セイラからの連絡が来たのは、明日菜の炒飯を食べた日から数日後。
……結局明日菜は俺に美味いと言わせた事で満足したのか、上機嫌に次はもっと美味い料理を食べさせてやると、そう言っていた。
正直、明日菜があそこまで料理の腕を上げているというのは、俺にとっても驚きだった。
そんな明日菜を見て、四葉が満足そうに笑みを浮かべているのを思えば、明日菜の料理の師匠が誰なのかは明らかだ。
料理……特に中華料理は、中華鍋という巨大な鍋を振るわなければならない訳で、そう考えれば高い身体能力を持つ……それこそ、場合によっては咸卦法すら使える明日菜には向いてるのかもしれないな。
少し不思議だったのは、超包子で明日菜の料理は出していないという事だろう。
店に残っていた何人かの客が、明日菜の手料理を食べている俺を羨ましそうに見ていたのを思えば、明日菜なら普通に料理を出せると思うが。
……そう言ったら、何故か明日菜が怒ってしまったが。
「アクセル? どうかして?」
「ああ、悪い。ちょっとホワイトスターでの事を思い出していてな。それで、ソロモン攻略作戦に参加出来るようになったんだよな?」
月の首都クレイドルにある政庁の一室。
セイラの私室の中で、俺はセイラの言葉にそう返す。
そう、今日ここに呼ばれたのは、その件について話す為だった。
ソロモン攻略作戦に俺達が参加出来るように、セイラが連邦軍との交渉を終えたのだ。
「ええ。その通りよ。ただし、アクセルが希望していたように、ホワイトベース隊と一緒に行動するというのは出来なかったわ」
「そうなのか?」
レビルにしろ、ゴップにしろ、俺がソロモン攻略作戦に参加するのなら、ホワイトベース隊と一緒に行動した方が、色々と息を合わせることが出来ていいと思うんだが。
「ええ。ホワイトベース隊は現在単独で囮として行動中だから、月の軍を合流させる訳にはいかないらしいわ」
「……なるほど」
セイラの言葉に納得はしたが、よく連邦軍側でもホワイトベース隊が囮をしているって話してくれたな。
囮というのは、当然の話だが囮と知られれば、それは意味がない。
つまり、可能な限り秘密にしなければならないのだ。
それだけセイラを信用しているのか、それともセイラを試しているのか。
その辺の事情は分からなかったが、ともあれソロモン攻略作戦に参加出来るようになったのは嬉しい。
「なら。俺達がソロモン攻略作戦に……」
「正式名称は、チェンバロ作戦らしいわね」
俺の言葉を遮ってそう告げてくるセイラの言葉に、頷く。
チェンバロ作戦か。ソロモン攻略作戦と言うよりは、狙いを誤魔化しやすいか?
「そうか。ともあれ、そのチェンバロ作戦に参加出来るのは間違いないんだな?」
「ええ。その辺は問題ないわ」
「なら、俺達が合流するのはどことだ? まさか、俺達だけで行動しろなんて……言わないだろ?」
チェンバロ作戦は、あくまでも連邦軍が主導の作戦だ。
そんな作戦に俺達が参加する以上、連邦軍としては当然のように俺達を好き勝手に動かす訳にはいかない。
そのような真似をすれば、それこそ作戦の邪魔になってしまう可能性が高いのだから。
「そうね。今回の一件は連邦軍の指揮下に入って貰うわ。ただし、明確にこちらを捨て駒にしようとしたり、アクセルが以前言っていたみたいにMSを徴収しようとしてきた場合には、拒否権があるから安心してちょうだい」
「それは……まぁ、助かるけど」
実際、北米戦線での事を考えれば、その辺についてしっかりとさせておくことは悪い話ではない。
少なくても、これで現場の連邦軍が妙な事を言ってきても、すぐに対処出来るのは間違いのない事実なのだから。
「それで、アクセル達と一緒に行動して貰うのは、ホワイトベースではないけど、ホワイトベース級ね。正確には、ホワイトベース級準同型強襲揚陸艦サラブレッド。それとサラミス級2隻によって構成されている、第16独立戦隊と一緒に行動して貰う事になるらしいわ」
「サラブレッド?」
「ええ。何でも、アクセルの知り合いが乗ってるって話だったけど……」
「そう言えば、ルースとフォルドからそんな名前の軍艦に乗るって話を聞いたな」
「その2人が知り合いなの?」
「ああ。セカンドロットのガンダム4号機と5号機のパイロットだ。ジャブローでは色々と付き合いがあった」
