「は? それは本当か?」
フォルド達とのフォン・ブラウンの探索が終わって、明日にはサラブレッド隊と共に出撃するという事になっていたのだが……クレイドルに戻ってきた俺は通信でセイラに呼ばれ、いつものお茶会をする事になった。
なったのだが……そのお茶会でセイラから言われたのは、俺にとっても完全に予想外の内容。
「ええ。ジオン本国から流れてくる情報によれば、間違いなく本当よ」
多くのダイクン派がセイラの建国したルナ・ジオンにやって来たが、敢えてジオン公国に残って情報を集めている者もいる。
当然のように、政府に見つかれば非常に危険なのだが……それでもセイラの為になるのならということで、向こうの情報をこちらに流しているのだ。
そして、今回そのような連中は、とんでもない情報を月にもたらした。即ち……
「ジオン公国が連邦との和平を考えている、か」
紅茶を飲みながら、そう呟く。
今回もたらされた情報は、そんな爆弾のような危険を秘めたものだ。
とはいえ、以前から和平をと考えている者はジオン公国の中にもいた。
だが、当然ながら現在のジオン公国はザビ家が支配しており、和平をと言ってもそれが聞き入れられるような事はない。
そんな中で、それでもこのような情報が出て来たのは……今までとは違う、大物がその意見に賛成した為だ。
「まさか、ジオン公国の首相……ダルシア・バハロだったか? そいつが和平派に手を貸すとは思わなかったな」
そう、それこそが俺が驚いていた理由。
ジオン公国の首相というだけあって、今まで……少なくても俺がジオン公国に潜伏していた間は、ザビ家の傀儡といったような印象だった。
もしかしたら違ったのかもしれないが、これといった動きを何も見せていなかったのを思えば、余計にそう感じてしまう。
だが……セイラの言葉が真実であれば……いや、セイラがこう言う以上、間違いなく真実なのだろうが、ダルシアがそんな動きをするとは思わなかった。
あるいは、これもルナ・ジオンが建国された影響だったりするのか?
「そうね。でもアンリ達から聞いた話によると、戦争が始まった当初から和平については考えていたそうよ。……もっとも、それが実行出来なかったのも、事実なんだけど」
「今のジオンはザビ家の独裁みたいなものだしな」
とはいえ、この場合は独裁が悪い訳ではない。
独裁政治であっても、上に立つ者がしっかりと政治を行うのなら、それは非常に効率的な政治体制となる。
少なくても、衆愚政治になりやすい民主制よりはマシだろう。
別に民主制が悪いと言ってる訳じゃない。
ただ、民主制がしっかりとその効果を発揮するのは、あくまでも民衆1人ずつがしっかりと自分の考えを持って……例えばタレントだからとか、そういう理由で投票したり、表向きだけは綺麗事を言いながら、実際には隣国に国を売り払う売国奴のような存在に投票したりといったような事をしない民衆が必要となる。
つまり、民衆がもっとしっかりしなければならない。
……ましてや、このUC世界においてはコロニーの住民に選挙権はなく、連邦政府は絶対民主制と言われているのだ。
その辺の事情を考えると、正直UC世界の政治に期待を抱けという方が難しい。
ぶっちゃけ、今の月はある意味で理想的な政治体制なのかもしれないな。
「何? どうかした?」
「いや、セイラが月の女王になってよかったと思ってな」
「……いきなり何を言ってるの?」
俺の言葉に、戸惑った様子を見せるセイラ。
セイラにしてみれば、本来なら医者を目指していた筈が、色々とあり……シャアを止める為に、こうして一国の女王にまでなった。
それを思えば、月の住人にとっても幸運だったのは間違いない。
実際、セイラが月の女王になったことにより、多くの者が以前よりも幸福な生活を送っている。
後ろ暗いところのある者や、月を自分達の手に取り戻そうと考えているような奴については、また別の話だったが。
そういう連中は、既に月を脱出したか強制労働を行っている。
それでも、その手の連中を完全に排除したかと言えば、そうでもないんだよな。
「とにかく、和平についてよ」
そう告げるセイラの頬は、薄らと赤く染まっていた。
セイラって何気に褒められるのは慣れてないのか?
いや、でもセイラだぞ?
