転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2582話

 ソロモン付近での戦いを行い、その戦力を減らしていくという行為が数日続き……いよいよ、本番の時となる。

 そう、チェンバロ作戦実行の時だ。

 

「けど、サラミスがいなくなるのは、少し不安だな」

「そうか? サラミスの代わりにホワイトベースが合流してくれるんだから、俺は寧ろ歓迎だけどな」

 

 サラブレッドの中にあるブリーフィングルームで、呟くルースにそう言葉を返す。

 ルースにしてみれば、サラミスは仲間という印象があるのだろう。

 そして実際、それは間違っていない。

 だが……それはあくまでもサラブレッド隊に対してだけであり、ここで何度か行われたブリーフィングでは、向こうは決してこっちに友好的な視線を向けてくる事はなかった。

 それどころか、露骨に警戒の視線を向けてすらいた。

 その辺の事情を考えると、やはり今回の一件は色々と思うところがあるのは間違いない。

 そんな連中がいなくなってくれるのだから、俺としては寧ろ歓迎だ。

 そして合流するのが、ルースに言ったようにホワイトベース。

 ……とはいえ、その辺りの事情は理解出来ないでもない。

 連邦軍にしてみれば、ホワイトベースやサラブレッドといった軍艦は、性能は高いがサラミスやマゼランといったような、現在の連邦軍の主力艦と一緒に行動するのは難しい。

 それなら、同じように高い性能を持つホワイトベース級同士で行動させようという事なのだろう。

 正確には、サラブレッドはホワイトベース級ではなく、ホワイトベース級準同型強襲揚陸艦という事なので、性能的に全く同じという訳ではないのだが。

 ただ、それでもサラミスやマゼランといった軍艦と行動を共にするよりはこっちの方が性能が似ている分だけいいと、そういう事なのだろう。

 そんな風に考えつつ、ルースやフォルドと話をする。

 ちなみに、ガトーやノリスもフォルドやルースとはそれなりに話すようになったし、ガンキャノン隊の方ともそれなりに話すようになったのだが……未だにカークだけは、厳しい視線をこちらに向けていた。

 うーん、カークの件は一体どうしたらいいんだろうな。

 一応戦場を共にしてるんだし、そろそろこっちに気を許してもいいと思うんだが。

 

「ホワイトベースか。……負けねえぞ」

 

 フォルドがそう呟くのは、以前アムロかユウかは分からないが、リックドム15機を倒したという件だろう。

 それによってライバル心を抱いたのはいいのだが、それが原因で妙なトラブルにならないといいんだが。

 そんな風に考えていると、やがてブリーフィングルームにキルスティンとミユの2人が姿を現す。

 

「集まってるな。何を話すかはもう分かってると思うが、サラブレッドはホワイトベースと合流してチェンバロ作戦に参加する事になった。それについての話だ」

 

 やっぱりかと、皆がそう思う。

 今回の一件においては、予想していた以上驚くべき事はない。

 であれば、問題なのは次に一体どのような行動になるのかと、そういう事になる。

 ……ホワイトベースもサラブレッドも、基本的に単艦、もしくは少数で動いてきた。

 そうなると、当然のように今回自分達がどのように動くかというのが問題になってくる。

 お互いが独自の動きのパターンを確立している為に、その摺り合わせが必要となる。

 

「また、今回の戦いには連邦軍だけではなく……」

 

 そこで一旦言葉を止めたキルスティンが、こちらに視線を向けてくる。

 そして数秒の沈黙の後、口を開く。

 

「ルナ・ジオン軍が協力する事になった」

『なっ!』

 

 俺とガトー、ノリス以外の面々……それこそルースやフォルドまでもが、俺の方に驚愕の視線を向けてくる。

 まさか、ここでルナ・ジオン軍が出て来るとは思ってもいなかったのだろう。

 にしても、セイラはやるって言ってたけど本当に準備を調えたんだな。

 この短い時間でここでまで準備を調える事が出来たのは、ルナ・ジオンの軍や政府の上層部にいる者は優秀な者が多い。

 そうである以上、妙な理由で足を引っ張ったりとかいった真似をしたりはしない。

 また、軍の規模も実際にはそこまで大きくはない以上、準備を調えるのは難しくはないのか?

