映像モニタでは、灰色のガンダムがジャイアントガトリング砲の弾丸を回避しながらビームライフルを撃ち……そのビームはガンダム5号機を貫くと、シミュレータは終了する。
「あの灰色のガンダムがアムロの新しい機体か。……正直、見た目以外は今まで使っていたガンダムとそう違いがあるようには思えないけど」
「マグネットコーティングって技術で、機体の追従性が以前と比べて段違いらしい。正直なところ、あのガンダム……G‐3ガンダムに乗ったアムロは手がつけられねえよ」
俺の隣で模擬戦の様子を見ていたヤザンが、悔しそうに告げる。
ヤザンにしてみれば、アムロが自分よりも強いというのが許せないのだろう。
……もっとも、それは以前からそうだったのだが。
だが、今はアムロの能力に相応しい新型のガンダムを使う事により、その差は更に開いてしまった。
それがヤザンには悔しいらしい。
「チェンバロ作戦に参加する上で、戦力が充実したのは利益の方が大きいだろ? ……と言っても、それで納得は出来ないか」
俺の言葉に、ヤザンは当然だといった様子で頷く。
「ガトー、やってみるか? アムロは正真正銘、現在連邦軍で……いや、UC世界全体で見ても、間違いなくトップクラスのパイロットだ」
「やってみたくはありますが、MSのデータを入力するのに時間が掛かりすぎますし、操縦システムの違いもあります。そうなると、実機を使った模擬戦しかありませんが」
あー、なるほど。言われてみればそうか。
シミュレータを使うには、当然の話だがMSのデータを入力する必要がある。
そうなると、連邦軍に高機動型ギャンのデータが渡るのは確実だった。
勿論、一緒に行動する以上、チェンバロ作戦で高機動型ギャンのデータが多少なりとも連邦軍に渡るのは間違いない。
というか、サラブレッド隊と行動を共にしている以上、既にある程度データを取られてはいる筈なんだが。
だが、映像でデータを取るのと、直接本当のデータを入力するとなると、当然のように正確性は違ってくる。
……まぁ、高機動型ギャンはディアナの技術者がギャンという機体を理解する為に製造した機体であり、高機動型ギャンそのものを量産する訳ではないので、実際にはそこまで気にする必要はないのかもしれないが。
「実機を使った模擬戦か。……やるなら、キルスティンに話を通すが?」
「いえ、止めておいた方がいいでしょう。これからの事を考えると、連邦軍にギャンのデータは渡さない方がいいと思いますので」
ガトーの言葉に、横で話を聞いていたノリスも頷く。
そんな2人を見ていると、やがてフォルドとアムロがシミュレータのコックピットから姿を現す。
アムロが少しだけ申し訳なさそうな様子を見せているのは、フォルドの様子がシミュレータのコックピットの中からでも分かっていたからだろう。
とはいえ、フォルドも自分が負けたのは事実である以上、アムロに不満をぶつけるといったような事はない。
この辺は潔いんだよな。
「なら、高機動型ギャンの性能に関しては、チェンバロ作戦で直接見せる事になりそうだな」
「そうですね。明日……ですか」
意味ありげなガトーの言葉。
そう、チェンバロ作戦の開始は明日に迫っている。
そうである以上、今は模擬戦をやらずに休んでいた方がいいのかもしれないが、これまで一緒に行動していなかったサラブレッド隊とホワイトベース隊だ。
お互いの実力をしっかりと理解する必要があるのは間違いないという事で、シミュレータで模擬戦を行っていた。
ちなみに、現在俺達がいるのはサラブレッドではなくホワイトベースだったりする。
配備されているMSが多いだけに、シミュレータは当然のように多くあるというのが理由だ。
サラブレッドの方にもMSは5機いるが、ホワイトベースの方は……うん、サラブレッドとは比べものにならないくらいに多いしな。
その辺の事情を考えれば、ホワイトベースでシミュレータを使って模擬戦をやるって話になっても、おかしくはない。
「なぁ、アクセル。そっちの2人もかなり強いんだろ? なら、俺と模擬戦をさせてくれよ」
ヤザンがガトーとノリスを見ながらそう言ってくるが、残念ながらその言葉に頷く事は出来ない。
「言ったと思うが、ガトーとノリスが使っているMSはルナ・ジオン軍のMSだ。ホワイトベースのシミュレータにデータはないし、そのデータを入力する訳にもいかない」
