申し訳ありませんでした。
昨日の更新分2566話をまだ読んでいない人は、1話前から読んで下さい。
何だかんだと、ブリーフィングルームにいた面々との話は弾む。
勿論、サラミスから来てると思われる者達や、ガンキャノン隊の中でもこちらに敵意を持っているカークのような連中は、微妙な様子だったが。
それよりも驚いたのは……
「なるほど。ザクの操縦の癖にはそのような……」
「うむ。これは流体パルスモーターを使っている以上、どうしようもない。連邦軍系のMSはフィールドモーターを使ってると聞いたが?」
「ああ。とはいえ、違いは実際に乗ってみないと分からないだろうな」
ルースとノリスがそんな風に話しているからと思えば、ウェスリーやダリルはガトーと話していたりもする。
そうして話している中で……再び扉が開く。
扉から入ってきたのは、さっき俺達をここまで案内した、ミユと……このサラブレッドの艦長をしているキルスティン。
俺以外の面々……それこそ、ガトーやノリスまでもが、立ち上がって敬礼する。
「構わない。皆、楽に。……どうやらお互いの交流はそれなりに上手くいってるようだな」
こちらを見て、キルスティンはそう告げる。
実際にはまだこちらと打ち解けていないような相手もいるので、万全という訳ではないが……それでも、それなりにいい状況なのは間違いない。
「そうだな。こういう場を用意して貰ったのは感謝する」
「何、気にする必要はない。これから共にチェンバロ作戦に参加するのだ。ここでしっかりと打ち解けておいた方がいいからな」
そう言ったキルスティンの口には笑みが浮かんでいた。
今なら疑問に思っていた事を聞いてもいいか。
「少し聞きたい事があるんだけど、いいか?」
「何かな?」
「元々このサラブレッド隊はチェンバロ作戦に参加する予定はなかったと聞いている。何か、別の目的があったと。それは……もしかして、俺達を受け入れたから行動の予定が変わったのか?」
「いや、違う」
俺の問いに、即座に返ってくる言葉。
キルスティンの様子を見る限りでは、恐らく決して口から出任せといった訳ではないのだろう。
「違うのか?」
「うむ。……これは言ってもいいのかどうか微妙なところだが……簡単に言えば、サラブレッド隊の目的というのは月だ」
「月?」
ピクリ、と。
月という言葉が出た瞬間に、ガトーやノリスの視線が一瞬だけ鋭くなる。
それでも次の瞬間には普通の視線に戻ったのを思えば、今はキルスティンの話をしっかりと聞いておこうといったところか。
「勿論、月を攻撃するという意味ではない。この場合、問題なのは月にあるグラナダだ」
その言葉で、大体の意味を理解した。
グラナダは、突撃機動軍を率いているキシリアの拠点だ。
そして現在の連邦軍は、ソロモン攻略作戦であるチェンバロ作戦を行おうとしている。
それを思えば、サラブレッド隊が何を考えていたのかというのを予想するのは難しい話ではない。
「つまり、月からソロモンに援軍を送らせないようにしたかった訳か?」
「そうなる。だが……現在のグラナダは、突撃機動軍の本拠地ではなく拠点の1つでしかない」
「……だろうな」
普通に考えればすぐに分かるが、月はルナ・ジオンの領土だ。
そんな場所に突撃機動軍の本拠地を置くかと言われれば、否だろう。
特にキシリアは、かなり頭が切れる。
そうである以上、グラナダの危険性を察知し、本拠地を他の場所に移そうと考えても、おかしな話ではなかった。
俺が月に戻ってきた時に、ガイアから聞いたグラナダでの動きというのも実はこれに関係するものだったらしい。
個人的には色々と思うところがない訳でもなかったが、キシリアの立場になってみれば、そのような対応をするのはおかしな話ではなかった。
とはいえ、キシリアとしても未だに本拠地はグラナダにあると周囲に――俺達も含めて――思い込ませたいらしく、移動に関してはそこまで急いではいない。
とはいえ、キルスティンの話を聞く限りでは、連邦軍にその辺の情報は既に察知されていたようだが。
ちなみに現在の突撃機動軍の拠点は、ソロモンではなく、ア・バオア・クーでもなく、当然のようにサイド3でもなく……旧サイド5のデブリ帯の中に新たな拠点を作っているとか何とか。
