格納庫でのキルスティンとブライトの会話が一段落すると、今度は全員でブリーフィングルームに向かう事になる。
当然の話だが、ソロモン攻略の為のチェンバロ作戦についての打ち合わせをする為だ。
聞いた話によると、連邦軍からどこに攻め込めといったような命令は受けているらしいが、基本的にはキルスティンの判断に任されているらしい。
これもまた、ミノフスキー粒子の弊害だな。
もしミノフスキー粒子がなければ、それこそいつでも通信で指示を送るといったような真似が出来る。
だが、UC世界における戦争では、ミノフスキー粒子の散布が既に大原則となってしまっている。
そうなると、ミノフスキー粒子が消えるまでは通信が繋がらなくなってしまう。
ミノフスキー粒子のない場所まで移動すれば通信も可能かもしれないが、戦闘中にそんな真似はそう簡単に出来ない。
そうである以上、現在のUC世界において艦長という立場は非常に大きな意味を持つのだ。
ぶっちゃけ、ブライトが艦長をしているのも、実績を示していて有能であると見せているのが大きい。
「さて、チェンバロ作戦についてだ」
ブリーフィングルームにおいて、ブライトを横に控えさせたキルスティンがそう告げる。
映像モニタには、ソロモンの姿が映し出されている。
「チェンバロ作戦において、攻略するのはジオン軍の中でも最大級の要塞の1つ、ソロモン。現在はドズル・ザビ率いる宇宙攻撃軍の本拠地で、かなり大規模だ。当然のように、その防衛力も高い」
その言葉に、話を聞いていた皆が真剣な表情で頷く。
実際、ジムを採用した連邦軍にとっても、正面からソロモンを攻略しようとすれば被害は大きい。
この先……ジオン軍にとっての最終防衛戦たるア・バオア・クーや本拠地のサイド3での戦いを思えば、連邦軍としては戦力は可能な限り節約したいと思っても間違いはない。
であれば、何らかの作戦を考えようとするのは間違いない。
一体、どんな策を考えてきたのか。それはかなり気になる。
「本隊の方では、ソロモンに対する攻撃において何らかの考えがあるらしい。……残念ながら、その辺りの情報はこちらに落ちてきていないので、分からない」
「分からないのか?」
呟く俺の声が聞こえたのか、キルスティンは頷く。
「そうだ。だが、それは珍しい話ではない」
俺に向けてではなく、ブリーフィングルームにいる面々全員に向かってそう告げる。
だが、その言葉には納得出来ている者もいれば、納得出来ていない者もいた。
キルスティンにとっても、その辺は理解出来ているだろう。
だが、それでもキルスティンは言葉を続ける。
「軍人である以上、命令に従うのは当然の事だ。また、連邦軍の方でも我々を捨て駒にするつもりはないと断言出来る」
だろうな。
そのキルスティンの意見には、俺も心の底から同意する。
ホワイトベース隊とサラブレッド隊。
その双方に、最新鋭機のガンダムが複数存在しており、そのデータは連邦軍にとっても是非欲しいものだろう。
また、連邦軍が俺達を捨て駒に出来ない最大の理由として、俺がいる。
俺は物理攻撃でどうこうなるような事はないが、連邦軍の上層部はそれを知らない。
そうである以上、俺を殺すような真似をすれば、月と……何より、シャドウミラーを敵としてしまうのは間違いない。
であれば、今回の一件においてこの部隊を捨て駒にするとは思えなかった。
何より、シャドウミラーがどれだけの実力を持っているのかというのは、それこそ多くの者が自分の目で見て知ってるのだから。
具体的には、俺がグラナダを攻略する時の映像がそれだ。
ニーズヘッグはあくまでも俺の専用機で、シャドウミラーのフラグシップ機で、更には技術班の面々が新技術を得た時にそれを試す為の機体でもある。
あらゆる意味で、ニーズヘッグはシャドウミラーの中でも特別な機体だし、連邦軍やジオン軍の者達もそれは分かっているのだろうが……それでも、見せた実力差は圧倒的だった。
その結果として、シャドウミラーには迂闊に手出しをしないと考えるようになったのだ。……強硬派の面々の件は例外的な感じだったが。
ともあれ、今の状況を考えると俺のいるこのサラブレッド隊とホワイトベース隊を捨て駒にするという選択肢は、考えなくてもいい。
もしそのような真似をした場合、それこそ最悪の結果が待っているのだから。