 それ以外にも、コバッタやメギロート、量産型Wといった面々が活躍しているので、出撃準備も十分に発揮していた。

 

「アクセル、本当なのか?」

 

 フォルドの問いに、俺は頷く。

 

「ああ。連邦軍との友好関係を結ぶ為にな」

 

 取りあえず表向きの理由を説明する。

 ……いや、別にそれが全くの嘘という訳ではない。

 実際、連邦軍との間に友好的な関係を持ちたいと思ったのは、間違いではないのだから。

 特に前線で戦っている連邦軍の兵士にしてみれば、自分達と一緒に戦っているルナ・ジオン軍は非常に頼れる相手になる。

 であれば、そのような面々に対しては今回の一件は表向きとはいえ、しっかりとその意義は果たされる。

 それが表向きの理由である以上、当然のように裏の理由もあるのだが。

 月に対して妙な事を考えているような連中……特にジオン軍に対して有利になったということで、強硬派に転んだような奴に対する牽制だ。

 月の戦力を見せつける事で、妙な考えを起こしてもそう簡単に月に向かって攻撃は出来ない。攻撃しても、連邦軍に大きな被害が及ぶといったようなことを示す必要があった。

 とはいえ、それはあくまでも強硬派に対する理由であって、それ以外の……それこそ普通の相手に対しては特に問題なく、表向きの理由で十分に話が通った。

 

「はー……まさか、月がそんな行動に出るとは思わなかったな」

 

 俺が頷いたのを見て、フォルドが納得した様子を見せる。

 ……ただし、キルスティンの方は裏にある意味を理解しているのか、そこまで気楽な様子を見せてはいなかったが。

 今のこの状況を思えば、それも無理はない事だろう。

 だが同時に、チェンバロ作戦に月が参加するという事は、月がどれだけの戦力を持っているのかというのを知ることが出来るという意味でもある。

 連邦軍は月を攻めたり、ルナツーを襲撃されて占拠されたりといったようなことがあったが、それだけで月の戦力を知るのは難しいと、そう思っているのだろう。

 その理由が、連邦軍はこの短期間で次々と戦力を増強したというのがある。

 だからこそ、月もまた連邦軍と同じように短期間で戦力を増やしていると言われても、納得するしかなかったのだろう。

 ……特にサラブレッド隊の面々にしてみれば、ガトーとノリスの操縦する高機動型ギャンを見ているのだから、余計にそう思う筈だ。

 実際には、高機動型ギャンはあくまでもギャンの可能性を探るといった意味で試作されたMSでしかないのだが。

 その高機動型ギャンをベースにして開発されるのが、恐らくルナ・ジオン軍の中でもエース級が使用するMSとなるだろう。

 通常のザクに対するS型的な。

 ……まぁ、それでいくと通常のギャンも量産しないといけないのかもしれないが。

 

「ともあれ、知ってる者も多いだろうが、ホワイトベース隊はこれまで多くの活躍をしてきた部隊だ。純粋な戦果という意味では、このサラブレッド隊よりも上だろう」

 

 キルスティンのその言葉に、早速フォルドがライバル心を刺激されたのか、好戦的な表情を浮かべる。

 いっそ、ジャブローにいる時にフォルドをアムロやユウに会わせる事が出来ればよかったんだけどな。

 ただ、俺がフォルド達に初めて会った時、既に宇宙に行く準備が進められていたし、ジオン軍がジャブローを襲ってきた後には、すぐ宇宙に旅立ってしまったしな。

 その後には、改修中のホワイトベースから少し離れた場所にシミュレータを設置して、エイガーがアムロを含めたホワイトベース隊の面々と模擬戦を行ったりしてたんだが。

 そう言えば、エイガーは一体どうしたんだろうな。

 ガンダム6号機のマドロックは、かなり高性能な機体だ。

 特に地上で使う分には、あのホバー移動はかなり大きな意味を持つだろう。

 ……もっとも、問題なのはそれを使いこなす技能なのだが、その技能もエイガーの場合は十分にある。

 ましてや、アムロやユウ、それ以外にもホワイトベース隊の面々と模擬戦をしたり、俺と一緒に北米に援軍に行ったりと、かなり派手に動いていた。

 それを思えば、エイガーの操縦技量は俺がジャブローからいなくなった後でもしっかりと磨かれている可能性は高い。

 何しろ、エイガーは力を求めていたしな。

 ジャブローがジオン軍に襲撃された時、エイガーはシャアによって一方的に負けてしまった。

 それ以来、エイガーは力を求めるようになったのだ。

 俺が別れた時の様子を見る限りでは、上手く行けばこの戦争が終わった後で連邦軍を抜けて月に来るという可能性は十分にあった。

 とはいえ、エイガーはガンキャノンの開発にも参加した人物だ。

 それはつまり、連邦軍にとっても最高機密と言えるV作戦に参加しているということを意味している。

 その上で、現在はガンダムのセカンドロットの1つ、マドロックのパイロットを行っている人物な訳で……ぶっちゃけ、連邦軍にとっては多数の機密を知っている人物という事になる。

