転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2589話

「ミサイルの補給を持ってくるようにコバッタに指示をしろ! それとメガビームキャノンを含めて、ビーム関係のエネルギーの充電も急げ!」

 

 ヤンマの格納庫の中に、ディアナの技術者の声が響く。

 重装フルアーマーガンダムの補給作業に必死なのだ。

 補給作業をしているのは重装フルアーマーガンダムだけではなく、ガトーとノリスの高機動型ギャンも同様だ。

 

「アクセル代表、ソロモンの動き……何か妙だと思いませんでしたか?」

 

 ガトーが水分補給用のスポーツドリンクを飲みながら、そう言ってくる。

 ちなみに無重力状態なので、缶とかペットボトルとかではなく、プラスチックの密封容器に入っており、ストローで吸うといった形になっている奴だ。

 

「妙? まぁ、敵にしてみればソロモンは絶対に防衛するべき場所なんだし、あれだけの戦力を送ってきてもおかしくはないと思うが?」

「いえ、ですが……他の場所でも陽動をしてると聞いています。であれば、ソロモンの戦力が足りなくなるのでは? いえ、勿論それが狙いだというのは分かっているのですが」

 

 しみじみと告げるその様子は、ガトーも自分で何かがおかしいと思っているのだが、それが何なのかは分からない。

 そういった様子だと思える。

 

「ソロモンの方で何かあったか?」

 

 すぐに思いつく可能性としては、それだけだ。

 ソロモン攻略の為のチェンバロ作戦は、別にここだけで行われている訳でもない。

 他の場所でも多くの部隊が動いている筈なのだ。

 俺達以外にもルナ・ジオン軍から来た援軍は確実に動いているし、それ以外の部隊も同じように動いているのは容易に予想出来る。

 そして何より、チェンバロ作戦をやる上で本隊と呼ぶべきレビルが率いる部隊がいる。

 ……俺のようにこの世界では死ぬことはまずないって訳じゃなく、レビルの場合は普通に死ぬんだから、出来れば危険な真似はして欲しくないというのが俺の正直な思いなんだが。

 現在の連邦軍はゴップという補給に関しては専門家がいるとはいえ、それでも本当の意味で屋台骨と言えばレビルだ。

 そのレビルがもし死んだとすれば……それは連邦軍にとって大きなダメージとなる。

 いや、純粋に月の事だけを考えた場合、連邦軍が弱体化するというのは決して悪い話ではない。

 だが……レビルがいなくなるという事が連邦軍にもたらすのは、弱体化だけではない。

 レビルは月の力を知っており、友好的な存在でもある。

 だが、レビルがいなくなった事でそんな月の力を本当の意味で知らない強硬派が表に出てくるような事になった場合、それは一体どうなるかというのは考えるまでもないだろう。

 自分達の実力を過信し、月に攻撃をしてきた時のような事が繰り返されないとも限らないのだ。

 そうなれば、当然最終的にはシャドウミラーのバックアップがある月が勝つのは間違いないが、それでも面倒な事になるのは間違いのない事実。

 そうならない為には、レビルにはしっかりと連邦軍の手綱を握っていて欲しいというのが、正直なところだ。

 ……とはいえ、セイラから聞いた話によると、基本的に軍人というのは一定期間勤めた後は政治家になるというのがこのUC世界における慣例らしい。

 そう考えれば……うん。正直なところレビルが生き残っていても、あまり意味はないのかもしれないな。

 勿論、いないよりは断然いた方がいいのは間違いないが。

 

「どうでしょうね。ですが、ドズル閣下は純粋な軍人として考えた場合、非常に有能な方です。そのような方がいてこうなっているという事は……やはり何かあったと考えるべきなのでは?」

 

 ガトーのその言葉に、一体何があった? と考えるも……ここで俺が何かを考えたところで、それがすぐに思い浮かぶ筈がない。

 それこそ、もしかしたら……本当に万が一ではあるが、ドズルが何らかの急病で倒れてしまった、もしくは反ザビ家の者の手によって暗殺された……はたまた事故か何かでソロモンの内部で爆発が起きてそれに巻き込まれた。

 そのように様々な理由が考えられる。

 そうである以上、今ここで俺達がソロモンで何かがあったと考えても、それはあまり意味のない事になる。

 

「やっぱり一番考えられる可能性としては、ルナ・ジオン軍を含めて他の部隊の戦いだろうな」

 

