ソロモン攻略戦のチェンバロ作戦は、当然だが激しい戦闘になっていた。
ジオン軍にしてみれば、ソロモンは決して抜かれてはいけない場所だ。
それだけに、相当な戦力を集めているのは間違いないんだろうが……
「それでも、こっちにこれだけの戦力を寄越すとは思わなかったな!」
重装フルアーマーガンダムを斜めにして、ザクバズーカの一撃を回避する。
同時に腰のビーム砲のトリガーを引き、そこから放たれたビームがコックピットを貫く。
そうしながら、素早く周囲の状況を確認する。
元々ソロモンの注意をこちらに向ける為に、派手に動いて陽動をするつもりだった。
だが、敵の攻撃は俺が予想していたよりもかなり激しい。
それこそ、一体どれだけの数の戦力をここに送り込んでいるのか、分からない程に。
……考えられる可能性としては、ここにホワイトベースがいるとドズルが知っているから、という可能性が高かった。
ガルマから聞いた話によると、ドズルはガルマをかなり可愛がっていたらしい。
そんなガルマを殺したとされるホワイトベースがいるのなら、当然のようにドズルは何としてでもここでホワイトベースを潰そうと、そう考えるだろう。
だからこそ、ここまで戦力を派遣してきたという可能性は……正直、否定出来ない。
とはいえ、だからといってこっちがそれに付き合う必要はないのだが。
「っと!」
他のMSよりも大きさという点では圧倒的なだけに、重装フルアーマーガンダムは当然のように多くの敵に狙われる。
ジャイアントバズを撃ってきたリックドムの攻撃を回避しつつ、お返しにビームライフルを撃つ。
セカンドアーマーのおかげで、素体の7号機の状態よりは動きにくいが、それでも敵に対してビームを撃つには十分なだけの余裕があったのは間違いない。
幾ら重装甲のリックドムでも、実弾ではなくビームライフルとなれば耐えるような真似は出来ない。
ビームライフルは重装フルアーマーガンダムが持つビーム兵器の中でも威力が弱い方に入るのだが、それでも新型のビームライフルであるのは変わらない以上、リックドムの装甲を貫く程度のことは難しくはない。
そして、また宇宙に生まれる爆発が1つ。
その爆発を見ながら周囲の様子を確認すると、そこら中でMSが戦っている。
ただし、一方的にやられているのはジオン軍側だ。
こっちのMS部隊はエース級が殆どで、それを思えばそのような状況になるのも当然だろう。
だが……それでも、こちらのMS部隊が無傷という訳ではない。
以前ソロモンの戦力を減らす為にちょっかいを出した時は、何故か新兵と思しき者達だけで構成された部隊がやって来て、こちらを驚かせた事があった。
だが、今回ここにソロモンから派遣されてきた部隊は、当然のように腕利きの部隊が大半だ。
それこそ、ソロモンの中でも精鋭に位置するのではないかと思えるような、そんな部隊の面々。
だからこそ、こちらの部隊でも撃破こそされていないものの、小破に近いダメージを受けている者は相応の数がいる。
何気に結構ダメージが大きいのは、ガンキャノン隊。
隊とついている通り、カイやスレッガーのガンキャノンではない。……そもそも、カイはともかくスレッガーが乗っているのはガンキャノンはガンキャノンでも量産型ガンキャノンだし。
この場合のガンキャノン隊というのは、サラブレッドに所属している3機のガンキャノンだ。
戦力という意味では、間違いなく一級品ではある。
パイロットの技量も、サラブレットに配属されるだけあって、十分腕利きと言ってもいい。
だが……連邦軍とジオン軍の間では、どうしてもパイロットの技量という点では連邦軍側が負けてしまうのだ。
連邦軍で精鋭と言われるようなパイロットは、ジオン軍ではそれより数段下……といった具合に。
その辺の判断が甘かったのか、ガンキャノン隊は敵の攻撃で被害を受けていた。
ジオン軍にとっても、敵の弱い場所から狙うのは当然。
自然とガンキャノン隊に向かって、攻撃が集中していく。
乗ってる機体がガンキャノンだというのも、この場合は問題なのかもしれないな。
ジオン軍にしてみれば、ガンキャノンというのはホワイトベースで俺が乗っていた機体だ。
そして俺は、ホワイトベースが地球に降下するまでの間に、ガンキャノンでジオン軍に対して結構な被害を与えている。
