転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2561話

「また、随分と突拍子もないことを言ってくるわね」

 

 ソロモン攻略作戦に参加したいと話すと、セイラは飲んでいた紅茶のカップをテーブルの上に戻してから、呆れの表情と共にそう言ってくる。

 その気持ちは分からないでもない。

 本来なら、ソロモン攻略作戦は連邦軍とジオン軍の戦いなのだから。

 第三者たる月がそれに加わる必要はない。

 それは分かっているのだが、今回はそれでも参加するべき理由があった。

 

「ルナ・ジオン軍からは、基本的に戦力は連れていかないつもりだ。カトンボと俺、それとガトーとノリス。……まぁ、ガトーとノリスも所属はルナ・ジオン軍なんだから、そっちはどうしようもないけど」

 

 メカニックはコバッタを使えば何とかなるだろうし、戦力が足りない場合はバッタやメギロートを使えばいい。

 そうなれば、それなりに何とかなる……と、そう思いたいところだ。

 ただ、それが本当に出来るかどうかというのは、それこそ連邦軍次第だが。

 

「他の人達は連れていかなくてもいいの?」

「ああ。あまり連邦軍を有利にはしたくない」

 

 俺とガトー、ノリスが参加するという時点で、戦力的にはかなりのものだし。

 

「……話を聞く限り、アクセルは別に行かなくてもいいんじゃない?」

「そうだな。けど、何かあった時に連邦軍をどうにかする必要があるだろ? それに……重装フルアーマーガンダムの実戦テストも、まだ完全には終わってないしな」

 

 サイド6周辺で活動していた海賊は倒したが、実戦テストらしいテストは行えなかったし。

 ちなみに海賊達は約束通り全員命は助けた。

 それに情状酌量の余地ありとして、農作業をしてはいるが、食料はマブラヴ世界の改良前の合成食ではなく、改良後の合成食だ。

 ……輸送の手間を考えても、やっぱり合成食は圧倒的なまでのコストの安さがあるんだよな。

 勿論、改良後の合成食もきちんと料理をすれば、かなり美味い食事となる。

 改良前の合成食とは比べものにならないくらいに。

 海賊の中には料理がそれなりに得意な奴もいたので、食生活という点では他の犯罪者よりもかなり上だ。

 子供達も一緒に住んでおり、そこから学校に通っているので、どうしても食生活は重要になるんだよな。

 こういう子供達が、将来的にルナ・ジオンを背負っていくのだから。

 ちなみにこうして犯罪者をゆるゆるな感じで放置しているようにも思えるが、量産型Wやメギロート、バッタ、コバッタといった面々が監視をしているので、当然逃げる事は出来ないし、仕事をしないで遊んでいれば、数度の注意の後で実力行使に移る。

 

「あのMSは、これからのルナ・ジオン軍にとって重要な機体になるという話だったけど……本当なの?」

「そうだな。連邦軍の最新鋭MSだし、その技術を吸収するという意味では大きいと思う。それこそディアナの目的がジオン系と連邦系の技術を融合させるというのがあるんだし」

 

 何だかんだと、ディアナに所属する技術者はジオン出身の者が多い。

 勿論連邦出身の技術者もいない訳ではないのだが、その数はどうしても少ない。

 だからこそ、ディアナの技術者は連邦軍のMSの解析に一生懸命なのだ。

 そんな中で連邦軍の中でも技術の粋を凝らして開発した、正真正銘最新鋭MSたるガンダム7号機は、そのコンセプト的な意味でも非常に大きな意味を持つ。

 そのうち、ヅダ用のファーストアーマーやセカンドアーマーが出来るかもしれないな。

 ……ただし、それらを製造するには当然のように相応のコストが必要となる。

 そうなると、主力量産MSのヅダのコストが上がるという事になり……それはそれで、ルナ・ジオン的には面白くないだろう。

 とはいえ、資源を消費するだけでパイロットの命を守れるのなら、セイラなら採用するかもしれないが。

 

「取りあえず、連邦軍の方には私から連絡をしておくわ。多分大丈夫でしょうけど……もし断られたら、諦めるのよね?」

「そうだな。残念ながらそうしないといけないだろうな。まさか、無断で戦闘に乱入するといったような真似が出来る筈もないだろうし」

 

