラダもラピスが色々な野菜を千切って作ったのに、四葉特製のドレッシングを掛けている。
料理の中で一番難しかった味噌汁も、ルリはきちんと完成させていた。
炊飯器のおかげで、白米も最適な炊き上がりも最善だし。
ちなみにこの炊飯器、実はシャドウミラーの技術班が作った奴で、異世界間貿易でも何気に人気の品だったりする。
「父の料理、美味しい」
「そうか? そう言って……父?」
「父」
ラピスが俺の方を見ながら、そう言ってくる。
ついこの前まで……いや、昨日まではアクセルと呼んでいた筈だが、何だって急に父呼ばわりをするようになったんだ?
いやまぁ、養父である以上は父と呼ばれてもおかしくはないんだが。
「……何ですか?」
「いや、この味噌汁は美味いと思ってな」
もしかして、ルリも父と呼ぶのか? といった疑問を抱いて視線を向けていたのだが、そこで返ってきたのはそんな言葉だった。
なので、取りあえずルリの作った味噌汁について褒めておく。
とはいえ、実際極上の味! とまではいかないが、ルリの作った味噌汁は普通に美味いのは間違いなかった。
「そうですか。それはよかったです」
そんな風に会話をしながら食事を終えると、ルリとラピスはすぐに学校に行く準備を始める。
俺の場合はシャドウミラー代表という名目で結構好き勝手に動き回っているが、ルリやラピスは学生である以上、きちんと毎日学校に行く必要があった。
「影のゲートでゲート区画まで送っていくか?」
「……どうします?」
「父、一緒に行く」
ルリの言葉にラピスがそう答え、送っていく事になった。
何だかんだと、ルリもしっかりとラピスの姉をやってるよな。
そんな風に思いつつ、準備を整えたルリとラピスを影のゲートで送る。
影に沈む感触はそこまで気にはならかったのか、ルリもラピスも驚いたりはしない。
まぁ、影のゲートを使うのは、別にこれが初めてじゃない。
そう思えば、そんなルリとラピスの態度にも納得出来るものはあった。
「じゃあ、勉強頑張って来いよ」
ルリとラピスがSEED世界に向かったのを見送ると、さてこれからどうするべきかと考える。
とはいえ、まずやるべき事は決まってるのだが。
そう判断し、再び影のゲートを使って移動し……
「あら、アクセル」
政治班の事務所に移動すると、少し呆れの表情を浮かべたエザリアに迎えられる。
何故呆れの表情を浮かべているのかというのは……この事務所にあやかと千鶴の姿がないのを見れば、一目瞭然だろう。
エザリアも大人の女だ。
その上、シャドウミラーに所属してそれなりに長い年月が経つ。
だからこそ、俺が久しぶりに帰ってきた翌日にあやかと千鶴が休むという事の意味を知っており……それに関しての呆れなのだろう。
それでも薄らと頬が赤くなっているのは、エザリアがその手の事にあまり慣れていないのかもしれないが。
「久しぶりだな。それで、書類の方は?」
「ちょっと待ってて。レオン」
「はい。少し待ってて下さい」
エザリアの言葉に、レオンが俺に向かってそう言うと部屋にある金庫に向かう。
そんな場所に書類を入れてるのか? と一瞬思ったが、考えてみれば当然だった。
何しろ、俺でなければ決裁出来ない……つまり、かなり重要性の高い書類なのだ。
そんな書類をその辺に適当に放り出しておくなどといった真似が、出来る筈もない。
「どうぞ」
金庫を開き、レオンが持ってきた書類は30枚近く。
数ヶ月分の書類として考えれば、これは多いと考えるべきか、少ないと考えるべきか……それとも妥当と考えるべきか。
ともあれ、その書類を持って適当に席に座る。
幸い……という言い方はどうかと思うが、あやかと千鶴が休んでいるので、その席は空いてるし。
まず1枚目の書類。
マクロス世界の方で貿易問題が発生。
あー……まぁ、それは分からないでもない。
SEED世界とかと違って、マクロス世界は一応新統合政府が治めているという形を取っているものの、実際には企業が大きな力を持っていたり、他の勢力があったりもする。
そんなマクロス世界だけに、シャドウミラーとの取引でも色々な勢力が希望し、その関係で問題が起きる事になる。
今回もそんな感じだ。
取りあえずこの件は……うん、そこまで重要視する必要はないか。
最近取引を始めた会社が不満を訴え、優遇している会社と同じように自分達も扱えと主張している訳か。
これが普通の会社なら、そこまで問題にはならないんだが……今回の場合、その会社が新統合政府の天下り先になっているというのが問題だ。
だからこそ、俺にまで書類が回ってきたのだろう。
取りあえず、この会社は切った方がいいな。
新統合政府の天下り先という事で、マクロス世界はそこそこの影響力を持っているのかもしれないが、それがシャドウミラーにも通用すると思われると困る。
「そんな訳で、これは切る。次は……」
次の書類を取り出すと、そこにはネギま世界……正確には魔法界で行われている拳闘をホワイトスターでも放映したいという要望があった。
これは……ちょっと難しいな。
いや、放映そのものは賛成なんだが、ホワイトスターに来ている者の中にはその辺があまり得意じゃない者もいる。
だとすると、街頭TVとかで流すのはNGで、店の中とかならOKとするか?
取りあえずそれで試してみて、問題があるようなら随時解決していくか。
次……といった具合に、書類について片付けていく。
中には別に俺が決裁をする必要がないような、そんな書類もあったのだが、多分何らかの理由があってそんな事になってるんだろうと判断する。
分からないところはエザリアやレオンに聞きながら、書類を片付けていく。
その中でも興味があったのは、SEED世界の兵器メーカーの幾つかが、UC世界に興味を示していたといった事か。
個人的には接触に許可を出したいところだが、UC世界独自の技術が妙な方向に向かってしまう可能性があると、そう簡単に許可も出来ない。
うーん、でもSEED世界の技術とUC世界の技術の融合ってのは、興味があるんだよな。
実際、SEED世界やW世界のMSを運用していた以上、そちら関係の技術が影響するのは、多分間違いないだろうし。
そうなると……取りあえず保留だな。
アドゥカーフ・メカノインダストリー社からの要望は、取りあえず保留としておこう。
にしても、MIP社との交流を希望するとなると……水中用MSかMAでも開発するつもりなのか?
ともあれ、その辺はこの戦争が終わった後での話だな。
「ふぅ、これで終わりと。……何気に最後の書類が結構危険だったな」
自分でも分かる程に嫌そうな表情を浮かべ、書類を見る。
最後の書類にあったのは、ギアス世界においてシャドウミラーを……正確にはゲートを狙ったテロ行為を起こそうとしていた組織についてだった。
実際は行動を起こすよりも前にメギロートやバッタによって、対処されたのだが。
その捕虜にした人物をどうするのかといった問題が起きた。
取りあえず危険人物すぎるということで、情報を聞き出した後で死刑にするようにいったが。
「お疲れ様。……どう? 普段から私達がしている苦労が、少しは分かった?」
「ああ。エザリア達には元から感謝しているよ」
実際、俺が好き勝手に動けるのは、エザリア率いる政治班がいるからこそだ。
もしエザリア達がいなければ、そのような真似はまず出来なかっただろう。
そう説明し、話をしていると……
「アクセル代表、UC世界からの連絡です」
通信機で誰かと話していたレオンが、俺にそう告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1591