だからこそ、ジオン軍にしてみればガンキャノンは出来るだけ早く叩いておきたいといったところなのだろう。
勿論、理由はそれだけではないが。
ガンキャノンが持つビームライフルと両肩の低反動キャノン。
これは、双方共にジオン軍のMSを一撃で撃破出来るだけの威力を持つ武器だ。
ジオン軍にしてみれば、そんな武器を持ってるガンキャノンは出来るだけ早く潰したいと思ってもおかしくはない。
後方からの援護射撃という点では、それこそホワイトベースの砲台として使われているガンタンクもいるのだが……そっちにはまだ気がついていないのか、それともガンキャノンの方が優先という判断なのか。
ルースとフォルドが、そんなガンキャノンの援護をするべく攻撃を行っていく。
特にガンダム5号機のジャイアントガトリング砲は、ジオン軍のMSを牽制するという意味ではかなり強い。
……それで撃破出来ていない辺り、ジオン軍の強さを示しているのだろう。
「っと!」
こちらに向かってビームライフルを構えたゲルググを発見し、スラスターを全開にしてその場から移動する。
一瞬後、重装フルアーマーガンダムのいた場所を貫くビーム。
ゲルググを使っているこのパイロットは相応の技量を持つらしい。
だが……それでも、甘い。
機体を制御しつつ、ビームライフルを撃ってゲルググのコックピットを撃破。
また、その動きを利用してヒートホークを構えながらこちらに向かって来たザクに、2連装ビームスプレーガンを発射する。
スプレーガンだけに拡散しているビームだが、それでも敵が自分から近付いてくるのだから、威力の減退についてはあまり考える必要がない。
そして拡散ビームによって機体の様々な場所を貫かれ、やがてザクは爆散する。
このままだとこっちの被害が大きいな。そうなると、まずは敵の母艦を撃破した方が手っ取り早いか。
そう判断し、俺はその場から敵の攻めて来る方に重装フルアーマーガンダムを向かわせる。
だが、当然の話だが、敵の母艦も重装フルアーマーガンダムがこちらに近付いてくるとなると、それに気がつかないという事はない。
普通のMSより巨大な重装フルアーマーガンダムであれば、尚更だろう。
結果として、敵母艦……数隻のムサイから放たれるメガ粒子砲はこちらに集中する事になる。
……取りあえず、これで味方に被害が出なくなったと考えれば、問題はないか。
スラスターを使って、ムサイから放たれるメガ粒子砲やミサイルの類を回避しながら宇宙空間を進み続ける。
重装フルアーマーガンダムは、いわゆる運動性という点ではMSに負けているが、直線での速度という点では、セカンドアーマーに存在するスラスターの類によって、かなりの性能を発揮する。
結果として、普通のMSではとてもではないが無理な速度で宇宙空間を飛び続け……やがて、目的のムサイ級が見えてくる。
「まずは1隻……よりどりみどりって奴だな」
メガビームキャノンのトリガーを引き、放たれる巨大なメガ粒子砲。
それは真っ直ぐに飛んでいき……やがて、1隻のムサイを正面から貫き、動力炉をも破壊したのか、次の瞬間にはムサイが爆散する。
その爆発に戸惑った様子で動きを止める他のムサイ。
それはほんの数秒だったが、重装フルアーマーガンダムの速度を考えれば、次の攻撃の射程範囲に入れるには十分な時間。
次に放たれたのは、腰のビーム砲。
2門同時に放たれたビームは、爆散したムサイの近くにあった別のムサイを貫く。
ただし、ビームの威力そのものが低かった為か、一撃でいきなり爆散といったようなことはなかったが。
だが……それは半ば予想していたので、ミサイルを一斉に発射する。
ムサイという軍艦だけに、MSとは違って命中させるのは難しい話ではない。
次の瞬間には、ミサイルが次々に命中して爆散した。
これで2隻。
ここまで来ると、他のムサイもこちらを危険だと判断したのか、その場から逃げ出そうとする。
だが……当然の話だが、ジオン軍の戦力を減らせるこの機会に、それを見逃すなどといったような真似はしない。
逃げ出したという事は、当然のようにこちらに後ろを向けている訳で……
「焦ったな」
宇宙攻撃軍の艦長を任されている人物だけに、当然相応の有能さはあるだろう。
だが、重装フルアーマーガンダムという、異様な存在を前にして、敵はどうしようもなく混乱してしまった。
