転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2557話

「……は? それ、本当か?」

「ええ。直接聞いたから、間違いないわ」

 

 ハモンからの情報に、俺は運命の悪戯を感じる。

 いや、これは運命の悪戯などというものではなく、恐らくこの世界の原作通りの流れなのだろう。

 あるいは、俺が干渉した結果原作とは違う流れになってそうなったという可能性も否定は出来ないが。

 

「ホワイトベースがな。……あ、でもそうだな。今回の海賊の一件にホワイトベースを巻き込めるか?」

「それは止めた方がいいでしょうね。私達は月の人間だから武器とかはそのまま自由に使えるようになっているけど、ホワイトベースは武器とかが封印されてるらしいわ。もしそれを破ったら……」

 

 そこで言葉を切ったハモンだったが、何を言いたいのかは分かった。

 ……というか、普通に考えた場合、ホワイトベースは連邦軍からの指示で動いているのだ。

 そうである以上、ジオン軍に襲われたというのならともかく、今の状況で勝手な行動を取る訳にもいかないだろう。

 

「そうか。アムロ……はともかく、ヤザン辺りなら手伝ってくれるかと思ったんだけどな」

 

 強さを、そして戦いを求めているヤザンだけに、海賊退治をしないかと言えばあっさりと乗ってきそうな気がする。

 他にも何人かそういう連中はいそうだが……取りあえず、今回は大人しくしておくとしよう。

 

「ともあれ、海賊が出て来なかったのはやっぱりホワイトベースが問題だと思うか?」

 

 現在この世界において、ホワイトベースの名前は重い。

 ジオン軍のトップエースたる赤い彗星と互角に戦い続け、地球ではガルマを殺し、東南アジア戦線でラサ基地を攻略し、オデッサ作戦で活躍し、乾坤一擲のジャブロー襲撃でも大きな戦果を残している。

 ホワイトベースについて少しでも知っていれば、そんなホワイトベースがいる中で海賊行為を働こうと思う者はそう多くはないだろう。

 

「その可能性が高いわね」

「そうなると、それはそれで困ったな」

 

 元々俺がハモンと一緒に来たのは、重装フルアーマーガンダムの実戦テストを行う為だ。

 ある程度のテストはもう行っているので、問題がない可能性は高いのだろうが……それでも絶対とは言えない。

 そうである以上、やはり実戦テストはやりたいのだ。

 だが、ホワイトベースの影響で標的となる海賊が出て来ないとなると、ここまで来た意味がない。

 そうなると、ラルの部下と話していたような方法を採る必要があるか。

 

「重装フルアーマーガンダムを搭載出来る貨物船を1隻用意出来ないか? このサイド6周辺で海賊が活動していないのなら、サイド6から少し離れた場所で貨物船が動いていれば海賊を誘き寄せられるかもしれない」

「それは……出来ないとは言わないけど……本気?」

「ああ。ハモンがサイド6にいる時間はそう長くはないんだろ? なら、こっちも実戦テストは出来るだけ早く終わらせておきたい」

 

 その言葉に、ハモンが少し考える。

 今回の交渉は、サイド6にとっても利益となるが、月にとっても利益になるものだ。

 セイラから少し聞いた話によると、既に大筋で合意は出来ているらしい。

 残る問題は、細かい数字についての調整。

 ……ただし、この細かい数字についての話で、結構問題になっているらしい。

 国と国――月はともかく、サイド6は国という扱いではないが――の取引として考えると、その数字は細かいものなのだろう。

 だが、それが個人として見た場合になれば、話は違ってくる。

 圧倒的に大きな金額が動くという事になる。

 その辺の金額を節約出来れば、その分を自国の発展の為に使えるようになる訳だ。

 勿論、中にはその金額を自分の懐に収めようと考えている者もいるのだが。

 ともあれ、国としては少額でも個人としては大きな金額である以上、その辺の交渉が厳しくなるのは当然だった。

 そんな訳で、ハモンが今回行う交渉も、大枠は決まっているが、細かい数字についてはしっかりと、本格的に交渉をする必要があった。

 ……ただし、ハモンは月の中でも重要人物だ。

 それこそ現在の月の内政を支えている人物の1人である以上、そこまで長く月を離れている訳にはいかない。

 そんな訳で、ハモンとしては出来るだけ早く交渉を妥結させたいというのが正直なところなのだろう。

 だからこそ、俺としてはハモンがそんな交渉をしている間に重装フルアーマーガンダムの実戦テストをしておきたかった。

 