ただ、軍人の宿命と言うべきか、ちょうどジオン軍が乾坤一擲の逆転を求めてジャブローに攻撃してきた前後に宇宙に向かったんだよな。
当然の話だが、それ以後はルースやフォルドと連絡を取ることはなかった。
けど……なるほど。まさかここで共闘することになるとは、正直思っていなかった。
「どうやら向こうの話は信じてもいいみたいね。なら、その流れで話を進めてもいい? この部隊は本来の役目が微妙になったから、チェンバロ作戦に参加することになったらしいから、アクセル達を受け入れるのも問題ないらしいけど」
「ああ、それでいい。質はともかく、量ではホワイトベース隊よりも上みたいだしな」
第16独立戦隊とやらが、具体的にどれだけの戦力があるのかは分からない。
分からないが、それでもホワイトベース級の他にサラミス級もいるとなれば、戦力の数そのものはホワイトベース隊よりも多い可能性は十分にある。
もっとも、サラミス級はMSとかの運用は基本的に出来ない。
ジャブローにいる時に少し聞いた話だと、甲板の上にMSとかを置いて無理矢理運用するとか、そんな風な話を聞いた事はあったが……うん、まぁ、ちょっと無理矢理すぎるな。
「アクセルに問題がないのなら、話を進めるわね」
「そうしてくれ。……あ、ちなみに本来の役目ってのは?」
「さぁ? その辺は私も聞いてないわ。けど、それこそ向こうに合流すれば分かるんじゃない?」
そう言われれば、そうなのかと納得する事しか出来ない。
実際にそれは間違っていないだろうと、そう思ったし。
「分かった。なら、向こうに行ったらその辺の話を聞くよ」
知り合いがいるのだから、その辺りの話は早い筈だ。
それが軍事機密とかだったら、ちょっと問題だろうけど。
ともあれ、そうして話は決まり……俺は、早速この件について説明する為にガトーとノリスが訓練を行ってる場所に向かう。
実機訓練を行っている筈なので、ディアナの建物ではなくもっと別の場所で訓練は行われている。
元々このクレイドルは北海道くらいの大きさを持っている関係上、まだ人が住んでいない場所というのは多い。
それこそ、訓練を行える場所となれば幾らでもある。
とはいえ、農業や酪農をしていたり、マクロス世界から連れてきた未知の生物の生態系を崩さないようにというのを考えると、迂闊な場所で訓練をする訳にいかないのも事実だったが。
その辺の事情を考えると、幾らクレイドルが広くてもしっかりと訓練出来るような場所はそう多くないんだよな。
だからこそ、ルナ・ジオン軍はしっかりと訓練出来る場所を決めている。
チェンバロ作戦に参加するのなら、宇宙空間で訓練をした方がいいんだろうが。
ただ、毎回のように宇宙に出るのも時間が掛かるし、推進剤とかも必要になる。
……実際には、ルナ・ジオン軍ならその辺を全く気にしなくてもいいのだが、基本的にハワイにいるガトーやノリスにしてみれば、その辺は思うところがあるのだろう。
そうしてやって来た訳だが……
「アクセル代表? どうしました?」
俺の姿に気が付いたガトーが、驚きと共にそう言ってくる。
ノリスもまた、俺の姿を見た瞬間に休憩する為に座っていた状態から立ち上がり、敬礼してくる。
「ソロモン攻略作戦……チェンバロ作戦についての大まかな話が纏まったからな。それを知らせようと思って」
「それでわざわざ? 通信でもよかったと思うのですが」
そう言いながらも、ガトーは感謝の視線を向けてくる。
ガトーにしてみれば、上の立場の者が……それもシャドウミラーの代表という立場にいる俺が、わざわざそんな真似をするとは思ってもいなかったのだろう。
「お前達に知らせるだけじゃなくて、高機動型ギャンについて聞いてみたいと思ったしな。……で、どうだ? 本当に今更だが、このMSで問題はないか?」
「はい、これ程に素晴らしいMSを用意して下さったこと、感謝しかありません」
ガトーがそう答え、ノリスも問題ないといったように頷いてくる。
お世辞でも何でもなく、どうやら本当に満足しているらしい。
「満足しているようで何よりだ」
「はい。正直なところを言わせて貰えば、このMSを主力量産機にしてもいいのでは? と、思います」