「そして、チェンバロ作戦における我々の行動だが……単純に言えば、以前までサラブレッド隊がやっていた行動をより大規模にする事だ」
「それはつまり、陽動ですか?」
ハヤトの質問に、キルスティンは頷く。
本隊の方では何らかの手を持っているという話だったから、それを考えると……その手段をジオン軍に察知させない為に、俺達が派手に動く必要があるという事か。
勿論、ソロモン全体の注意をこちらに向けるとなると、それを行うのは俺達だけではなく他の部隊もまた同様に陽動をすることになるのだろう。
ソロモンとしては、陽動であると知っていてもある程度の戦力は派遣する必要がある。
そして戦力を派遣した後で、その戦力がすぐに撃破されたとなると……どうしても追加の戦力を派遣する必要があった。
とはいえ、それはあくまでもジオン軍が派遣してきた戦力に勝てたらの話だ。
サラブレッド隊とホワイトベース隊に関してはその心配をする必要はないだろう。
全体的に見て、連邦軍の中でもトップクラスの腕利きが多く揃っているのだから。
だが……他の部隊は一体どうなるかというのは、この場合問題だった。
何しろ、ソロモンにいるのは間違いなくジオン軍の主力の一つだ。
その割には、ソロモンの戦力を削る時、何を思ったのか新人だけで構成された部隊を送ってきたり……といったような事もあったが。
それを思えば、恐らくソロモンにいる宇宙攻撃軍も一枚岩という訳ではないのだろう。
何らかの理由で邪魔になったり、もしくはたんなる苛めなのかもしれないが、人が多く集まっている以上、どうしてもそんな事が起きてもおかしくはない。
そのような事態があっても、敵が強いのは変わらない事実だ。
連邦軍もそれが分かっている以上、陽動には相応の戦力を用意するだろうが……だからといって、そちらに戦力を集中すると連邦軍の主力が戦力不足になってしまう。
だからこそ、陽動に出せる戦力は少ない。
ただ、正直なところ、連邦軍が考えている奥の手ってのが一体どんなものなのか分からないというのは痛い。
一応こっちを捨て駒にしたりはしないと理解しているものの、それも絶対とは言い切れないのだから。
そうである以上、こちらとしてはある程度……本当に万が一の事を考えて警戒する必要があった。
「陽動という事は、以前までと違ってソロモンから隠れるように戦わなくてもいいんですよね?」
フォルドの言葉に、それを聞いていた者達の視線がキルスティンに向けられる。
そして、当然のようにキルスティンはそんな質問に頷く。
「そうだ。陽動なのだから、ソロモンの戦力をこちらに引き寄せる必要がある。他にも同様の任務を受けている部隊は多数いるだろうが……正直なところ、全ての部隊の中で我々が最高戦力であるのは間違いない。そうである以上、こちらとしても相応の働きをする必要がある」
その言葉は、間違いのない事実だった。
ぶっちゃけ、サラブレッド隊とホワイトベース隊という2つの部隊を合流させるというところに、連邦軍上層部の意図を感じる。
向こうにしてみれば、これだけの戦力を用意したのだからソロモンの注意をこれ以上ない程に引き付けろと。
そんな風に思っているのだろう。
とはいえ、連邦軍ではなく、あくまでも協力しているという立場の俺の重装フルアーマーガンダムを合わせれば、全部で5機ものガンダムがこの部隊には集まっている。
また、ガトーとノリスが操縦する高機動型ギャンも、純粋なスペックで考えればガンダムに勝るとも劣らないだけのものがあった。
それ以外にも、ルナ・チタニウム製の装甲を持つMSが多く存在している以上、ソロモンにいる宇宙攻撃軍の中で相手になるのは、それこそゲルググとかの最新鋭機だけだろう。
勿論、ルナ・チタニウム製の装甲であってもバズーカ系やヒートホークといった武器で被害を受けるのは間違いないから、油断出来るようなことではないのだが。
「それは俺にとっても助かるな。今まで、何だかんだと重装フルアーマーガンダムの性能を発揮出来るような時はなかったからな」
これまでは、あくまでもソロモンの戦力を削るというのが目的だった。
だが、そのような真似をするとなると、当然のようにあまり目立った戦いをする事は出来ない。