「ふぅ。分かったわ。あの人からも、アクセルの要望には可能な限り応えるようにと言われてるもの。すぐに用意するわ。そうね。……2時間くらい待って貰える?」

「ああ、そのくらいでいいのなら」

 

 普通に考えれば、重装フルアーマーガンダムを搭載出来るだけの貨物船を用意し、その上で海賊を倒す……といったような真似をすると言われれば、そう簡単に納得する相手はいないだろう。

 だが、ハモンの実力があれば、それを用意する事は出来るのだ。

 この辺り、さすがと言うべきだよな。

 セイラが頼りにしてるのも、十分に分かる相手だ。

 

「なら、すぐに準備をするから、アクセルはメカニックの人達に知らせて、MSを動かす準備をしておいて」

 

 そんなハモンの言葉に、素直に頷くのだった。

 

 

 

 

 

「まさか、本当にこんな短時間で用意出来るとは、思いませんでした」

 

 貨物船の格納庫の中で、メカニックの1人がそう呟く。

 今回は実戦テストなので危険があるとは言ったのだが、それでもメカニック達は一緒に行くと言い、こうして現在はここにいた。

 この辺り、職務に忠実というか、忠実すぎるというか……まぁ、俺にとっては嬉しい事なのは間違いない。

 そんなメカニック達と違い、貨物船の艦長はあまりこちらに対して好意的ではなかったりする。

 まぁ、本来なら運んできた荷物を降ろして、さてこれから休暇だという時に無理矢理仕事を入れられたんだから、その気持ちも分からないではない。

 ただし、無理をした分だけ報酬は当然のように高額になっており、艦長もそれを承知の上で引き受けたんだから、その辺はしっかりと判断して欲しいところだ。

 

「そうだな。ともあれ、これから実戦テストだ。海賊が使ってるMSはザクと旧ザク程度という話だったが……そういう意味では、少し物足りない気はする」

「アクセル代表の操縦技術と、重装フルアーマーガンダムの性能を考えればそうなってもおかしくはないでしょうね」

 

 しみじみといった様子でメカニックが呟く。

 これで敵がゲルググとかを使ってるのなら、多少なりとも戦闘らしい戦闘になるのかもしれないが、ザクや旧ザクだしな。

 メカニックが言う通り、戦力過剰なのは間違いない。

 だからといって、今の状況でジオン軍や連邦軍に対して攻撃する訳にもいかず……あ、でもジオン軍なら表向きは戦争状態になってるんだから、おかしくはないのか。

 ただ、そうすれば、ただでさえ連邦軍に傾いているパワーバランスが、更に連邦軍側に傾いてしまう。

 今でさえ、ちょっと連邦軍に傾きすぎである以上、それは避けたいところだ。

 この戦争で最終的に連邦軍が勝者になるのはほぼ確定しているが、連邦軍が余力を残しすぎた状態で勝利した場合、戦後月に余計なちょっかいを掛けてくる奴が出かねない。

 強硬派は結構な数を処分したが、それだって全てという訳ではないし……何より、ジオン軍に勝利したという事で連邦軍の中に自分達は強いという妙な自信を抱き、新たなる強硬派となる……という可能性もある。

 その辺をどうにかする為には、やはりジオン軍にはもっと頑張って貰って、連邦軍の圧勝という訳ではない状況を作り出して欲しいところだ。

 そういう意味で、ジオン軍に攻撃をするという選択肢は存在しなかった。

 うん、やっぱり海賊と戦う必要があるな。

 そう思った瞬間……

 

『おい、海賊が出て来たぞ! MSが3機、こっちに向かってる! 本当に大丈夫なんだろうな!』

 

 通信機で艦長の苛立ちと焦燥に満ちた声が響く。

 貨物船の艦長にしてみれば、自分から海賊と遭遇したいと思ったりはしないのだし、実際に海賊が出て来たら俺に任せるしかない。

 幾ら俺達に友好的な存在ではないとはいえ、それでも頼るべき相手が俺達しかいない以上、この反応は当然の事だろう。

 

「分かった。すぐに出撃するから、心配するな」

 

 ブリッジにそう通信を入れ、重装フルアーマーガンダムのコックピットに向かう。

 にしても、MSが3機か。

 これは偶然か?