 セカンドロットの整備とかをしていたメカニック達……特にその纏め役の親っさん辺りもそうだが、そのような者達が簡単に連邦軍を辞められるかというのは……微妙なところだ。

 

「アクセル、お前から見てどうなんだ? 本当にホワイトベース隊はサラブレッド隊よりも戦力的に上なのか?」

「……また、微妙な質問だな」

 

 フォルドの問いに、どう答えるべきか悩む俺。

 ちなみに、ルースやガンキャノン隊の面々やミユ……それにキルスティンまでもが、フォルドの質問に俺がどう答えるのかというのを、興味深そうに見ている。

 まさか、キルスティンまでもがそんな視線を向けてくるとは思わなかった。

 

「単刀直入に言われるのと、婉曲的に言われるの。どっちがいい?」

「そりゃあ、単刀直入な方に決まってるだろ」

「圧倒的にホワイトベース隊だ」

 

 フォルドの言葉に、即座にそう告げる。

 単刀直入という事だったので、一切のフォローなしで。

 

「なっ!?」

 

 だが、それを聞いたフォルドは信じられないといった表情で座っていた倚子から立ち上がる。

 もしかして、自分達の方が上だと思っていたのか?

 

「繰り返すが、圧倒的にホワイトベース隊の方が上だ。MSの性能差だけなら、そこまで差はないと思う」

 

 MSの数だけなら、ホワイトベースの方が上だろう。

 だが、サラブレッド隊のMSはガンダムが2機に、ガンキャノンが3機だ。

 ガンダムが2機というのは同じだが、ガンキャノンの数が3機な分、MSの質ではサラブレッド隊の方が上だろう。

 しかし……パイロットの技量となれば、これは圧倒的にホワイトベース隊の方が上だというのが、俺の純粋な意見だ。

 これは何も根拠がなくての事ではなく、純粋にジオン軍との戦いの中で俺がルースとフォルドの戦いを見ての感想だ。

 勿論、最初にアムロがガンダムに乗った時に比べれば、フォルドの方が上なのは間違いない。

 だが、幾度となく激戦を繰り広げてきたアムロは実戦の中で急激に成長してきた。

 それこそ、赤い彗星の異名を持つシャアと戦っているのだから、実力を伸ばさなければ死んでいただろう。

 また、ニュータイプ能力も俺との接触が関係しているのか、戦いの中でその力を覚醒させていった。

 俺がジャブローでホワイトベースから降りる時は、今のフォルドより明らかに強かったのは間違いない。

 もう1機のガンダム……ブルーデスティニー3号機のパイロットのユウは、シミュレータ……EXAMシステムを使えない状態であっても、アムロと互角に戦えるだけの実力を持つ。

 それ以外にも、ガンキャノンとしてはサラブレッド隊のガンキャノン隊の誰よりも腕が立つカイや、その性格から強くなる事に執念を燃やすヤザンといったように、精鋭と呼ぶに十分な者達は多い。

 また、ガンタンク隊や具体的にどのくらいの技量があるのかは殆ど確認出来なかったスレッガーといった面々もいるが、そちらも最低限の技量は持っていると言ってもいいだろう。

 だからこそ、サラブレッド隊とホワイトベース隊を比べた場合、ホワイトベース隊の方が上という評価になる。

 ちなみにガトーとノリスの2人もサラブレッド隊のパイロットよりも技量が上だが、アムロには若干届かないといった感じの技量か。

 それでも、十分に強いのだが。

 

「……分かった。なら、ホワイトベース隊と一緒に戦うのを楽しみにしてるよ。アクセルがそう断言するだけの実力があるのなら、それこそこちらとしても楽しみに出来るし」

 

 俺の言葉の全てを完全に納得した訳ではなさそうだったが、フォルドはそれ以上ホワイトベース隊が自分達よりも上だと断言された事に文句を言う様子はなく……ブリーフィングは、順調に進むのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1075
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1594

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