 いやまぁ、やろうと思えばやれるし、そんな真似をしても遺憾の意砲は放たれるかもしれないが、実際には何かが出来る訳でもない。

 何だかんだと、最終的には連邦軍の利益になるんだし。

 そうである以上、迂闊に手を出すような真似はしない……と、そう思う。

 あくまでも俺がそう思っているだけで、強硬派の生き残りなんかがいた場合は、どうなるか分からないが。

 

「そんな馬鹿な真似はしないわよね?」

 

 俺の言葉から、本当にそんな真似をするとでも思ったのか、セイラはニュータイプとしてのプレッシャーを放ちつつ、確認するように尋ねてくる。

 何だか、以前よりもニュータイプ能力が上がってるような……

 あ、でも以前フラナガン機関から接収したレポートによると、ニュータイプ能力というのは高いストレス下で発現したり強化されたりといったような事が書いてあったな。

 だとすれば、セイラはルナ・ジオンの女王として活動するのは強いストレスだけを抱いているってところか。

 

「ああ、そのつもりはないから安心しろ。……連邦軍が許可を出すと分かりきってるのに、わざわざ場をかき乱すような真似はしないから」

「……本当でしょうね?」

 

 妙に疑り深いな。

 俺が何かそこまで怪しまれるような真似をしたか? ……考えれば色々と思い当たりそうな気がするので、取りあえずそれは置いておくとしよう。

 

「ソロモン攻略戦にガトーとノリスが参加するとなると、月にとってもソロモン攻略に協力をするという意味では貸しを作れるんじゃないか?」

「連邦軍がその貸しを踏み倒さなければ、そうでしょうね」

「踏み倒す? ゴップとレビルがいる以上、そんな事はしないと思うけどな」

 

 連邦軍の中には、未だにルナ・ジオンを甘く見ている者もいる。

 そのような者達にしてみれば、貸しだろうがなんだろうが、連邦軍という組織にいる以上、どうとでも出来ると思っているのだ。

 ……少し違うが、北米戦線で俺のMSを徴収しようとしていた男がいたが、それも似たようなものだろう。

 風の噂では、現在はどこぞの基地で書類整理をする部屋の室長になってるとか何とからしいが。

 ともあれ、そういう奴がいるから絶対に安心出来るという訳ではないが、それでも現在の連邦軍の実質的なトップと言ってもいいレビルとゴップは、十分にルナ・ジオンとその後ろ盾たるシャドウミラーの実力を理解している。

 だからこそ、連邦軍が裏切るような真似はしないだろう。

 だが、そんな俺の言葉にセイラは首を横に振る。

 

「アクセルの言ってる事は正しいわ。けど、それはあくまでもその2人が連邦軍のトップにいればの話でしょう?」

「……連邦軍に何か妙な動きでもあるのか? 今の連邦軍の優勢は、レビルとゴップがいてこそだ。そんな状況でその2人をどうにかするのなら……待て。もしかして強硬派の生き残りか?」

 

 ルナツーにいた強硬派は処分したが、別に強硬派はルナツー以外にいない訳ではない。

 ましてや、戦争では連邦軍が有利に進めている関係もあって、そこから強硬派になる者もいないとも限らない。

 自分達が勝っているからこそ、そのようになってもおかしくはなかった。

 

「いえ、違うわ。この戦争が続いている間は大丈夫でしょう。けれど、戦争が終われば……恐らくレビル将軍もゴップ提督も軍人を辞めて政治家に転身するわ」

 

 政治家? と一瞬疑問に思ったが、そう言えばこの連邦政府はスペースノイドから絶対民主制と揶揄される事があるのだと、思い出す。

 レビルの家系は知らないが、ゴップの方は実家が結構な名家だった筈だ。

 また、レビルも戦争に勝てば英雄として扱われる事になるだろうから、政治家になってもおかしくはない……のか?

 すぐに2人共が政治家になるとは限らない。

 だが、将来的にどうなるかと言われれば……可能性は高いのだろう。

 軍人が政治家になるのはどうかと、普通なら思うのかもしれない。

 だが、シャドウミラーの事情を考えると、別にそこまでおかしな話ではないんだよな。

 何しろ、シャドウミラーの政治班には元軍人とでも言うべき者が結構いるのだから。

 これはシャドウミラーが特殊部隊であるというのが影響しているというのもあるし、それを率いている俺がそもそも軍人であるというのも関係している。

 いやまぁ、今の俺が軍人と言えるのかと言われれば、正直素直に頷く事も出来ないが。

 少なくても、普通の軍人は単独で敵に突っ込んでいくとかそういった真似はまずしないし。

 そういう意味では、やはり俺を軍人の枠に入れるのは色々と問題だろう。

 