結果として、暗礁宙域……とまではいかないが、デブリの多くある場所で戦うといったようなことになり、半ばMA的な性能の重装フルアーマーガンダムの性能を最大限に発揮は出来なかった。
だが、今回のチェンバロ作戦においては、目立つ事こそが重要なのだ。
つまり、重装フルアーマーガンダムの実力を思う存分発揮出来る。
「そうしてくれると、連邦軍としても助かりますね」
俺に対してだけある程度丁寧な言葉遣いをするキルスティンに、ブライトを含めてホワイトベースの面々は不思議そうな視線を向ける。
まぁ、今の状況を思えば、そんな風に思うのは当然だろう。
サラブレッド隊の面々は、既にそんなやり取りに慣れているのか、特に気にした様子はなかったが。
ともあれ、キルスティンの言葉遣いがどうあっても、重装フルアーマーガンダムがその実力を発揮すれば、それだけサラブレッド隊やホワイトベース隊の被害が少なくなるのは間違いない。
そうである以上、キルスティンにしてみれば俺に最大限活躍して欲しいといったところか。
ガトーも、ここで活躍をすれば名前が知られるようになり、サハリン家に対する婿入りが問題なく進むようになる……筈だ。
その辺り、他にも色々と面倒な事はあるのだろうが。
「それと、既に多くの者は知ってると思うが、チェンバロ作戦にはルナ・ジオン軍も参加する。こちらも、我々と同じく陽動に参加することになっている。……もし戦場で遭遇しても、くれぐれも攻撃するような真似はしないように」
「ちなみに、ルナ・ジオン軍のMSは基本的にジオン軍とは違うMSを使ってるので、見間違いの可能性はまずないと思う」
主力機のヅダについて説明する。
それと、ついでにガトーとノリスの遣っている高機動型ギャンも映像モニタに表示すると……
「え!?」
何故か高機動型ギャンを見たアムロの口から、そんな驚きの声が漏れた。
「どうした?」
「あ、いえ。その……このMSと似たMSと戦った事があったので」
「……そうなのか? このMSは高機動型ギャン。多分アムロが戦ったのは、通常のギャンだろう。そもそもギャンはジオン軍の新型MSのゲルググとのコンペに負けたから、製造されている数はそんなに多くない筈なんだが」
考えられる可能性としては、それこそコンペに使った機体をアムロと戦った相手が持っていったか……もしくは、ツィマッド社に何らかのコネがあって、それで製造して貰ったかといったところだろう。
とはいえ……そのような真似をするという事は、当然のようにMSの操縦技術に自信があっての事なんだろうが、それでよく通常のギャンを使おうと思ったな。
高機動型ギャンでは速射砲を装備したが、通常のギャンの射撃武器は盾の小型ミサイルと機雷しかない。
近接戦闘能力はゲルググに勝っているようだったが、それでもMSの戦闘では射撃戦が主だ。
本当に腕の立つ者だったり、それこそコロニーの中での戦いなら、ビームライフルの類は使えないだろうが。
だが、一般的な戦いにおいて射撃武器というのは非常に重要だ。
その射撃武器を蔑ろにして開発されたギャンは……ぶっちゃけた話、ツィマッド社としても本気でコンペに勝つ気はなかったのだろう。
そもそもの話、ゲルググの開発にもツィマッド社は協力しているのだから。
恐らくは半ば趣味……という言い方は悪いので、自分達の技術力を発揮する為に、ギャンを開発した……というのは、深読みか?
「ともあれ、ギャンはジオン軍では却下されたMSだから、ジオン軍が使ってくる事はない。ジオン軍が使ってくるのは、ザク、ドム、ゲルググといったところだ。その上、ゲルググは量産が開始されてからまだそれ程時間が経っていない事もあって、数は多くない。やっぱり注意すべきはリックドムだろうな」
宇宙でのリックドムは、その高い推進力と命中すれば強力な攻撃力を持つジャイアントバズだろう。
一撃でも命中すれば、ルナ・チタニウム製の装甲であっても破壊出来るだけの威力を持っている以上、リックドムの攻撃は回避する必要がある。
ブリーフィングルームにいる面々に、俺はそう説明するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1075
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1594