それこそ、連邦軍のサラミスに乗っている艦長が戦場で赤い彗星に遭遇してしまったかのように。
そんな圧倒的な個を前にして、少しでも早くこの戦場から逃げ出そうと、そう考えたのだろう。
しかし、重装フルアーマーガンダムという、動く武器庫的な存在の敵が追ってきている中で逃げ出そうとするのは、それこそ自殺行為以外のなにものでもない。
事実、メガビームキャノンによって逃げ出そうとした軍艦は背後から貫かれ、爆散したのだから。
「次! ……ちっ、戻ってきたか」
背後から迫ってきたリックドムにより、放たれたジャイアントバズの接近を察知し、ミサイルを撃って迎撃。次の瞬間には腰のビーム砲をリックドムに撃ち込んで宇宙に爆発の花を1つ作る。
リックドムというのは、機体性能という意味では重装フルアーマーガンダムに似ている。
直線的な速度は速いが、小回りは苦手。
それだけに、同じような機体に乗っている俺としては、リックドムの動きを読むのは難しい話ではない。
これで強引に軌道を変えられるといったようなことであれば、かなり有効的なのだが。
ただし、そのような真似をするにはGに対する強い耐性が絶対に必要だった。
その辺のパイロットでは、それこそGで骨折してもおかしくはないのだが。
とはいえ、このUC世界でもGに強い耐性を持つ者はいる。
例えば、ヤザンだ。
ヤザンの戦闘は野獣と評される事もあるが、その戦闘方法の礎になっているのは、常人とは比べものにならないくらいに高い対G能力だったりする。
その対G能力があるからこそ、普通のパイロット……それこそアムロでも無理なような動きで、機体を動かすことが出来る。
「っと!」
リックドムから少し遅れて姿を現した2機のザクが、こちらに向けてザクバズーカを撃ってくる。
ルナ・チタニウム製の装甲でも、あのバズーカの威力は脅威だ。
脅威だが……それはあくまでも当たればの話であって、命中する前に迎撃すれば問題はない。
2連装ビームスプレーガンを使い、拡散ビームを放つ。
そのビームに命中し、重装フルアーマーガンダムに命中するよりも前に撃破される砲弾。
その爆発した砲弾の先にいる2機のザクの位置に向けて、連続してビームライフルを撃つ。
次の瞬間、爆発が1つ……1つ?
その場から移動しつつ様子を見ると、1機のザクはビームライフルによって爆散していたが、もう1機のザクは右肩は消滅しているものの、機体そのものは無事だった。
なかなかやるな。
バズーカの砲弾が爆発したところで、俺が追撃をすると考えて即座にその場から移動したのだろう。
その判断は決して間違ってはいない。
いないが……それでもザクの右腕が失われている辺り、行動を起こすのは遅かったのだろう。
重装フルアーマーガンダムの姿を見つけた途端、何とかこちらにザクバズーカの砲口を向けようとしていたが……それは少し遅い。
次の瞬間には、ビームライフルに貫かれ、右腕を失っていたザクも爆散する。
「さて」
呟き、ムサイに視線を向ける。
リックドムと2機のザク。
MS1個小隊は、ムサイが逃げる時間を稼ぐという意味では立派に仕事を果たした。
だが……それはあくまでも、普通のMSを相手にしての場合の話だ。
重装フルアーマーガンダムという、半ばMAに近い性能を持つMSにしてみれば、この距離は追いつくのが無理な距離ではない。
『アクセル殿、そこまでです』
追おうとした俺を止めたのは、キルスティンの声。
何故だ? と思ったが、改めて戦場を見れば、既にソロモンから出撃してきたMSは全機撃破されている。
……なるほど。考えてみれば、ムサイがこの場から撤退したということは、MSを置いていったという事になる。
だが、出撃したMSが全機撃破されてしまったとなると、ここで待っていても意味はない。
だからこそ、まだ生き残っていた多くのムサイは、そのままここから逃げ出していったのだろう。
「分かった。すぐに帰還する。……にしても、随分と派手な戦いになったな」
『アクセル殿が言っても、説得力はないのですが……』
若干呆れの混じったキルスティンの声を聞きながら、俺は帰還するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1130
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1605