転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2572話

 一斉に放たれたビーム砲を回避する為、重装フルアーマーガンダムのスラスターを全開にして移動する。

 当然そのような真似をすればスペースデブリによって装甲に傷がつくのだが、ビームの直撃を受けるのに比べたらこっちの方がまだ被害は軽い。

 そうして次々とスペースデブリを弾き飛ばしながら、重装フルアーマーガンダムと敵のMAの相性の悪さをつくづく実感する。

 正直なところ、あのMAと戦うのなら重装フルアーマーガンダムではなく、セカンドアーマーをパージしたガンダム7号機の状態のままの方が戦いやすい。

 そうなれば機体の大きさもかなり小さくなり、デブリ帯の間を縫うように移動するのは難しくなく、有線のビーム砲の攻撃を回避しながら、敵との間合いを詰めることが出来る。

 いや……その辺は今更の話か。

 元々俺はこの重装フルアーマーガンダムで実戦を行う為に、サラブレッド隊に合流したのだ。

 であれば、ここで相性が悪い、使いにくいと後悔するよりも、現状で何とかする方法を探した方がいい。

 ……また、MSの性能以外に足を引っ張ってるのは、やっぱり敵を撃破出来ないことだよな。

 このMAも研究資料として欲しいし、MAのパイロットも多分ニュータイプである以上、出来れば確保したい。

 その辺の理由もあって、思い切って攻撃が出来ないというのは、間違いのない事実だった。

 とはいえ……そのような状況だからといって、こっちも大人しく攻撃を受け続ける訳にはいかない。

 優先順位としては、MAよりもパイロットのニュータイプだ。

 MAの方はある程度破壊してもいいと判断し……こちらに向かって伸びてくるビーム砲に向かってこちらもまたビームライフルを撃つ。

 セカンドアーマーを装備したままでも、普通にビームライフルやビームサーベルの類は使えるのが、重装フルアーマーガンダムのいいところだよな。

 ただし、ビームライフルはともかく、ビームサーベルの方は下手に振り回すと重装フルアーマーガンダムに被害が及ぶから、その辺は気をつけなければならないが。

 ともあれ、発射されたビームライフルは有線ビーム砲を破壊することに成功する。

 一応、念の為にステータスを確認するが、当然ながら撃墜数が増えるということはない。

 もしかしたら……本当にもしかしたら、有線ビーム砲には誰か砲手が乗っていたのでは? と思ったのだが、どうやらそれは違ったらしい。

 その事に喜びつつ、改めてこのデブリ帯という場所は向こうのMAにとって有利な場所だと思い知る。

 デブリの間を縫うようにしてビーム砲を伸ばす以上、敵の攻撃がどこから来るのかというのは、分からない。

 しかも有線ビーム砲はそれなりの数があるので、1つ壊したところでダメージはない。

 いや、正確にはあるし、次々にビーム砲を破壊していけば、それは結果としてMAにダメージを与えられるだろうが……いや、そうだな。そっちの方がいいか。

 

「フルバーストだ」

 

 そう言い、狙いを付けてトリガーを引く。

 だが、当然このフルバーストはニーズヘッグでやる時のように圧倒的なまでの破壊力を生むような事はないし、何よりマルチロックオンとかも、実は出来ない。

 ギニアスが開発したアプサラス用のFCSを流用すれば、その辺も可能もしれないが……まぁ、今はいい。

 ともあれ、メガビームキャノンや腰のビーム砲、各種ミサイル、ビームライフル、グレネードランチャー、ビームスプレーガン……様々な攻撃が、次々と発射される。

 この辺り、一斉にではないのがFCSの未熟さを表している。

 いやまぁ、それでもこうして連続して放つ事が出来るという時点で結構凄いのだが。

 次々と発射された攻撃によって、ビーム砲や……そしてスペースデブリも破壊されていく。

 特にミサイルやグレネードランチャーの類は、スペースデブリに命中した瞬間に爆発する。

 だが、スペースデブリにぶつかって爆発したミサイルやグレネードは、そのスペースデブリを破壊し、破片を周囲に巻き散らかす。

 ある意味で散弾に近い状態になり、一撃で有線ビーム砲を破壊するようなことは出来ずとも、ビーム砲に多少なりとも被害を与えることには成功する。

 また、破片がケーブルに命中することによって、ビーム砲がMAの思いもしない方に向かって移動するという事もあった。

 勿論、メガビームキャノンから発射されたビームによって、破壊されたビーム砲も存在する。

 ともあれ、今の一撃でMAが攻撃手段の多くを失ったのは間違いない。

 ……あるいは、あのMAには俺も知らないだけで他にも何らかの武器が残っている可能性はあったが、その辺は特に気にしなくてもいいだろう。

 ともあれ、今は向こうを無力化し……そしてパイロットを確保するのが先だ。

 そう判断し、MAの本体に向かって進むと……

 