 特にルナ・ジオン軍は異名持ちを含めて精鋭揃いだ。

 そのような者達が、俺達のように少数ではなくしっかりと部隊を整えてソロモンに攻略を仕掛けた場合、それはソロモンにとって放っておけないのは間違いない。

 そうである以上、ソロモンとしてはそちらにも戦力を集中させる必要があるだろう。

 ……もっとも、だからといって俺達を放っておくといったような真似をする意味はないと思うんだが。

 それこそ、このまま放っておけば俺達がソロモンに取り付くといった事を心配する必要があるのも、間違いはなかった。

 

「そうですね。月の同胞達が頑張っているのであれば……こちらも負けてはいられません」

 

 ガトーが心の底からの思いを口に出したかのように呟く。

 ガトーはアプサラス計画に……正確にはそれを行うサハリン家に組み入れられたのだが、それでも本人には月の住人であるという思いがあるのだろう。

 元々仲間思いだというのもあるし。

 それに、ガトーがジオン軍にいた時に仲間だったカリウスやケリィは現在普通にルナ・ジオン軍に在籍している。

 特にケリィはMAに対して強い適性を持っており、MIP社から提供されたビグロに乗っており、ビグロで構成されたビグロ隊を率いているらしい。

 その辺の事情を考えれば、ガトーが月に大きな同胞意識を持っているのは当然なのだろうが。

 

「ケリィのビグロ隊は結構な功績を挙げてそうだな」

「そうですね。ケリィの能力を思えば、私の部下として活動するよりもMAのパイロットとして行動した方がいいのは間違いないでしょうし」

 

 そう言うガトーだったが、その言葉にどこか寂しげな色を感じたのは、決して俺の気のせいではないだろう。

 

「そうなると、もしかしてソロモンに起きた何かというのはビグロ隊が理由……というのも考えられるんじゃないか?」

「……確かに。ともあれ、今の私達では何も出来ません。まずは機体の補給を終わらせなければ」

 

 そう言い、ガトーが格納庫で補給作業をしている自分の機体に視線を向ける。

 ディアナの技術者とコバッタ達が補給作業をしているのを眺める。

 ちなみにディアナの技術者にとって、このヤンマでの仕事はかなり美味しい仕事らしく、嬉々として仕事をしていた。

 技術者にしてみれば、ようやく本格的な戦闘を行った重装フルアーマーガンダムの各種データを得られるというのも大きいし、それ以外でもルナ・ジオンの次期主力機候補……もしくはエース級のパイロットが乗る特別な機体となる可能性が高いギャン系列についてデータを取るという意味でも、高機動型ギャンのデータは嬉しいのだろう。

 特に高機動型ギャンは、本来のギャンのバージョンアップ版とでも言うべき機体だ。

 それだけに、高機動型ギャンのデータは非常に重要という事なのだろう。

 

「あの様子を見る限りだと、補給作業そのものは完了するまで時間は掛からないと思うけどな。ただ、データの吸い出しとかには……うん、まぁ、少し時間が掛かるかもしれないけど」

 

 そんな俺の言葉に、ガトーは苦笑を浮かべる。

 へぇ。てっきり怒るかと思ったら、これはちょっと予想外だったな。

 あ、でも考えてみればそこまでおかしくはない……のか?

 ガトーはアプサラス計画に協力していた。

 それを考えれば、技術者と接する機会も多かったのだから。

 だからこそ、技術者がどのような者達なのかというのを、普通のパイロットよりも分かりやすくなっている……という可能性は否定出来ない。

 

「それなら……」

『アクセル代表。連邦軍がソロモンに対し、大規模な攻撃を仕掛けた模様です』

 

 ガトーの言葉に割り込むように、ブリッジにいる量産型Wからの通信が入る。

 そして、すぐに量産型Wが映されていた映像がソロモンに変わる。

 そこにあるのは……ビーム? レーザー? と思われる何らかの攻撃がソロモンを焼いている光景だった。

 これは……一体何だ? 連邦軍に、これでだけ大規模な攻撃兵器があったのか?

