転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2552話

 レオンから言われてUC世界の通信に出ると、少し相談に乗って欲しいというセイラからの言葉に取りあえず俺が片付けるべき書類を終わらせてから、UC世界に向かう。

 ただし、やって来たのは政庁……ではなく、ディアナの建物の一室。

 その一室に入った俺を迎えたのは、シーマ、ラル、ガイア、オルテガ、マッシュといった異名持ちのMSパイロットと、ダグラスやアンリといった軍の重鎮、更にはセイラの姿もあった。

 他にもディアナの技術者も数人いる。

 ……うん。月の重要人物の多くが集まっているのは間違いない。

 ディアナに来た時にSPや軍人が結構な人数いたから、何かと思ってはいたんだが……これだけの人員が集まっているとなれば、その理由は納得出来ないでもなかった。

 

「それで? 一体これは何の集まりなんだ? ディアナに集まってるって事は、何となく想像出来るけど」

「ええ。今日アクセルに来て貰ったのは、次期主力機についての話し合いで、意見を聞かせて貰いたいからよ」

「次期主力機、ね」

 

 ヅダが正式採用されて量産されてから、まだそこまで時間は経っていない。

 それだとちょっと早すぎるのでは? と思わないでもなかったが、考えてみればそこまで不思議な話ではない。

 実際、ジオン軍では独立戦争が始まってから1年経たないうちに、一体何度主力量産機を変えてきた事か。

 ジオン軍の場合は地上と宇宙という2つの戦場があるのだから、その辺も考慮に入れる必要があるだろうが。

 地上ではザクからドムに。ただし、グフだったり水陸両用MSだったり……色々と量産されているし、ザクにも様々な派生機が登場している。

 宇宙の方は、ザクからリックドム、そしてゲルググ。

 まだ戦争開始してから1年も経っていないのに、これだけ主力機が出て来ているのだ。

 勿論、実際には戦争が開始するよりも前にグフやドム、ゲルググといったMSを開発してはいたのだろうが……ああ、なるほど。開発はしていたものの、今回の戦争によって技術的蓄積がこれまで以上に上がったというところか。

 戦争が技術を発展させる。

 それは以前の……ヴィンデルが纏めていたシャドウミラーを思わせるので、若干微妙な感じがしないでもない。

 

「それで? 次期主力機の件で、何でまた俺に相談をしてくるんだ?」

 

 何だかんだと、俺はルナ・ジオンに対してかなり協力している。

 だからといって、次期主力機にについて相談されても……そこまで俺に頼るのはどうなんだ? という思いがある。

 

「これを見て、意見を聞きたいのよ」

 

 セイラがそう言うと、ラルが部屋にある映像モニタに1つの映像を映し出す。

 これは……最初はゲルググか? とも思ったら、映像モニタに表示されたのは全く違う。

 このタイミングで俺を呼んだとなると、あるいは……という思いがあった。

 最初の話題も次期量産機についてだったし。

 

「YMS-15、ギャンか」

「そうだ。ジオン軍に正式採用されたゲルググとコンペを行い、負けたMSだ。だが、ツィマッド社の方からこの機体を量産出来ないかという提案があった」

「つまり……これはツィマッド社製のMSか? けど、俺が得た情報によるとゲルググにもツィマッド社が協力していたって話だったけど……なのにゲルググ以外にも新型MSを開発してたのか」

「そうらしい。ツィマッド社にしてみれば、ジオニック社に対するライバル意識があるんだろう」

 

 ラルの言葉に、妙に納得出来てしまうのはどうかと思う。

 だが、実際のところツィマッド社の今までを考えれば、それも不思議ではない……と、そう思う。

 

「まぁ、ツィマッド社とジオニック社の関係を考えれば、そこまで不思議じゃないだろうな。……とはいえ、問題なのはMSの性能だ。ただジオニック社に対するライバル心や対抗心、敵対心だけで持ってこられてもどうかと思うぞ? まぁ、決めるのはお前達だけど」

 

 そう言いながら、映像モニタに表示されたギャンについての詳細を読み進める。

 ……が、正直なところ、はぁ? というのが俺の正直な感想だった。

 元々、ツィマッド社はヅダにしろドムにしろ、尖った性能のMSを好んで作る。

 それに対して、ジオニック社は全体的に汎用性が高いMSを作る傾向が多かった。

 あくまでもそれはそういう傾向というだけであって、絶対にそうだという訳ではないのだが。

 だが……それでも、映像モニタに現在表示されているギャンは、少し尖りすぎだろう。

 簡単に言えば、ギャンというのは近接戦闘重要視のMSだ。

 非常に強力……それこそビーム兵器の開発では1歩先を行っている連邦軍の使用するものより強力と思われるビームサーベルが主力となっている。

 いや、それは別にいい。いいのだが、射撃用の武器が盾に内蔵されている宇宙機雷のハイドボンブと、こちらもまた盾に内蔵されているニードルミサイルという名の小型ミサイルだけ。

 それは、現在のMSとしてどうなんだ?