「何だ、それ」

 

 MAが砕けた。

 いや、正確にはMAを構成している部品がそれぞれ分解されたのだ。

 ……なるほど。妙に巨大なMAだと思っていたが、そういう理由からだったのか。

 いわゆる、ブロック式という奴なのだろう。

 そしてMAを構成しているブロックがそのまま脱出ブロックにもなっていると。

 とはいえ、5つに分解されたMAを見れば、どれにパイロットが乗っているのか分からない。

 また、敵のMAについてをしっかりと調査する為には、出来れば完品で入手したい。

 そうである以上、5つに分解されたブロックは全て集めておく必要があった。

 スラスターを使って距離を詰め、MAのブロック部分を集めていく。

 当然の話だが、脱出装置を兼ねている以上、何らかの推進機関を持っているのがパイロットの乗っているブロックだろう。

 向こうとしては、自分が乗っている部分を俺に判明させない為にこのような真似をしたのだろうが、スラスターを使って移動しているのを見れば、一目瞭然だ。

 ……せめて、自動制御を使って混乱させればよかったのにと思わないでもないが、今回の一件は向こうにとっても予想外だったのだろう。

 ブロックに分かれた影響で、当然のように攻撃力は落ちる。

 それどころか、分離したブロックで移動しながら攻撃してくるのは、1つだけだ。

 恐らくはこれがニュータイプか?

 もしくは、ニュータイプを逃がすべく、俺の注意を惹き付けたいのか。

 この辺はあのMAに複数のパイロットが乗っていたらという前提の話だが……あのMAの大きさを考えれば、パイロットが1人ということは、可能性としてはあまりないだろう。

 このニュータイプ用のMAが試作機でしかないという件も考えれば、ニュータイプ以外に技術者……もしくはフラガナン機関の研究者辺りがいても、おかしくはない。

 もっとも、こちらとしてはそれは助かるのだが。

 フラナガン機関の研究所についての情報は、是非欲しいし。

 そんな風に思いながら、取りあえず動いているブロックを集めていく。

 急いでいた為なのか、自動操縦の類がされているブロックはなく……こちらに向かって攻撃をしてくるブロック以外では、意図的にここから脱出しようとしているブロックの数は1つ。

 どうやら、俺の予想はそう間違っていなかったらしい。

 ともあれ、こちらに向かって攻撃をしてくるブロックの攻撃を回避しながら、ここから逃げようとしているブロックに追いつき、ビームライフルでスラスターを破壊する。

 宇宙を移動する以上、スラスターというのは絶対に必要なものだ。

 それが破壊されてしまえば、そのブロックはもう逃げる事は出来ない。

 ……とはいえ、アグレッシブな奴なら別のブロックに乗り移ろうと考えるかもしれないので、それに待ったを掛けるべく接触通信を送る。

 

「降伏しろ。そうすれば、命の保証はしよう」

 

 基本的に、ルナ・ジオンではよっぽどのことがなければ処刑はしない。

 何しろ、フラガナン機関の研究者でさえ、死刑にはなっていないのだから。

 もっとも、罪が重ければそれだけ長期間農作業をやる事になるし、コバッタや量産型Wがいるので、怠けるような真似も出来ないが。

 量産型Wは常にアップデートされているので、その実力はかなりのものだ。

 それこそ、UC世界の人間が生身で勝とうというのはまず無理だと確信出来るくらいに。

 何しろ、Fate世界で入手した金ぴかの細胞を使ったり、凛の協力によってガンド程度の魔術なら無詠唱で使えたり……うん、ぶっちゃけ量産型W1人で、軍事施設をどうにか出来るんじゃないかって思うくらいの強さは持つ。

 あくまでも生身での戦いに限定しての話であって、そこにMSとかが絡んでくれば、また話は別だが。

 

『……本当に?』

 