具体的にそれがどこにあるのかは俺達にも分かってはいない。
この辺は、さすがキシリアといったところだろう。
自分の戦力がどれだけのものなのかを、こちらに想定させないようにしているといったところか。
「つまり、サラブレッド隊で月を封じても意味はない、と。そういう事か?」
「そうなる。だからこそ本来の任務から外されて、サラブレッド隊もチェンバロ作戦に参加する事になった」
その言葉には、強い説得力がある。
実際、連邦軍としては月と敵対する訳にもいかなかったんだろうし、もしキシリアが拠点を移していなくても、当初の予定とは違った任務になっていた可能性は高い。
この辺、キシリアが全てを読んだ上で行動していたのか、それとも念の為に行動していて結果的にそのような形になったのかは分からなかったが、ともあれキシリアの有能さを示していた。
「そうなると、これから真っ直ぐソロモンに向かうのか?」
「いや、ソロモンにいる敵を可能な限り分散させる必要があるから、少しの間はソロモンではなく、ソロモンから少し離れた場所で動く必要がある」
「それは、また……」
端的に言って、それって囮とか陽動という事か。
そう思ったんだが、ある意味で納得出来る理由ではあった。
基本的に、軍というのは集団行動をする必要がある。
そんな中で、ガンキャノン隊はともかくとして、ガンダム4号機、5号機、重装フルアーマーガンダム、高機動型ギャンといったように、搭載しているMSがここまで多種多様だと、寧ろ笑うしか出来ないだろう。
連邦軍の軍艦なのに、ジムが1機もないってのは……うん、色々とそれに関して思うところがない訳ではなかったが。
「指揮系統はこちらにあるので、出来ればルナ・ジオン軍にも従って欲しいのだが」
キルスティンの言葉に、ガトーとノリスの2人は俺に視線を向けてくる。
俺の判断に任せるといったところだろう。
そんな2人の視線を受けて、頷く。
これが色々と問題のある艦長であれば、話は別だった。
だが、まだ短いがキルスティンと接してみたところでは、性格的には問題ないと思えた。
能力的に問題がないかどうかというのは、それこそ今の時点では分からない。
だが、連邦軍にとって貴重な戦力であるセカンドロットのガンダム2機を……更には、ガンキャノンという、製造コスト的にかなり高い代物を3機も運用しており、サラミス級が2隻同時に行動しているこのサラブレッド隊を任されているというのを考えれば、まさか連邦軍としても無能な人材にそんな部隊の指揮を任せたりは出来ないだろう。
「そうだな。その辺は任せる。ただ……キルスティンの様子を見ればそんな心配もないだろうが、一応言っておく。指揮権をそちらに渡したとはいえ、決してどんな命令も従うという訳じゃない。例えば、俺達を捨て駒にしようとした場合は、独自に行動させて貰う」
そう言った瞬間、俺に鋭い視線を向けてきたのは、キルスティンでも、フォルド達MS隊でもなく……このブリーフィングルームにいて、まだ俺達と一言も言葉を交わしていないサラミスから派遣されてきた者達だった
どうやら、サラブレッドはともかくサラミス級の方は何か妙な動きをしないように注意しておいた方がいいな。
「分かった。その辺りについては考慮しよう」
キルスティンは俺の言葉にそう返す。
取りあえず、その辺は特に気にする必要はないといったところか。
「さて、それでは皆にはもう少し話を……」
「ちょっといいですか?」
キルスティンの言葉に、そう待ったを掛けたのはフォルド。
「どうかしたのかね?」
「艦長、俺はアクセルの実力はジャブローで知ってるけど、そっちの2人がどれくらいの実力を持ってるかは分からない。そうである以上、一緒に戦うというのは不安があります」
「つまり?」
「そちらの2人と、俺とルース。丁度2人ずつですし、歓迎会の意味も含めて模擬戦を提案します」
フォルドの言葉を聞いていた他の面々が、それぞれ驚きの声を上げる。
まさか、ここでいきなり模擬戦をしたいと口にするとは、思ってもいなかったのだろう。
……それは、俺にとっても同様の驚きだった。
そもそもの話、まさかここでそのような提案がされるというのは、俺にとっても完全に予想外だったのだ。
とはいえ、考えてみればそこまで悪い話でもないか?