美人なのは間違いなく、その能力も一流。その上、ニュータイプ能力で相手が後ろ暗いところを考えていれば、それを読む事が出来る。
そんなセイラだけに、普通なら多くの者に褒められ、賛辞の言葉を言われているだろう。
それこそ、俺に少し褒められたくらいでそこまで照れる必要はないと思うんだが。
今そこを突けば、色々と問題になりそうだ。
なので、取りあえずその辺は置いておくとして……
「そうだな。で、正直なところ月としてはどうするんだ?」
「賛成か反対かで言えば、賛成よ。兄さんの件もあるし」
「だろうな」
今は戦争中であるが故に、シャアと接触するのは難しい。
何だかんだと、俺は接する事が多いのだが、シャアは俺に対してはかなり敵対的だしな。
セイラを騙している相手と、そんな風に認識されているのだ。
……正直なところ、シャアのその判断も決して間違っていない訳ではないんだが。
それだけに、下手に対応出来ないのが痛い。
ともあれ、戦争が終わればシャアも戦いを止める筈であり、セイラもシャアに接触する事が出来るだろう。
ただ、この場合の問題は……
「本当に和平が実現出来るのかって事だろうな」
「そうね」
俺の言葉に、セイラが紅茶に手を伸ばしながら頷く。
現在のジオン公国は、ザビ家が支配している。
そうである以上、首相という立場の者が和平を主張しても、それこそ最悪の場合はキシリア機関のようなその手の連中に暗殺される……何て事になっても、おかしくはない。
とはいえ、ダルシアとかいう首相も、それを承知の上でそう言ったのは間違いない。
であれば、今回の一件には何らかの勝算があっての事だとは思うが……どうだろうな。
ダイクン派がいればまだしも、現在ダイクン派の大半は月にいる。
サイド3にも残っているが、その数は少数だ。
今回の情報を送ってきた奴のように、情報収集の為の隠れダイクン派とでも呼ぶべき存在もいるが、そのような者達はそう簡単に姿を現したりはしないだろうし。
「そうなると、こっちから手を貸すのか?」
正直な話、もしルナ・ジオンがその気になれば、今の戦争を止めることは出来るだろう。
だが、ジオンは連邦に、連邦はジオンに強い憎悪を抱いている者も多く、そのような存在である以上、もしここで無理に戦争を止めても、後々までその禍根が残ってしまう。
とはいえ、このまま戦争を続けるのもどうかと思うが、この辺りの判断は難しい所なのは間違いない。
本当に戦争が嫌なら、宇宙なら月に、地球ならハワイに逃げてくればいいと思うんだが、世の中には生まれ故郷から離れられない者もいるし、人間関係の問題から、もしくは地元を離れている場所からの未来を不安に思ってとか、様々な理由で移動出来ない者も多いのだが。
そういうのは……心苦しいが、諦める事しか出来ない。
「それも難しいわね。そもそも、向こうが引き受けるとは思えないし」
「ジオンは特にそんな感じだよな」
ギレンやキシリアといった面々は、自分の実力に自信があるからこそ仲裁を受ける事はないし、何よりジオンにしてみれば独立が重要なのだから。
連邦にしても、ジオンの独立は認める事が出来ない以上、そう簡単に仲裁を引き受けたりはしないだろうが。
「ともあれ、そうなると……チェンバロ作戦の重要度が一段階上がるな」
「そうね」
俺の言葉に頷くセイラ。
チェンバロ作戦が成功して、ソロモンが連邦軍に奪われた場合、ジオン軍はかなり追い詰められる。
そうなれば、ギレンとキシリアにとっても非常に痛い。
……まぁ、キシリアの突撃機動軍は現在グラナダからどこか他の場所に本拠地を移そうとしているので、もしかしたらソロモンが落ちても特に意味はないと考えている可能性はあるが。
いっそ、ギレンとキシリアを殺してしまえば楽なんだと思うけど。
だが、ギレンやキシリアはザビ家の人間として前線に出て来る事はない。
いや、それが普通でガルマのように前線に出て来る方がおかしいのだが。
結果として、シャアによって謀殺されそうになったし。
俺のようにこの世界では殺されるような事がないのならともかく、ガルマは銃弾が当たれば死んでしまう普通の人間だ。
だからこそ、戦場でギレンやキシリアを殺すのは難しい。
……なら、いっそ暗殺でもするか?