 それこそ、この攻撃を見て思い浮かぶのはバルジやリーブラの主砲、ジェネシスのガンマ線レーザー、もしくは二ヴルヘイムの主砲たるエーリヴァーガルといったところか。

 しかし、当然の話だが連邦軍がそんな兵器を開発していれば、それはこちらの耳に入ってもおかしくはない。

 そんな大規模破壊兵器の建造となれば、地球上では無理な以上、宇宙で行われていた筈だ。

 だが、そんな情報は一切入ってきていない。

 まさか、連邦軍に俺と同じような空間倉庫の持ち主がいる筈もないだろうし、それを思えば何かもっと別の……それこそ、俺には思いも付かないような方法でこの攻撃を行った兵器を用意したことになる。

 俺も連邦軍の全てを理解しているとは言えない以上、絶対に用意するのは不可能とは言わない。

 だが、それでも不自然ではある。

 奥の手を持っているという点では、そこまでおかしくはない。

 しかし……もしそのような武器があるのなら、以前月を攻めた時、もしくはルナ・ジオン軍がルナツーを襲撃した時に、それを使ってもよかったのでは?

 そう考えると、思いつく可能性としては……その武器を確保していたのはレビルのような主流派……もしくは、強硬派といった面々以外の派閥だった。

 もしくは、強硬派が力をなくしてから開発したとか?

 幾ら何でも、あのような大規模破壊兵器を短時間で作れるとは思えない。

 だとすれば、やっぱりレビル達がその兵器の運用を行っていたといったところだろう。

 

「アクセル代表、これは……」

「ああ。ソロモンにとっても、これは大きな被害なのは間違いないな」

 

 連邦軍の攻撃は、ソロモンという要塞にしてみれば表面を焼いただけにすぎない。

 だが……それでも、ジオン軍にとって要塞の表面を大規模に焼かれるというのは大きな衝撃だろう。

 ましてや、チェンバロ作戦が行われているということは、ソロモンの近くにジオン軍の戦力が待機していた筈だが、それが丸ごと連邦軍の攻撃によって消滅した可能性がある。

 ソロモンが受ける戦力的な被害と軍人達の精神的な被害。

 双方共に、ジオン軍にとっては最悪だが、連邦軍にとっては幸いとなる。

 そしてこれが連邦軍の持っていた奥の手……キルスティンが言っていた件だとすれば、次に連邦軍がどんな手に出るのかというのは、容易に想像出来る。

 つまり……残っていた戦力で全面攻撃。

 なら、俺達と戦っていたジオン軍が引き上げていったのもこの関係なのか?

 一瞬そう考えたが、すぐにその考えを否定する。

 考えてみれば当然だろう。

 そもそもの話、連邦軍がソロモンを焼いたのは、今なのだ。

 であれば、あの時にジオン軍が退くというのは時系列的におかしい。

 可能性として考えられるのは、ソロモン側でこの攻撃の準備を察知し、それを防ごうとしたといったところか。

 ともあれ……今の攻撃でジオン軍に大きなダメージがあったのは間違いない以上、ソロモンは安全な場所とは言えない。

 そして俺にとって、ソロモンにはドズルという確保しておくべき存在がいる。

 そうである以上、ここで連邦軍の攻撃を黙って見ている訳にはいかない。

 

「キルスティンに連絡しろ。それと、補給作業を可能な限り早く終わらせろ。データ収集は後回しだ。今はいつでも出撃出来るように準備をする方が先だ」

 

 そんな俺の言葉が聞こえたのか、ディアナのメカニックがショックを受けた様子を見せる。

 だが、俺の表情を見てゆっくりとデータを取っていられるような状況ではないと判断したのか、次々と作業を進めていく。

 

『アクセル殿、どうかしましたか?』

 

 補給作業を眺めていた俺の耳に、そんな声が聞こえてくる。

 声がしたのは、映像モニタ。

 そこには、キルスティンの姿が映し出されていた。

 

「ソロモンの様子は見た。これから俺達は出る」

 

 短い一言だったが、キルスティンはそんな俺の言葉ですぐに理解したのだろう。

 すぐに頷く。

 

『分かりました。幸い、本隊からもソロモンに向かうようにとの命令が来ています。……実は、丁度それをアクセル殿に伝えようとしたところで、そちらから連絡があったのですよ』

「そうか」

 

 キルスティンの言葉に、納得する。

 そもそも、サラブレッド、ホワイトベース……そして、ヤンマと、この部隊には極めて強力な戦力が揃っているのだ。

 そうである以上、この状況でその戦力を使わないという方法はないだろう。

 俺はキルスティンと短く打ち合わせをし……そして、チェンバロ作戦のクライマックスに向けて、ソロモンに出撃するようにヤンマの艦長をしている量産型Wに命令するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1130
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1605

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