「それは……難しいだろうな」
高機動型ギャンは、グフよりはバランスのいい機体ではあるが、それでもどうしても近接戦闘に特化しすぎている。
一応速射砲やミサイルと機雷が発射可能な盾といった射撃武器も存在するが、それは現在のジオン軍や連邦軍の主力量産機……ビームライフルやビームスプレーガンを持っているジムと比べると、どうしても劣ってしまう。
そうなると、どうやって敵の攻撃を回避しながら間合いを詰めるかといったことが重要になってくる訳だ。
それをやろうとすると、当然のように技術が必要となる。
ガトーやノリスを始めとしたエース級のパイロットならともかく、普通のパイロットでは非常に使いにくいMSなのは間違いない。
そしてルナ・ジオン軍の中には、そういう技量の持ち主が相当数いる。
何しろ、シーマの一件とかで感激して入隊してきた連中とか、結構な数がいるしな。
そういう新人が高機動型ギャンを乗りこなすのは、難しい。
あるいは、技量だけなら入隊してから今までMSの操縦訓練をしてきた影響で何とかなるかもしれないが……訓練と実戦はどうしても違う。
そう説明すると、ガトーとノリスの2人は残念そうな表情を浮かべる。
「なら、腕の立つ者達に……」
「そっちはそっちで、現在ディアナが開発中だよ。それこそ、高機動型ギャンよりも高い性能を持つMSをな」
「……そう、ですか」
ようやく諦めたのか、ガトーがそう呟く。
正直なところ、ガトーとノリスがそこまで高機動型ギャンを気に入るとは思わなかった。
チェンバロ作戦に参加する上で与えられたMSとして、今までずっと乗っていただけに、気に入ったというのもあるのだろうが。
そんな事を考えていると、通信の音が聞こえてくる。
その通信は、俺ではなくノリスの通信機。
「失礼します」
ノリスがそう言い、通信機に出る。
そして映像スクリーンを空中に表示させると、そこに映っていたのはアイナの姿だった。
不味いな。
そう判断し、俺はノリスから離れて映像に映らないようにする。
ノリスの側にいたガトーはそんな俺を不思議そうに見ていたが、俺はそろそろ行くとだけ短く言って、影のゲートに入り、その場から離脱する。
「……ふぅ」
アイナから通信があったという事は、恐らくだがその通信には奇跡の子供達も映し出されている筈だ。
今のアイナは、基本的に奇跡の子供達と……いや、正確にはフラガナン機関から助け出した子供達が住んでいる施設で暮らしているらしいし。
ともあれ、今の俺がニュータイプの可能性が非常に高い奇跡の子供達と……例え映像スクリーン越しであっても会うのは、不味い事になる可能性が高い。
直接じゃないから大丈夫だとは思いたいが、何しろ相手はコロニー落としを予言した相手だ。
セイラに近いニュータイプ能力を持っている可能性が高い以上、映像スクリーン越しであっても何らかの反応をする可能性があった。
そんな訳で、俺は今は出来るだけアイナとは会わない方がいいのだ。
……ガトーやノリスと会っておきながら、アイナとは駄目というのは色々と問題だが。
ともあれ、クレイドルの中でも人通りの多い場所まで転移してきたのだから、今は特に慌てるような事はない。
何か適当に買い食いでもしながら……そう思いつつ街中を歩いていると……
「げ」
視線の先にある店舗を見て、思わず声を出す。
その店舗は、クレープを売っている。
いや、それだけであれば、特に驚くような事もないだろう。
何だかんだと、クレープというのは皆が好きな食べ物なのだから。
だが……そのクレープの中にゴーヤクレープがあるとなると、話は変わってくる。
というか、俺が知ってるゴーヤクレープを売ってるのは屋台でだったのに、何故このUC世界においてはきちんとした店舗なんだ?
もしかして、ゴーヤクレープ……結構売れてるのか?
いやまぁ、別にゴーヤクレープ専門店って訳じゃないんだから、一般的に食べられる普通のクレープも売っててもおかしくはない、おかしくはないのだが……
「進化してやがる……」
もしかして、この先も今まで以上にゴーヤクレープは進化していくのか?
そんな思いと共に、そう呟くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1591