 UC世界において、それなりに戦いの経験を積んできた者としては、MS同士の戦いで近接戦闘になる可能性というのは、そこまで大きくはない。

 MS同士の戦いで重要なのは、あくまでも射撃武器なのだ。

 それこそ、ビームサーベルを使えるのならビームライフルも装備すればいいものを、何故射撃武器を盾に内蔵されている物だけにしたのかが分からない。

 また、その盾も問題だ。

 盾にミサイルや機雷を搭載するとなると、ビームライフルとかで攻撃されたら誘爆する可能性が高い。

 勿論、アイディアそのものは決して悪くはない。

 盾という防具に複数の機能を持たせるというのは、シャドウミラーの技術班にも通じるところがある。

 例えば、ニーズヘッグのバインダーたるヒュドラは、盾、ビーム砲兼ビームサーベル、ファントムの収納、グレイプニルの糸、小型のテスラ・ドライブといったように、特定の武器やそれ以外にも様々な機能を持っている。

 また、最近追加されたニーズヘッグの尾にしても、ヒートロッド、鞭、輻射波動、電撃といった4つの攻撃手段を持っているし、その先端の菱形の部分はウルドの糸というハッキングツールが装備されている。

 それ以外にも、シャドウミラーの機体は多機能を持たせるというのが標準的な考えとなっており、そういう意味ではシールドに射撃武器を内蔵するというのは、決して悪くない考えなのだ。

 とはいえ、この場合は組み合わせが悪い。

 ともあれ、武装についてはそれでいいとして、次に目につくのは流体パルスアクセラレータだろう。

 これはギャン独自……ツィマッド社独自の技術で、ギャンの股間部分についている円筒形の部分だ。

 簡単に言えば、ジオン軍のMSの関節駆動に使われている流体パルスモーターのブースターユニットといったような性能を持ち、脚部の反応速度と駆動力を上げてくれるらしい。

 連邦軍で言う、マグネットコーティングと同じような技術だな。

 ただし、効果が似ているだけで、実際にはかなり違う場所も多いが。

 

「取りあえずざっと見てみただけだが、何を考えてこういう仕様にしたんだ? いやまぁ、近接戦闘を重視しないって訳じゃないけど、MS戦で重要なのは基本的には射撃武器だろ。ゲルググはビームライフルを持ってるって話だった事を考えれば、別にギャンに射撃武器を持たせられなかった訳じゃないだろ? あるいは、ジェネレータ出力とかでビームサーベルとビームライフルの両方が使えないとしたら、それこそ近接武装はヒート系の武装にするとか。もしくは、ザクマシンガンを装備するのでもいいだろうけど」

 

 だた、ザクマシンガンはルナ・チタニウム製の装甲に無力……という訳じゃないが、効果はかなり薄い。

 まぁ、ミサイルと機雷しか武器がないのに比べれば、随分とマシだけど。

 ルナ・チタニウム製の装甲を持つMSというのは、連邦軍でもかなり少数だし。

 一撃の威力という点では、ドム系列が使っているジャイアントバズの類も魅力的ではあるが、どうしても機動力に難があるしな。

 流体パルスアクセラレータという独自の技術が示す通り、ギャンの真骨頂はその高い機動性と運動性だ。

 ……あ、でもバズーカを持って一気に敵に接近、近距離でジャイアントバズを使って即座に離脱という、一撃離脱戦法には向いてない訳じゃない……のか?