「そうなると、誰がレビルとゴップの後を継ぐかが問題になってくるな。……正直、どちらも難しいのは間違いない」

「そうね。どちらも掛け替えのない能力を持ってるもの」

 

 セイラの言葉に頷きを返す。

 ゴップはその冴えない外見とは裏腹に、非常に高い補給関係の能力を持っている。

 その能力は地味だが、連邦軍という巨大な軍隊を維持する上では必須の能力だ。

 ゴップと同等の補給に関する能力を持っている者は……俺が知る限りでは、まずいない。

 とはいえ、それはあくまでもゴップ1人で考えるからそうなるのだが。

 1人でゴップの能力に及ばないのなら、ゴップに及ばないまでも相応の能力を有する者を複数集めて補給作業を行えばいい。

 ……もっとも、人数が増えただけ意見の衝突が起こりやすくなり、場合によっては横流しを考えるような奴も出て来る可能性がある。

 そして何より、レビルの問題だ。

 既に連邦軍においては……いや、連邦政府においても、レビルは英雄として見られている。

 ルウム戦役でジオン軍に捕虜になりつつも、脱出。その後のジオンに兵なしの演説で南極条約における連邦軍の降伏を防ぎ、V作戦を実行してMSを実用化してジオン軍に押されっぱなしだった戦局を逆転したのだから。

 一種のカリスマ性のようなものすらある。

 それを思えば、レビルの代わりになれるような者は……ちょっと思いつかない。

 連邦軍の軍人を全員知ってる訳ではないので、もしかしたら俺が知らないだけで有能な人物がいるという可能性はあるが、それでもレビルの後継者にとなるとかなり厳しいだろう。

 ましてやゴップの方もそうだが、実力もないのに……いや、ない者程、自分が後継者になりたいと言う者が多い。

 

「改めて考えると、連邦軍……大丈夫か?」

「シャドウミラーはその辺の心配をしなくてもいいから、楽よね」

「まあな。けど、それはルナ・ジオンも同様だろ?」

 

 シャドウミラーに所属している者は、基本的に時の指輪の受信機を持っているので、不老だ。

 また、ルナ・ジオンの上層部の面々の中にも受信機を持っている者はそれなりにいる。

 そういう意味では、年齢が原因で仕事を引退するといった心配はない。

 連邦軍に比べれば随分と恵まれているのは間違いない。

 とはいえ、上にいる者がずっとそのままでは下が育たないという悪影響もあるのだが。

 

「それに関しては、感謝してるわ。……とにかく、連邦軍については要注意といったところかしら」

「そうだな。ともあれ……話はちょっとずれたけど、連邦軍との交渉は任せる。こっちもディアナの連中に言って、重装フルアーマーガンダムの準備をして貰う必要があるしな」

 

 そうしてセイラとの話を終えると、俺は早速ディアナに向かうのだった。

 

 

 

 

 

「ヅダ……ですか? ギャンの方はどうします?」

 

 ガトーとノリス用にカスタムしたヅダを頼むと、そんな言葉が返ってくる。

 意外……そう、かなり意外だったのは事実だ。

 

「ギャンって言っても、改修する場所が多いんだから、まだ出来てないだろ?」

「はい。ですがそれはあくまでも全てを改修した……いわば完全体のギャンです。取りあえずギャンを弄ってみる為ということで、ツィマッド社で開発プランだけあったMS-15B、高機動型ギャンというのを製造してみました」

「いや、製造してみましたって……こんなに早くか?」

 

 これが、ホワイトスターであれば、魔法球が存在している以上、そこまで驚くような事はない。

 だが、ここはUC世界であって、当然のように魔法球などは存在しないのだ。

 

「そうですね。ただ、当然のように理由はありますよ。高機動型ギャンは、ギャンと型式番号が一緒なのを見れば分かる通り、基本的にパーツは通常のギャンとほぼ同じです。後は高機動型に必要なパーツだけを製造すればいいですから。ギャンの生産設備は既にこちらに譲渡されてるのを考えれば……」

「そこまで難しい話ではない、か」

「はい、そうなります。……このディアナにある生産施設は非常に高度ですから、そのくらいは問題ありませんよ」

 

 俺の言葉に、技術者が頷く。

 取りあえず、高機動型ギャンというのがどういう性能なのかを知る為に、俺は技術者に案内されてディアナにある格納庫に向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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