 接触回線で聞こえてきた声は、予想外の事に女の声だった。

 この女がニュータイプ……いや、有線のビーム砲を使ってるのは他のブロックなんだから、そう考えればこの声の主はフラナガン機関の研究者か、もしくはMAの開発者といったところか。

 

「ああ、本当だ。それと、あっちで俺を狙っている相手に対しても、降伏するように言ってくれると助かるな」

 

 フラナガン機関の研究者の女の乗っているブロックを盾にしている影響で、向こうからの攻撃は止んでいる。

 だが、それはあくまでも今の状況だからこその事であって、少しでも隙を見せれば、向こうはすぐにでもこちらに向かって攻撃してくるだろう。

 だからこそ、向こうのブロックに乗っているニュータイプには降伏して貰う必要がある。

 

『しかし、連邦軍を相手にシャリア大尉がそう簡単に降伏するとは思えない』

 

 連邦軍? と疑問に思い、すぐに納得する。

 俺が乗っている重装フルアーマーガンダムは、見るからに連邦軍系のMSだ。

 そもそもの話、ジオン軍にとってガンダムというのは悪夢の象徴と呼ぶべき存在だろう。

 逆に連邦軍にしてみれば、アムロや他のガンダム系MSの活躍もあって、英雄視されているのだが。

 まぁ、中にはガンダム系MSが活躍してチヤホヤされるのが面白くないと思う者もいるのだが、それは置いておくとして。

 

「安心しろ。サラブレッド隊は基本的に連邦軍の部隊だが、俺は月の人間だ」

『月の!?』

 

 女の声に驚愕の色が混ざる。

 ジオン軍の……それもフラナガン機関の人間にとって、月というのは最悪の存在だから無理もない。

 サイド6にあった研究所は、俺達の襲撃によって壊滅したんだし。

 

「そうだ。……お前はフラナガン機関の研究者だな?」

『……』

 

 その問いに無言を返す女。

 それだけ俺達を警戒しているのだろう。

 サイド6での一件があるのだから、その気持ちは分かる。

 分かるのだが……今は、あまり時間がない。

 このままここで時間を掛ければ、それこそサラブレッド隊の面々がやってくる可能性がある。

 一応戦利品についての所有権は主張出来るという事にしてあるが、実際にそれが守られるかどうかというのは……微妙なところだろう。

 特にフォルド辺りは色々と言ってきそうではあるし。

 

「安心しろ……と言っても安心は出来ないだろうが、今のお前に何が出来る? いっそ、俺達の捕虜にならない為に死んでみるか?」

『っ!?』

 

 死ぬというのを、本当に考えていたのか、それとも俺に言われて気が付いたのか。

 その辺りの事情は俺にも分からなかったが、女が息を呑んだのは間違いない。

 

「どうする? 一応言っておくが、サイド6で捕らえられた連中は別に死んだりといった事はしていない。子供達に酷い事をしていない研究者に限っては、月でニュータイプの研究を続けている者もいる」

『っ!?』

 

 その言葉に、女は再び息を呑む。

 この様子だと、恐らく捕らえられた研究者は全員殺されているとでも思ったか?

 

「子供達を虐待していた連中も、ニュータイプの研究はしていないが、農作業をしている」

『……え?』

 

 何を言われたのか分からないといった様子で、女が間の抜けた声を発する。

 うん、まぁ……その気持ちは分からないでもない。

 何故ニュータイプの研究をしていた者達が、農作業をする羽目になるのかと、そう思ったのだろう。

 

「月だからこその事情は色々とある。それで、どうする? 出来れば早く返事をして欲しいんだがな」

『……降伏するわ』

 

 10秒程の沈黙の後、そう告げてくる。

 よし、これで第一関門の突破か。

 けど、子供達を虐待していた連中も死刑にはなっていないというので大人しく降伏を選んだとなると、もしかしてこの女は子供達を虐待していたのか?

 その辺は少し不安があるが、セイラに会わせればすぐにでもその辺ははっきりとするだろう。

 ……寧ろ、この女が降伏を選択したのは、セイラという人類史上最高のニュータイプに興味があるからかもしれないな。

 いや、でもセイラがニュータイプだというのは公式に発表しているが、実際にどれくらいのニュータイプなのかというのは、公表していない以上、気にする必要はないか?

 そんな風に思いつつも、ともあれ俺は女の降伏を受け入れるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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