 現在、ジオン軍も連邦軍も、基本的にはMSは3機で1個小隊という扱いになっている。

 海賊の3機というMSの数を考えると、その辺を気にせざるを得ない。

 だとすれば……ザクや旧ザクを使ってるって話だし、もしかしたら海賊ってのはジオン軍の脱走兵の可能性も否定出来ない。

 そうなるとMSを奪って脱走した事になるが……連邦軍との戦いが結構な回数繰り広げられているのを思えば、MSを持っての脱走も不可能でもないだろう。

 もしくは、ジオン軍が裏に流したMSを買った連中か。

 ともあれ、敵が出て来た以上は倒すだけだ。

 重装フルアーマーガンダムのコックピットに乗り込み、機体を起動させていく。

 

「よし、機体が起動した。全員、格納庫から出てくれ」

 

 ホワイトベースのような、MSの運用を前提にして作られた軍艦ならともかく、現在俺が乗っているこれはあくまでも貨物船にすぎない。

 そうである以上、出撃をするにはこの格納庫から直接出るしかない。

 当然のように、そうなるとしたらメカニック達がいない状況でだ。

 メカニック達も分かってるのか、俺の言葉に素直に従って格納庫から出て行く。

 そして、誰もいなくなり……

 

「重装フルアーマーガンダム、アクセル、出る」

 

 そう通信を入れ、重装フルアーマーガンダムは貨物船の格納庫から出撃するのだった。

 

 

 

 

 

「敵は……やっぱりザクと旧ザクか」

 

 全天周囲モニタに表示された敵の姿を見て、そう呟く。

 サイド6から結構離れた場所にあるこの宙域は、スペースデブリがそれなりにある場所だ。

 ……だからこそ、海賊達にしてみても貨物船を襲うには十分な場所だったのだろう。

 だが、まさか海賊にしても貨物船からMSが姿を現すとは思っていなかったのか、ザクが2機と旧ザクが1機のMS小隊は明らかに動揺した様子を見せており、動きが鈍い。

 あ、でも重装フルアーマーガンダムの外見は一目でMSだとはちょっと判断が出来ないか?

 セカンドアーマーを装備した今の状況は、それこそMSよりもMAと判断した方が相応しいのだから。

 そんな風に考えつつ、まずは動揺している状況から復帰して貰わないと実戦テストが出来ないので、オープンチャンネルで通信を送る。

 

「どうした? まさか、襲った貨物船にMSが積んでいたからといって、驚いているのか? お前達に出来るのは、逃亡でも降伏でもなく……迎撃だけだ。逃げようとしても追撃を行うし、降伏も認めない。精々頑張って生き延びてみせろ」

 

 そう告げ、重装フルアーマーガンダムで敵に向かって突っ込んでいく。

 最大の武器であるメガビームキャノンを使おうかとも思ったが、その威力を見せつければ、敵が逃げ出す可能性が高い。

 そうなれば実戦テストが出来ない以上、今は使う事が出来なかった。

 重装フルアーマーガンダムは、運動性はともかく機動性はかなり高い。

 ザクや旧ザクでは、まず逃げ切れない以上……敵に出来るのは、こちらに向かって攻撃をする事だけだ。

 向こうもそれを理解したのか、ザクマシンガンとザクバズーカを撃ってくる。

 ……海賊なんだから核バズーカを撃ってもいいような気がするが……いや、砲弾の入手が難しいのか。

 そんな風に考えながら、重装フルアーマーガンダムの進路を斜めに逸らす。

 次の瞬間、弾丸と砲弾は何もない場所を貫いていった。

 あの弾丸や砲弾も、実弾である以上は何かに命中するまで止まる事はないんだよな。

 下手をすれば、それこそ火星や木星辺りまで届く……という可能性も否定は出来ない。

 そんな風に考えながら、まずはこっちも小手調べということで多数のミサイルを発射する。

 したのだが……予想外な事に、旧ザクが1機とザクが1機がそのミサイルに命中して中破くらいの被害を受けてしまう。

 え? 何でそんなミサイルに当たる? 回避するなり迎撃するなりすればいいものを。

 そう思うも、考えてみれば相手はエースパイロットという訳ではなく、海賊だ。

 ジオン軍からの逃亡兵という可能性もあるが、少なくてもエース級ではないだろう。

 それでもベテランくらいの実力者である可能性はあるのだが……迎撃をするような事はなく、咄嗟に回避しようとしたものの、命中して中破。

 ステータスを確認すると、撃墜数は増えていないので、パイロットはまだ生きているのだろうが……それでも、この結果は俺にとっても完全に予想外だった。

 幾ら何でも、少し弱すぎないか?

 がっかりしながら、それでもまだ残っている1機に向けて攻撃しようとすると……

 

「っと」

 

 こちらに向かって行われた攻撃を察知し、回避する。

 攻撃してきたのは、ザク……ではなく、別方向から。

 そちらを全天周囲モニタで確認すると、そこにいたのは……ジャイアントバズを構えた、1機のリックドムだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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