高機動型ギャンの詳細なデータを渡すつもりはないと言うと、ヤザンは心の底から残念そうな表情を浮かべる。
浮かべるが……それでもデータを入力して模擬戦をやれと言ってこないのは、俺と別れてからヤザンもある程度成長したという証なのかもしれないな。
とはいえ、本人がそれを認めるかどうかは、また別の話だが。
そして……当然ながら、ヤザンはその程度で素直に引き下がる様子はない。
「なら、アクセルはどうだ? そっちの2人のMSはルナ・ジオン軍の機密なんだろうが、アクセルの重装フルアーマーガンダムは元々連邦軍製だろ? なら、問題ないと思うが?」
ヤザンが俺の方に向けてそう言ってくる。
俺? と思ったが、考えてみれば俺がジャブローで模擬戦をやってた時は、素の状態のガンダム7号機か、フルアーマーガンダム7号機の状態だった。
つまり、現在の俺が実戦テストを行っている重装フルアーマーガンダムの状況では、戦った事がない。
ヤザンの性格を思えば、重装フルアーマーガンダムと戦ってみたいと思うのは、当然だった。
「そうだな。なら、俺もやるか。……丁度いい。俺の操縦する重装フルアーマーガンダムと模擬戦をやりたい奴はいるか? もしいるのなら、データを入力するまでに決めておいてくれ」
そう告げると、多くの者達がやる気に満ちていた。
少し驚いたのは、ホワイトベース隊の方でも結構その気になっている者がいたという事か。
何しろ、俺と1対1では模擬戦をしないと言っていたアムロまで、その気になっているように見えたのだから。
うん、ちょっとやりすぎたか?
とはいえ、重装フルアーマーガンダムでどれだけ戦えるのかというのは、ちょっと見ておきたいし。
……もっとも、実機ではなくシミュレータなので、色々と本物とは違うところが多いんだが。
一応重装フルアーマーガンダムは、ディアナの技術者によって調整されているので、シミュレータをやればその辺りのデータを渡す事になるのだが、高機動型ギャンのデータを渡すよりはいいだろう。
そうして俺はヤンマからディアナの技術者を呼んで重装フルアーマーガンダムのデータを入力し……
「結局このメンバーか」
模擬戦に参加するのは、フィリップ、ヤザン、ルース、フォルド、カイ、スレッガーの6人。
今回の作戦に参加するMSパイロットの中でもトップクラスとまではいかないが、間違いなく精鋭と呼ぶに相応しい面々。
いや、スレッガーは何気にMSの操縦技術はそこまで高くはない以上、全員が精鋭と呼ぶのは無理があるか?
ただ、基本的にMSというのは3機で1小隊だから、6機で2小隊といったところか。
アムロやユウのような、本当の意味での精鋭が参加しなかったのは何でなんだろうな。
無表情のユウはともかく、アムロは結構やる気だったと思うんだが。
ともあれ、アムロとユウが参加しないのならこちらにとっては有利な点だろう。
「よし、じゃあ始めるか。ただし、戦場はこっちで決めるぞ。宇宙空間だ。スペースデブリとかはそこまで多くはないから、そのつもりでな」
そう言い、シミュレータの中に乗り込む。
当然のように、シミュレータは基本的な連邦軍系のMSのものだ。
とはいえ、連邦軍もMSの技術はザクを鹵獲して得ているので、コックピットはジオン軍のMSパイロットであっても使えない事はない。
勿論、連邦軍用MSに相応しいように改良されているので、ザクとかのコックピットそのままって訳ではないし。
とはいえ、ガンキャノン、ピクシーといったように連邦軍系のMSを乗ってきた俺にとっては、それなりに慣れたものだ。
だが……ここで問題になるのは、俺が乗るのは重装フルアーマーガンダムだという事だ。
普通のMS……ジムとかに比べて圧倒的なまでの武器の多さだし、FSWS計画によってスラスター付きの増加装甲とかがあったりする。
つまり、ぶっちゃけると重装フルアーマーガンダムのコックピットは特別製な訳だ。
それを普通のシミュレータで操縦するんだから、色々と無理が出て来るのは当然だった。
そんな風に考えながらシミュレータのスイッチを入れて機体を選択する。
……これで重装フルアーマーガンダムではなく、もっと別のMSを選んだら、それはそれで面白くなりそうな気がするな。