そう考え、すぐに首を横に振る。
もし暗殺といった風になれば、ザビ家の信者が暴発してもおかしくはない。
連邦軍が殺したという事で、絶対に和平を結ぼうとは思えない筈だ。
暗殺なら、ギレンとキシリアがどこにいるのかが分かれば、すぐにでも出来るが、そんな理由で暗殺は無理だ。
「正直なところ、こちらから戦力を出すのはサラブレッド隊に参加する人達だけのつもりだったけど……和平が関わってくるのなら、ジオンの強硬派に対する為に戦力を出すべきかしら」
「そうなれば、楽になりそうな気はするだけどな。それに……ルナ・ジオン軍の実力を連邦軍に見せつけるという意味でも同じだし」
「あら、でも一応連邦軍は月に攻めて来た時や、ルナツーの件もあって、こっちの実力は十分に知ってるのではなくて?」
「大抵が知ってるだろうけど、人から話を聞いたりするだけではなく直接自分の目で見るというのも重要だろ?」
結果としては同じでも、自分の目で直接見たのと、人から話を聞いたのでは受ける印象は大きく違う。
上層部だけではなく、現場に出る兵士達も自分達の目で見れば、それは大きな抑止力となる。
連邦軍が月に敵対しようとしても、ルナ・ジオン軍の実力を知っていれば現場の士気は上がらない。
それ以外にも、連邦軍に恩を売るといったような意味はある。
「分かりました。アンリに相談してみましょう。……けど、急にとなると、どこまで戦力を派遣出来るかは分からないわよ?」
そのセイラの言葉には、異論を口には出来ない。
実際、普通なら出撃する戦力を整えるのには相応に時間が掛かる。
事務処理や補給物資の準備にも、相応の時間が必要となる。
そうである以上、セイラが言うようにすぐに全軍出撃などという真似は出来ない。
これがシャドウミラーなら、何とでもなるだけど。
ただ、連邦軍のように巨大な組織ならともかく、ルナ・ジオンのような出来たばかりの国でそこまで出撃に時間が掛かるというのは少し問題だろう。
とはいえ、ルナ・ジオンの基本はジオン軍からやって来た者達がベースとなっている。
そうである以上、ジオン軍の構成そのまま持ってきたような形となっていた。
ジオン軍の独立戦争が行われている今はその辺をどうにかするのは難しい以上、この戦争が終わった後なら簡素化した方がいい。
「そうだな。まだ訓練不足の奴とかは戦場に出したくないから、一定以上の技量を持つパイロットだけにしておくのもいいかもしれないな」
青い巨星、黒い三連星、宇宙の蜉蝣……それと俺が言うのはちょっと何だが、月の大魔王。
そんな異名持ちのパイロットが出撃し、それ以外にもガトーやノリス、それ以外にも諸々の精鋭を引き連れてチェンバロ作戦に参加するとなると……うん、ジオン軍にしてみれば悪夢に等しいだろう。
とはいえ、ジオン軍にとってもソロモンは重要な防壁だ。
そうなれば、当然のようにソロモンには異名持ちのパイロットがいてもおかしくはない。
すぐに思いつくのは、ドズルの側近と言われている白狼シン・マツナガか。
他にも異名持ちではないが、精鋭は相応の数いる。
また、ソロモンを守るのは当然のようにギレンやキシリアも協力するだろうから、その辺りの強敵も集まる筈だ。
ジオン軍は質で、連邦軍は量で、ルナ・ジオン軍はその双方を活かした戦いをする事になるだろう。
あ、でも連邦軍のジムもビーム兵器がある以上は、兵器の質という点ではジムは結構高いな。
ただ、MSパイロットという事になれば、やっぱりジオン軍の方が上となる。
「その辺はこちらでも動いてみるわ。アクセルにも頼る事になるだろうけど……」
「俺の方は構わない。それが月の利益になるのなら、回り回ってシャドウミラーの利益になるだろうしな」
「……ありがとう」
笑みを浮かべ、感謝の言葉を口にするセイラ。
セイラにしてみれば、そこまで俺に頼るのは面白くはないんだろう。
だが、それでも今の月の状況を考えると、やはり俺に頼るしかない。
「気にするなって。それがセイラの為なんだから」
「え? それって……」
何故か俺の言葉に戸惑った様子を見せるセイラに疑問を抱きつつも、お茶会を続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1591