 ともあれ、ジオン軍がゲルググを採用した理由が、どうしても分かってしまう。

 

「この機体が無意味とは言わないけど、実際にこのギャンを使いこなすとなると、相当に高い技術が必要になるんじゃないか? 少なくても、新兵とかその辺にギャンを使わせてたりしたら、敵に近付くよりも前に撃破されるか、盾で敵の攻撃を防いでも誘爆して腕が破壊されるか。そんな感じになると思うんだが」

『……』

 

 最終的な結論を口にした俺に対し、セイラを含めたルナ・ジオン軍上層部の面々は何も言わず無言で通す。

 どうやら、連中にしても俺と同じ結論に達していたのだろう。

 特にラルなんかは、俺よりもMSについてはうるさいだろうし。

 

「取りあえず、このデータを見た限りでは……そうだな。エースや異名持ちのような腕利きの専用機として少数作るのならまだしも、一般の兵士が使うのは無理があると思う」

 

 ぶっちゃけ、量産用MSとして考えれば現用のヅダの方がギャンよりも圧倒的に上だろう。

 そこまで腕が立つ訳でもないMSパイロットがヅダとギャンで戦った場合、ヅダが遠距離から攻撃すればそれで完封出来るだろうし。

 ただし、ギャンに乗ってるのがエース級であった場合は、射撃攻撃を回避したり狙いを付けさせないようにして移動しながら間合いを詰め、連邦軍のMSよりも強力なビームサーベルで一閃といった感じになりそうだが。

 その辺の理由を考えると、やはり色々と大変であり、面倒な事になるのは間違いない。

 

「やはりアクセルでもそう思うか」

 

 ラルのその言葉に、当然といった様子で頷く。

 

「もしどうしてもギャンを次期主力量産機にしたいのなら、それこそ射撃武器も充実して使えるように改良する必要があるだろうな。……実際、性能としては決して悪くはないんだし」

 

 流体パルスアクセラレータによる脚部の強化というのは、ぶっちゃけ捨てがたい。

 捨てがたいが……関節駆動という点では、ジオン軍の流体パルスモーターよりも連邦軍のフィールドモーターの方が有望なんだよな。

 流体パルスアクセラレータと似たようで、それでいながらより汎用性の高いマグネットコーティングも、フィールドモーターならではの技術だし。

 

「もう知ってる奴もいると思うが、連邦軍にはマグネットコーティングという技術がある。これは、ギャンのパルスアクセラレータと似たような効果を持つ技術だが、より汎用性が高い。ただし、フィールドモーターでないと使えないけどな」

 

 その言葉に、この場にいる者達は誰も驚いた様子はない。

 恐らく……いや、間違いなく昨日のうちにその辺の情報は知らされているのだろう。

 

「もしどうしてもギャンを次期主力機にするのなら、関節の駆動部分を流体パルスモーターからフィールドモーターにしてマグネットコーティングを使う。後は射撃武器を充実させて……それから、そうだな。全天周囲モニタとリニアシート、それといざという時に脱出出来るようにといったように改良するとかすればいいだろうけどな。……あくまでも俺の意見だが」

 

 とはいえ、現在既に存在するギャンの設計をそこまで変更するとなれば、それこそMSを1から開発するのに近いだけの労力や時間が必要となる。

 ただし、以前から連邦軍のMSを調査していた関係で、連邦軍系とジオン軍系の技術の融合は不可能ではないだろう。

 そういう意味では、ディアナは……いや、月は連邦軍やジオン軍から1歩先にいると思っても間違いない。

 

「そこまでするのなら、エース専用機……それこそS型と同じような感じで開発した方がいいんじゃないか?」

 

 ガイアのその提案に、話を聞いていた他の者達も同意するように頷く。

 まぁ、実際にその辺についてはしっかりと考えた方がいいのは間違いない。

 ジオン軍は当然の事ながら、連邦軍と比べても資源の類が豊富だとはいえ、それでも万全の状態という訳ではないのだから。

 

「取りあえず、ルナ・ジオン軍でギャンを採用するとなると、今のままでは無理か。だが……ディアナの技術者達がギャンの改良を行い、現在の欠点をどうにか出来れば量産しても構わない、と」

「そうなるな」

 

 アンリの言葉に頷く。

 ルナ・ジオン軍のトップだけに、やはりギャンについては思うところがあったのだろう。

 

「動力炉ならアプサラスで使ってる動力炉がコストは高いが性能もそれに準じて高いから、それを使えばビーム兵器は複数使えるようになるんじゃないか?」

 

 取りあえず、現状を打開する為のヒントになればと、そう言っておく。

 とはいえ……ゾックの動力炉をMSに使うとなると、色々と面倒な事になるのは間違いない。

 その辺も含めて、結構大変な事になるのは……まぁ、ディアナの技術者なら、喜んでそれを行うだろう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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