チェンバロ作戦の発動が具体的にいつなのかというのは、俺も分からない。
だが、それでも1ヶ月も2ヶ月も先という訳ではないだろう。
つまり、このサラブレッド隊と一緒に行動するのはそう長い話ではないのだ。
だとすれば、ここで手っ取り早くガトーとノリスの技量を見せつけて、信頼を得ておくというのは悪い話ではない。
高機動型ギャンについての情報を連邦軍に奪われる事になるが、高機動型ギャンは今回の一件で偶然使う事になっただけで、別にルナ・ジオン軍の正式採用機でもなんでもない。
そうである以上、その性能がどのようなものなのか、連邦軍に知られても特に困るといった事はない……と思う。
勿論、現在ディアナで開発中のギャンの後継機的な存在が連邦軍に知られた時、高機動型ギャンの能力をベースに、それが具体的にどのような性能なのかを知られる事にはなるかもしれないが。
それは将来的な話だし、今の時点でそこまで気にする必要はないと思う。
総合的に見て、フォルドの提案は決して悪いものではない。
「分かった、引き受けよう」
「お、さすがアクセル。話せるね」
俺の言葉に、フォルドは嬉しそうに笑みを浮かべる。
それだけ自分の実力に自信があるのだろう。
実際、フォルドの操縦技術は破格。
そうでなければ、ガンダムのパイロットに選ばれたりはしないだろうし。
とはいえ……MSの性能という点では、高機動型ギャンはセカンドロットのガンダムよりも上だ。射撃武器の性能では負けてるけど。
そして操縦技術も、フォルドが連邦軍のトップエースの1人なら、ガトーとノリスもルナ・ジオン軍……いや、ジオン軍も含めてトップエースと言ってもいい。
その辺りの事情を総合的に考えた場合、勝者は恐らくガトーとノリスだろう。
もっとも、ルースがフォルドを上手くフォローすれば、意外と互角に戦えるかもしれないが。
「言っておくが、ガトーとノリスはルナ・ジオン軍の中でもトップエースと言ってもいい技量なんだぞ? フォルドとルースでも、そう簡単に勝てないと思うけどな」
半ば挑発の為にそう告げるが……案の定、その言葉を聞いたフォルドはやる気に満ちた視線をガトーとノリスに向ける。
「アクセル殿、いいのかね?」
キルスティンが確認の為にそう訪ねてくるが、俺はそれに問題ないと頷きを返す。
「フォルドの言う通り、お互いに相手の技量がどれだけのものなのか分からないと、協力するのも難しいだろう。それに、MSの特性や性能についても分からないと、連携をするのに困るだろうし。……ただし、模擬戦である以上、ビーム兵器の出力は最低限、実弾に関しては模擬戦用の物を使うのが絶対条件だ。それでいいか?」
最後の質問は、フォルドに向けたものだ。
フォルドはそんな俺の言葉に、すぐに頷く。
「分かった。その辺は問題ない。けど……俺達は模擬戦をやる事もあるから、模擬戦用のペイント弾を持ってきてるけど、そっちはどうなんだ?」
「問題ない」
まさか、こんなにいきなり模擬戦をやる事になるとは思わなかったが、それでも連邦軍の部隊と一緒に行動する以上、お互いに連携する為の訓練をする必要があるのは間違いなかった。
その時の為に、ペイント弾の類は当然ヤンマ級に詰め込んであった。
「なら……艦長」
「うむ。お互いが問題ないのなら、それもいいだろう」
キルスティンとしても、サラブレッド隊の指揮を執るという関係上、ルナ・ジオン軍のMSの性能は確認しておきたいのか、あっさりとそう告げる。
「じゃあ、俺達は早速艦に戻って準備を調えるから、これで一度失礼させてもらう。……ガトー、ノリス、行くぞ」
『は』
ガトーとノリスは2人揃って短く返事をすると、俺と一緒にブリーフィングルームを出る。
「アクセル代表、その……本当にいいのですか?」
「ああ、問題ない」
サラブレッドの通路を移動中、そう尋ねてくるガトーにそう返す。
「今回の一件はいい機会だ。まだ、誰もガトーとノリスの実力を知らない以上、ここでしっかりとそれを見せつけておいた方がいい。ガトーとしても、名前を売るって点では、悪い話ではないだろ?」
元々がアイナとの結婚に関して、釣り合うだけの手柄を得る為の、チェンバロ作戦の参加だ。
そうである以上、ここで名前を売っておくのはそう悪い話ではない筈だ。
そんな俺の言葉に、ガトーは感謝の気持ちを込めて頭を下げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1591