ふとそう思ったが、さすがにこの場でそのような真似をすれば見てる面々にしても面白くないだろうし、何より重装フルアーマーガンダムと戦うというのは、チェンバロ作戦で一体どのような戦力になるのかを確認するという意味もあっての事なのは間違いない。
だからこそ、俺は当然のように重装フルアーマーガンダムを選ぶ。
そして映像モニタに表示される宇宙空間。
少しして、他の面々も準備が完了し……そして、模擬戦が開始される。
模擬戦が開始された瞬間、俺はすぐにその場から移動する。
重装フルアーマーガンダムは非常に高い性能を持っているし、装甲もルナ・チタニウム製だが……MA級の大きさを持つ。
そうである以上、ビームライフルで攻撃をされれば、それこそ呆気なくダメージを受けかねない。
防御力不足というのは、かなり大きいよな。
そんな風に移動していると、どこからともなく伸びてきたビームの光がつい先程まで重装フルアーマーガンダムがいた場所……いや、違うな。そこから少し外れてる。
俺が移動すると思ってそっちに攻撃したのか、それとも単純に狙いを外した……というか、牽制の意味で撃ったのか。
その辺りの事情は俺には理解出来なかったが、ともあれビームの発射された位置に敵がいるのは間違いないと判断し、そちらに向けて重装フルアーマーガンダムを進める。
その先にいたのは……量産型ガンキャノンとガンキャノン。
スレッガーとカイだ。
だが、スレッガーの使っている量産型ガンキャノンは、その手にビームライフルを持っている。
本来なら、量産型ガンキャノンが持っている武器というのは90mmマシンガンだった筈だ。
とはいえ、動力炉の出力には問題ないし、FCSの方を改良すれば普通にビームライフルは使えるだけのスペックを持っている以上、スレッガーの量産型ガンキャノンがビームライフルを持っていてもおかしな話ではない。
連邦軍でもビームライフルの量産は進められているのだから。
コストが高いって話を聞いた事があるが、ホワイトベース隊のような精鋭部隊なら、余分にビームライフルを与えられてもおかしくはない。
ただし……それを十分に使いこなせるかどうかというのは、また別の話だが。
「早かったな」
スレッガーがどういうつもりでビームライフルを撃ったのかは分からない。
あるいは、実はスレッガーではなくカイが撃った可能性もある。……いや、ビームライフルの銃口をこっちに向けているのを思えば、その心配はないか。
ともあれ、射程距離内ではあっても、逸った為か狙いをつけられなかった。
「沈め」
その言葉と共に、メガビームキャノンのトリガーを引く。
重装フルアーマーガンダムの中でも最強の威力を持つメガ粒子砲が放たれ、量産型ガンキャノンを沈める。
ちっ、カイのガンキャノンも一緒に撃墜するつもりだったんだが、素早く量産型ガンキャノンが距離をとった事でダメージは与えられなかったか。
ともあれ、これで1機。残り5機。
カイのガンキャノンは、ビームライフルと両肩の低反動キャノンでこちらを攻撃しながらも、何とか距離を取ろうとする。
他の面々がやって来るのを待ってるのだろうが……生憎と、こっちもそれを許すようなつもりはない。
重装フルアーマーガンダムは旋回性能とかの、いわゆる運動性の類はそこまで高くはないが、代わりに直線的な機動力という点では間違いなく上だ。
ガンキャノンはこちらから距離を取ろうとするが、AMBACやスラスターを使う事によって機体を動かし、ガンキャノンの攻撃を回避していく。
当然の話だが、俺も間合いを詰めている間は全く攻撃をしていない訳ではなく、相手を牽制する意味を込めてミサイルを大量に撃ったりしている。
ガンキャノンにしてみれば、移動しようとする方にミサイルが着弾している訳で、思うように回避は出来ない。
そうして間合いを詰め……頭部バルカンも撃ってくるが、俺はそれを無視して腰のビーム砲をガンキャノンに撃ち込み、次の瞬間には爆発の華が広がるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1075
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1594